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2010.02.11

『ゼロの使い魔(18)滅亡の精霊石』

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ゼロの使い魔(18)滅亡の精霊石』(ヤマグチノボル/MF文庫J)を読んだ。

ついに18巻に達しながら、未だに物語にブレがまったく見られないというのはすごいことなんじゃないかなー。サイトとルイズの関係をひたすら丁寧に描き続けているとともに、物語も着実に積みあがっている。

サイトとルイズの二人は、当初は典型的なラブコメカップルとして描いていたけれど、ここ数巻に至っては、完全にラブコメじゃなくて、恋愛、さらに言えば恋人の関係を描いているのねー。まあ自分は典型的な恋愛関係無頓着者なのでその関係性そのものはどうでもいいんだけど、二人の関係が完全に”夫婦”的と言うか、もう”愛”としか言えないような関係性に突入しているところが、いやもう、なんつーか、すげーなと。誰にでも優しく、ちょっとヘタレなところもあるサイトを、その駄目な部分も含めて受け入れるという心のあり方にまで至っているルイズさんは、もうラブコメヒロインを卒業していますよね。なんつーか、ラブコメのその奥を描いているように思えるので興味深いですね。

ただ、作者としてはサイトとルイズの関係はあくまでも物語の一要素であり、本筋はきちんと積み上げているところが骨太なところなんだ。多くの登場人物がそれぞれの思惑で動き、行動しているという感じがとても良いですね。基本的にはサイトとルイズの目線で物語は描いているけれども、最近はだいぶ群像劇的な側面も持つようになってきて、それぞれ背景を抱えた登場人物たちの多様な物語が綴られていて、すごく楽しいです。ワルドが久しぶりに登場したり、ロマリア教皇の目的が明らかになったりと、サイトたちを取り巻く大きな流れは否応ないものになりつつある。この巻は嵐の前の静けさと言う感じで、サイトとルイズの安らかな一時、というところなのかな。聖地奪還に熱狂する人々、ついに明かされた大陸の危機、エルフたちの思惑など、いろいろなものが動き出し、終局へと向かっていく。うーん、大河ドラマだねー。ファンタジーロマンだねー。豪華絢爛たる悲劇的なドラマへ、物語はなだれ込んでいくという予感がそこかしこにちりばめられているなー。

そんなファンタジーロマンを存分に描きつつ、サイトたちのコメディっぽい日常も描いてしまうところが作者のバランス感覚か。伊達に18巻と言う長丁場を続けてきたわけじゃねーなーと感心してしまった。実にあざとい、あざといが…ラノベでファンタジー大河を描こうと思ったらこれぐらいのことが出来ないと無理なんだろうなー。ここはむしろ作者の手腕を褒め称えたい。

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コメント

ゼロの使い魔いいですよねw

投稿: | 2010.02.12 18:53

そうっすねー。文体はたまに小学生並になるけど(何故だろう)、書いてる事はすごく壮大。背景がしっかりしてる……と思う。

投稿: シロ | 2010.02.12 19:20

僕はヤマグチノボルの文章は悪くないと思うんですけどね。重厚さとかはないですが、すくなくとも平易で、(おそらく選択的に)作者の自己主張を極限まで省いている点は評価するべきではないかと思います。

物語の構成もすごくクールですね。ものすごく緻密に世界を構築していると思っています。18巻まで書いて世界観が破綻していないところからもそれは明らかではないかと。

いわゆるキャラ萌えばかりが取り沙汰される作品ですが、作者の手腕はもっと評価されるべき、と前から思っているんですけどねえ。

投稿: 吉兆 | 2010.02.12 21:07

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