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2009.12.31

『おーい!キソ会長』読了

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おーい!キソ会長』(柴村仁/トクマノベルスエッジ)読了。

このほんわか系の表紙、脱力感をかもし出すタイトル。これだけでああいつもの柴村仁なんだな、とだれもが予想すると思う。我が家のお稲荷さまとかのあの辺ね(続きはどうなったんだろ)。そういうほのぼのラノベは作者の得意とするところなので、別に違和感はない。自分も最初そう思っていた。暇つぶしにはちょうどいいかな、と言うレベルの認識しかなかった。

と・こ・ろ・が。読みはじめてびっくり、読み終えてまたびっくり。このタイトルでこの表紙にして、実はこれ『プシュケの涙』の系譜に属する暗黒青春ミステリだったのである!それどころか、ただ系統に属するだけでなく”世界観も『プシュケの涙』とつながっている”様子さえあるのだ!レーベルが違うせいか、はっきりと名前が出てこないのだが、『プシュケの涙』に登場したある人物が登場するのだ(たぶん)。

いやもう自分はてっきり学園コメディを読ませられるものだとばかり思っていたので、”その人物”が登場したときにはガツンと頭をぶん殴られたようなショックを受けるとともに、実はこの作品はコメディではないのか…?と言う疑いを抱きつつ読んだ。…予想は大正解だったよ。これぐらいびっくりさせられたのは、予備知識をまったく持たずに読んだ自分のような柴村仁のファン(少なくとも別レーベルで新刊が出てもためらわずに買うレベル)だけだろうなー。この感想を読んでしまった人はこの驚きは味わえないと思うとこうやって書くこと自体が良くないのかもしれないが、まあこればっかりはしょうがないよな。これを除外しては感想なんて書けないもんな。

で、内容は最初にも書いたとおり、暗黒青春ミステリ。主人公の木曽くんはビビリだけど好奇心旺盛な生徒会”副会長”。今日も今日とて雑用を押し付けられながらも忙しい毎日を送っている。そんな彼がふとしたきっかけで友達になったクラスメイトの勝村。彼はいわゆる不良とみなされており、エスケープや喧嘩に明け暮れているらしい。ある日、クラスで盗難事件が起こり、彼にかかる疑いを晴らすために木曽は奔走するが…と言うのが”導入”。中盤までは人は良いけどおっちょこちょいな木曽と、強面だけど頭の回転が速く面倒見の良い勝村の凸凹コンビが学園で起こるちょっとした事件を解決していくと言うフォーマットを取っているんですが…物語が進むにつれて、それまで木曽が当たり前の日常と考えいた世界が、実はものすごく不安定で、人間の悪意にさらされていくことが分かっていく展開がものすごくサスペンスフル。一つ一つ、それまではただの不良と思われていた勝村の行動に理由がわかっていくにつれて、それまでの出来事が反転してラストになだれ込む展開はびっくりしてしまった。

今回はわりと登場人物紹介みたいなところもあって、登場したキャラクター全員にスポットが当たっているとは言いがたいのだが、『プシュケの涙』と違ってこの決着のつけ方なら続編もありそう。その分、作品としては冗長な部分もあって作品としての完成度と言う意味ではそれほど高くはないのだが、これは続編の内容次第で変わってくるところだと思うので期待したいところです。

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