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2010.04.20

『僕は友達が少ない(3)』

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僕は友達が少ない(3)』(平坂読/MF文庫J)を読んだ。

さすが我らが平坂読!読者にツンデレることにかけては右に出る者がいない!!最近はねえほら奥さん、日常系ってのが流行りなんざましょ?何も起こらないほのぼののんびりした緩やかな空間とおっしゃいますの?そういうのが人気なんでございますよ。大半の読者はこのまま隣人部ののんびりした物語が永遠に続いてくれる事を望んでいたんだと思います。だらだらとした、そんで美少女いっぱい!だけどハーレムと言うほどドロドロしていない!そんな理想の空間ですよ。

と・こ・ろ・が。我らが読たん(ついに”たん”呼ばわり)はそんな読者の希望をこそ裏切る!読者が望むものを斜め上か下に必ず裏切るのが我らが読たんなのだ!!永遠の日常を望む読者には、その動乱のきっかけを与えてきました!さすが読者にツンデレ。いや、この場合はデレツン。3巻のクライマックスまではいつも通りの楽しい日常を見せつつ、そして最後の最後に物語を動かして来ました。

物語を動かすというのは、隣人部の面々の人間関係を、その距離感を動かしてくるということです。本来は永遠の日常などと言うのは存在しないのは言うまでも無いですよね?なぜそれが存在しないかと言うと、そこには必ず変化が生じるからです。環境の変化、そして人間関係の変化。人間関係に完全な安定などありえないのです。つねに近づいたり遠ざかったり、そうした振り子のようなバランスを保っている。しかもそれは他方向にも伸びる関係のつながりは、恐ろしく微妙なバランスの上に成り立っているものなのです。

はい、ここで隣人部の面々を見てください。みんな、そうした人間関係の変化に疎い人間ばかりですねー。そこまで付き合いを得られた関係と言うのがほとんどなかったんですねー。それゆえに、おそらくはこの隣人部の存在は唯一無二の聖域となっているはず。少なくとも、3巻の途中までは全員がそうだった。

しかし、ついにやっちゃいました。読たんが。つまり夜空が。これまでは一緒にいることだけで満足していた(んだと思うんだけどね)夜空が、ついにそれだけではすまず、かつての自分と小鷹の関係を取り戻そうと考えてしまった。今までのような、ちょっとおかしな部活のメンバーではなく、かつての”親友”と。心ならずも離れ離れになってしまったかけがえの無いものとしての自分を。夜空は選んでしまったのである。

これが何を意味するか?つまるところ、人間関係と言うのは複雑なもので、一対の関係が変化すると、連鎖反応的に周囲の関係に普及する。それゆえに極めて不安定な代物である。つまり、この夜空の選択は、あるいは隣人部において、今まで絶妙なバランスで居心地の良い距離感を保っていたはずの関係を、崩壊させる可能性があるのです。少なくとも、読たんはそのことに自覚的であろうと思います。

もはやそこには永遠の日常は、ない。変わらないセカイは、ない。ごく当たり前の、少年少女たちの生活する場がそこに立ち上がることになるのです。果たして平坂読がどのように物語を切り開いていくのか、期待したい。

追記。ただし、平坂読は極度のツンデレゆえ、自分のような読者を蹴り飛ばすために、さらに日常系への回帰を選択する可能性もある。単純に編集部にプッシュされて、売れる方向に舵をとる可能性もある。もちろんそんなのを無視して日常系の崩壊を描く可能性もある。それのどれもがありうるのが平坂読と言う作家であり、ユニークなところであると強く思うのであった。なにしろツンデレだからな。

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コメント

初コメです。
いつも拝見してます。

僕もはがない3巻を読んで割とショックを受けました。
ここでそうくるかと。

でも、何も根拠は無いんですが、次の巻では何事も無かったかのようにケロっとして隣人部の活動が行われてるような気がします。

特に私がそれを所望してるわけでは無いんですが、そんな気がしてならないんです。

ただ1つ、登場人物がみんな魅力的なので、長く続いてほしいな~とw

たとえどんな展開であれ、こいつらの会話が読みたい。それだけです。

長文失礼しました。更新がんばってください。

投稿: | 2010.04.21 19:33

>ただ1つ、登場人物がみんな魅力的なので、長く続いてほしいな~とw

所望しているではありませんか。

それはともかく、そのあたりの期待は必ず裏切るのが平坂読ですのでどうなることやら。

投稿: 吉兆 | 2010.04.21 22:05

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