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2010.03.31

『アスカ―麻雀餓狼伝』

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アスカ―麻雀餓狼伝』(吉村夜/富士見ファンタジア文庫)を読んだ。

最近では咲とかスーパー超能力麻雀百合アクション漫画が流行っておりましたが、こちらはもっともっとドロドロに泥臭い方向性でございます。いわゆる阿佐田哲也系の、生きるために、そして食らうために麻雀を打つと言う、弱肉強食の世界。もっともねー、昭和初期とかならともなく、現代の、しかも仮にもライトノベルにおいて、戦後初期のような猥雑かつ生きるために懸命なエネルギーと言うのはリアリティを失っているわけですよ。ギャンブルに対するモチベーションをどのように主人公に与えるのか、ここはかなり重要なところだと思うんです。例えば咲は、麻雀が市民権を得て、国民的娯楽として確立しているというパラレルワールドを舞台にすることで解決を計りました。あの世界では、麻雀をやることは別段後ろ暗いことではなく、きちんと健全とした競技として成立しているわけです。ところがこの作品では、麻雀はやっぱりギャンブルであり、真剣を打つような人間はやはり裏社会の人間が多いのです。

さて、現代の少年であり、とくに衣食住にも不足していない主人公に、どのように麻雀の道に向かわせるモチベーションを作り出したのか。なんとその答えは「中二病」です。平凡な日常には飽き足らず、裏の世界、非日常への憧れ。そしてその世界での活躍を夢見る主人公。まーさーに中二病的精神の発露であり、それゆえにライトノベルとしても極めて正しい設定である。最初は麻雀博徒伝でラノベって無茶じゃね?とか思っていた自分ですが、なるほどこの設定はたしかにラノベ以外のなにものではない。ラノベとしてはまったく斬新なことをしていないにも関わらず、麻雀ラノベとしてはなんとも新鮮に感じるのであった。

そしてそこから主人公の無邪気な全能性が叩き潰され、世界は少年に優しくないというところをねちっこく描いているところはさすがに作者らしい。実に正しいジュブナイルですね。少年は夢想を追い求め、少女は現実を見据えるという主人公の覚悟のなさが浮き彫りになる展開は、まさに王道。そこから這い上がり、小手先ではない、本当の力を身につけてリベンジを行う、行えてしまうというところはファンタジーでありライトノベルの基本線を外していないのは、作者らしい教養主義に表れか、あるいは限界か判断に悩むところではあるけれども、少なくとも綺麗に物語がつながっているので良いのではないでしょうか。

ただ、問題はこれ物語の構造がファンタジーと言うか、完全に行きて帰りし物語を踏まえているような気がするんだけど。物語の文法がすごくファンタジー小説っぽいんだよね。主人公を異世界に導く”魔女”に、彼を助けてくれる”妖精”、そして力を与えてくれる”魔法使い”。いないのは魔王だけなんで、もしこれで魔王が登場したら、間違いなく倒した後に主人公は日常に帰還する展開になると思うんだが、果たして。ま、妄想に終わるかもしれんけどね。

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2010.03.30

『おれと天使の世界創生』

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おれと天使の世界創生(ユグドラシル)』(冬樹忍/HJ文庫)を読んだ。

登場人物が明らかに『たま◇なま』シリーズのリボーンキャラっぽいので、おそらく、前作で語れなかったこと、あるいは前作で語ったことの先を描くつもりなのだろうとの予測は成り立つけど、まだ1巻の時点では判断が難しい感じ。ただ強く感じるのは、とにかくメタフィクション的な仕掛けを行っているということ。単に、作品世界を俯瞰する存在を匂わせるだけではなく、主人公が巻き込まれる事件に対して、主人公が非常に冷静と言うか、冷めている反応をするあたり非常に顕著だ。まるで作品を読んでいる読者のごとく、ありがちとも言える今後の展開を予想したり、ツッコミを入れたりしている。この時点で、少なくとも作者は”ベタ”な展開を行うつもりはなく、メタフィクショナルな展開を意図しているのだ、と言う宣言を行っている、のではないかと思うのだ(ちょっと自信がないが)。

少なくとも一巻は、『たま◇なま』をなぞるがごとく、無気力になっていた主人公が自分自身の物語を生きることを選択する展開でひとまずの幕となるわけだが、どうもそれさえも予定調和であったかのような描写がそこかしこにあったりする。どうも作者はいろいろな伏線をはっているようではあるのだが、現時点ではその伏線がどのような機能をするのか、断定することは難しく、なかなか悩ましいところである。

もっとも、このように頭を悩ませているうちが一番楽しいというのもまた事実であり、相変わらずお色気シーンと言うよりも、やりすぎてガチでえろくなっている描写ともあわせて、大変娯楽性は高いと思います。キャラに萌えることも構造を考察することも出来る非常に噛み応えがありますね。今後の展開に悩みつつ、期待していきたい。

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買ったもの

1.『薔薇のマリア 13.罪と悪よ悲しみに沈め』 十文字青 角川スニーカー文庫
2.『メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット』 伊藤計劃 角川文庫
3.『六蠱の躯 死相学探偵(3)』 三津田信三 角川ホラー文庫
4.『カルテット―それが彼らの音楽だった』 小竹清彦 幻狼ファンタジアノベルス
5.『石霊と氷姫(下)』 西魚リツコ 幻狼ファンタジアノベルス

買った。

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2010.03.29

買ったもの

1.『伊藤計劃記録』 伊藤計劃 早川書房
2.『スノウピー(1) スノウピー、見つめる』 山田有 富士見ファンタジア文庫

買った。1は探していたのをようやく見つけたよ。小説を読めない精神状態のときとかは、エッセイなどを読むと癒される。とくに伊藤計劃氏の文章は、すごく自分の感覚にフィットするので(たぶん摂取してきたものが近いんだろうな)なおさら。なくなられたのが何度も思うが残念だ。

2は買うつもりは無かったんだけど、冒頭を読んだところ「ポッキーチョコレートのようにまっすぐ前に進むしかない」と言う表現が出てきて、お、と思ったので買った。いいねーこのサクサクとしたセンス。チャーミングな表現だぜ。

最近の厳しい寒さにやられてしまったようで、ひどく頭痛がする。熱っぽいので、どうやら風邪を引いてしまったらしい。思考がまとまらないし、あたまが痛いわふわふわするわで、こういう風邪の引き方は久しぶりだったので新鮮だった。とは言えけっこうきついので、今日は早めに寝ることにしよう。

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2010.03.28

買ったもの

1.『真月譚月姫(8)』 佐々木少年 アスキ-メディアワークス
2.『殺戮ゲームの館(上)(下)』 土橋真二郎 メディアワークス文庫
3.『ハイドラの告白』 柴村仁 メディアワークス文庫

買った。メディアワークス文庫のことをすっかり忘れていたので、情報感謝。

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2010.03.25

『いつか、勇者だった少年』

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いつか、勇者だった少年』(秋口ぎくる/朝日ノベルズ)を読んだ。

自分がここ数年読んだ作品の中で、トップクラスに不愉快な作品でした。つまらなかったとか、上手い下手の話をしているのではなく、とにかく”不愉快”であり”不快”であり”生理的嫌悪”を呼び覚まされました。これは皮肉でもなんでもなく、これほどまでに自分のリアルな感情を刺激したという意味では、数年に1冊出るかどうかの怪作と言える。いっそ、傑作といってしまってもいいかもしれないですねー。繰り返すけれども、これは皮肉ではありません。ここまで、”幻想を愛し、現実を憎み、妄想の中の全能感に酔いしれ、ナルシズムに耽溺することのおぞましさ”を描きぬいている作品は、僕はここ数年レベルで読んだことがなく、ある意味において傑作といわざるを得ない。

この作品にはあらゆるフィクションやファンタジーと、それを愛好する人々に対する悪意に満ちています。あくまでも私見ですが、フィクションと言うものの本来あるべき姿は、現実に対する杖であり、現実を生きるためにこそ必要とされるものだと僕は思います。現実ではどうにもならないものを、ファンタジーという形で受け入れることで、現実を生きる支えとする。しかし、それがファンタジーの持つ正の側面であるとするならば、勿論、負の側面もありえることになります。それは現実に対する拒否としてのファンタジー。逃亡のためのフィクション。ファンタジーに耽溺することは、ある意味においては、現実と言う自分の思いのままにならない理不尽な世界から顔を背ける行為に等しいのです。勿論、これもまたある一面に過ぎません。しかし、そのようにファンタジーを”悪用”しているケースと言うのは、間違いなく存在している。それもごく当たり前に。例えばゲームや漫画を読んでそこに自分自身を投影し、自分の分身の活躍に酔いしれることなんて普通にあるでしょう?そこには”嫌なことから目を背け、己のエゴを満たすためのだけのファンタジーであるわけです。これは自戒ですね。それを否定するつもりはまったく無いですけど(僕もまた、現実で上手くいかないとき、ファンタジーを初めとするフィクションに逃避して、自己に閉じこもってしまうことがあります)、これはファンタジーの持つ暗黒面であり、物語を愛する人間ならば、決して否定することの出来ない問題であると言えます。適度ならば逃げ場として機能しますが、度が過ぎれば己の中のファンタジーにのみ耽溺し、外部を拒否し、己のナルシズムの中だけで享楽にふける。その時、ファンタジーは紛れも無い”麻薬”として機能することになるのです。

この作品は、まさにファンタジーのダークフォースを描いた作品と言えるのでしょうね。正確には、ファンタジーの暗黒面に堕ちた少年が主人公となる。彼は非日常を愛し、日常を嫌悪している。過去、異世界に召喚されたと言う非日常的な体験をしており、その後、使命を果たして現実に帰還した後も、あくまでも非日常の世界こそが自分の生きる世界であると信じている。だが、それだけならば、別におかしなことではないと思います。ここではないどこかへの憧れ。それはこの世に生きることが困難な人々が、だれもが救いを求めてすがるものですからね。そうした人々の苦しみの受け皿として、ファンタジーは確かに機能してきたと言えます。現実だけでも、ファンタジーだけでも、世界はバランスは取れない。現実を生きるためにファンタジーを必要とし、ファンタジーが存在するためには現実が存在していなくてはならない。そのバランスが重要なことなのだと思います。

