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2009.10.02

『桜の下で会いましょう』読了

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桜の下で会いましょう』(久遠くおん/HJ文庫)読了。

ノベルジャパン対象の優秀賞受賞、と言うことで新人賞受賞作好きとしてなんとなく買ってしまった。正直、まったくなにも情報がなかったので(あらすじを読んでも内容が良く分からない)いささか危惧はあったのだが…ちょっと残念なところが多かったかと思う。

忌憚の無いところを言わせてもらうと、いささか荒削りすぎる内容といわざるを得ないところがある。無駄な部分が多いというか、物語に不必要な部分が多く、読みながら緊張感を削ぐところがあった。前半の主人公たちのお茶会シーンはあそこまで積み重ねる必要があったのかいまいちよくわからん。

また、これは自分の純然たる趣味によるものなのでその分を割り引いて欲しいのだが、タイトルからして”桜の下”と言うキーワードがあるように、ある少年と少女が、”桜の下”の人間離れした少女と出会う、と言う場面が序盤の重要なシーンなのだが、残念ながら、その”桜の下”、まあ要するに異界のシーンに魅力が感じられなかったのである。抽象的な言い方をすれば”異界感”が感じられないということも出来ようか。”桜の下”の世界に、描写的な美しさや妖しさ、と言うべきものが感じ取れればもっと自分の印象も変わったと思うのだが、どうも作者の興味はそこにないのかどうかはわからないが、なんか普通に出会ってしまっている。異界が魅力的に感じられないというのは、けっこう致命的な部分なのではあるまいか。

無論、単にテンプレート的な”異世界”をお約束に則って描くのではなく、作者なりに咀嚼して構築しようとしているところは評価するべきであろうが、それだけではなんとも難しい。それは今作に登場する異能である”錬金術”にも言えて、作者なりに独自性を出そうとは努力はしているのだと思うのだが、やはり学園異能的アクションの枠を出るものではない。駆け引きの妙を楽しむでもなければ、独特の世界を構築しているわけでもないと、非常に厳しい言い方をせざるを得ない。

作者の描きたいものと言うのはわかるのだが、それが実現できていないという印象を強く受けた。異界の描写により一層の幻想性を付与できればまた違った印象になったのだが、それが現れていない時点で自分の中では高評価することは難しい。ただ、これは自分の”ファンタジー”へのこだわりが為せる部分でもあるので、純粋にライトノベルとして読んだときにはまた別の評価があるのかもしれない。そのあたりについては、また別の話になってしまうので、置いておく。

まあこういうこともあるということで。残念なことです。

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