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2009.11.13

『刃の王 堕刻使いの旅立ち』読了

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刃の王 堕刻使いの旅立ち』(神野オキナ/朝日ノベルズ)読了。

神野オキナって個人的に苦手意識があったんだけど、久しぶりに読んでみたら意外と普通に読めた。だけど、たぶんこれ10代の自分が読んだら、ブチ切れそうな作品ではあったなあ。基本的に、神野オキナの作品は、独特の”緩さ”があって、あまり世界観とかをガチガチに固めるタイプではないっぽいんですよね。けっこう既存の、ありがちな概念を使いまわしたりする(そういうところに創意工夫はしない)。一方で物語的にもエッジの効いたところはなく、いわゆるおとなしめな伝奇アクションの範疇に納まってしまっている。あまり読者を駆り立てて引っ張っていくタイプの書き手ではない。10代の頃の自分は物語原理主義者だったこともあり、こういう中途半端なことをしている作品は過剰に厳しく接していたものです。たぶん、昔の自分はこの”緩さ”は許せないものだったろうなーと思う。

もっとも今になってみると、いちいちガッツリ世界を構築しているような作品も重たいし、こういう緩さも悪くないかなーと思えるようになってきた。いいじゃん、なんだかよくわからんが力を手に入れて伝奇アクション。どっかで見たようなピースのパッチワークだったりするけど(エルフ耳の異世界の美少女が日本にやってきてバトルーとか。いちいち書いてみると恥ずかしいなおい)、こういう欲望に忠実なのも悪くないんじゃないかと思えるようになったのは、成長か堕落か自分でも判然としない。まあ楽しければいいじゃん、と思えるようになったのは寛容さを身に着けた結果だと思いたいな。

まあそんなわけなので、毒にも薬にもならない感じだけど、ほどよいぬるま湯につかるような気楽さで読めるのが良いです。なんだかんだで意外な展開というのもあるし(ヒロイン第一候補がああなるとはなあ…)、凝りまくってなんだか明後日の方向に行っている感のある最近のラノベについていけないという人向きの、ある意味、古色蒼然(と言うのが適切かどうかはわからないが)とした伝奇ライトアクションになっています。続きが出たら買おうと思うくらいには楽しかった。

あ、伝奇アクション的に自分が気に入ったところがあって、主人公の能力がワンノブゼムなところは良かったですね(背景的にはなにかありそうだけど…)。いわゆる最強の力とかでは全然なくて、むしろ下級の能力と言うあたりはクールだと思います。最強のとか無敵のとか特別なとかには感情移入出来なくなっているんだよねー。自分も歳を取ったもんだと思います。

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