« 買ったもの | トップページ | 『剣の女王と烙印の仔(4)』 »

2010.03.15

『ヴァンダル画廊街の奇跡』

510byamfa8l__ss500_

ヴァンダル画廊街の奇跡』(美奈川護/電撃文庫)を読んだ。

電撃小説大賞“金賞”受賞作、なんだけど…。うん、評価が難しいね。何しろ、この作品の主題が芸術であって、それら芸術を規制させられたある種のディストピアの中で、芸術の持つ力によって抗っていくのと言う展開なのだが、問題は自分には芸術の持つ力というやつが全然わからんのだ。このお話に登場する芸術作品(この言い方も良くないな)を自分も見たことがあるけど、全然理解できてないからね。おかげで、作中における人々の熱狂具合に今一つ乗れなかった。傍観者的な視点を動かせなかった。

うーん、芸術を否定するつもりはないんだけど、ここに出てくる芸術は、過去の作品の”引用”でしかないのが、自分があまり感心できない点なのかもしれない。つまり、ガジェットとしての芸術でしかないと言う意味で。学園異能の”異能”と同じ扱いと言うのかね。だから、ヴァンダルたちが過去の芸術を描いて見せたところで、自分のように”伝わらない”人間に対しては、なんの感銘も受けないのだ。

まあこれは読み手の教養次第と言うところもあって、自分が無知であるがゆえに理解出来ないのだ、と言うのであればまあその通りですとしか言いようがないのだが、美しいものを”言葉”で伝えないと言うのは、ちょっと、自分には追いつけないところはあったねー。まあそこまでやる必要があるのかどうかは、作者の考え方次第ではある。既存の、何も無いところから小説自体を芸術作品に昇華しようとすると、これはもう文学の領域になってしまうので、ラノベでそこまでやる必要があるのかどうかと言うと…まあ無いよね(個人的にはあってもいいと思うけど、労力に見合わないとは思う)。

と言うわけで、自分のようないまだかつて芸術作品に感銘を受けたことない芸術的感性欠落者には、どこか距離感を感じてしまう作品でした。

|

« 買ったもの | トップページ | 『剣の女王と烙印の仔(4)』 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/29313/47803530

この記事へのトラックバック一覧です: 『ヴァンダル画廊街の奇跡』:

« 買ったもの | トップページ | 『剣の女王と烙印の仔(4)』 »