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2010.03.16

『剣の女王と烙印の仔(4)』

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剣の女王と烙印の仔(4)』(杉井光/電撃文庫)を読んだ。

うーん、別に悪いわけじゃあないんだけどー…。どうも”なんちゃってファンタジー”に対しては点が辛くなる傾向にあるなあ。この、どうにもならない苛立ちをどう言語化すれば良いのか、正直、悩む。

えーと。例えば、ゼロの使い魔ってありますよね。ヤマグチノボルの。自分はあれは許せるんですよ。たしかにラノベ的ではあるんですが、あれはあれで”異世界”を描写しようと言う意思があるからなんですね。ただ単に、こことは違う異世界と言うだけではなく、異なる歴史を持ち、異なる文化を持ち、異なる考え方をしている人々を、きちんと描こうとしている。まあもちろんギャグもあったりラブもあったりして安いと言えば安いんですが、しかし、作品の構築している土台は極めて精緻なものであると自分は思います。

まあこのあたりは長くなるので、ゼロの使い魔の感想のときにでも書くとして、こっちの話。ところがどうもねえ…杉井光は異世界を作ることにあんまり興味を持ってないみたいなんですよね。神だなんだと言われても、そこに歴史を感じられない。非常に背景が”貧しい”のだ。そこには培ってきた歴史を見えてこず(何度も書いているような気もするが、この王家が存続するなんておよそ考えられないよな)、ただの言葉でしかないのだ。ただ、この貧しさと言うのはライトノベルが根本的に持っているもので、その貧しさゆえに”軽さ”を得てきたジャンルでもあるので、ライトノベルとしては間違ってはいないのかもしれない。間違ってはないのだが…ファンタジーとしては、なあ。

いや、ファンタジーとして読むな、と言うのならそれでいいんですが。でも、ファンタジーじゃねえのこれ?うーん。まあことファンタジーとなると、自分はとたんに偏屈になってしまうので、考えすぎの可能性も高いけどね。

まあ、さすがに4巻まで読んでみて、だいぶそのあたりをスルーすることは出来るようになりました。主人公たちのあまりにも現代的過ぎるパーソナリティにはめまいがしてくるけど(お前らには忠義とか義務とかそういう思想なないのか)、それさえ目をつぶればいつもの杉井光であるし。異能バトルと青春ドラマです。まあ、そのドラマを支えているのが、非常に現代的な作劇であるというあたりが実に杉井光であるなあ、などと思ったりもした。まあ、それはそれでブレがなくてよいのかもしれない…。

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