だが、彼は違う。この主人公は違う。なぜなら、彼は異世界に対する憧れは実は無い。現実において、なにか苦しみを感じているとか、違和感を覚えるとか、そういうものはなにもない。生きることに苦しんでいるわけでもない。ここではないどこかへ行きたいとも思っていない。ただ、”異世界ならばもっとスリルのある、楽しい人生が送れるだろう”と思っているだけなのです。言うなれば、ただ面白いゲームをプレイするときのような期待感しか、彼は異世界に持っていない。自分を気持ちよくしてくれる非日常。それこそが彼が求めているもの。それゆえに、彼は自分を不快にする存在を許さない。なぜなら、非日常、すなわちファンタジーは、”自分を楽しませるために存在する”と考えている、否、認識しているからだ。

すなわち、本質的に、彼にとっては非日常であることは重要ではない。彼はただ、”自分が楽しむことの出来る世界”が欲しいだけ。「自分にとって万事都合が良く」、「自分を全肯定してくれ」、「己のエゴを受け止めてくれる」世界。それをただ望んでおり、そしてその世界を望むことに何一つ罪悪感を感じることも、後ろめたさを感じることも無い。そのおぞましさ、醜さに対して、この主人公はあまりにも無自覚です。この無邪気さ、楽観的な態度、それこそを、自分は憎悪する。この主人公は、己の行動がどれほど醜く、おぞましいことなのか、それすら理解していないのです。そんな主人公が、己の快楽のためだけにファンタジーを求めて行動する。この展開は、ファンタジーを愛する一人の人間として、まことに憎悪すべきものとしか言えない。このようなファンタジーを扱う人間が存在することに対して、自分は苛立ちをこの主人公に向けざるを得ないのです。

秋口ぎぐる氏の作品には、常に、この傾向がある。すなわち、現実逃避としての、現実拒否の手段としてのファンタジー。その点について作者の作品を読むたびに苛立ちを感じないでもない。おそらく、作者とは”ファンタジーの在り方”について、絶対に相容れないということを、読むたびに実感するのですね。ならば読まなければいいだろうという意見もあると思いますけど、逆に、ここまで自分の意見と正反対の物語を描いていると、次に何を書くのか、気にしないではいられないのです。恐い物見たさ、と言うのもあると思いますが…。

この作品については、本当に心の底からおぞましいと思う作品だと思います。そして、その点はおそらく作者も意識して描いているのだと思います。ファンタジーの無力さ、身勝手さを意識的に描いており、作者の意図をきちんと反映させた優れた作品であるのだと思います。個人的には怒りさえ覚える作品ですが、その意味では非常に完成された作品であるということは認めないわけにはいかないと思います。

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買ったもの

1.『DARKER THAN BLACK漆黒の花(2)』 岩原裕二 スクウェアエニックス
2.『WORKING!!(7)』 高津カリノ スクウェアエニックス
3.『アンシーズ(3)~刀侠戦姫飛恋録~』 宮沢周 スーパーダッシュ文庫
4.『零崎人識の人間関係 匂宮出夢との関係』 西尾維新 講談社ノベルス
5.『零崎人識の人間関係 無桐伊織との関係』 西尾維新 講談社ノベルス
6.『零崎人識の人間関係 零崎双識との関係』 西尾維新 講談社ノベルス
7.『零崎人識の人間関係 戯言遣いとの関係』 西尾維新 講談社ノベルス

買った。

しかし、アンシーズは本屋で一番目立たないと隅に追いやられていたんだが…どんだけ売る気ねんだよ…。これで完結らしいし、なんで人気がないのか理解に苦しむぜ。あーあ。

で、人間シリーズだけど、また薄い本をぼったくり価格で販売してんな。それでも購入する西尾信者(オレとか)がいるからこその商売だけど、自分の中で講談社ノベルス編集部の好感度はガンガン下がっているぜ。読者を大切にしねー出版社は嫌われるぜー。はっきり言って、西尾維新が離れたら、応援してくれなくなるよ?マジで自分の信用を切り売りしているってこと、編集部はわかってんの?

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2010.03.24

買ったもの

1.『ダンスインザヴァンパイアバンド(9)』 環望 メディアファクトリー
2.『烈風の騎士姫(2)』 ヤマグチノボル MF文庫J
3.『コトノハ遣いは囁かない(2)』 木村航 MF文庫J
4.『えむえむっ!(9)』 松野秋鳴 MF文庫J
5.『僕は友達が少ない(3)』 平坂読 MF文庫J
6.『カンピオーネ!(6)』 丈月城 スーパーダッシュ文庫
7.『砂ぼうず(14)』 うすね正俊 エンターブレイン

買った。砂ぼうずの新刊が出たことに興奮を抑えきれない。4年ぶりの新刊かー。嬉しいぜ。

あと、アンシーズを探してたんだけど、3巻が売ってなかった。おいおい、本屋さんよ発注量ミスってんじゃねーぜ。しょうがねえから発売日に買うけどよー。

しかし、今日はむちゃくちゃ疲れた。疲労困憊だ。寝ます。

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2010.03.23

『GENEZ(3) ジーンズ』

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GENEZ(3) ジーンズ』(深見真/富士見ファンタジア文庫)を読んだ。

あいかわらずボンクラですなー(褒め言葉)。伝説的傭兵たちのフリークスぶりに大爆笑ですよ。お前らは凄腕とかそういう問題じゃねーだろ!アホか!!まるでメタルギアソリッドシリーズのびっくり変態特殊部隊かと思いました。魔獣使いに伝説の魔法使いにゴーレムか…。まあ主人公たちが強化外骨格(なんか違う)で限定的不死身持ちとか言うチートコマンドーなので、敵対する相手もこれぐらいの奇人変人じゃないとキャラで負けちゃうかな。うーん、素晴らしい。

その舞台になるフィールドも実に変態的で素晴らしい。なんせラストバトルは軍用期間車両要塞だぜ!なんて趣味的な…作者の趣味全開!やりたいこと全開!そして多元中継バトル!美少女が拷問(みたいに、敵に嬲られる。性的な意味ではなく)!とか、もうなんなのこれ…。作者はいったいどうしちゃったの?ここまで趣味的でいいの?とか心配になりました。まあオレは面白いからいいけどな!

とまあ、そういう感じで大変に頭が悪いんですが、作者としてはわりとラブ寄せを図っているらしく、ラブコメ方面もいろいろ動いているようですが…どうもこの作者のラブ要素は、ぬるいというか、修羅場にならないというか、非常にさらっと流しています。ドロドロと描け、と言うつもりはなく、作者はそっちの方を志向していないんだろうけど、なんとなく、作者の快楽原則に忠実な部分が良く現れているかなとか思いました。

まー全般的に非常に頭が悪いですが、アクション部分の描き込みが凄まじく、悪そうなキャラが出てきたりしたり、お話も動いているようなので、大変エンターテインメントとしての品質は高いものと思われます。

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2010.03.22

『いつも心に剣を(4)』

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いつも心に剣を(4)』(十文字青/MF文庫J)を読んだ。

時間がぎゅんぎゅんかっ飛ばしていて、人間関係も激変しているあたりが実にダイナミック。まあ慌しいとも言えるが…。これは次巻でまとめるための苦肉の策なのかなあ。個人的には、3巻での劇的な離別から判断すれば、分かれている期間はもう数巻は続くと思っていたからなおさらそう思う。レーレとユユの二人は完全に共依存の関係にあったから、改めて関係を構築するのであれば、離別は必然であったともいえるが、それにしては一冊でまとめちゃったもんな。まあ一巻あたりの時間はかなり流れているけど…(少なく見積もっても一年ぐらい?)。

今回は、お互いが死んだを思い込んで、失意のうちに自分の中にあいた空洞を埋めようとする二人だけど、アプローチの仕方がまったく違うのが、それは本人の資質の問題か、あるいは性差に還元されるものなのかは…まあわからんが、もしかしたら両方かもな。レーレはすべての希望を失い、ユユを殺した(と思い込んでいる)魔女たちを殲滅するためだけに生きようとする。そのためには、自分の自由意志さえも手放して、ただ命令のままに魔女と魔王を殲滅する兵器として運用されることさえ厭わない。人間としての感情も、望みももてない、そんな空っぽの存在として生きている。これは、生きる意味のほとんどを、レーレはユユに預けていたということなので、結局、彼は誰かに生きる目的を与えてもらえないと生きることさえ出来ない空っぽの存在であるということが繰り返されている。少しは他人のことを気遣える人間に成長していたのかと思ったけど、一人になったらやっぱり駄目になった。さっき、二人が別離する時間が必要だと書いたけど、レーレにとっては、やっぱりユユがいなくては駄目なんだな。これは否定的にとらえることも出来るが…逆に言えば、彼は”自分のために生きる”と言うことが出来ないという欠落を抱えているということでもある。彼が生きるのは他人のため。他人のために生きるときだけ、レーレは自分が生きてもいいとみなすことが出来るということでもある。いびつな人格ではある。いびつではあるが…それを否定することは決して出来ないことではある。”そのように生まれついてしまった”ことはレーレのせいではない。僕は、それがレーレの「努力が足りない」とか「意思が足りない」とかは絶対に言いたくない。なぜなら”欠けているモノ”は、欠けている本人には決して分からないことなのだから。分からないから、欠けている。欠けているからわからない。”そのようにある”ことそのものを肯定するつもりは無いが、それを非難しようとは決して思わない。そのようにあることを、ただ悲しむだけだ。

ユユは、おそらくレーレの欠落をだれよりも理解していた。だから常に支配的に振る舞い、自分を守らせるように、レーレに命じていた。それがレーレがなによりも望むことだったから。ユユは自分がレーレに守られていることになによりも自覚的であったし、そんな彼を歯がゆく思っていただろうし、もしかしたら苛立ちさえ覚えていたかもしれない。彼女はなによりも”自分自身である”ことに誇りを持っていたから。自分の存在意義をすべて他人に預けているレーレの存在は、決して快いものではなかったことは想像できる。それでも彼女はレーレのことを、おそらく愛していたであろうし(それが恋人に対するものか、家族に対するものかはわからないけど)、大切に思っていたであろうことは、わかる。そして、セルジュとの関係の中、強制的にレーレと引き離されたことで、彼が必ずしも意思を持たない人形ではなく、”自分の意思でユユを守りたいと考えている”ことを知った。それに対して、ユユは何をレーレに返せば良いのかという事をようやく考え始めた(つまり対等の存在として認めようとし始めた)矢先、それをレーレに伝える間もなく、ユユはレーレと離れ離れになってしまった。ユユは、魔女のもとで、虐げられた存在の、それでも抵抗しようとする人々と行動する。しかし、彼女はその中でさえも異物であった。彼女は常に”自分自身であること”と”自分の意思で正邪と判断すること”こそを尊んでいたから。彼女は、虐げられたから、虐げた者を虐げようとする、負の連鎖に賛同することは出来ない。それは終わりの無い螺旋であるということを知っていたから。彼女は聡明であり、あるいは聡明すぎたとも言える。自分には何の力もなく、虐げられる存在であり、戦争を止めるだけの力を持たないただの子供であることを知っていた。それゆえにレーレに守られていたことを知っていた。だからこそ、彼女はなにも出来ず、ただ戦争に流されることも首肯できず、ただ傍観するしか出来なかった。

