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2009.11.02

『キノの旅(13)』読了

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キノの旅(13)』(時雨沢恵一/電撃文庫)読了。

だんだんこのシリーズも風刺的な側面よりも奇譚というイメージが強くなってきたような気がする。まあ元々風刺的な意味合いで読むとそれほど面白くはなくて、毎回出てくる国の不条理さを感じながら読む方が自分は好きなのでこの方向性はむしろ嬉しい。同じ旅人ながらもそれぞれスタンスの違う三組の旅人たちが訪れる奇妙な国で巻き込まれる奇妙な(そしてときに不条理な)出来事に対して、それぞれのスタンスで接していくという、まあそれだけの話。師匠組は徹底したリアリストかつ利己主義者として事件に積極的に関わり、良くも悪くも出来事に巻き込まれた人々に大きな影響を与えていく。シズは常に自分の安住の地を求めて訪れた国を理解しようと試みる。そしてキノは基本的に総スルーしつつ出来事を淡々と見つめ、去っていく。その三者に共通するのは、世界は基本的に醜くで理不尽であると理解している事。その上で、時に美しいものもあるということを知っていること。師匠は積極的に自ら手を下し、シズはひたすらに求め希求し、キノは傍観するだけ。そのようにスタンスに違いはあるものの、根底にある認識(ある種の諦観)は同様のものだ。もっとも、『キノの旅』の中で美しいものはほとんどない…。すべてのものは矛盾を抱え、その矛盾を矛盾と認識することなく人々は生きている。その矛盾の中で、本当の意味で美しいものが生まれることが、あるかもしれないし、ないかもしれない。それはまあ、アウトサイダーであるキノたちにとっては関係の無いことであるのかもしれないのだが、だからこそ、ときに美しいものを見たときの彼らはひどく喜ぶ。それが自分のものではなくても、それが存在するとわかるだけで、生きることに意味が生まれるからだ。そしてそれ以上でも以下でもなくただ存在することに意味があることなのだろう。

追記。おまけの『いろいろな話』はぶっちゃけひどすぎる。まあ物事なんて真剣に考えすぎるとろくなことにならんので、これぐらいの砕けた態度で望むくらいがちょうどいいんだろうがね。

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