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2009.09.23

『私立! 三十三間堂学院 (9)』読了

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私立! 三十三間堂学院 (9)』(佐藤ケイ/電撃文庫)読了。

学園戦略群像ラブコメもはや9巻。しかしまったくテンションが落ちないということは素直にすごいと思わざるを得ない。たくさんの登場人物をこれでもかと登場させながら、全員のキャラを立たせると言う難事をたやすく(見える)成立させてしまっているのだ。どのキャラクターも活き活きと描かれており、実に魅力的である。佐藤ケイと言えば、”萌え”をツールとして利用しまくる作家であると言うのは定説ですが(たぶん)、キャラの立て方は意外とオーソドックスなんだよな。キャラクターを動かすのに、派手はキャラクター性は、実はあまり必要ない。まったくいらないわけじゃないけど、すべてではないと言うべきか。あくまでもキャラクターを動かすのは、キャラクターの背負った背景であり、エピソード。萌え(だけではなく、極端なキャラクター性)はあくまでも装飾品の一つでしかない、という割り切り方が見事と言うほかは無い。自分は群像劇を描くときは、キャラクターはエピソードで語ってほしいというタイプなので、佐藤ケイは実に見事な群像劇の描き手であるなあ、と毎回思っていることなのだがあらためて感心してしまったのだった。

今回はバンド結成を目指す”まこ”と雷花がメイン。バンドを組もうとアプローチするまこに対して、それを断り続ける雷花がいろいろとぶつかり合いながら、音楽祭に向けて活動していくのが物語の中心となる。学園唯一の男である法行もそこには関わってくるのだが、まああまり二人の関係に介入してくることはない。まあ事件の発端ではあるのだけどね。法行に音楽祭で花束を渡そうとする策士たちの暗闘が繰り広げられ、さまざまな要因が絡み合って波乱の音楽祭が生まれていくと言う舞台設定まで巧みに生み出していく作者の手際の良さは瞠目に値するだろう。その音楽祭を取り締まる生徒会の面々のキャラクターもここでいろいろと描写され、始めの方ではただのかませでしかなかった南や千秋などのキャラクターも補強され続けている。とくに南はどんどんキャラ格が高まっているので、おそらく作者としては今後活躍させるキャラクターなんじゃないかな、と思う。今は仕込みの時期なのではあるまいか。

さまざまな思惑が絡み合い、最終局面に向かっていくのだが、その混乱の中、雷花の抱えている葛藤を強引にねじ伏せていく展開はなかなかに迫力があった。ご都合主義と紙一重だが、それを感じさせないのは入念に構築された舞台設定のたまものであろう。そこに至るまでの物語にきちんと説得力が生まれているからこそ、雷花の葛藤を乗り越える姿が説得力も持つのだ。その雷花を支えるまこたちの活躍も見事だった。法行はすっかり名脇役と言うか、縁の下の力持ち的な役割になっているが、まあこいつがメインになると話がややこしくなるからこれでいいのかもなー。

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