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2009.11.30

買ったもの

1.『フリージア(12)』 松本次郎 小学館

買った。しかし、最後まで難解な作品だったなー。これを機会に一巻から読み直してみようかな。

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2009.11.29

『円環のパラダイム』読了

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円環のパラダイム』(瀬尾つかさ/一迅社文庫)読了。

うほほー。これは素晴らしい。まるでデビュー作を彷彿させる超濃密なSFドラマだー。瀬尾つかさと言ったらやっぱりこれだよなー。や、勝手な意見ですけどね。でもまあデビュー時から一貫して瀬尾つかさに注目し続けているウォッチャーとしては、この高密度で圧縮された異常なドライブ感とインフレ感こそが瀬尾つかさの本領と言うか根幹だと思っているので、久々に”それ”が読めてとても嬉しかったです。

普通なら主人公とヒロインの関係を構築するまでに一作かけるぐらいの内容なのに、序盤で早々にヒロインに主人公への気持ちを自覚させ、さらに告白イベントまでの流れるようなシークエンスにはまさしく瀬尾つかさ節。正直、この時点で圧倒的なスピード感にゾクゾクしてくる。ここで踏んだアクセルをまったく落とさず、さらに踏み込んでいくのがすごい。どんどんスピードが加速していく。主人公たちの関係性の物語は序盤でケリをつけて、主人公が属することになる”学校”を襲う外部世界からの襲来者、”学校”内部の反乱分子の暗躍、比較的平穏が保たれていた世界を容赦なく襲う弱肉強食の掟。親しき友人の死、市民のパニックなど、次から次にかろうじて保たれていた共同体を揺らがす試練に必死に立ち向かう”生徒会”だが、事態は圧倒的速度で迫り、友人の死に悲しむ暇も与えられず、主人公たちはもがき続ける。このあたりの絶望的な感覚は、まさしくこの”速度”がもたらす緊張感であるといえるだろう。

その絶望的な状況をひっくり返すのも、覚悟完了した人間の力と言う流れにも一部の隙もない。物語はすさまじいスピーディだけど、物語の手続きをまったく外していないので、唐突な感じはないんだよね。これはちょっとすごいことなんじゃないかと思うわけです。すげーなー。

と言うわけで、大変瀬尾つかさ分を補給できて満足でした。SF的な広がりも十分にありそうで、この先の物語にもわくわくさせられる。まあこのまま終わってもいいぐらいの爽快感なんだけど、それでも続編を望んでしまうのは読者としての意思の弱さか…。まあなんとかしてくれることを期待したい。

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買ったもの

1.『ビッチマグネット』 舞城王太郎 新潮社
2.『のだめカンタービレ(23)』 二ノ宮和子 講談社
3.『超人ロック エピタフ(4)』 聖悠紀 メディアファクトリー
4.『全死大戦(1) サイレント・プロローグ』 元長柾木 角川文庫
5.『全死大戦(2) 少女覚醒』 元長柾木 角川文庫

買った。ようやく全死大戦が買えて嬉しい限り。

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2009.11.28

買ったもの

1.『こもれびノート』 しやけ遊魚 HJ文庫
2.『スマガRE』 廣瀬周 秋田書店

買った。

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2009.11.27

『コップクラフト Dragnet Mirage Reloaded』読了

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コップクラフト Dragnet Mirage Reloaded』(賀東招ニ/ガガガ文庫)読了。

かつてゼータ文庫から刊行されていたドラグネット・ミラージュのリメイク版。ガガガ文庫よ良くやった!と褒め称えたい。2巻でフェードアウトするのはあまりにも惜しい作品だったからな。あとがきの26話(巻?)は冗談だとしても、今後も継続して続きが出るのであればまったく文句はありません。

まあ、基本的なストーリーはオリジナル版と同様なので、それほど書くことはないんだ。ファンタジー的な設定の上で、アメリカ刑事ドラマ的な展開が相変わらず良い意味でバタ臭い。そこがとても良いんですよね。たぶん作者がそのあたりのドラマが好きなんだろうなーと思わせられる。主人公のマトバ・ケイが実にハードボイルドな男なので、作品が引き締まっていると思う。

…ただなあ…リメイクに当たっての改変点が大きく一つあって…なんでティラナがロリ化してんだよ!以前のように巨乳美女では駄目ですか。ああそうですか。ラノベ的売れませんか…。いや、まあ別に良いんですよ?良いんだけど…これでケイと何かあったら完全に犯罪だよな…。ケイは今まで通り30才前後の男盛りだけに、ティラナのローティーン化が不安でいっぱい。…ま!ロリ化したティラナ可愛いけどね!(お前と言う奴は…)まあこれでラノベ読者に対してもキャッチーになっているので、これはこれで良いんだろう。

イラストも篠房六郎から村田蓮爾に変更。篠房六郎の匂い立つような男くさい絵に慣れた自分からすると、村田蓮爾はちょっと綺麗過ぎるかなー。これはこれでカッコいいし、ロリティラナは可愛いんだど(しつこいよ)。

内容としては、ケイとティラナの凸凹コンビが、いがみ合いながらも信頼関係を紡いでいくというまさしくプロローグ的な展開で、堅実なものだ。地味な捜査と派手なアクション、適度なお色気…はないが(ティラナに対しては犯罪だ)、二転三転する物語と、非常に手堅い作品である。売り上げ次第なんだろうけど、このまま継続して続刊を出して欲しいものである。さあ、みんなも買うんだ。買おうぜ?

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買ったもの

1.『よつばと!(9)』 あずまきよひこ アスキーメディアワークス
2.『シュガーダーク 埋められた闇と少女』 新井円侍 電撃文庫
3.『ピーチガーデン(1)キスキス・ローテーション』 青田八葉 電撃文庫
4.『テスタメントシュピーゲル(1)』 冲方丁 スニーカー文庫
5.『百瀬、こっちを向いて。』 中田永一 洋伝社

買った。

4の帯に「冲方丁、最後のライトノベル」って書いてあったけど、それがどうしたって感じだ。オレ、冲方丁がライトノベルを書いているという印象は全然受けてなかったしな…。

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2009.11.26

『スクランブル・ウィザード(5)』読了

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スクランブル・ウィザード(5)』(すえばしけん/HJ文庫)読了。

今回は幕間的な話。前巻における一花による魔法テロの決着の後、日常に戻った月子と十郎。一躍アイドルとなった月子が多忙な日々を送る中、唯一の肉親を失った十郎は失意を抱えたまま教師としての日々を過ごす。今回はそうした日常を過ごしている二人と、その周囲にいる人々の日々を描いた作品となっている。月子の慌しい日常と、彼女を心配し、支えようとする友人たち。かつての捻じ曲がった自分から立ち直った駿介の、健やかな成長が見られるエピソード。十郎に恋する唯里の、恋や自分の将来についての悩み。そして、一花の思い出を呼び覚ましながら、もがきながら前に進もうとする十郎。そして一花の命を実質的に奪い、決定的に道を違えた能勢が、十郎との始めての出会いを思い返すエピソードなど、掌編と言えるいくつものエピソードを紡ぎながら、現在の物語におけるそれぞれの人物の持つ立ち位置を再確認をしているのだ。小さなエピソードをいくつも重ね合わせているという意味で、ある意味では変形した短編集と言えなくも無い。長編の中にいくつもの掌編を埋め込んでいるという感じかな。短いエピソードの中にも、それぞれのキャラクターが非常に端正に立っており、見事だった。この作者は本当に物語の手続きが巧みだな、と改めて感心したのでした。いや、地味だけど、この巻とか本当に上手い。短いエピソード群の中で、それぞれのキャラクターを際立たせる手法が尋常じゃない。一つ一つのエピソードは本当に短いのに、読み終わった後は、それぞれの人物が何を考え、何を苦悩し、それを乗り越えていこうとしているのかがきちんと伝わってくる。それも長編ではなく、ほぼ掌編と言うエピソードを作中にちりばめる形でだ。これは素直に褒め称えるしかないなあ。いや、冗談抜きで、これは小説の作り方のお手本みたいな作品。すごい。