そうして、一方は空白となり、一方は無力を認識した二人は、ついに再びめぐり合うことが出来た。一年間の空白を経て、お互いを見つめ続けた二人は、おそらく、一緒にいなくてはこの世になにを訴えることも出来ない存在であった、と言うことかもしれない。この関係が正しいのかどうか、それは判断するところにはない。ただ、二人は一緒にいなくてはいけないのだと、ただそれだけを自分は思う。お互いに依存しあう。それは肯定するべきことではないのかもしれない。だが、世界は強く、おそろしく、傲慢で、理不尽であり、一人だけでは抵抗を試みることさえ叶わない。生きようとすることさえ困難だ。それに立ち向かうために、お互いを欲することに、なんの躊躇いがあるだろうか?過酷な世界をサバイブすること。それは孤独の内にある人間にはつらいこと。だが、一緒に立ち向かうことを許してくれる相手がいること、ただそれだけのことで、どれほどに安堵できることなのだろうか。二人に降りかかる理不尽は留まるところを知らないが、二人が一緒にいるということだけで、こんなにも安心できることならば、それが正しいかどうかなどと言うことは、たいした問題ではないのかもしれない。

そんなことを考えた。

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2010.03.19

『白夢(3) 異界よりの転校生』

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白夢(3) 異界よりの転校生』(瀬尾つかさ/富士見ファンタジア文庫)を読んだ。

さすが瀬尾つかさ、ざくざくと進んでいくぜー。前回で覚悟完了した主人公と神楽の話には一応のケリがついて、ついにコー威醒種とのバトルの始まりです。本当に物語の展開に遊びを作らない作者だなー。大変素晴らしいぞ。ただ、今回はいわゆる複数対複数の能力バトル展開に入ったわけだけど…残念ながら、実に残念ながら、能力バトル小説としては残念な結果であったと言わざるを得ない。つーか、そもそも一人称小説は能力バトルに向いてねえんだよなー。一人称では、どうしても状況の把握が個人の視点に限定されてしまうので、状況が俯瞰できないんだよね。なので、いかにバトルして駆け引きを描いたとしても、どうしても限界がある。主人公の見ていないところでの攻防は認識できないし、主人公が理解してない状況は読者にも分からない。まあ一人称の場合、主人公の立場に同化して、その”状況のわからなさ”そのものを体感させるという手段が取られることが多いのは、たぶん、多元中継が出来ないためなんだろう。主人公の知らないところで攻防があっても、読者は理解出来ない。他の登場人物から説明を受けて、ようやく理解するものの、理解したときには状況は終わっているんだよね…。これは能力バトルとしては上手くないよな。だけど、考えようによっては、主人公がいかに頑張ろうとも、主人公に関係の無いところですべての決着はついてしまうという、ある意味、個人と言うものの無力さを強調している効果もあるといえばあるので、描き方次第なんだろうと思いますけどね。シラクモヒメやエイリが、主人公たちとは全然関係の無いところで打ち倒されるところなんか、これは見事にお約束を外してきているものだと感心したぐらいだもの。主人公がいくら強大な能力を持っていたとしても、それだけで勝敗は決まらない。状況によっては、その強さ事態が弱点に変わることさえある。そのあたりの認識戦はきちんと打ち出していたように思うし、それゆえに主人公が決定的な場面に関わることが出来なかったと言うのは、実にシビアな描写だったと思う。ただ…それがラノベ的に許されるのかと言うと、ねえ…。これだと、普通は盛り上がりに欠けているととらえられてしまってもおかしくないよね…。自分はこれは作者のクールな認識の発露だと思うのだけど、ラノベとしては悪手といわざるを得ないですよ。だって、一人称で主人公に感情移入させておいて、主人公がまったくの無力だった、と言う結末なんだもの。これはつらいよね。せめて三人称であれば、並列して活躍する脇役たちの姿を描けたものをなあ…。あー、なんかヤバイ雰囲気が漂ってきた。例によってこれは4巻完結コースか?まったくカンベンして欲しいなもー。これは編集部のミスだぜ。瀬尾つかさの傾向をきちんと認識していないからこういうことになるんだよ。あー、瀬尾つかさも、ハヤカワ文庫あたりに早く移籍すればいいのにねえ。

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買ったもの

1.『レジェンド・オブ・レギオス(1)リグザリオ洗礼』 雨木シュウスケ 富士見ファンタジア文庫
2.『シオンの血族(1)魔王ミコトと千の花嫁』 杉井光 一迅社文庫
3.『鉄漫(1)』 高遠るい 集英社
4.『真マジンガーZERO(2)』 脚本:田畑由秋 漫画:余湖裕輝 秋田書店
5.『シグルイ(14)』 原作:南条範夫 漫画:山口貴由 秋田書店

買った。

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2010.03.18

『蒼穹のカルマ(4)』

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蒼穹のカルマ(4)』(橘公司/富士見ファンタジア文庫)を読んだ。

大変カルマシリーズらしいスケールの大きくもしょうもない話で良いと思いました。カルマ一巻で感じた壮大かつバカバカしい妙味を再び味わうことが出来たような気もする。ラノベのお約束を微妙に外しつつ、カルマがゴーイングマイウエイを貫くという基本ラインは一巻から共通しているものの、ちょいと爽快感に欠けているところがないでもなかった。だけど、今回は徹底してバカバカしい展開に徹しており、魔王再び登場したかと思えば突然の逆転再逆転の流れとか、アリサの勇者バトルとか良い感じにお約束を外してきていたと思う。物語から話の構成まで、非常に生温ーいところを貫いているのは、まあわりといいんじゃね。お約束の外し方も、あさっての方向まではいかない、外れそうで外さないという絶妙な部分で、普通のラノベに慣れている人にも受け入れらそうな窓口の広さを感じさせるのも、ラノベとしては実に正しい。

カルマたちが相変わらずくだらない展開をかます一方で、話の本筋の方も地味ながら順調に進んでいるみたいで、”彼女”の登場は、アリサをめぐる家族コメディ面でも、世界の危機的な面でも牽引していく要素になりそうだ。このあたりはきちんとお約束を踏まえているところであり、一般に批評されるほどには破天荒な作家ではなく、むしろ物語としては王道的な要素を好む作家なのだろう。そのあたりを長所ととるか短所ととるかは、まあ読み手次第のところではあるよな。まったく作者は絶妙なポジショニングをしていますなー。

ところで表紙が実に性的な件について。自分はもうすでになんとも思わないで購入しているが、これ、抵抗を覚える人はいるんじゃないの。余計なお世話だと思うけどなー。

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買ったもの

1.『マギ(3)』 大高忍 小学館
2.『博物戦艦アンヴェイル』 小川一水 朝日ノベルズ
3.『這いよれ!ニャル子さん(4) スペシャルボックス(DVD付き)』 逢空万太 GA文庫

買った。3については、まあ…深い理由はないんだが…。おかしいなあ、オレ、そんなにニャル子シリーズ好きだったかなあ?

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2010.03.17

『ながれで侵攻!! 邪神大沼(3)』

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ながれで侵攻!! 邪神大沼(3)』(川岸殴魚/ガガガ文庫)を読んだ。

邪神と認定された大沼くんののほほん邪神ライフの3巻目。毎回のように大沼くんには不幸がふりかかり、同時に女性キャラも登場しているので華やかにはなっているのだが、大沼くんとはこれっぽっちもフラグが立たないあたり、すごく涙を誘う。あらゆる人間から邪神と言うことで偏見と差別を受け(なにしろ進路希望を”侵食”にされるぐらいだ)、あらゆる人間から行動を誤解されるという、「不幸だー!」と言いつつヒロインフラグ製造機などこかの主人公とは大違いな主人公ですよ大沼くんは(他意はない)。

一応いろいろヒロインズのために頑張っているはずなんだが…根本的に、邪神ゆえに、助けようとしてもそれ以上の迷惑をかけてしまうということが問題なのだろうな。そして読者である我々は、そんな徹頭徹尾、笑いの余地の無い大沼くんの不幸を、心行くまで堪能できるというわけだ。本当にかわいそう…。

それにしても、そろそろ中級邪神になれるとかなれないとか言っているけど、果たして邪神になって大沼くんは幸せになれるのかね。信者も順調に増えているし、なんだかんだで悪事(…)も働いているし、優秀な邪神ではあると思うのだが…。せめて、もう少し、まわりの女の子たちは優しくしてあげても…あ、まあ、無理だよな。普通に邪神ってキモイもん(いや、おれがじゃねえ。女の子から見たら、な?)。スターターキットのナナぐらいですよ、邪神の大沼に好意を抱いてくれるのは(それにしても、スターターキットってのはいつまで有効なんだろうな)。

と言うわけで、どうもの報われないアンチハーレムラノベとして大変に面白いので、今後もこの調子で頑張って欲しいものだと思いました。感想にもなにもなってないけど、おしまい。

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買ったもの

1.『おれはキャプテン(22)』 コージィ城倉 講談社
2.『マルドゥック・スクランブル(1)』 原作:冲方丁 漫画:大今良時 講談社
3.『進撃の巨人(1)』 諌山創 講談社
4.『惡の華(1)』 押見修造 講談社
5.『超人学園(1)』 石沢庸介 講談社

今日は別冊小マガの単行本の発売日。個人的には今一番熱い少年漫画雑誌であると見ている作品群が乗っているので、みんなも買うといい。とくに、今日の2と3は凄まじいから。いやほんと。

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2010.03.16

『剣の女王と烙印の仔(4)』

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剣の女王と烙印の仔(4)』(杉井光/電撃文庫)を読んだ。

うーん、別に悪いわけじゃあないんだけどー…。どうも”なんちゃってファンタジー”に対しては点が辛くなる傾向にあるなあ。この、どうにもならない苛立ちをどう言語化すれば良いのか、正直、悩む。

