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2009.12.17

『死神姫の再婚』読了

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死神姫の再婚』(小野上明夜/ビーズログ文庫)読了。

夫が死んで出戻った貴族のお嬢様が安く買い叩かれて”暴君”と呼ばれる新興貴族の元に嫁がされる、と書くとエロゲ展開しか思いつかないのだが、主人公の死神姫ことアリシアさんが大変に器の大きい人物だったので実に愉快な話になっています。とにかくキャラ小説としてレベルが高くてびっくりしました。こういう作品だとは思わなかったなー。アリシアさんはけっこうアクの強いヒロインだと思うんですが、本当に女神のような人物ですね。恐怖小説好きで(マイナー趣味に理解があり)、”暴君”相手にも物怖じせず(相手の肩書きや見た目に囚われない)のんきなお嬢さん。最高ですね!

物語としては、とにかくのほほんとしていて怖いもの知らずなアリシア嬢が、そののほほんぶりを発揮して、<強公爵>(ってすげえ中二センス溢れる称号よね。一周回ってアリなような気がしてきた)ライセンを初めとする気難しい男たちを片っ端からたらしこんでいく…じゃない、心を開かせていく展開でござる。ライセンさんはなかなかに見事なツンデレでして、強引な辣腕を振るう”暴君”でありながら、その裏には人間らしい心を隠し持っていると言うまあいわゆるアレな感じ(なにそれ)(いやほら…ハーレクイン的と言うか)(読んだこと無いくせに)(うるせえなあ)なんですが、そんな人物がヘンテコなヒロインに振り回されるのは、まあ確かに萌えるよねー。他にも貴族のぼっちゃんや執事とか凄腕の暗殺者とか(…羅列してみるとものすごいな)(ベタっちゃベタだな)男性キャラクターも登場したりするので安心です。彼らの織り成す異常にテンポの良い、しかし軽薄にはならない絶妙なセンスは作者の美質でしょうか。とても気持ちよく読むことができます。

キャラの話ばかりしてしまったけど、物語の方もなかなかカタルシスがあるのには、意外と言っては失礼だけど驚いてしまいました。本当にすいません。実は物語途中であるキャラクターにちょっと不自然な動きをしているなーちょっと良くないなーとか思っていたんですが、てっきりヒロインのハーレムを構築するご都合主義だと思ってすっかりスルーしてたんですよ。そしたら実はそれが伏線だったりして最後に仰天。そしてその後の主人公の行動にも唖然。そして結末にまたびっくり。全部にちゃんと伏線が張ってあって、物語としての完成度もかなり高いことにようやく気がつきました(ついでに、自分がきちんと物語を読んでいなかったことが明らかになってしまいました)。アリシアとライセンがお互いの孤独に気がついて惹かれ合って行く過程など、端正な物語が軽快さの裏にあって、よく出来ている作品だな、と思うのでした。

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