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2009.11.25

『あやかしがたり(2)』読了

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あやかしがたり(2)』(渡航/ガガガ文庫)読了。

ライトノベル時代劇(正確には伝奇)としてそれなりに面白いのだがなぜか乗り切れないものを感じる。何でかと言うと、おそらくそもそも時代劇そのものがラノベ的側面を多分に持っており、わざわざライトノベル的にカスタマイズする必要性を僕があまり感じてないせいなのだろう。そもそも普通の時代劇で良いと思うところを、ラノベ的にヒロインを立てたりしているところが、逆に作品を浮つかせているように感じてしまうのだ。どうしても時代劇として読んでしまうので、ちょっと違和感を感じてしまう。さして作中で強くないラノベ臭がすごく強調される感じがするんだよなー。普通に時代劇をやれ、と思ってしまう。また、読者層を意識しているのだと思うのだが、いくらなんでも主人公がモノを知らなすぎるのではないかと思わないでもない。ラノベ読者の大半は時代劇は読んでいない可能性が高いので、いろいろ前提となる知識を説明していかなくてはならないとは思うのだが、それにしたって主人公は常識なさすぎなんじゃねえかなあ。山人の扱いってこんなもんでいいのかと言う疑問もあるし…。ラノベ的にはこんなもんでもいいのかな。

個人的な感覚はともかく、作品としてはそれなりに堅実な作り。ただ、ヒロインの描写よりも主人公の葛藤や剣戟アクションが主体になっているあたりに作者の時代劇への愛情を感じるとともに、ラノベとしての弱点も感じた。まーガガガ文庫なんだから、読者に媚を売ることなく好き勝手男くさい世界を描いてくれても良いと思うのだが、キャッチーなキャラがいないのは売り上げ的に大丈夫なんだろうか。どう考えても一番クローズアップされているのが、胡散臭い拝み屋ふくろうさんと言うところが、本当にストイックだなーと思う。新之助とは道の異なる、しかし、人生における先達として描かれ、彼の超えるべき存在としての役割を担うだけの存在感も示しつつある。今後のライバル的な立ち位置に立つであろう彼がどのような役割を担っていくのか楽しみであります。

ただ、全体的になんとなくぎこちないというか荒削りさが残るのは前作同様。どうもラノベで行くのか時代劇として行くのか、作者自身がバランスを取りあぐねている気がする。ヒロインの立ち方が中途半端だし、その割りに男キャラが目立っているわけでもない(黒衣の男が一番目立ってた気がする)。時代劇的な習俗の描写もないし、アクションに力が入っているというわけでもなく、なんかなーラノベ的にも時代劇としても煮え切らない気がします。どっか突き抜けてしまってもいいんじゃないかな、と言うのは読者としての無責任な意見でござる。

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買ったもの

1.『神林長平トリビュート』 原作:神林長平 著:桜坂洋 他 早川書房
2.『奇想と微笑―太宰治傑作選』  著:太宰治 編:森見登美彦 光文社文庫
3.『Landreaall(15)』 おがきちか 一迅社

買った。1は自分が神林長平スキーと言うのもあるけど、書いている面子がすごかったから。以下作品名と著者。

狐と踊れ/桜坂 洋
七胴落とし/辻村 深月
完璧な涙/仁木 稔
死して咲く花、実のある夢/円城 塔
魂の駆動体/森 深紅
敵は海賊/虚淵 玄
我語りて世界あり/元長 柾木
言葉使い師/海猫沢めろん

…なんだこのメンツ?

2は自分が太宰治スキーだから…と言うわけではなく(嫌いじゃないけど)、モリミーが編集してたから。しかし、なんでモリミーが…って別に意外でもなんでもねーな。走れメロスとか書いていたしなー。

3はやっと出た。ただひたすらに嬉しい。

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2009.11.24

『完全教祖マニュアル』読了

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完全教祖マニュアル』(架神恭介・辰巳一世/ちくま新書)読了。

これは面白おすなあ…。タイトルからしてネタ本の香りがしてくる作品ですが、中身は実に丁寧な作り。丁寧にバカバカしいことを真面目にやっている。と言うか、教祖と言う立場から宗教を捉えることにより、宗教の神秘性(あるいは不気味さ)を剥ぎ取ろうという意図が見受けられる。宗教って何で信じる人がいるの?なにを考えているの?日本人の(つーか僕の)感覚からすると宗教を信じている人はなんとも理解が難しく、また理解しようとも思えない問題を、わかりやすく丁寧に教えてくれる本です。宗教の本質とは?と問われてそれは人をハッピーにするものですと応える下りはまさしく慧眼。まあわかり易すぎてちと軽薄な気もするし、実際にはもっと複雑なものなんだろうなーとは思うけど、宗教と言うものを考えるとっかかりにするには十分なんじゃないかなあ。なにより読みやすいって言うのが無条件でいいよね。その上、筆致が非常に冷静で(まあ軽薄だけど)、宗教について取り扱いながらも、宗教個々の問題についてはきちんと距離をとっているのも好ましい。ま、”完全教祖マニュアル教”としては執拗に勧誘してくるんですけどね!(ギャグとして)

あとこの本が秀逸なのは、宗教をいわゆる伝統宗教(キリスト教とか仏教)新興宗教に加えて、社会的通念の問題にまで広げているところが良いですね。日本人は無宗教だと言われていますが、実際にはそんなこたあなくて、何がしかの常識、良識、偏見、差別、まあ名称はなんでもいいんですが、何らかの価値基準に従っているということにもきちんと言及している。まあこのあたりを一つ一つ言及していると、一体どのように生きていけばいいのかわからないのでほどほどにしておくのがいいと思うんだけど、あくまでも”人が信仰するとはどういうことか”と言うことについて、認識を深めさせてくれるという意味で、この本は良い本だと思います。わりと自分がいろいろな”宗教”に縛られているということがわかって面白いですよ。 

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買ったもの

1.『地球保護区』 小林めぐみ ハヤカワ文庫JA
2.『神剣アオイ』 八薙玉造 スーパーダッシュ文庫
3.『15×24 link four Riders of the Mark City』 新城カズマ スーパーダッシュ文庫
4.『カンピオーネ! 剣の巫女』 丈月城 スーパーダッシュ文庫

買った。

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2009.11.22

『ぐらシャチ』読了

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ぐらシャチ』(中村恵里加/電撃文庫)読了。

中村恵里加らしい、すごく意地の悪い話だった。いやー、作者自身はまっとうなボーイミーツガールを描くつもりだったのかもしれないけど、そこにファンタジーではなく、作者独自のリアリズムを持ち込まれており素晴らしいな、と思いました。なんつっても、ラノベではスルーされてしまいがちな、”異種間の交流”と、その困難を描いているという作者のダブルブリッドから継承されているテーマが、より進化した形で現れている。未知の存在である異種との交流は、ただそれだけでスリリングなものなんですよね。冒頭における喋るシャチとの遭遇というところはどこかスラップスティックな印象さえ与えられるのだけど、グラと名付けられたそのシャチが、”とある姿”でヒロインの榛菜の前に登場してきたことから緊張感が高まってくる。結局、グラと榛菜は、同じステージで物事を考えていない。グラは最初から自分と榛菜は違いの大きい存在であることを知った上で、自分を否定しないでくれた榛菜に惹かれている(みたい)なのだけど、榛菜はその違いがどうしても飲み込むことが出来ずに、不安にかられ、恐怖するようになる。まあこれは榛菜を責めるのもお門違いと言うもので…。基本的に人間は自分の同じ形容をしているものは、自分と同じ思考が通用すると自然に思ってしまうよね。だから”あの姿”で現れたグラに、自分の思考をどうしても押し付けてしまう。まあそれがさらに混乱を引き起こしているわけだけど…。まあそれがなくては、”違う”と言うことさえ榛菜は気がつかなかっただろうから、この過程は必要なものだったのだろう(少なくともグラと榛菜の関係の上では)。あとなー、最終的に一応二人の関係に一つの区切りがついて、少なくともお互いが”違う”と言うことを受け入れることでコミュニケーションの土台が生まれるんだけど、そこに至っても結局失われたものは、救われないものは残るというのがすごくハードだな、と思いました。この世には奇跡などは無く、あるのはただ結果だけなのだ、みたいな。厳しい話ですよ、本当…。

作品としてはこれ一つで綺麗に完結しているとも言えるけど、まだ相互理解のきっかけをつかんだだけとも取れるので、続編もないともいえないかなー。これ以上の結論を出すのは難しいような気もするけど…。しかし、異種間の交流の不可能さを証明して終わった(だが一筋の希望は残した)ダブルブリッドの、その先を描くのがきっと作者の次のテーマなんだろうな、と思うので、新しい世界を見せてくれることを期待したい。