えーと。例えば、ゼロの使い魔ってありますよね。ヤマグチノボルの。自分はあれは許せるんですよ。たしかにラノベ的ではあるんですが、あれはあれで”異世界”を描写しようと言う意思があるからなんですね。ただ単に、こことは違う異世界と言うだけではなく、異なる歴史を持ち、異なる文化を持ち、異なる考え方をしている人々を、きちんと描こうとしている。まあもちろんギャグもあったりラブもあったりして安いと言えば安いんですが、しかし、作品の構築している土台は極めて精緻なものであると自分は思います。

まあこのあたりは長くなるので、ゼロの使い魔の感想のときにでも書くとして、こっちの話。ところがどうもねえ…杉井光は異世界を作ることにあんまり興味を持ってないみたいなんですよね。神だなんだと言われても、そこに歴史を感じられない。非常に背景が”貧しい”のだ。そこには培ってきた歴史を見えてこず(何度も書いているような気もするが、この王家が存続するなんておよそ考えられないよな)、ただの言葉でしかないのだ。ただ、この貧しさと言うのはライトノベルが根本的に持っているもので、その貧しさゆえに”軽さ”を得てきたジャンルでもあるので、ライトノベルとしては間違ってはいないのかもしれない。間違ってはないのだが…ファンタジーとしては、なあ。

いや、ファンタジーとして読むな、と言うのならそれでいいんですが。でも、ファンタジーじゃねえのこれ?うーん。まあことファンタジーとなると、自分はとたんに偏屈になってしまうので、考えすぎの可能性も高いけどね。

まあ、さすがに4巻まで読んでみて、だいぶそのあたりをスルーすることは出来るようになりました。主人公たちのあまりにも現代的過ぎるパーソナリティにはめまいがしてくるけど(お前らには忠義とか義務とかそういう思想なないのか)、それさえ目をつぶればいつもの杉井光であるし。異能バトルと青春ドラマです。まあ、そのドラマを支えているのが、非常に現代的な作劇であるというあたりが実に杉井光であるなあ、などと思ったりもした。まあ、それはそれでブレがなくてよいのかもしれない…。

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2010.03.15

『ヴァンダル画廊街の奇跡』

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ヴァンダル画廊街の奇跡』(美奈川護/電撃文庫)を読んだ。

電撃小説大賞“金賞”受賞作、なんだけど…。うん、評価が難しいね。何しろ、この作品の主題が芸術であって、それら芸術を規制させられたある種のディストピアの中で、芸術の持つ力によって抗っていくのと言う展開なのだが、問題は自分には芸術の持つ力というやつが全然わからんのだ。このお話に登場する芸術作品(この言い方も良くないな)を自分も見たことがあるけど、全然理解できてないからね。おかげで、作中における人々の熱狂具合に今一つ乗れなかった。傍観者的な視点を動かせなかった。

うーん、芸術を否定するつもりはないんだけど、ここに出てくる芸術は、過去の作品の”引用”でしかないのが、自分があまり感心できない点なのかもしれない。つまり、ガジェットとしての芸術でしかないと言う意味で。学園異能の”異能”と同じ扱いと言うのかね。だから、ヴァンダルたちが過去の芸術を描いて見せたところで、自分のように”伝わらない”人間に対しては、なんの感銘も受けないのだ。

まあこれは読み手の教養次第と言うところもあって、自分が無知であるがゆえに理解出来ないのだ、と言うのであればまあその通りですとしか言いようがないのだが、美しいものを”言葉”で伝えないと言うのは、ちょっと、自分には追いつけないところはあったねー。まあそこまでやる必要があるのかどうかは、作者の考え方次第ではある。既存の、何も無いところから小説自体を芸術作品に昇華しようとすると、これはもう文学の領域になってしまうので、ラノベでそこまでやる必要があるのかどうかと言うと…まあ無いよね(個人的にはあってもいいと思うけど、労力に見合わないとは思う)。

と言うわけで、自分のようないまだかつて芸術作品に感銘を受けたことない芸術的感性欠落者には、どこか距離感を感じてしまう作品でした。

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買ったもの

1.『機巧童子ULTIMO(1)~(3)』 原作:スタン・リー 漫画:武井宏之 集英社

第一部完の豪快かつ壮大な展開に呆気にとられてしまったので買ってしまった。これはどこまで話が大きくなるのか想像もつかんなー。

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2010.03.14

『アクセル・ワールド(4)―蒼空への飛翔』

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アクセル・ワールド(4)―蒼空への飛翔』(川原礫/電撃文庫)を読んだ。

ダスク・テイカー編終了。3巻の凶悪な引きにきちんと応える内容であったと思います。3巻で一度どん底まで叩き落された主人公が、”心意”システムを身につけることで這い上がり、再びダスク・テイカーに挑み、打ち倒す…と見せ掛けてさらに叩き落す、と言う3巻の構成はまさに白眉。作者のドSっぷりが現れていて実に素晴らしいところでした(あれでさらに突き落とすと言うのは、なかなかに出来ることではないよなー)。ただ3巻が素晴らしかっただけに、それに対応する4巻の内容でやや危惧するところはありました。例えば、再び突き落とされた主人公がまたしてもそこから這い上がる展開、つまり3巻と同じことをやったとしたら、さすがに興醒めだなあ、とは思っていました。しかし、さすがにこの作者に対しては杞憂でしたね。すでにダスク・テイカーに対する”抗い方”を見つけ出している主人公たちは、その部分での葛藤はなく、4巻ではダスク・テイカーと彼に協力するチユリを助けるために奔走することに躊躇いがないあたり、実に爽快感がありました。そうだなー、これで今更チユリを疑うなんてことやったら、今までの話はなんだったんだとか思うもんなー。ストレスレスな展開で大変よろしいのではないでしょうか。で、そうなると4巻ではなにをするの?と言う問題になるわけですが、これはおそらく前回はハルユキの個人的な葛藤に焦点が当たっていたがゆえに脇に追いやられていた、能美に関連するバーストリンカーではない”加速利用者”たちの存在の前ふりでしょうね。バーストリンカー同士の”デュエル”とは根本的に異なる、存在意義が根本から異なる異物であり”敵”である者たちの紹介編と言ったところでしょうか。ハルユキたちがダスク・テイカーを調査し、戦っていく過程で、その存在を自然に紹介していくあたり、作者の非凡さを改めて感じました。ただ敵キャラ紹介だけでは読者を飽きさせてしまうので、チユリの謎めいた行動によってハルユキ(と読者)をやきもきさせ、見捨てられる恐怖感とプライドが邪魔をして黒雪姫に助けを求められないハルユキの意思に共感させ、トラウマを克服するタクムに、それでいて主人公的な活躍をするハルユキ、さらに彼の暗黒面フラグも立たせている。実に見事なおもてなしを受けているような感じで、まったく退屈させない手つきは熟練の技とさえ言える。エンターテインメントとして極めて高品質でありながら、次回への布石も堅実に打ち続ける。まったく見事と言う他ないですなー。

あまりにも綺麗に作品内でまとまりすぎているのは良し悪しであると思うけど、作品の枠を超えないように作中の要素を制御しているクレバーさは、きちんと評価するべきではないかと思います。”書きたい事”と”書ける事”のバランスがとれなくて、作品上では不要と思えるほどに過剰な書き込みをしてしまい、歪つな作品になってしまうケースなんて、プロでも良くあることだもんな。ただ、個人的には、”分かり易すぎる”のもどうかとも思うんだけど…まあそれは作品は言外に語るべきことを持たない作品を志向しているわけで、非難するところではないですね。そういう作品が読みたければ別の作品を読めばよいという話ですものね。

(なんか奥歯に物が挟まったような言い方だなー)(今現在、夢枕獏の本を読んでいるせいかも。あれ、バランスは死ぬほど悪いけど、すげー面白いんだもん)

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買ったもの

1.『EMANON さすらいエマノン Episode:1』 原作:梶尾真治 漫画:鶴田謙二 徳間書店
2.『地球美紗樹(1)(2)』 岩原裕二 エンターブレイン
3.『響子と父さん』 石黒正数 徳間書店

買った。

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2010.03.11

『ありすとBOBO -猫とマグロと恋心-』

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『ありすとBOBO -猫とマグロと恋心-』(川崎康宏/GA文庫)を読んだ。

いい。すげーいい。なんと言ってもライトノベルにおいて”マグロ漁業”を本格的な題材として扱ったラノベ歴史上初の試みである。これはまことにラノベ史学的な価値の高い作品であり、ラノベにおけるマグロ漁業がいかなるガジェットとして機能するのかと言う点において、極めて批評的価値の高い作品であると言えるだろう。…と言うのは戯言ですが、川崎康宏節がこれでもかと炸裂している大変くだらねー(褒め言葉)作品であった。前半まで、ありすが超ラブリー高校生活をエンジョイしていて大変かわゆすなあと言う展開に、あれ?作者悪いものでも食べたの?とか思ったけど、人間の命がゴミのように軽く消えていくシュールさに、ああいつもの作者だったと大変安心しました。まったくありすはかわゆいなあ(唐突)。

元々は電撃文庫で書いていた『ALICE』の続編的位置づけではあるのだが(確か感想を書いた気がするぞ)、まあ前作を知らんでもとくに問題はない作り。表紙に可愛い女の子を置いた普通のラノベのふりして、中身ではむしろグリズリーのボーボーが大活躍しているのも前作同様でござる。やっぱ喋る熊はカッコいいよな(バイオメガ的な意味で)。良識的で知的なグリズリーが中国の戦闘サイボーグと日中関係における論戦を繰り広げながら、合気道でもバトルする展開のシュールさは特筆に価すると言うか、こんなの川崎康宏しか書かねえよと言うか、まあとにかく素晴らしかった。思わずアルカイックスマイルを浮かべてたもんオレ。作中の展開から何を受け取ればいいのか理解できず、思考がマジ停止したもんね。論戦も肉弾戦もヒートアップして、文章のテンションも上がれば上がるほどに意味がわからんあたり、まことに素晴らしいシーンだと思った。これは冗談抜きで多くの人に読まれるべき。そして呆然としろ。

そしてオレはありす可愛いよありす、ラブコメやっているありすも可愛いけど、バトルやって殺っているありすも可愛いなあ、と思うのでした。一応、好きな男の子のために大人しくしている一方で、銃弾をばらまいてマフィアと魚屋を殺しまくっているありすはマジ輝いているぜ。

