『僕は友達が少ない』読了
『僕は友達が少ない』(平坂読/MF文庫J)読了。
ラノベ部と違って好き放題書いた、と言うのは作者の言だが…正直、ラノベ四コマと言う意味では方向性としては同じような気がする。と言うわけで、個人的にはラノベ部と非常に近い傾向があるかと思います。残念残念と強調されているけど、主人公はなんだかんだでリア充しているのであまり残念だとは思えなかったり。だって美少女と一緒にプールに行っている時点ですでにリア充決定じゃろ。その意味では登場人物たちに感情移入するのは難しいよなー。全然、残念じゃないもんなー。まあ素直に友情とか恋愛とかコメディを描くことが出来ない作者なりの韜晦と言うかツンデレなので、まあ一言で言えばいつもの平坂読だよね。
そんなわけで、友達がいない自分をひたすら自虐した駄目人間コメディに、ラノベ的(ラブコメ、ギャルゲ的)修飾を施すことで、得体の知れないものを作り上げており、作者の作品を愛好する人にはなんの問題もなく楽しむことが出来る内容になっている。平坂読はやっぱり自虐ネタが好きだなあ、と思うわけだけど、その自虐ネタを、あくまでもラノベ的フォーマットに乗せているために、忌避感を感じられにくいというところは手腕を素直に褒めるべきところだろう。初期作品では自虐がそのまま出すぎている傾向があったので、今作ではうまくベタに包んでいるあたりに、作者の確かな成長が見受けられる。…まあもうちょっと素直に成長してもいいんじゃないかなあ…と言う気もするのだが、素直な平坂読など平坂読ではないので仕方の無いところなのだろう。
ええと、内容については、非常に説明し難いな。なにか特筆したテーマがあるわけでもなく、なにかが過剰にあるわけでもない。隣人部のメンツの、一緒に遊んだり、いがみ合ったり、部員を募集したりする、平凡ながらケッタイな日常を描いている。なにも事件が起こらないのに面白い日常を描けると言うのは、けっこう大変なものだと思うのですよ。こんななんでもない日常を描きながら、作品としてはあくまでもラノベと言うフォーマットを外していないというのは非常に面白い感覚だと思う。ダラダラと部活をしてだべったりする楽しさと言うものを、このように上手く描いている作品はわりと貴重であろう。下手にサスペンスフルな作品を描くよりもかえって難しい方向だと思うので、作者の力量を軽く見るわけにはいかないのではないか、と思うのだった。
この良い意味でのやる気の無さがとても読んでいて気持ちが良いと思うのでした。なんとなく繰り返し読んでしまうタイプの作品だよな。その空気に何度も触れてしまいたくなると言うか。
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