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2009.11.20

『電波女と青春男(3)』読了

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電波女と青春男(3)』(入間人間/電撃文庫)読了。

今回のテーマ。「諦めたら、そこで試合終了だよ」。この一言で説明がつく。今回の話は、人生に対して拗ねてしまってナチュラルに後ろ向きなスタンスになってしまったイトコこと真くんの、夏の一時であるのだが、そこで反復され続けるのは冒頭のテーマ。今巻にて登場する謎の超能力者(自称)で宇宙人(自称)の美少女、星宮社は、真に対して繰り返し、”超能力”の存在意義、定義について説く。この超能力と言うものが、「諦めたら、そこで試合終了だよ」になるわけだ。それは別に精神論の話をしているわけではなくて、超常的な力の存在について語っているわけでもない。ただ、”何かが出来る”と言うことを”信じる”こと。それだけが、物事を動かす唯一の力なのだということなのだ、と言う話なのだ。

いやー入間人間といえば中二病の権化と言うか、いろいろな意味でエゴイスティックかつ自意識肥大な作品を書くという印象が強かったけど、これほど真面目なメッセージを篭めて来るとはびっくりしてしまったなー。いや、2巻も実に爽やかで綺麗な話だったけど、3巻はちょっとすごいと思ったよ。本当にたった一つの事を語るためだけに出来ている作品なんだもの。もちろん、社の正体とか、彼女の仕事ってなに?とか、真は本当はどうなるはずだったの?とかいろいろと伏線らしきものを撒き散らされている(回収される見込みは不明)。だけど、それらはあくまでも今後の伏線であって、本題ではない。

繰り返すが、今回の話の本題は、「自分の可能性を信じること」である。いきなり脱線するけど、自分もそれなりに歳を取ってくると、「諦めること」に慣れて来る。子供の頃のように、夢を語るばかりじゃいられない。自分の望みは叶うはず無いし、口に出すなんて恥ずかしくて出来ない。でもね、そんなカッコいい諦めは、全然カッコよくないんだ。それはただ自分の未来の可能性を摘み取っているだけに過ぎない。どんなに荒唐無稽で夢みたいなことであっても「自分が出来ると言うことを信じる」ことをやめなければ、可能性は0じゃない。逆に言えば、諦めた瞬間にすべての可能性は0になるのだ。”試合終了”と言うのは、まさにこの可能性が0になった瞬間を指している。

真は、青春ポイントを獲得する以外には、さしたる執着は持たない少年だ。過去の挫折の経験から、ささやかで平凡な幸せを得られれば良いと思っている。けれど、それ以上に彼が望むことはない。自分自身が何かを掴めるとか、そういうことは諦めていたのだ。社はそんな真を叱咤する。諦めるな、と。可能性を信じ続けることを教える。別にそれは大袈裟なことじゃない。友達がバスケの試合に出場するのを、必死になって応援することもそうだし、草野球で凡打の山を築きながらも、いつかはホームランが打てることを信じてバットを振り続けることもそうだ。たったそれだけのつまらないことを、しかし、諦めないで続けていくこと。それが信じるということだし、可能性を失わない方法であるということなのだ。社とかかわり続けるうちに、少しずつ自分のスタンスに疑問を抱き、社に乗せられる形ではあるが、信じることを覚えていく真は実に正しい成長をしていると思うのだった。

…ってアレ?この巻のヒロインって完全に社じゃね?エリオの存在意義はどこに行ったの?小動物化が進んでマスコット状態になっているけど、物語に全然関わってこねーじゃねーか。リュウシさんの方がまだ物語に関わっているぜ。前川さんは、まあ、あれはトリックスターだからなあ…。まあ2巻までの経験の結果、真が自分の”超能力”を信じられるようになる下地が出来ていたと考えるべきなのかな…。少なくともエリオとの関わりがなかったら、彼もそこまで柔軟には対応出来なかっただろうし。まあでも3巻だけ読むと唐突な印象は拭えないんだけどね。そのあたりはきちんと真くんの心理の流れを理解しておく必要があると思ったりもするのだった。

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買ったもの

1.『狗牙絶ちの劔(4) ―刀と鞘の物語―』 舞阪洸 富士見ファンタジア文庫
2.『コトノハ遣いは囁かない』 木村航 MF文庫J
3.『僕は友達が少ない(2)』 平坂読 MF文庫J
4.『えむえむっ!(8.5)』 松野秋鳴 MF文庫J
5.『ゴミ箱から失礼いたします』 岩波零 MF文庫J
6.『まよチキ!』 あさのハジメ MF文庫J
7.『ドラゴンランス(3)城砦の赤竜』 マーガレット・ワイス&トレイシー・ヒックマン 角川つばさ文庫
8.『緑魔の町』 筒井康隆 角川つばさ文庫
9.『怪物王女(10)』 光永康則 講談社

買った。

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2009.11.19

『狼と香辛料(13)Side ColorsⅢ』読了

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狼と香辛料(13)Side ColorsⅢ』(支倉凍砂/電撃文庫)読了。

狼と香辛料シリーズ外伝三作目。このシリーズの外伝は、基本的になんの事件も起こらない何事も無いいつもの日々が描かれているのだが、ロレンスとホロによるいちゃいちゃラノベと読む分には何の問題もない作品と言える。紛れも無いバカップルな二人の素直ではないやりとりを楽しめばよい。その方向性に特化しているので、サスペンスを期待する向きには向かないが、まあ短編集にわざわざそんなものを期待している人も多くないだろうし、そもそも狼と香辛料シリーズを楽しむ人の8割(適当)はラブラブいちゃいちゃを望んでいるのだろうし、この方向性でいいのだろう。まー僕はこいつらのバカップルぶりにはいい加減にしろよ!と思いつつも、なんかつるつると読まされてしまうんだよな。オレも甘々な物語を好む素養があるってことか…。

以下各話簡易感想。

「狼と桃のはちみつ漬け」
ホロとロレンスのラブラブ劇場第一弾。完全に夫婦モードの二人でした。まだ二人旅の頃の話だったので、お邪魔虫のいる現在で味わえぬいちゃいちゃモード。もう本当に好きにしてくれ、と匙を投げるしかない。商売モードはほとんどないけど、まあこれはこれでいいんじゃないですかね。ところでこれ結局、桃のはちみつ漬けは食えたのかね?そこがわからない。わからなくても全然困らないけど。

「狼と夕暮れ色の贈り物」
本当にカンベンしてください!と言うぐらいにラブラブ劇場第二弾。こっちはもう本当にまったくかけらも商売とは関係ない甘い恋人たちの一時と言う感じ。すごいですねー。会話しているだけで話が終わっちゃったよ。まあ他人の恋路を邪魔するのも野暮だよなあ、と言うほのぼのとした心持で読むようにした。これはラブい。

「狼と銀色のため息」
ホロ視点で綴られるラブラブ劇場第三弾。もう、本当に、カンベンしてつかあさい…。と、弱音をはきたくなるほどどのラブ攻勢。もっともこの作者の場合、ラブ寄せに走っても、”萌え”と言う感じにはならないところが良いと思います。恋愛小説と言うほどかっちりもしておらず、ごく普通の日々の楽しげな様子を切り取るところが上品。媚びているという印象が少ないんだよね。まあ笑って騒いで、ちょっと拗ねるホロのキャラクターに拠るところも多いかもしれないけど、と言う話。

「羊飼いと黒い騎士」
さあ、みんな大好きノーラさんの話だよ!しかし視点人物は牧羊犬にしてノーラの騎士であるエネク。彼の一人称によって語られるおはなしです。ロレンスに協力することで得た資金を元に、自分の夢をかなえるために新しい居場所を見つけるために旅をする一人と一匹。疫病が過ぎ去って人が足りなくなった街にならば働き手が必要だろうと向かうけど、世の中そんなに甘い話はないわけで。けんもほろろにあしらわれて途方に暮れるノーラたち。本当に報われないタイプと言うか不幸属性の持ち主ですね。しかし、助けを求められるとつい力を貸してしまう生来のお人好しのために、損な役割を引き受けてしまうのだけど、まあ本人は割りと納得しているみたいなので、良いのかも知れない。誰かに必要とされるということは確かに嬉しいことだし、必要なことであれとわかっていれば、それを乗り越える使命としてもとらえられる。まあ、正直、お人好し過ぎるなあとは思うけど、まあそういうタイプなんだからしょうがないのか。ノーラが自分のエゴを通すところはどうも想像がつかないからなー。まあこれからも苦労しそうだけど、彼女が道を誤らないように生きていけることを信じていこう、と思わせるラストでありました。