それにしても、マフィアVS魚屋の展開はマジすげーな。あの決着はありえねえよ。その後の展開はさらにありえないけどな。一ついえることは、この世界でもっとも敵に回してはいけないのは、魚屋だっつーことだ。マグロの恨みはおそろしいわえ。

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買ったもの

1.『神曲奏界ポリフォニカ クリムゾンS(6)』 榊一郎 GA文庫
2.『迷宮街クロニクル 青空のもと道は別れ』 林亮介 GA文庫
3.『マップス ネクストシート(9)』 長谷川裕一 ソフトバンククリエイティブ

買った。

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2010.03.10

『幕末魔法士―Mage Revolution』

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幕末魔法士―Mage Revolution』(田名部宗司/電撃文庫)を読んだ。

電撃小説大賞“大賞”受賞作。幕末で魔法ファンタジーと言う発想はともかく、それをちゃんと高いレベルで形にしていることをまず評価するべきか。時代劇でラノベをやると言うのはあるようであまりないアプローチなので、これを受けてこれから時代劇ラノベが増えるといいと思うんだ。

いわゆる呪文を唱えて魔法を唱えるシーンを、幕末を舞台にギャグではなく表現するのにどのようにするのかな、と思いながら読んでいたけど、ちゃんと途中で「なんで日本語で呪文唱えるのー?」とか、「この世界の歴史はどうなっているのんー?」とか、いちいち疑問のわいてくるところを、細かく潰しているあたり、なかなか真面目に作っているなあ、と感心しました。どう足掻いても時代劇に魔法なんて不自然も極まりない設定なのだから、いっそのこと開き直ってもいいようなものなのに、その理屈を(まあ説得力があるかどうかは別にして)世界観に組み込んでいるあたり、真面目に作っていることが良く分かるので好感を持たないわけにはいかないなー。

幕末と銘打っているからして、今後は幕末の展開をなぞるように進むのだろうと思うと、これはこれで面白くなりそうな気がする。やっぱ、偽史って楽しいよね。魔法の存在する(ついでに過去にはエルフやドワーフも居たらしい)世界で、果たして日本はどのような結末を迎えるのか。史実をなぞるのか、全然違うところに持っていくのか。このあたりは伝奇作品として、思う存分史実をファックしていただきたいと思います。

あ、内容について書いてなかった。印象としては、ラノベと言うより時代小説の方が強い印象。主人公たちを10歳年を取らせれば、完全に時代小説だったな。と言うか、主人公たちが10代である必然性が全然感じられないくらい。まあときどき若者らしい無鉄砲さを発揮することもあるけど、全体的にそのあたりに青臭さは感じられない。まあこれは元服の関連で、10代であっても社会に参画していることもあり、作者もモラトリアムとしてのラノベを描くつもりはまったくないのだな、と思いました。

以下雑記。それにしてもイラストの椋本夏夜氏の絵を久しぶりに見たんだけど(イラストを描いているのは知っていたが、イラストを描いている本を手に取る機会がなかった)、随分、昔の印象と変わっていて驚きました。もうちょっと少女マンガ的な線の細いイメージが強かったのだけど、繊細な作風はそのままに、非常にアクと言うか、ディフォルメが強くなっている感じ。ぶっちゃけオタクナイズされているという…。まあ悪いとは全然思わないし、むしろ主人公はすごく可愛く描けていると思うし、別に良いんだけどね。まあラノベ業界で生きるのも大変なんだろうな、などど余計なお世話なことを考えたのでした。

あと、今頃になってタイトルの”Mage Revolution”が明治維新と掛けていることに気がついた。そうか発想の根幹は駄洒落だったのか…。

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2010.03.09

買ったもの

1.『とある魔術の禁書目録(20)』 鎌池和馬 電撃文庫
2.『電波女と青春男(4)』 入間人間 電撃文庫
3.『メグとセロン(5)ラリー・ヘップバーンの罠』 時雨沢恵一 電撃文庫
4.『烙印の紋章(5)そして竜は荒野に降り立つ』 杉原智則 電撃文庫

買った。

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2010.03.08

『世界平和は一家団欒のあとに(9)宇宙蛍』

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世界平和は一家団欒のあとに(9)宇宙蛍』(橋本和也/電撃文庫)を読んだ。

家族一人ずつスポットが当たっていくシリーズだけに、ついにと言うか満を持してと言うか、星弓家最強の七美が今回のメインである。その活躍スケールは宇宙レベルであり、日々、宇宙連邦(みたいなの)と関わって、宇宙怪獣と戦ったり、地球の平和を守るために宇宙決戦を繰り広げたりしている。そんなわけで、彼女がメインになると話のスケールがやたらとでかくなって、なぜか地球の命運がかかった展開になったりする。しかし一方で、やっていることはいつもと対して変わらない星弓家の人情話でしかないあたり、さすがと言わざるを得ない。…展開がブレません。この作品のタイトル通りの展開です。世界だろうが宇宙だろうが、とにかくそんなことの前に、家庭の問題を解決する必要がある。なぜなら主人公たちの動機は常に”大切な家族が困っている”から”家族を助けるため”に戦うからです。あくまでも家庭の問題を解決するついでに、世界もまあ救ってしまおうかと言うノリ。とは言え、主人公たちがふざけているのかと言うと、決してそんなこともなく、もし、事態が悪化すれば世界が滅びてしまうかもしれないと言うことはきちんと認識しているのだけど、それでも家族の方が大事である、と言い切るところが実に現代の異能小説らしく、良い作品だなと思うのでした。

本当にしみじみと思うのは、これは創竜伝へのオマージュなんだなと言うことですね。世界を左右する異能の持ち主は、必然的に世界の命運に関わってしまうのだが、しかし、世界なんてものはたとえどんな異能の持ち主であろうと個人が支えきれる物ではない。皆、孤独と葛藤の内に、悲劇的な最後を遂げるか、自己犠牲的に生きるしかなくなってしまう。創竜伝はそのあたりの処理が実に斬新で、異能の持ち主が兄弟であり、兄弟を守ることが何よりも大事だ、世界の命運なんて知ったことかと言うスタンスを打ち出して、それは世界を背負う個人の存在を否定し、一人で支えられないのであれば、家族で支えればよいと言う認識を打ち出した、画期的な作品であったと言えるとおもうのだが、まさにこの作品はその正統な後継であると言えるように思う。世界の命運をかけて戦う異能の人々、しかし、彼らは過度に悲愴な態度は決して取らない。なぜなら、世界の重みに負けそうになったときは、必ず家族が助けてくれると知っているから。つらい時には、必ず家族が助けてくれると言うことが分かっているからこそ、彼らは常に明るく前向きに、今日も世界を救っているのである。

で、逆に言うと、彼らがピンチに陥る原因もまた、家族の問題に直結するのだ。彼ら異能家族にとって、最大の危機は、家族の危機。家族がなんらかの原因で亀裂が走ったとき、本当に危機が訪れる(まあそれは普通の家庭でも同じだけど…)。と言うわけで、世界の命運と家族の問題がリンクして、主人公の双肩にかかってくるあたり、構造的にきちんと成立しているところが、実に見事なものだなあ、と読むたびにいつも感心するのでした。斜に構えているものの、家族を思う気持ちは誰にも負けない軋人は、今回も七美に押し付けられた少女を世話をするうちに、家族に黙って問題を解決しようと奔走する彼女の苦悩を知る。知った以上、決して黙っては居られない主人公は、家族に負担をかけないように自分を犠牲にしようとする七美をどやしつけ、自分たちを頼るように、対話する。家族間の対話。実に美しいね。何度も書いちゃうけど、家族間の対話が、そのまま世界の危機を救う直接的、間接的な要因になっているのだ。

世界の危機と家族の問題が直結していると言う意味で、これはセカイ系の変奏曲なのかもしれない、とは以前にも書いたような気がするのだが、逆に言うと、現代では世界の危機と言うものは、家族の問題と同じレベルでしか認識出来ないという、リアルな感覚の延長なのかもしれないとも思うようになってきた。うん、これはセカイ系というよりも、もう少し現実的な話なのかもしれない。個人と世界の間に”家族”と言う問題が挟まっている。家族と世界が直結していると言う意味では、非常にセカイ系に近い構成をしているものの、どこかその視点は優しい。世界だ、運命だ、などと大上段に構えない大らかさがそこにあるように思えるのは、おそらく、家族が世界との緩衝材の役割を果たしているということなのかも知れない。

さて、今回で家族の話も一通り終わった(よね?)、おそらく次巻以降、クライマックスに入っていくのではないかと思われる。一巻から延々と引っ張り続けた柚島の話に戻るではないかなー。七美が宇宙に行って、しばらく帰ってこないと言うのは、明らかに超越的な助けがしばらく期待できないという伏線であろうし。柚島の事件に対して、軋人がまた体当たりでぶつかっていく展開になるのではなかろうか。正直、自分が読んだラノベ主人公の中でもトップクラスに好感度の高い軋人が、果たしてどんな活躍をしてくれるのか、期待と言ったところである。

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買ったもの

1.『沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ3』 夢枕獏 徳間書店
2.『沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ4』 夢枕獏 徳間書店
3.『天龍八部(3)運命の激流』 金庸 徳間書店
4.『ジョン&マリー ふたりは賞金稼ぎ』 桝田省治 ハヤカワ文庫JA

買った。とくに4はどこからともなく電波を受信したので。だって水玉氏の表紙の時点で、ああまた海外のユーモアSFの翻訳なんだな、って脳内で処理してたよ…。

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2010.03.07

『ラプンツェルの翼(4)』

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ラプンツェルの翼(4)』(土橋真二郎/電撃文庫)を読んだ。

ユーロランド編完結(作品自体が完結しているのかどうかは知らん)。当初は寄生獣+美少女同居もの+バトルロイヤルで始まったこのシリーズも、最終的にはいつもの土橋を経由し、最後は派手なバトル展開に。なんとも贅沢な構成をしているとも、統一感がない構成とも思える。まあ、作者の作品的にはいつものことではあるんだけど…いつかネタ切れを起こすんじゃないかと心配だな。余計なお世話だと思うけど。

