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2009.12.21

『双竜記(3)機械じかけの竜と闇の咆哮』読了

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双竜記(3)機械じかけの竜と闇の咆哮』(安彦薫/電撃文庫)読了。

電撃三大入替り王子もの(四つかもしれない)の一角らしいけど良く分からない。まあそれだけオーソドックスな設定なのだろうと思うのだけど、このシリーズにおいて顕著なところは、主人公の”王子”は完全に狂言回し的な役割に留まっており、積極的に物語に関わることはほとんど無い。あくまでも主人公の周囲にいる人々の物語になっているように思う。戦いによる流血に苦しむ妹姫、いかに戦うべきかを競い合う反抗軍の指揮官、将軍、軍師たち、主人公の持つ決戦機の技師たち、それに秘められた謎を追う騎士。それらさまざまな登場人物たちが、ひしめき合い軋み合いながら葛藤していく。わりと俗物な人物もいれば、人間的な利害を超越した人物もいるし、超人的な武功を誇る戦士もいたり、臆病な小人物もいる。こうしたいわゆるモブキャラの描写が非常に丁寧なところには好感を感じずてしまった。また多数の登場人物を丁寧に描写しているだけでも相当なものだが、世界観を描写する手つきも実に丁寧な仕事をしており、もはや重厚と言っても良さそうだ。文章から世界観を作り上げるつもりのようで、実に頼もしいと思うのでした。

さて、そのように実に楽しんで読んだ双竜記シリーズの三巻目だけど、実は大きな方向性の変更がある。先ほど狂言回しとして存在している主人公が、自己主張を始めてきたのだ。流されるままに戦ってきた主人公が、ついに自分の意思を発揮しようとして、弱々しくあるものの自分の意見を述べ始めるところなどは、ついに主人公が物語の主人公として動き始めたのか!と驚いてしまった。前巻において、たしかに主人公のライバル役とも言える存在が登場していたのだが、それに対しては主人公の主体性のなさが目立っていたものの、ついに一個の人格として動き始めたのだとすると、この物語は大きく様変わりすることになる。あるいは作者は元々この予定だったのだろうか?あくまでも最初は物語の舞台を整えるだけ、と。だとするとこれから本番と言うことになるわけだが、さて。ともあれ、主人公自身が動きだして、その行動に惹かれてきた人々が存在していることで、これから流されるだけではない、彼自身の責任と言うものが生まれてくるのだろう。それが物語をどのように引っ張っていくのか、期待は尽きない。

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