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買ったもの

1.『ドラマCD 這いよれ!ニャル子さん』 原作:逢空万太 HOBiRECORDS
2.『ニードレス(10)』 今井伸 集英社
3.『銃夢 LastOrder(14)』 木城ゆきと 集英社
4.『ハチワンダイバー(13)』 柴田ヨクサル 集英社
5.『SH@PPLE(7)』 竹岡葉月 富士見ファンタジア文庫
6.『円環のパラダイム』 瀬尾つかさ 一迅社文庫

買った。…自分でもなんで1を買ってしまったのか理解に苦しむ。そんなに好きだったっけ…ああ、好きなんだな。クトゥルー神話萌えもここまで来たのかと思うと確かに感慨深いよなー。

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2009.11.18

買ったもの

1.『クロスゲーム(16)』 あだち充 小学館
2.『月光条例(7)』 藤田和日郎 小学館
3.『はじめてのあく(3)』 藤木俊 小学館
4.『スプリング・タイム』 蕪木統文 ガガガ文庫

買った。

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2009.11.17

『レンズと悪魔(12)魔神解放』読了

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レンズと悪魔(12)魔神解放』(六塚光/スニーカー文庫)読了。

レンズと悪魔シリーズ完結編。おー前巻を受けてスピーディに展開してくれると思ったけど、予想以上にシームレスな展開で良かった。登場人物たちも、八眼争覇の優勝者だけあって、魔神の持つ力をよく理解しているので駆け引きにも無駄が無い。無駄が無さ過ぎてご都合主義的な感じも受けないでもないけど(ベイゼルがあっさり脱落したのはクラヴリーを活躍させるためとしか思えないぞ)、まあ概ねアリかなー。いささか登場人物が多すぎる感じもあって、全員のキャラが立っているとは言えない感じではあるのだけど、ごちゃごちゃと多くの登場人物たちがそれぞれの意思で動き回るという展開は悪くないと思う。けど、作者の予想外にキャラの立った立たないが発生してしまったみたいで、群像劇としてはちょっとアンバランスかなー。言える事はとにかくクラヴリーとチキュウ空手師弟が目立ちすぎ!こいつらキャラが立ちすぎていて、全然負ける気がしねえ。バトルロイヤルとしては致命的なまでに不死身感があって、ちょっと世界観つーか物語から浮いている気がしたなー。主人公の方が存在力で負けているって状況はどうよーとか。いや、キャラクターが勝手動いて魅力的な活躍をしているんだと思いますが。まあそういうのも嫌いじゃないんだけどねー。ここだけの話、実はミカルにはちょっと萌えた。くやしいっ…中身はおっさんなのにっ…!まあともあれ最終的にめでたしめでたし…では全然終わってないよなあ?結局、物事の根本的解決にはなっていなくて、問題を先送りにしただけだと思うんだけど…まあそこまでやってしまってはさすがにリアリティが無さ過ぎかな(物語的な意味で)。このくらいで終わらせればいいのかもしれない。ま、もしかしたら未来編とかで続編が出るかもしれないしね!きちんと終わらせることが出来たみたいで良かったと思います(本当はどうかわからないけど)。お疲れ様でした。

…しかしファレナは絶対どこかで復活すると思ってたのに、完全にスルーだったか…。作者、ファレナは立場が中途半端だったから扱い方に困ったのかな…。

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買ったもの

1.『パンプキン・シザーズ(12)』 岩永亮太郎 講談社
2.『魔法先生ネギま!(28)』 赤松健 講談社
3.『君が僕を 私のどこが好き?』 中里十 ガガガ文庫
4.『あやかしがたり(2)』 渡航 ガガガ文庫
5.『曲矢さんのエア彼氏(2)木村くんの裏設定』 中村九郎 ガガガ文庫
6.『コップクラフト Dragnet Mirage Reloaded』 賀東招ニ ガガガ文庫

買った。

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2009.11.16

『末代まで! LAP1 うらめしやガールズ』読了

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末代まで! LAP1 うらめしやガールズ』(猫砂一平/スニーカー文庫)読了。

スニーカー文庫学園小説大賞受賞作。まだ学園小説大賞ってあったんだな…それがなにより一番の驚きだ…。まあそれはともかくとして、小説とイラストを両方を作者が担当しているってわりと珍しいんじゃないかね。僕の知っている限りだと、安彦良和くらいだなー。まああの人はどっちかと言うと漫画家、なのかな?それはともかく気になるのは小説とイラスト両方とも担当していると、原稿料ってどうなっているのかなー(最悪だ)。

それはそれとして。タイトルからはさっぱり内容が読み取れなかったのだけど、えーと、一応、霊能モータースポーツもの、と言うジャンルと判断すればいいのだろうか。老婆走(ババアレース)なるケッタイなレースのためにスカウトされた主人公、三号(本名不明)が、お岩さんや花子さんなどの霊に振り回されつつレースの楽しさに目覚めていく、と言う王道ストーリー。王道なんだけど、それを意識させない語り口は長所なんだろうなー。一方で、クラスメイトとの気楽な日常もあって、ああこれは学園異能の文脈に沿っているのかもなーと思った。でも、ラブは正直なかったので表紙裏のあらすじは嘘だと思います。

キャラクターはそれほど奇抜ではなく、物語は王道で、たしかに(良くも悪くも)大賞をとるタイプの作品かもしれないなー、と思った。物語はシリアスとコメディのバランスも良く(ややコメディ多め)、アクのない好感の持てる登場人物たちが織り成す青春ストーリー。その上でやっているのが老婆走(ババアレース)と言う奇天烈な題材になっているのがアクセントになっていると思う。まあよく出来るといわざるを得ない内容ですね。

それゆえに評価の難しいところもあって、特筆して飛びぬけたところが見つからないので、今後の展開次第では評価がどうなるかわからないというところがある。少なくとも自分には、よく出来ているなあとは思うものの面白いなあ、と言うところにはあと半歩足りないと言う感じ。まあまだ一巻目だし、今後も続けていくつもりは十分ありそうなので、判断はまだ保留にしておくのがいいのだろう。

あと、つまんないことなんだけど”さん”付きの幽霊が高レベルの幽霊(お岩さんとか)となると、日本以外だとどうなんだろうね。Mrなんとかって名前なんだろうか…(本当につまんねえ)。

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2009.11.14

買ったもの

1.『乱と灰色の世界(1)』 入江亜季 エンターブレイン

買った。

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2009.11.13

『刃の王 堕刻使いの旅立ち』読了

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刃の王 堕刻使いの旅立ち』(神野オキナ/朝日ノベルズ)読了。

神野オキナって個人的に苦手意識があったんだけど、久しぶりに読んでみたら意外と普通に読めた。だけど、たぶんこれ10代の自分が読んだら、ブチ切れそうな作品ではあったなあ。基本的に、神野オキナの作品は、独特の”緩さ”があって、あまり世界観とかをガチガチに固めるタイプではないっぽいんですよね。けっこう既存の、ありがちな概念を使いまわしたりする(そういうところに創意工夫はしない)。一方で物語的にもエッジの効いたところはなく、いわゆるおとなしめな伝奇アクションの範疇に納まってしまっている。あまり読者を駆り立てて引っ張っていくタイプの書き手ではない。10代の頃の自分は物語原理主義者だったこともあり、こういう中途半端なことをしている作品は過剰に厳しく接していたものです。たぶん、昔の自分はこの”緩さ”は許せないものだったろうなーと思う。

もっとも今になってみると、いちいちガッツリ世界を構築しているような作品も重たいし、こういう緩さも悪くないかなーと思えるようになってきた。いいじゃん、なんだかよくわからんが力を手に入れて伝奇アクション。どっかで見たようなピースのパッチワークだったりするけど(エルフ耳の異世界の美少女が日本にやってきてバトルーとか。いちいち書いてみると恥ずかしいなおい)、こういう欲望に忠実なのも悪くないんじゃないかと思えるようになったのは、成長か堕落か自分でも判然としない。まあ楽しければいいじゃん、と思えるようになったのは寛容さを身に着けた結果だと思いたいな。

まあそんなわけなので、毒にも薬にもならない感じだけど、ほどよいぬるま湯につかるような気楽さで読めるのが良いです。なんだかんだで意外な展開というのもあるし(ヒロイン第一候補がああなるとはなあ…)、凝りまくってなんだか明後日の方向に行っている感のある最近のラノベについていけないという人向きの、ある意味、古色蒼然(と言うのが適切かどうかはわからないが)とした伝奇ライトアクションになっています。続きが出たら買おうと思うくらいには楽しかった。