で、ようやくユーロランド編におけるクーデターが終わったわけだけど…うん、正直これが物語的にどういう意味があったのかよくわからんな。天使と人間はお互いに理解しえるのかと言う問題…ではなく、理解しあうことは出来ない別種でありながら、それでもお互いに理解し合えるのかと言うところがこのシリーズのメインテーマだと思っていたんだけど、ここまで来ると天使と人間の差異なんてまったくないじゃん。冷たい合理性を是としていたはずの天使も全然合理的な判断をしないし(”お姉様”も結局憎悪で行動しているしな)、天使と言っても普通の女の子でしかないような描写がされている。これをどのように判断すればいいのか、正直、よくわからねえんだよなー。その、本来、ディスコミュニケーションしかありえない天使と人間も、お互いを信頼することで、友情もあり、愛情も育めるということ、なのか?たしかに、今回の事件において、お互いを信頼できないことによって次々と問題が悪化していくことになったわけだけど、それを解決出来た理由が、本当にただの信頼によるものでしかない、言い換えれば”信頼”と言うものが無謬であるところが、どうもその、釈然としない。うーん、でも、自分でも上手く解釈できていない部分があるので、もっと別の意味があるのかもしれない。

しれないのだけど、正直、現時点では、かなり作品が恣意に流れていると言うか、既存の結論に回帰してしまったかな、と言う印象が強い。もう天使がただの女の子にしか見えないんだもん。一巻の頃の、少女にように見えながら、昆虫めいた人外の存在との、一歩一歩さぐるようなコミュニケーションに感心した自分としては、どことなく釈然としない。まあ極限状態において、何を信じるべきか分からない状況で、ギリギリの判断をしていかなければならないと言うサスペンス的な部分はさすがの作者と言う感じだったので、そのあたりには不満は無いです。その辺は誤解のなきようお願いします。

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買ったもの

1.『ハルシオンランチ(1)』 沙村広明 講談社
2.『鉄風(1)(2)』 太田モアレ 講談社
3.『幻獣坐 The Scarlet Sinner』 三雲岳斗 講談社ノベルス
4.『探偵・花咲太郎は覆さない』 入間人間 メディアワークス文庫
5.『新装版 家政婦が黙殺 篠房六郎短編集』 篠房六郎 講談社

買った。

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2010.03.05

『B.A.D. (1) 繭墨は今日もチョコレートを食べる』

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B.A.D. (1) 繭墨は今日もチョコレートを食べる』(綾里けいし/ファミ通文庫)を読んだ。

奈須きのこの登場以降、多くのフォロワーが生まれてきたわけだけど、その多くは奈須きのこの独特な言語センスや偏執的な世界観設定に偏っていたように思うのだが、ついにその”伝奇的部分”を継承する作品が登場したのかもしれない、と感じた。とりわけ、伝奇的な部分の、理屈部分に極めて奈須きのこの、もっと言えば『空の境界』の色がある。冒頭の飛び降りのエピソードなどは(飛び降りと言うネタの被り具合をさておいても)、およそ一般的な常識では理解出来ない犯人と、そして被害者の動機が事件の真相を構築しており、事件が解決したあとも、その動機に共感はさっぱり出来ないものの、そこには何がしかの”理”は感じさせられるあたりに強くそれを感じる。この、設定ではなく、奈須きのこの”思想”部分をここまで忠実に受け継いでいるラノベは現状では記憶になかったので、すごく楽しかったのだった。

作品についてもう少し。先ほど、事件には必ず”理”が通っていると書いた。ただし、その”理”は異形の”理”であって、普通に考えるとどう考えても理が通っていないのだが、しかし、作中においては、作者特有の語り(騙り)によって、”理”が通っているような気にさせられてしまう。このあたり、まさに伝奇の面目躍如とでも言うところであり、実に本格派である。

異形とでも言う他のない事件を経て、物語は小田桐と繭墨の物語につながっていく。現実と夢が混じり合い、美と醜が入り乱れ、桜の花弁の散る場所に、彼女は立っている。死を弄び、不幸を笑う、残酷でおぞましき少女を前にして、鬼を孕んだ男は、その傍らに立ちたいと願う。繭墨あざかは、世間一般の感覚からすれば”邪悪”とさえ言える少女だが、善悪を超えたところで、彼女は”優しい”。彼女はなにものにも従わず、なにものも従えない。ただ、人々の生のすべてを肯定し、受け入れている。生も死も、幸福も不幸も、慈悲も残酷も、それらすべてを悦びを持って受け入れている。そんな彼女を、鬼を受け入れた男は、美しいと思うのだ。愛と執着の果てにすべてを失い、世界を壊された男は、地獄を受け入れてなお、彼女の傍らに立ち続ける。彼女はそんな鬼とともにある、地獄から逃れて新たな地獄に身を置くことを選んだ男を肯定し、祝福する。無残な生さえも、人間らしさであるとして。それは果てしないほどの残酷さか、あるいは優しさか。

これは、そんな”優しい”物語なのである。

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買ったもの

1.『黒きレ・ヴォルゥ 仮面の怪盗少女(上)(下)』 原案:古橋秀之 作画:松本規之 富士見書房
2.『微睡みのセフィロト』 冲方丁 ハヤカワ文庫JA
3.『天冥の標(2) 救世群』 小川一水 ハヤカワ文庫JA

買った。

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2010.03.04

買ったもの

1.『ワンピース(57)』 尾田栄一郎 集英社
2.『バクマン。(7)』 原作:大場つぐみ 漫画:小畑健 集英社
3.『STEEL BALL RUN(20)』 荒木飛呂彦 集英社
4.『PSYREN(10)』 岩代俊明 集英社
5.『沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ一』 夢枕獏 徳間文庫
6.『沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノニ』 夢枕獏 徳間文庫

