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2010.01.20

『パラケルススの娘(9)メフィストフェレスは踊る』読了

51uokfyhcml__ss500_パラケルススの娘(9)メフィストフェレスは踊る』(五代ゆう/MF文庫J)読了。

パラケルススの娘シリーズもいよいよ佳境。それぞれの登場人物の今までの積み上げてきたものを、全力で発揮していく展開になっている。特に成長著しいのが跡部遼太郎くんなわけですが、こやつ数巻前から完全に人格が完成されているよな。もちろん実力的には魔術師たちに割って入れるものではないんだけど、完全に精神のあり方においてクリスティーナを圧倒的に凌駕している。弱きを助け、強気を挫き、悪を憎み、暴力を嫌悪するスーパーヒーローの精神性を手に入れている。お・か・げでこいつが出てきた瞬間に読者としても「まあなんとかなるだろ」と思ってしまうほどの信頼感。五代ゆうが少年キャラを描くとこうなるのか…。青年キャラを描くと途端にヘタレるのと随分違うなあ。まあ考えてみれば『機械じかけの神々』(懐かしい…)の時代から、少年と少女はすごくしなやかに強い存在として描かれていたっけ。いや、勿論大人からみれば力も立場も弱いし、虐げられる存在ではあるんだけど(このあたり本人の責なくして生贄とされる遼太郎くんの立場も同じだよね)、しかし、五代ゆうの描く少年と少女は、なんと言うか”世界とつながっている”存在なんだよね。彼ら、彼女らの行動が、意思が、世界の法則を崩し、新しい世界を構築していく。遼太郎だけじゃなくて、美弥子、和音、ジンジャー、シャルロット、それにバ(略)ことアレックスたちの行動が未来を切り開いていく展開は、実に力強いとさえ言える。もちろん子供たちだけですべてを解決してしまっては、児童文学としてはともかく物語としてはどうかと思うのだが、リース警部や玄塚霧月(まさかこの二人がコンビを組むとは…)、ヘレン伯爵夫人などの大人たちがきちんと彼らのフォローをしているのでご都合主義には堕さない緊張感を維持していると思う(まあ実際にどこまで役に立っているのかは良く分からんが。とくにリース警部)。シヴィルとかもきちんと働いてはいるようなので、子供たちの全能性を無邪気に肯定する展開になっていないのは良かったと思う。

で、我らが遼太郎くんは絶体絶命の危地に陥ったとしても、決して諦めずにクリスティーナと対話しようとする。レギーネを救うために、すっかりヘタレてしまったクリスティーナの復活やいかに?と言うところで次回に続く…え、マジ?また一年とか待たされたりするの?とうとう最後のクライマックスですよ?…まあいつものことだから、大らかな気持ちで待つことにしますけどね。すこしぐらいは早くてもいいんじゃないかなー。

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