あ、伝奇アクション的に自分が気に入ったところがあって、主人公の能力がワンノブゼムなところは良かったですね(背景的にはなにかありそうだけど…)。いわゆる最強の力とかでは全然なくて、むしろ下級の能力と言うあたりはクールだと思います。最強のとか無敵のとか特別なとかには感情移入出来なくなっているんだよねー。自分も歳を取ったもんだと思います。

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2009.11.12

『ごくペン!』読了

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ごくペン!』(三原みつき/MF文庫J)読了。

極道で筆。なんですかその組み合わせは?と最初は怪訝に思ったけど、読んでいるうちにきちんと組み合わせの意味が分かるようになってきたことが良かったように思います。まああくまでも作中における定義として、極道(と言うか任侠)と言うのは、社会(この場合は学校)のカーストから弾き出されたアウトローであり弱者の行き着く場所であるとされている。ヤンキーが群雄割拠している毒マムシ学園においては力の弱いことこそが”悪”であるとする価値観なんですよね。まあこの学園の設定上は喧嘩の弱いもの=弱者=悪と言う図式になっているわけだけど、これを少数派=悪という図式に当てはめてみれば、普通に世の中に溢れている図式ですよね。で、個人的には世の中、少数派を虐げる社会に生きるのはしんどいので、そのあたりはきちんと権利が認められるような社会がいいなあとは思っているんですけど、やっぱに現実には少数派には厳しい。その厳しい現実と戦っていくにはどうしたらいいのか、と言う話で、そのアプローチの一つとして”ペン”が存在すると言うことなのではないかと思われます。ここで言うペンと言うのは、まあたぶんコミュニケーションの比喩であろうと思いますが、対話することにより、少数派を少数派(極道)たらしめる社会の構造にアプローチ(ペン)していくと言う物語なのでしょう。

まあこの作品はファンタジーですしライトノベルですからその戦っていく過程についてはとくに語るべきところではありません。が、主人公の認識の推移と言う点ではなかなかに興味深い描かれ方をしているように思います。主人公の五十嵐真太郎は、元々はエリートコースまっしぐらであった人間で、本来は多数派(の価値観)に属する人間です。いわゆる勝ち組というやつですね。力が正義の毒マムシ学園に来たことでも、持ち前の論理的なツッコミによって周囲から一目置かれるようになります。ただですね、このツッコミと言うのもそうなんですけど、真太郎は基本的に勝ち組の人間なので、”弱者”の気持ちがわからないんですよね。弱者でありたくないのであれば、強くなればいい。努力すればいい。そういう考え方をする人なわけです。ツッコミが上手いのも、基本的に上から目線なんですよね。粗が見えるので、そこの己の価値観でツッコミを入れる。で、そんな彼は極道の親分として”弱者”の居場所を作っている幼馴染の権田原凛子と再会するわけです。ただ、弱者の存在が理解出来ない真太郎は、彼女のやっていることはただの反社会的行為にしか写らない。これもまた当然であって、社会的弱者が弱者であるのは、実は本人の努力の問題ではないんですよね。社会が弱者を必要とするから弱者と言うのは生まれて来るわけです。だから社会的弱者を救うという行為はイコール反社会的行為となるわけです。社会の秩序に抵抗しているわけですからね。そして社会と言うものの恐ろしさは、その社会体制に応じて”誰でも弱者となりうる”と言うところなわけです。社会と言うもののよって弱者は選択され、役目を負わされる。

そして、激化するヤンキーとヤクザの抗争の末、真太郎もまた自らが弱者であることを知ることになります。正確には、社会体制によっては自分さえも弱者になりうるということを知るわけです。弱者に対する世界の理不尽を思い知ります。強者と弱者の関係と言うのは表裏一体の存在であることを知ります。その上で弱者でありたくないのではあればどうするのか、と言う展開になるわけなんですが、弱者として生きることは、決して人間性の剥奪を意味するものではなく、自分たちとて生きていて良いのだという(新しい)価値観を生み出した主人公はとても良かったと思います。このアプローチは正しく、おそらく弱者が強者に抗う唯一の方法でしょう。ただまあその実現に向けての手段についてはさっきも書きましたけどやっぱりファンタジーなので特に言うことは無いです。個人的は武力革命によって価値観を転倒させることによってそれまでの弱者を救済するという行為は、結局は新たな弱者を生むだけに過ぎないと思うので、後半の展開は手放しで認めることは出来ないんですが、平等などと言うものが本質的に実現不可能な命題であることを考えれば、これもまた歴史の一つとして受け入れるべきなのかもしれないな、と思ったりもしたのでした。フランス革命も血を流しまくったもんな。

まあとにかくこれはそういう話です。社会と弱者にまつわる話ですね。その結論部分は難しい問題なのですけど、それに果敢に挑戦したという点は評価に値するところだと思います。問題提起が面白すぎたゆえに、ラストが社会における悪(とみなされる人物)を倒して解決だぜー!と言う展開はやや残念ではあるけど、エンターテインメントのバランスとしては致し方ないところではあるのでしょう。もちろん普通に幼馴染二人のラブコメとして読んでもいいと思います。思想的な対立をしている二人が相互理解を深めていく展開は、定番ながら悪くない。あ、あとamazonのレビュー評価が異常に低いけど、これはさすがに不当な評価ですね。おそらく作者の問題提起を理解してないのでしょう。そこが肝だと思うんですが、まあエンタメ(と言うかラノベ)としてわかりにくいのは確かなので難しいところではあります。

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謝罪

シュタゲについてプレイしている人のメールフォームに親切めかしてネタバレを送ってしまったやも知れぬ…ッ!送ってからやばかったかもと気がついたあああ!たいした内容ではない、が、本来それさえも自力で見つけるべきもの…。あああちょっと前の自分にDメールを送りてえええええええ!

いやその、もしこのブログをご覧になっていましたら、本当にすいません…。海よりも深く謝罪。

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日々雑記

本の感想ばかりというのも味気ないし、普通のブログみたいに日記を書いてみたいなあ、と思い書き始めたところ、そもそも日記に書くほど面白いことが僕の人生には少ないので本の感想ブログにしたのだった、ということを10秒くらいで思い出した。まあ日記に書くほど面白い人生じゃなくても自分の中で楽しければ良いと思うんだけど、僕の場合、僕が一番つまらんからなー。

まあ、普通のブログらしく日記を書いたり自分語りをしたり社会情勢に対してかっこいい警句を発したりしたいという欲望はあるので、一行とかでもいいから書いてみたいなーと言う気持ちもあって。でもそれならついったーでもいいんじゃね?と、ウダウダと思考が空転する。いやなんか最近のブログを読み返してみると、本の感想だけだとなんか寂しくね?殺伐としてね?とか思っただけなんだけど、なんでこんな寂しい自分を発見してんの?悲しくなってきた…。

(しかし、こういうダラダラと脳みそ使わないで書くことに関してはついったーは向かねえんだな。やっぱり。いや書けなくはないけど、字数制限があるのでどうしてもそれでまとめようとしてしまうんだ。こういう心底どうでもいい話題(ですらない)はカットせざるを得ない)

と言うわけでぶっちゃけると、このブログがラノベ感想ブログになっているのは、別に自分がラノベが好きで好きでたまらない!と言うわけじゃなくて(いやどっちかと言えば好きだけど)、他に書くことがないから仕方なく書いている側面が強いんだよね。って、身も蓋もねえなオレ。書かなきゃいいじゃんと言う意見はまことにごもっともだけど、なんか書いていないと落ち着かない人間なもので…。アウトプットしないと死ぬ。

なんだかんだで自分語りをしてしまった。

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気になっていること

「true tears」Blu-ray BOX 予約受付開始!