買った。

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2月に読んだ本

2月の読んだ本の状況は以下の通り。

2月の読書メーター
読んだ本の数:61冊
読んだページ数:11235ページ

真月譚月姫 (7) (電撃コミックス)真月譚月姫 (7) (電撃コミックス)
物語は綺麗に収束しつつあるけど、ルートの関係で、遠野家まわりにはほとんど触られないのは残念。
読了日:02月28日 著者:佐々木少年,TYPE-MOON/ 「真月譚月姫」製作委員会 原作
アスカ―麻雀餓狼伝 (集英社スーパーダッシュ文庫)アスカ―麻雀餓狼伝 (集英社スーパーダッシュ文庫)
本格麻雀ラノベ。流行の咲のような華やかのではなく、阿佐田哲也とかあの辺の泥臭い感じ。良いですなあ。
読了日:02月25日 著者:吉村 夜
でかい月だな (集英社文庫)でかい月だな (集英社文庫)
家族が壊れていないところで世界に拒まれた少年が主人公であるところが非ラノベである由縁なのかもしれない。
読了日:02月25日 著者:水森 サトリ
中の下!  ランク1.中の下と言われたオレ (富士見ファンタジア文庫)中の下! ランク1.中の下と言われたオレ (富士見ファンタジア文庫)
この設定、どこかのエロゲーで見たような…。
読了日:02月25日 著者:長岡 マキ子
ローゼンメイデン 3 (ヤングジャンプコミックス)ローゼンメイデン 3 (ヤングジャンプコミックス)
”まかなかった”ジュンがとても立派になっていた。このエピソードが終わったら主人公が”まいた”ジュンに戻るのかもな。
読了日:02月24日 著者:PEACH-PIT
怪物王女(11) (シリウスKC)怪物王女(11) (シリウスKC)
今回は「続・学怪王女」編の侵略描写が不気味でよろしかったと思います。
読了日:02月24日 著者:光永 康則
シンバシノミコ 1 (ヤングジャンプコミックス) (ヤングジャンプコミックス BJ)シンバシノミコ 1 (ヤングジャンプコミックス) (ヤングジャンプコミックス BJ)
作者の作品にエロスを感じるときが来ようとは。異様にローカルな話なのが現代伝奇だなあ。
読了日:02月24日 著者:光永 康則
XBLADE(9) (シリウスKC)XBLADE(9) (シリウスKC)
良くも悪くも士貴智志らしい作品だなあ、と(イダタツヒコはどこまで関わっているんだろ)。回想なんてやっている場合でもないと思うんだが…。
読了日:02月24日 著者:士貴 智志,イダ タツヒコ
シドニアの騎士 2 (アフタヌーンKC)シドニアの騎士 2 (アフタヌーンKC)
基本はお約束だが、内語がないことで良い感じに分かり難いあたりが作者らしい。
読了日:02月24日 著者:弐瓶 勉
GENEZ-3 ジーンズ (富士見ファンタジア文庫)GENEZ-3 ジーンズ (富士見ファンタジア文庫)
物語にだいぶエンジンがかかってきた印象。ボンクラすぎる(褒め言葉)。
読了日:02月24日 著者:深見 真
いつか、勇者だった少年 (朝日ノベルズ)いつか、勇者だった少年 (朝日ノベルズ)
ライトノベルの裏側を露悪的かつ無邪気かつ楽観的に描いた作品。最高に不愉快な作品だが、それは褒め言葉以外のなにものでもない。
読了日:02月22日 著者:秋口 ぎぐる
絶望同盟 (一迅社文庫)絶望同盟 (一迅社文庫)
小野塚那智の存在について、すごく簡単に説明がつきそうで、それでいて上手く言語化できない。んー?
読了日:02月22日 著者:十文字 青
白夢3  異界よりの転校生 (富士見ファンタジア文庫)白夢3 異界よりの転校生 (富士見ファンタジア文庫)
一人称におけるガチ能力バトル描写の限界を見た。多元中継が出来ないってのはけっこうなハンデだ。
読了日:02月21日 著者:瀬尾 つかさ
青い花 5巻 (F×COMICS)青い花 5巻 (F×COMICS)
人間同士が出会うことって言うのは本当に美しいものだよな。/ヤンキー百合…?特攻天女とか?(違う)
読了日:02月21日 著者:志村貴子
結界師 / 28 (少年サンデーコミックス)結界師 / 28 (少年サンデーコミックス)
良守無双(無想だけに)。しかし、おっさん読者としては兄貴編における凡人たちの物語がすごく好きなのであった。
読了日:02月21日 著者:田辺 イエロウ
史上最強の弟子ケンイチ / 37 (少年サンデーコミックス)史上最強の弟子ケンイチ / 37 (少年サンデーコミックス)
ケンイチも随分強くなったな、と毎巻で思うのだが、そのたびに強さには先があるというあたりの描写がさすがですなあ。/作者、少しは休め。
読了日:02月21日 著者:松江名 俊
絶対可憐チルドレン / 20 (少年サンデーコミックス)絶対可憐チルドレン / 20 (少年サンデーコミックス)
停滞していると思っていた物語が存外進んでいた件。フェザーの存在はわりとクリティカルな感じ。
読了日:02月21日 著者:椎名 高志
はじめてのあく / 4 (少年サンデーコミックス)はじめてのあく / 4 (少年サンデーコミックス)
乙型のポテンシャルが高すぎる。/くっつきそうでくっつかないカップルをにやにや見守る漫画なんだな。
読了日:02月21日 著者:藤木 俊
月光条例 / 8 (少年サンデーコミックス)月光条例 / 8 (少年サンデーコミックス)
富士鷹先生の凄まじいオレ理論が炸裂。独自哲学すぎていささか賛同できないが、この手の反論は想定しているんだろうな。
読了日:02月21日 著者:藤田 和日郎
ハチワンダイバー 14 (ヤングジャンプコミックス)ハチワンダイバー 14 (ヤングジャンプコミックス)
チッチが凄すぎるんですが。ババアだけどな。
読了日:02月21日 著者:柴田 ヨクサル
追想五断章追想五断章
これ、氷菓のセルフリメイク的な作品なんだと思う。主人公がさまざまなものから切断されているところが痛い。
読了日:02月21日 著者:米澤 穂信
蒼穹のカルマ4 (富士見ファンタジア文庫)蒼穹のカルマ4 (富士見ファンタジア文庫)
表紙が性的過ぎる…が口絵がさらに性的であったことに驚かされる。久しぶりに”カルマ”らしい内容で楽しい(一巻的な意味で)。
読了日:02月21日 著者:橘 公司
ながれで侵攻!! 邪神大沼 3 (ガガガ文庫)ながれで侵攻!! 邪神大沼 3 (ガガガ文庫)
ヒロインがずいぶん増えたのに全然フラグが立たない(ナナ以外)。この負け組コメディは今後も続けて欲しいなあ。
読了日:02月21日 著者:川岸 殴魚
PSYREN-サイレン 9 (ジャンプコミックス)PSYREN-サイレン 9 (ジャンプコミックス)
碓氷さんww。脳獣といい、ネオ天草の人たちはクオリティ高すぎやで。雨宮さんは相変わらずのプロぶりに痺れる。
読了日:02月21日 著者:岩代 俊明
PSYREN-サイレン 8PSYREN-サイレン 8
雨(略)。ドルキさんはなかなか良いキャラだったと思います。エルモアウッドの登場はすげー面白かった。時間改変の醍醐味だよな。
読了日:02月21日 著者:岩代 俊明
PSYREN-サイレン 7 (ジャンプコミックス)PSYREN-サイレン 7 (ジャンプコミックス)
雨宮さん(略)。DVDの内容が改変するあたりは楽しいのだが…先に観たヒリューはなんで飛行機のこと気がつかねえんだよ。
読了日:02月21日 著者:岩代 俊明
PSYREN-サイレン 6 (ジャンプコミックス)PSYREN-サイレン 6 (ジャンプコミックス)
雨宮さんは可愛い(常識)。いよいよ時間改変物らしくなってきました。
読了日:02月21日 著者:岩代 俊明
PSYREN-サイレン 5 (ジャンプコミックス)PSYREN-サイレン 5 (ジャンプコミックス)
雨宮さんは本当(略。朧のヤバイ部分が明らかになるあたり。こいつ、普通の漫画だったら絶対敵タイプなんだけど、この漫画だと味方なんだよな…。
読了日:02月21日 著者:岩代 俊明
PSYREN-サイレン 4 (ジャンプコミックス)PSYREN-サイレン 4 (ジャンプコミックス)
雨宮さんはサイ(略。ヒリュー君が繊細で理屈屋で一番の常識人なところが面白いよな。あのガタイで。
読了日:02月21日 著者:岩代 俊明
PSYREN-サイレン 3 (ジャンプコミックス)PSYREN-サイレン 3 (ジャンプコミックス)
このあたりから本格的な超能力バトルに。雨宮さんはサイコーです。
読了日:02月21日 著者:岩代 俊明
PSYREN-サイレン 2 (ジャンプコミックス)PSYREN-サイレン 2 (ジャンプコミックス)
ほんと、雨宮さんはいい表情をする。まあ情緒不安定な、いわゆるメンヘラ少女ですが。
読了日:02月21日 著者:岩代 俊明
PSYREN-サイレン 1 (ジャンプコミックス)PSYREN-サイレン 1 (ジャンプコミックス)
と言うわけで買いました。何の力もない主人公が怪物相手にバトル展開がすごく面白くて、この方向性でも自分はアリだったな(売れなかっただろうけど)。
読了日:02月21日 著者:岩代 俊明
ゴルフ13 1 (KCデラックス)ゴルフ13 1 (KCデラックス)
ゴルフ漫画の振りをしたまあいつもの作者らしいゴキゲンルンルンおっぱいいっぱいファンタジー。ブレねーなー。
読了日:02月17日 著者:赤衣 丸歩郎
魔法先生ネギま! 29 (少年マガジンコミックス)魔法先生ネギま! 29 (少年マガジンコミックス)
さあ怒涛の勢いで世界観のネタバレが始まりました。真相が明らかになって収束するかと思えばさらに拡大していくところは必見である。
読了日:02月16日 著者:赤松 健
少女ゾンビ (GAコミックス)少女ゾンビ (GAコミックス)
ゾンビと名がつくだけで躊躇いなく買ってしまう自分は病気ですな。面白かったです。
読了日:02月16日 著者:ヒロモト 森一
儚い羊たちの祝宴儚い羊たちの祝宴
どれもものすごく厭な話なのに、なぜかすごく後味がすっきりしている。不思議な味わいだなあ。
読了日:02月15日 著者:米澤 穂信
剣の女王と烙印の仔〈4〉 (MF文庫J)剣の女王と烙印の仔〈4〉 (MF文庫J)
作者の熱意は感じる。意欲もわかる。しかし、何かが決定的に空回っている。
読了日:02月12日 著者:杉井 光
ありすとBOBO -猫とマグロと恋心- (GA文庫)ありすとBOBO -猫とマグロと恋心- (GA文庫)
まさかの続編。なにがあったんだ。ともあれ、あいかわらずアリスは可愛いと思います。
読了日:02月11日 著者:川崎 康宏
蒼空時雨 (メディアワークス文庫)蒼空時雨 (メディアワークス文庫)
恋愛にまつわる話はどうもよくわからん。が、これは良かった。恋愛の静的な部分を描いてくれればオレにもわかるんだ。
読了日:02月11日 著者:綾崎 隼
ヴァンダル画廊街の奇跡 (電撃文庫)ヴァンダル画廊街の奇跡 (電撃文庫)
芸術は現実を凌駕するのかと言う話だと思うのだが、問題は自分が芸術を解さない無知蒙昧の輩であると言う事だ。いまいち良く分からん。
読了日:02月09日 著者:美奈川 護
ご主人さん&メイドさま―父さん母さん、ウチのメイドは頭が高いと怒ります (電撃文庫)ご主人さん&メイドさま―父さん母さん、ウチのメイドは頭が高いと怒ります (電撃文庫)
えーとまあシスマゲドンカテゴリの作品と言うことでいいのかな。ラノベ要素をすべてメイドに変換しているもんな。
読了日:02月08日 著者:榎木津 無代
ツマヌダ格闘街 7 (ヤングキングコミックス)ツマヌダ格闘街 7 (ヤングキングコミックス)
前から思っていたけど『美味しんぼカテゴリ』と言う認識でOK?(あらゆる事件は格闘技で解決する)
読了日:02月08日 著者:上山 道郎
幕末魔法士―Mage Revolution (電撃文庫)幕末魔法士―Mage Revolution (電撃文庫)
指摘は出来ないが良い作品。作品内で伏線が綺麗に刈り取られている。
読了日:02月08日 著者:田名部 宗司
月の彼方、永遠の眼鏡 2―磨伸映一郎TYPE-MOON作品集 (IDコミックス DNAメディアコミックススペシャル)月の彼方、永遠の眼鏡 2―磨伸映一郎TYPE-MOON作品集 (IDコミックス DNAメディアコミックススペシャル)
相変わらずすごい原作レイプ力。この力…底なしか。
読了日:02月07日 著者:磨伸 映一郎
天元突破グレンラガン 螺旋少年譚 (角川コミックス・エース 175-6)天元突破グレンラガン 螺旋少年譚 (角川コミックス・エース 175-6)
もうちょっとパラレルかと思ったけど意外と本道なのね。
読了日:02月07日 著者:たくま 朋正
純潔のマリア 1 (アフタヌーンKC)純潔のマリア 1 (アフタヌーンKC)
中世だろうなんだろうとボンデージを入れてしまうあたり作者の業を感じる。
読了日:02月07日 著者:石川 雅之
狼と香辛料〈14〉 (電撃文庫)狼と香辛料〈14〉 (電撃文庫)
二人が最初に”ヤッた”のっていつなんだろ?気になりすぎて既刊全部読み直そうかと言う勢いだ。
読了日:02月07日 著者:支倉 凍砂
世界平和は一家団欒のあとに〈9〉宇宙蛍 (電撃文庫)世界平和は一家団欒のあとに〈9〉宇宙蛍 (電撃文庫)
七海が宇宙に行ったのは完結フラグ?まあ完結にも次ステージに上がるのもちょうどいいタイミングか
読了日:02月07日 著者:橋本 和也
ラプンツェルの翼〈4〉 (電撃文庫)ラプンツェルの翼〈4〉 (電撃文庫)
仮想空間の技術に微妙な既視感が。これも世界観がつながっていたりは…さすがにしないか。/で、これ続くの?
読了日:02月07日 著者:土橋 真二郎
アスラクライン〈14〉The Lost Files (電撃文庫)アスラクライン〈14〉The Lost Files (電撃文庫)
これで一区切りとかどういうことなの…。タイトルを代えて新シリーズとか?(願望含む)
読了日:02月07日 著者:三雲 岳斗
アクセル・ワールド〈4〉―蒼空への飛翔 (電撃文庫)アクセル・ワールド〈4〉―蒼空への飛翔 (電撃文庫)
ザ・王道。非常に少年漫画的にレベルが高いです。/黒雪姫はもっとハルユキを叱ってよいと思う(スパスタに見えてドロ甘だね)。
読了日:02月07日 著者:川原 礫
SKET DANCE 12 (ジャンプコミックス)SKET DANCE 12 (ジャンプコミックス)
「夫婦か!」の話はここ最近で覚えが無いほどに爆笑した。
読了日:02月07日 著者:篠原 健太
To LOVEる-とらぶる 17 (ジャンプコミックス)To LOVEる-とらぶる 17 (ジャンプコミックス)
クロのキャラはブラックキャットよりもはるかに良くなっているような。なんでこれが連載時に出来なかったんや…。
読了日:02月07日 著者:矢吹 健太朗,長谷見 沙貴
ぬらりひょんの孫  9 (ジャンプコミックス)ぬらりひょんの孫 9 (ジャンプコミックス)
怒涛の羽衣狐様オンステージ。ファンなら家宝級の一冊です。
読了日:02月07日 著者:椎橋 寛
めだかボックス  3 (ジャンプコミックス)めだかボックス 3 (ジャンプコミックス)
やっぱこのあたりの話から異常に面白い気がする。「普通、特例、異常」の概念は、さりげに「スタンド」に匹敵するほどの発明だよな。
読了日:02月07日 著者:暁月 あきら,西尾 維新
賢い犬リリエンタール  1 (ジャンプコミックス)賢い犬リリエンタール 1 (ジャンプコミックス)
繰り返し読むほどに味わいが増す作品。情報量がハンパねえ。/問題はこれちびっ子にウケるのかと言うことだが。
読了日:02月07日 著者:葦原 大介
保健室の死神  1 (ジャンプコミックス)保健室の死神 1 (ジャンプコミックス)
病魔とのバトルは主眼ではなく人情ドラマが基本なのか。/三途川校長先生は今一番ホットなロリババアだと思います。
読了日:02月07日 著者:藍本 松
U.F.O. 未確認飛行おっぱい (ファミ通文庫)U.F.O. 未確認飛行おっぱい (ファミ通文庫)
ラノベを構成する要素をおっぱいに置き換えた作品。実にクールだ。
読了日:02月03日 著者:大橋英高
B.A.D. 1 繭墨は今日もチョコレートを食べる (ファミ通文庫)B.A.D. 1 繭墨は今日もチョコレートを食べる (ファミ通文庫)
ものすごい勢いでツボった。/単純に言えばラノベ版牧野修だけど単純には言いたくないな。
読了日:02月03日 著者:綾里けいし
ココロコネクト ヒトランダム (ファミ通文庫)ココロコネクト ヒトランダム (ファミ通文庫)
このタイプの主人公も市民権を得てきたんだなあ。やはりFateは偉大だったという事か。/歪みに理由があったりなかったりと曖昧なあたりがクール。
読了日:02月02日 著者:庵田定夏
空色パンデミック1 (ファミ通文庫)空色パンデミック1 (ファミ通文庫)
最近はセカイ系すらメタになるんだな。ジャンル・ラノベもいよいよ煮詰まってきたか。
読了日:02月01日 著者:本田誠

