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2010.03.01

『ココロコネクト ヒトランダム』

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ココロコネクト ヒトランダム』(庵田定夏/ファミ通文庫)を読んだ。

これは良い作品。男女入れ替わり物と言うのはわりとポピュラーなジャンル(だよね?)だと思うのだが、入れ替わりによって生じるキャラクター間の葛藤と解決のプロセスがわりときちんと構築しているので説得力がある。また主人公が非常に最近の流行と言うか現代的なハーレムメイカー気質である(このあたりを参照。他にもいっぱい議論されているので興味のある人は調べてみるよろし)あたりは、やっぱりFate、禁書目録の系譜を感じさせますなあ。なんつーか、こういう主人公にはまったく共感出来ない自分ですが、さすがに長きに渡る格闘の末、共感は出来ないまでも理解できるようになってきたので、今回は素直に受け入れられるようになりました。オレも成長したなあ…数年前だったら口を極めて罵っていたぞたぶん…。

別にバトルも伝奇もないけど、人格の入れ替わりってのは、実のところけっこう厳しいよな。お互いのプライベートもプライベートなスペースを言語道断に踏み入る行為であり、人間関係に傷つくなんてレベルじゃねえ。オレが人格入れ替わりなんて巻き込まれたら、3日でストレスで死ぬ自信がある(どんだけ閉塞してんだお前)。そこからさまざまな葛藤と、それぞれが抱える悩みや苦しみが現出してくるあたり、うん、入れ替わりものとしてはわりと斬新なような気がする。まあオレが知らないだけかもしれないが、入れ替わり物でここまで真面目に青春ストーリーをやった例ってあんまりないような気がするんだ(そんなことは無いような気もする)。そして生まれてくる問題を、スーパー自己犠牲野郎である主人公が、とにかくそんなのが嫌だ!と言う理由だけで介入して、なんとかしていくと言う展開で、まあこんなことをされては当然女の子組は当然主人公の惚れざるを得ないのだが、きちんと主人公の本命が存在しているところは、いわゆるハーレムメイカーものとしては珍しいような気もする。一冊で終わる予定だったからかもしれないけど、きちんと恋愛感情に決着がついていました。

ただ、主人公の異常な自己犠牲精神には決着がつかなかったのは、正直残念。いや、ハーレムメイカーものをきちんと作品に昇華した例は現状ではFateしか存在しないので(私見です)、あくまでもこの話では作品装置としてのハーレムメイカーとして設定されていることは理解しているのだが、結局”主人公が他人を助けることに理由がない”と言うあたりの命題が残ってしまうのは、やはり引っかかる。主人公なのに、主人公の話になってないんだよね。ただ、ヒロインを助けるためだけの”装置”でしかない。まあこのタイプの主人公を突き詰めると物語は否応なしに”主人公の物語”が駆動してしまって、しかも収拾がつかなくなるので(これを豪腕でねじ伏せたのがFateと言う認識です)扱いが難しいんだけどね。諸刃の剣に近いので、そのあたり作者は注意して欲しいものである。この作品に続編があるとしたら、最終話にはそれでも”主人公の話”を入れて欲しい。それがなくしてハーレムメイカーものは完結しないと思うんですよ。

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コメント

案外みんな共感できないんだね。

主人公は、皆のことが好きで自分のことはどうでもいいからなんじゃない(好きな人間には尽くしてあげたくなるし)
多分、行動の理由はあるんだろうね。本人は鈍感だからそれすら解らないで行動しているんだろうけどね。

それに人助けに理由はいらないって人もいますからね。
この主人公、過去に後悔したことがありそうですよね。助けるべきときに何もしなかったとか・・・

それか、誰よりも「やさしさ」求めているためにそうなるのか(やさしくして欲しいから、優しくして心地よい空間作り)

調べてきたレビュー読んだのでコメント書いてみました。読んでいて気分害した場合はすみません。そして、その場合はお忘れください。では、失礼します。

投稿: 猫ずきな人 | 2010.05.28 02:43

これは共感できるかどうか以前に、他人を助けるために自分を犠牲にすることが正しいのか、そもそも、自分を助けるという選択肢も持たない人間が他人を助ける資格があるのか、と言う倫理の問題なんだと思っています。

投稿: 吉兆 | 2010.05.28 22:20

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