すでにDVDを買っていることを考えて、今更購入する意義があるのかと言う点で迷いはあるんだけど(画質にはそれほど拘りないし)…一応、ファンのはしくれとして予約することにした。一応、例のBD化プロジェクトの成果をいきなり頓挫させるのも気が引けるし(まあ自分は投票してないんだけど)。ただ、申し込みがすごくめんどくさいのでなかなか腰が動かないんだけど、ここで書くことで自分の退路を断つことにする。こういうとき無信仰というのは面倒くさいよな。やる気を出すきっかけを自分で理論化しないと出てこない(オレもブルーレイ教に信仰が持てればよかったんだけどね…)。

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2009.11.11

『蒼穹のカルマ(3)』読了

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蒼穹のカルマ(3)』(橘公司/富士見ファンタジア文庫)読了。

いい感じに話がまとまってきました。ただ予想はしていたけど、一巻の一人ジャンルクロスオーバー要素はどうにも使いこなせていない感じだなー。どうも作者自身、設定の扱いに困っている気がする。世界観外の存在は一応出てくるんだけど、物語の本編に関わってくることがなくて、結局、「カルマの世界の物語」に留まっている。まあ別にそれでなにか問題があるわけじゃないんだけどさ。そのカルマの世界の物語が実に強固であるからこそ、一巻ではそれが本編ではないと言うことのギャップが生まれたわけで、結局、一発ネタだからな。続編でこれが活かせるとは思ってなかったしなー。とは言え、だったらこの作品は一体なんだったのか、と言う根本的な疑問が生じるなー…。まあまだ3巻目だし、もしからしたら今後(打ち切られなければ)クロスオーバーが意味を持ってくるのかもしれないし、個人的には期待しておこうかな。あ?これは叔母かコメディであり、そんなの期待する方が間違っているって?いやまあそれならそれでもいいんだけどさ。

それはそれとしてラストにはひっくり返りました。カルマさんは本当にパネェと思います。この人の行動原理は何が起ころうとも微塵も揺らぎませんねー。そこのキャラ描写は大変素晴らしかったと思います。

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買ったもの

1.『マップス・ネクストシート(8)』 長谷川裕一 ソフトバンククリエイティブ
2.『神曲奏界ポリフォニカ アドヴェント・ブラック』 大迫純一 GA文庫

買った。

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2009.11.10

買ったもの

1.『惑星のさみだれ(8)』 水上悟志 少年画報社
2.『戦国妖弧(3)』 水上悟志 マックガーデン
3.『フルカワヒデオスピークス! エクス・ポ・ブックス1』 古川日出男 ARTES
4.『完全教祖マニュアル』 架神恭介/辰巳一世 ちくま新書

買った。

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2009.11.09

『RPG W(・∀・)RLD(3)』読了

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RPG W(・∀・)RLD(3)』(吉村夜/富士見ファンタジア文庫)読了。

帯を信じる限り好調らしい。吉村夜は非常に教養的な作家ですが、このシリーズは教養的な部分を平凡な人間の自己実現の物語と重ね合わせることで、教養主義的の持つ堅苦しさ、説教くささを上手く逃れていると思うので、評判が良いとしても不思議ではないかな。吉村夜もラノベ作家としてはわりと不遇な人だったので、今回の作品こそ売れて欲しいなあ、と思うのだった。

今回は、勇者をロールプレイをすることを決意したユーゴが、自分の限界を突きつけられる話。思ったより早い段階でこの部分に踏み込んできたと言う印象。もっと切羽詰った状況で突きつけられるより、まだ挽回の余地のあるこの段階で踏み込んだのは、ユーゴ本人的には良かったのではないかな。真面目に世界を救う勇者になろうとして、かつそれだけの能力と機知を持ってはいるものの、ちょっと危ういところもあったしね。ユーゴのカウンターとしてショウが機能してくることは予想はしていたけど、鉄板の展開だけに嬉しくもあるよなー。わかっちゃいるけど、やっぱり王道の展開は楽しいよ。ユーゴを支える存在としてイシュラの存在も大きくなってきたし、レヴィアはレヴィアで”信じること”の意味を知りながら、独自の存在感を持つようになってきた。それらの描写は決して独特なものではなく、基本に忠実なものではあるけど、それぞれが健全に成長していることが嫌味なく描かれており、爽やかな快感がある。いつもの作者だとこのあたりの成長描写が非常に教養的で鼻につくことがあるんだけど、わりとキャラ描写そのものは記号的に描かれていることもあり、説教くさくない感じがする。いい意味で生々しさがないのかもなー。RPG的な世界設定のおかげかもしれないと思うと、作者はけっこう上手く設定を作ったなーと感心してしまうのだった。まあちょっとエルが割りを食った印象もあるけど、作者のことだから今後活躍の機会があるだろう。故郷に戻るらしい次巻あたりが可能性高いかなー。

とりあえず4巻で完結ではなく、今後もシリーズは継続していくということは確定でいいのかな。まとめようと思えばあと一巻でまとめられそうな気もするが、出来れば登場人物たちの成長物語をもっと見てみたいので、続いて欲しいと思う。たのむぜー富士見ファンタジア文庫さんよー。

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2009.11.08

『白夢(2)白雲学園の姫巫女』読了

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白夢(2)白雲学園の姫巫女』(瀬尾つかさ/富士見ファンタジア文庫)読了。

作者にしては随分余裕のある作り方をしているなあ、と言うのが第一印象。いつもだったら過剰なまでに設定と物語を突っ込み、キャラクターを犠牲にするほどに密度の濃い作品だと思うのだけど、今回はキャラクターを描写するのに余裕を持っている感じ。はっきり行って、この2巻は、かすみと言う新キャラの紹介と神楽と榮一の関係性の強化が中心になっていて、物語の世界観担当である雪姫サイドの話はあまり動いていない気がする。いや、まあ、すでに霧使いと<はぐれ>の関係とか、重要な部分は明かされているのだけど、作品の焦点がそこにあっていないと言うか…。やっぱり今までの手法だと売れなかったのかなあ。作品の作り方を見直してきているんだろうか…。あの圧倒的なインフレ感がなんとなく懐かしい(まああれは壮大なプロットを無理矢理4巻ぐらいでまとめなくてはならなくなったことの副作用だったんだろうけど)。今回は将来を見据えてプロットに余裕を作っているところなのかもなー。まず最初にキャラで売り出して、これでシリーズ継続が出来れば世界観を強化して行く感じか。あーなんつーか、十文字青とかもそうだけど、こういう根本的にライトノベルに向いてない作家がラノベ業界に生きるのって大変そうだなー。本人の本当に書きたいこととズレがある感じがするだもん。瀬尾つかさは早くハヤカワ文庫とかに新しい道を探した方がいいんじゃねえかな、と言う気がいたします。無責任な意見ですね。

今回はキャラクターの関係性強化の話と言うとおり、新ヒロインキャラ登場(天才少女も人外ロリも出てきます)に加えて、榮一と神楽を中心に話が進む。榮一はこの手の学園異能主人公の比べると覚悟完了のスピードが極めて高く、今回で自分が人間ではないということを知ってもすぐに受け入れた上で、自分の守るべきものの守ることを決めるナイスガイぶりを発揮しているのだけど、同様の境遇でありかつ自己を確立できていない神楽と対立と和解のシークエンスを経るのは納得感は高かった(ちょっとバトルに入る感情の流れがよくわからないところがあったけど)。一方でキャラを動かしながら、”向こう側”の舞台設定も明らかにされつつあり、物語が停滞している印象はなく、物語はどんどん動いているのも良い。個人的にはあまりキャラに偏重しないで欲しいものだけど、まあそのあたりは事情もあるのだろうし、バランスをとってやっていて欲しいな。

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2009.11.07

買ったもの

1.『護樹騎士団物語 幼年学校編(1)』 水月郁見 徳間ノベルスエッジ
2.『ギャンブルフィッシュ(11)(12)(13)(14)』 原作:青山広美 作画:山根和俊 秋田書店

買った。

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2009.11.06

『うかつに復活!!邪神大沼(2)』読了

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うかつに復活!!邪神大沼(2)』(川岸殴魚/ガガガ文庫)読了。

ニャル子さんに続いて現在のライトノベルには空前の邪神ブームが到来している!…かどうかは知らないしどうでもいいことですけど、相変わらず素晴らしいセンスをしてますねこの作者…。読んだ後に何一つあとに引くものがないけど、読んでいるときはとにかく楽しい。ギャグのセンスが素晴らしいんですね。真面目な顔と口調でしょうもないことを淡々と語り続けるような、ちょっと(いい意味で)おかしなセンスがある。その上で、意外と(すいません)ストーリーテリングも巧みで、主人公の大沼君の周囲で事件が起こって行くのだけど、事件の流れが非常にポップで軽快な印象もあり、その軽快さがキャラクターに良い意味での軽さを与えている。極端なキャラクター性と言うのはないけど、むしろ物語はポップ感を重視していると思われるので、おそらくこれがベターなのだろうなー。スピードを重視する物語には重いキャラクター性は邪魔になる。大沼が邪神であることは邪神であるからして邪神であるのだし、ナナはスターターキットであり、勇者は勇者であればよく、そこには葛藤は存在しない。と言うよりする必要がないんだよね。そんなものが存在しては物語の軽みが失われてしまうと言うことなんだろーなー。キャラクター性は潔く切り捨て、物語のポップ感のみを抽出したこの作品は実に見事な作品であると思った次第である。正直、一巻よりもさらに感心したもん。一巻ではまだ多少の説明的な部分が残ってたけど、今回はもう本当に説明的な部分を完全排除している感じ。ここまで徹底するとは(もう萌えとかほとんど意識してねーよなこの作者)まさしく天晴れと言うほかありませんね。出版したガガガ文庫も偉いよ。