読書メーター

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2010.03.03

『空色パンデミック(1)』

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空色パンデミック』(本田誠/ファミ通文庫)を読んだ。

セカイ系もここまで来たのか、と感慨深く読んだ。セカイ系と言う主観のみが支配するジャンルを、メタに構築するという誰もやらなかったことを成し遂げたと言う意味では、実に革新的な作品であったと思う。セカイ系と言うのは、セカイと個人が直結している作品を指す言葉であるわけで、そこに本来は客観の入る余地はないんです。客観的にものを見たら、セカイが自分に直結しているなんて信じられるわけが無いわけで。現実的には、セカイとは世界であり社会が個人の間を横たわっている。その俯瞰視点を持ってしまったとき、セカイ系は終焉を迎えることになるのだ。

しかし、そこであえて”社会と共存するセカイ系が存在したらどんなものなのだろう?”と言う問いを投げかけた点、それこそが実に見事でした。この作品における空想病という設定はまさしくコロンブスの卵とも言える発想の転換ではないかなあ。ちょっと設定を読んだぐらいだと別に斬新な設定とも思えないのだけど、よくよく考えてみると、これはセカイ系を現実的(ラノベ的現実、まあ”リアルな”と言うレベル)に落とし込む見事な設定だったと思います。病気として設定することで、セカイ系を生きる人々、セカイ系を生きる人々に巻き込まれた人々、セカイ系に巻き込まれた人々を眺める人々と言う何重にも渡る構図が生まれてくる。これ、描くのはけっこう面倒な気もするんですが、(この巻はなんとか収まったけど、今後どうやって展開させていくんだろ?どんなむちゃくちゃな展開も許容しそうな設定だもんなー)、きちんと意外性のある爽快感のある物語に仕上げているのは非凡な物だと思いました。なんつーか、セカイ系に対する徹底した批評性を持った設定でありながら、しかし、極めてまっとうなセカイ系になっているとでも言うのかな。やっていることは「世界を敵に回しても君を選ぶ」、そんな極めてまっとうな極限状態における感動的なボーイミーツガール。しかし、その批評性ゆえに、それら感動的なストーリーは再び現実に回収され、しかし、その”ストーリーを生きたという事実”は残る、と。おお、なんだこの完璧な構成は。セカイ系に対する批評でありながら、確かなエールでもある、と言う…。

作者はフィクションに対する確かな愛があるんだけど、その上で突き放して扱うことが出来るタイプなんだろうな、と思いました。これは物語にのめり込むだけでも、距離を取るだけでも作れない(と思う)作品だわ。作者がどこまでこのスタンスを貫けるのかはわからんけど、とにかくこの巻はものすごい感心して、そして興奮した。作者のスタンスがかっけー。

2010/03/04追記
この作品にはおそらく意図的にいくつか曖昧なままになっている事があるのだが(青井の性別とか)、その際たるものは主人公の姉の存在だと思う。主人公によって言及され、幾度も描写もされながら、驚くほど存在感がない。どんな人物なのか顔が見えない。そもそも主人公以外誰一人存在に触れないと言うあたりが不可解なのだが、まあそれぐらいフィクションにはよくあることではある。コロンボのかみさんみたいなものだ。ただ、どうも一点だけ(これは自分が気がついただけで他にもあるのかもしれないが)、矛盾した描写があって、すごく気になった。具体的には188頁-189頁。海から帰ってきた主人公が姉と会話する場面があるんだけど…その、なんで”日焼け”の話なんてしているの?直前にあなた一日中酒を飲んでた(つまり家に居た)と言う話してなかった?まあ陽の当たる場所の飲んでいたのかもしれないが…異様に不自然な描写だ。もしかしたら別になんでもない描写なのかもしれない。だが、この極めて批評性に富んだ作品ゆえに、もしかすると…いやいや、まだ何も明かされて無いんだから、先走りすぎだよな。ただ、なんと言うか、ゾッとした。ものすごく恐かった。

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買ったもの

1.『多重人格探偵サイコ(14)』 原作:大塚英志 漫画:田島昭宇 角川書店

しかし、これはいつ終わるんだ。物語が収束しているのか拡散しているのかわからん…が、むしろそれこそが大塚英志の意図するところのような気もするな。物語は拡散し、偏在する。オリジナルは忘れられ、模倣者だけが残る。うーん、その意味ではこの作品のあり方自体が大塚英志の実験とも言えるのか。

まあ考えすぎだと思うけどな。

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2010.03.02

買ったもの

1.『観』 永田ガラ メディアワークス文庫
2.『戦国ゾンビ~百鬼の乱~(4)』 横山仁 幻冬舎
3.『鈴木先生(9)』 武富健治 双葉社

買った。

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2010.03.01

『ココロコネクト ヒトランダム』

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ココロコネクト ヒトランダム』(庵田定夏/ファミ通文庫)を読んだ。

これは良い作品。男女入れ替わり物と言うのはわりとポピュラーなジャンル(だよね?)だと思うのだが、入れ替わりによって生じるキャラクター間の葛藤と解決のプロセスがわりときちんと構築しているので説得力がある。また主人公が非常に最近の流行と言うか現代的なハーレムメイカー気質である(このあたりを参照。他にもいっぱい議論されているので興味のある人は調べてみるよろし)あたりは、やっぱりFate、禁書目録の系譜を感じさせますなあ。なんつーか、こういう主人公にはまったく共感出来ない自分ですが、さすがに長きに渡る格闘の末、共感は出来ないまでも理解できるようになってきたので、今回は素直に受け入れられるようになりました。オレも成長したなあ…数年前だったら口を極めて罵っていたぞたぶん…。

別にバトルも伝奇もないけど、人格の入れ替わりってのは、実のところけっこう厳しいよな。お互いのプライベートもプライベートなスペースを言語道断に踏み入る行為であり、人間関係に傷つくなんてレベルじゃねえ。オレが人格入れ替わりなんて巻き込まれたら、3日でストレスで死ぬ自信がある(どんだけ閉塞してんだお前)。そこからさまざまな葛藤と、それぞれが抱える悩みや苦しみが現出してくるあたり、うん、入れ替わりものとしてはわりと斬新なような気がする。まあオレが知らないだけかもしれないが、入れ替わり物でここまで真面目に青春ストーリーをやった例ってあんまりないような気がするんだ(そんなことは無いような気もする)。そして生まれてくる問題を、スーパー自己犠牲野郎である主人公が、とにかくそんなのが嫌だ!と言う理由だけで介入して、なんとかしていくと言う展開で、まあこんなことをされては当然女の子組は当然主人公の惚れざるを得ないのだが、きちんと主人公の本命が存在しているところは、いわゆるハーレムメイカーものとしては珍しいような気もする。一冊で終わる予定だったからかもしれないけど、きちんと恋愛感情に決着がついていました。

ただ、主人公の異常な自己犠牲精神には決着がつかなかったのは、正直残念。いや、ハーレムメイカーものをきちんと作品に昇華した例は現状ではFateしか存在しないので(私見です)、あくまでもこの話では作品装置としてのハーレムメイカーとして設定されていることは理解しているのだが、結局”主人公が他人を助けることに理由がない”と言うあたりの命題が残ってしまうのは、やはり引っかかる。主人公なのに、主人公の話になってないんだよね。ただ、ヒロインを助けるためだけの”装置”でしかない。まあこのタイプの主人公を突き詰めると物語は否応なしに”主人公の物語”が駆動してしまって、しかも収拾がつかなくなるので(これを豪腕でねじ伏せたのがFateと言う認識です)扱いが難しいんだけどね。諸刃の剣に近いので、そのあたり作者は注意して欲しいものである。この作品に続編があるとしたら、最終話にはそれでも”主人公の話”を入れて欲しい。それがなくしてハーレムメイカーものは完結しないと思うんですよ。

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買ったもの

1.『スクランブル・ウィザード(6)』 すえばしけん HJ文庫
2.『おれと天使の世界創生』 冬樹忍 HJ文庫

買った。

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