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買ったもの

1.『金剛番長(8)(9)』 鈴木央 小学館
2.『カブのイサキ(2)』 芦奈野ひとし 講談社

買った。

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2009.11.05

『這いよれ!ニャル子さん(3)』読了

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這いよれ!ニャル子さん(3)』(逢空万太/GA文庫)読了。

ラブ(クラフト)コメディ。フラッシュアニメ(ってどんなのだ?)にもなるらしいし、好調みたいですね。GA文庫では今一番勢いがある作品と言えるのかもしれません。言えないかもしれません。どっちだよ。

いや、正直、これがヒットしている印象が全然無いんだよね。まあクトゥルー神話もここまで来たのか…と思うと正直いろいろと感慨深いというか日本始まったな!と言うか終わったな!と言う気がするんだけど、まあやっていることはコメディだからね(ラブではない)。基本的に「かはは、くだらねー」と言うスタンスで読むと大変素晴らしい代物であると思います。美少女を二人も登場させておいて、徹頭徹尾脱力系の展開は非常に頭が悪くで素晴らしい。3巻になってもそのセンスは衰えを知らず、ありがちかつ定番(同じ意味だ)な入れ替わりネタを駆使して相変わらずしょーもないセンスを見せ付けてくれる。素晴らしいですね。

一方で主人公の母親のネタとか、物語らしきものも動いてきているような、そうでもないような気もする展開もあり、次巻ぐらいで一区切りがつきそうな気もする。…全然関係ないけど、これ母親が出張に行っている間の話なので、3巻になって時点で1巻の物語開始から2週間ぐらいしか経ってないんだよね…。なんて密度の濃い時間を過ごしているんだ主人公は…。そういうわけでラストの展開には、よーやく落ちモノの基本路線である家族との対話が発生するのかーと思ったりもしたのだった。

あ、全然関係ないけど主人公のフォーク使いはやっぱり”異能”だったんだよね!?ニャル子ですら回避不能と言う時点で怪しかったけど、ただのギャグかと思わせておいて、実はと言う展開だったのだろーか?まあ母親はきっと邪神ハンターかなんかなんだろうな…。

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買ったもの

1.『アスラクライン(13)さくらさくら』 三雲岳斗 電撃文庫
2.『狼と香辛料(13)Side ColorsⅢ』 支倉凍砂 電撃文庫
3.『とある魔術の禁書目録(19)』 鎌池和馬 電撃文庫
4.『電波女と青春男(3)』 入間人間 電撃文庫
5.『ぐらシャチ』 中村恵里加 電撃文庫
6.『ヴェーン飛空船物語』 船戸明里 幻冬舎

買った。6は完全に作者買いではあるのだが、ゲームの方も買ってもいいかなあ…と思わないでもない。

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2009.11.04

『アクセル・ワールド(3)夕闇の略奪者』読了

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アクセル・ワールド(3)夕闇の略奪者』(川原礫/電撃文庫)読了。

心意システムってようするに少年漫画における”根性”とか”気合”をシステム化したものだとは理解したんだけど…なんか扱い方が難しそうな設定だよなあ。まあ、今後、主人公たちが気合と努力と根性で奇跡を呼び込むという一連のシークエンスをシステマティックに設計していると考えれば作者の用意周到さには脱帽するんだけど、逆に奇跡が安っぽくならないかなあ…。え?奇跡ってのはきちんとゲーム上に設定されているでしょ?みたいな。まあゲームだからこそ、奇跡さえも要素として組み込んでいることで、あえて奇跡の価値を視覚化したとも考えられるが…。つまり、今後乗り越えるべき要素としての演出された奇跡であり、人工の奇跡を超越した本当の奇跡の価値を強調するとか。うーん、まだわからん。この作者は細部まで徹底して構築しているタイプのように思えるのだが、作者の資質として内向きなのか外向きなのかが未だによくわからないんですよねー。…なんか前も同じことを書いたような気もするけど、本当にこの作者の志向している方向性がよくわからん…。

まあでも内容の面白さにはブレが相変わらずないねー。心意システムにしても、作中の設定を小出しにしつつ、物語における中心核として位置付けて行くところなんてものすごく上手いと思った。正直、上手すぎて鼻につくぐらいだ。言いがかりですよねすいません。

でー…いきなり書くことがなくなったな…。本当にこの作者は感想を書きにくいぜ。まったく毎回同じことを書いているよね。たぶん今後も書くんだろうな。いやー主人公が罠にはまってスクールカースト最下層に落ち込んでもっとも大切なものを奪われるとかすげー嫌な話だったりするけど、克服されるべき試練と言うのが事前にわかるので(この作者はそういう物語の手続きを外さないのは偉い)、そんなに読み手側が追い詰められる感じはしないんだよね。たぶん、作者も読者をそこまで追い詰めるつもりは無いと思うんだ。そのあたりはエンターテインメント作家としてのバランスと言う他ないんだけど、そのあたりがソツがないよなーと思ったりもしたのだった。たぶん、この作者ならもっといくらでも身を切るような描写が出来ると思うんだけど、あえてやってない気がする。なんか描写に余裕がある感じがするんだ。さらに踏み込めるのに、そこを踏み込まない感じがあって、そのあたりになぜか不完全燃焼な印象を受けてしまう。面白いのになにか物足りないと言うか語りにくいところと言うのはそういうところにもあるのかもしれんね。

しかし、まさかの「次回に続く」にはまいったぜ。完璧に少年漫画のノリだなー。乗せられているのはわかってはいるが、それでも続きが気になっちまう。早く続きだ。続きを出してください。

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買ったもの

1.『スティール・ボール・ラン(19)』 荒木飛呂彦 集英社
2.『銀魂(31)』 空知英秋 集英社
3.『バクマン。(5)』 原作:大場つぐみ 漫画:小畑健 集英社
4.『スケット・ダンス(10)』 篠原健太 集英社
5.『ToLOVEる(16)』 脚本:長谷見沙貴 漫画:矢吹健太郎 集英社
6.『よくわかる現代魔法(2)』 原作:桜坂洋 漫画:宮下未紀 集英社
7.『クレイモア(17)』 八木教広 集英社

買った。

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2009.11.02

『キノの旅(13)』読了

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キノの旅(13)』(時雨沢恵一/電撃文庫)読了。

だんだんこのシリーズも風刺的な側面よりも奇譚というイメージが強くなってきたような気がする。まあ元々風刺的な意味合いで読むとそれほど面白くはなくて、毎回出てくる国の不条理さを感じながら読む方が自分は好きなのでこの方向性はむしろ嬉しい。同じ旅人ながらもそれぞれスタンスの違う三組の旅人たちが訪れる奇妙な国で巻き込まれる奇妙な(そしてときに不条理な)出来事に対して、それぞれのスタンスで接していくという、まあそれだけの話。師匠組は徹底したリアリストかつ利己主義者として事件に積極的に関わり、良くも悪くも出来事に巻き込まれた人々に大きな影響を与えていく。シズは常に自分の安住の地を求めて訪れた国を理解しようと試みる。そしてキノは基本的に総スルーしつつ出来事を淡々と見つめ、去っていく。その三者に共通するのは、世界は基本的に醜くで理不尽であると理解している事。その上で、時に美しいものもあるということを知っていること。師匠は積極的に自ら手を下し、シズはひたすらに求め希求し、キノは傍観するだけ。そのようにスタンスに違いはあるものの、根底にある認識(ある種の諦観)は同様のものだ。もっとも、『キノの旅』の中で美しいものはほとんどない…。すべてのものは矛盾を抱え、その矛盾を矛盾と認識することなく人々は生きている。その矛盾の中で、本当の意味で美しいものが生まれることが、あるかもしれないし、ないかもしれない。それはまあ、アウトサイダーであるキノたちにとっては関係の無いことであるのかもしれないのだが、だからこそ、ときに美しいものを見たときの彼らはひどく喜ぶ。それが自分のものではなくても、それが存在するとわかるだけで、生きることに意味が生まれるからだ。そしてそれ以上でも以下でもなくただ存在することに意味があることなのだろう。

追記。おまけの『いろいろな話』はぶっちゃけひどすぎる。まあ物事なんて真剣に考えすぎるとろくなことにならんので、これぐらいの砕けた態度で望むくらいがちょうどいいんだろうがね。

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『Steins;Gate(シュタインズ・ゲート)』について徒然…その2

51qzz98dldl__ss400_Steins;Gate(シュタインズ・ゲート)』についてプレイするまでの状況。…それにしてもここ一週間におけるシュタゲ熱は異常なことになってんな。個人的にはこのゲームのためだけにXBOX360を買うまではしなくてもいいと思ってはいるんだけど、ここまで過熱すると専用機として買う人も出そうだな…。まあとりあえずクリアした人間のアドバイスとしては、体験版の”最後”までやってみて、興味を少しでも惹かれたのならマストバイだ、ってことだけだな(薦めているじゃねえか)。

このゲームをやろうと思ったのはそれほど強い動機があったわけではない。前作の『Chaos;HEAd』のPC版はやっていて、まあつまらなくはないけど、キャラクターを活かしきれなかった印象と、最後に無理矢理燃えを持ち込んでしまったところをあまり評価していなくて、総合評価は微妙なものだったんだよな。そんなわけだから、新作であるこの作品についてもそれほど期待はしてしなかった。というか発売するということさえ、前日になって気がついたぐらい。まあそれぐらいの注目度だったわけだ。

どちらかと言うと、発売日の自分は『アンチャーテッド黄金刀と消えた船団』の方に意識が向いていて、とりあえずこれを買って、ついでに限定版が出ていた『Steins;Gate』も「まあ買っとくか」というレベルで購入したのでした。その週末は、アンチャーテッドをひたすらプレイし、そのあまりに美麗な映像、軽快なアクションにひたすらプレイ。丸2日かけてノーマルとは言えエンディングを見た。満足した。上級コースを求めてまたプレイするかもしれないけど、とりあえずこれはこれで一区切りしたと思った。

休日も夜になっていて、ちょっと時間が余ったな、と思った自分は『Steins;Gate』をプレイし始めたのであった。地獄の門を開いてしまったことを知ったのはその数時間ほどのことである。

自分がどのようにプレイしていったのかについて書き出すとまた長くなるので、もうちょっと余裕が出来てから。というわけでまた次回。

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2009.11.01

『少年テングサのしょっぱい呪文』読了

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少年テングサのしょっぱい呪文』(牧野修/電撃文庫)読了。

牧野修が電撃文庫に進出だ。なんだってー!と目が点になるほどの驚き。正直、牧野修の商業デビュー作である『王の眠る丘』から読んでいる自分としては、動揺の念を抑えることが出来なかった。だって、この人、たしかにジュヴナイルと言うか少年が主人公の作品をいくつか書いているけど、そのビルドゥンクスロマンとしては、常になにかが歪んでいる作品ばかりなんだもん。主人公が成長して悪を倒した、と思ったら残酷な未来が決定されていたとか、そんなんばっかり。この人、成長物語に対して悪意を抱いているんじゃないかと思うぐらいだ。もちろん、多彩な作品を書いている人なので、ホラーやSFホラーやファンタジーホラーとか(全部ホラーじゃねえか)さまざまな作品で描かれている悪意と奇想に満ちたグロテスクな世界に慣れ親しんでいる自分のような読者からすると、いかにもラノベなイラスト満載のこの作品の存在を知ったときを驚愕ぶりは本当に半端なものではなかった。天地が引っくり返るような、と言うのは大袈裟にしても、眩暈を覚えるほど驚いてしまった。本当に一体何が起こったんだろうな…。そんな先入観があったものだから、この本を実際に手に取った時も、正直、おそるおそるという感じだった。すめらぎ琥珀のイラストがまた酩酊感をかもし出すような気がしたので、どうしようかと思ったものだ。

結論から言うと完璧に杞憂だった。これは牧野修以外のなにものではない。それでいてライトノベルでもある。ライトノベルとはなにか、と言うと定義するだけでも論争で日が暮れそうなものなので深くは追求しないが、まあキャラクターが牧野修にしてはかなり極端に描かれているという点と、日常描写のバカ3人集の会話のくだらなさが楽しいという点が、自分の感じるライトノベルの感じにフィットする感じだった。まあとは言っても、一般的なライトノベルからするとキャラクターは実際にその辺にいそうな感じで地に足がついている描写だし、邪気眼的なキャラ設定とも無縁だ。まあ登場人物の名前はかなりヘンテコではあるが、これはある意味ライトノベル的にものに対するパロディの側面があり、主人公たちはそんなヘンテコな名前をつけた親に対して文句をぶーぶー言ったりする。同じように主人公には実は世界最強とも噂される邪神が取り付いているという設定があるんだけど、これまた中二設定に対するカウンターであり、この世界では邪神は法人格を有しており、邪神の依り代となっている主人公は、邪神法人の代表者として、法律と手続きに則った行動を制限されるというあたりのとぼけ方も絶妙だった。邪神の依り代になっているとは言え、主人公のテングサには何の力もなく、法的手続きによる申請によって、危機を切り抜けようとするあたりの展開のユーモアはさすがだなあと思った。一方で、牧野修のグロテスク面は大分マイルドになっている印象。いつもの牧野修だったら、1章のイジメのシーンなどさぞかし活き活きと描写したであろうと思うのだが、その辺はぼかしていた。まあラノベとしては当然かな…。

全体的に、邪神が実在する世界であっても、世界はとくに変わりようもなく、当たり前に過ぎていくと言う視点がシビアであるし、その上で、全編を通して流れるノスタルジックな雰囲気が作品を非常に優しいものにもしている(話は変わるが、この物語は主人公の回想と言う形で描かれているようだ。冒頭で、「あの頃の僕らの武器は無知だった」、と書かれていることからも明白だが、全編を通して愚かだがひた向きだった少年時代へのノスタルジーが作品を支配している)。世界は残酷だが、その残酷さを知らないまま生きることは幸福である、と言うような感覚。その意味では、これは読者対象は大人になった元少年、と言うコンセプトなのかもしれない。

物語上で起こっている出来事はかなりグロテスクだったり残酷だったりするのだけど、それに対して主人公たちがわりとのほほんとしているところがすごく良かった。趣味が悪くて(牧野修の真骨頂ですね)。世の中には残酷でグロテスクなことばかり起こるけど、そんなことにいちいちトラウマなんて負っていられるほど人生は暇じゃねーんだ、と言うふてぶてしさがいい。ラノベでは大抵悲惨な出来事が起こると登場人物たちの葛藤がくどいくらいに描写されたりするけど、自分はこれくらいの突き放した感じが好きだな。やっぱり自分も年を取ったなと思うのは、そういうベチョベチョした感情のもつれを描いても、世の中そんなもんになんの意味もないんだよなー(お前の悩みなどオレにはなんの価値もねえ)と言う認識があるからだろうね。

あと、細かいところで牧野修らしいネタ?と言うと語弊があるような気もするけど、いろいろあって楽しかった。邪神の仮想人格の存在定義を「物語られるためのもの」としているところがあって、ああ、牧野修の一連のテーマはここにも続いているのだなあと思った。あと、これはネタバレになるけど、これって基本的に商業デビュー作の『王の眠る丘』とテーマ、構造が似通っているよね。無知なる少年が世界を動かし、そして円環は完成する。まあこっちはあれより救いのある話ではあるけど。ラストの落とし方には正直胸が突かれる思いだった。どこか救いがあるような、何も救いがないような、そんな不思議な終わり方。感情の持って行き場がない、そんな感じ。テングサも同じような気持ちだったのかもしれないなあ…。彼の「呪文」はそんな自分に対する鼓舞なのか、罰なのか…なんともやりきれない感じがした。

備考。ネチカさんはすごくいいキャラでしたね。作品におけるグロ担当にして作者の好きなドSでマッチョだけど可愛い女性を体現してた。物語の主格ではないけれど(仮想人格だしな)、彼女(とゲスチエ)がいなかったらこの物語は成立しなかった。助演女優賞をあげたい。

備考2。続編読みたいなあ…。売り上げ次第なんだろうけど、(たぶん)厳しいと思われるので、なんとか売れて欲しいなあ…。

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