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2009.08.31

『宇宙をかける少女(下)』読了

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宇宙をかける少女(下)』(瀬尾つかさ/一迅社文庫)読了。

レオパルドと秋葉の最終決戦。物語の規模がどんどんスケールアップしていくのはさすが瀬尾つかさと言う感じだったな。登場人物たちの葛藤にも、一人一人きちんと決着を付けていくところも見事だった。特に感心させられたのが、アレイダこと獅子堂ナミの、姉、神楽に対する愛憎と、その行き着く先。なるほど、そこに落とし込むのか、と感心することしきり。単純に誤解だとか、改心するんじゃないところが美しいよな。アレイダに対する高嶺の憎しみもきちんと消化しており、よくこの分量で決着つけられたな、と思いました。

また、物語のテーマをつかさどっている神楽が圧倒的に強キャラなのも嬉しい。物語全編に巨大な影響力をもたらしながら、それをどう乗り越えるのかと言うところに焦点が当たっているんだよな。直接的に影響を受けたレオパルドとネルヴァルは、神楽から得た者をどのように継承するかと言うところに焦点が当たっているし、秋葉も、偉大すぎる先人を前に、凡人である自分がどう対峙していくかと言うところに物語の重要なテーマともなっており、その偉大さが見出せる。ラストにおける神楽の扱い方は正直びっくりするけど、ある意味納得できてしまうところにキャラ格の高さが見えるように思う。

物語的には、秋葉-レオパルドのラインよりも、敵対関係にある秋葉-ネルヴァル、レオパルド-ネルヴァルのラインの方が重要になっているところは、作品の構造的に仕方の無いところなのかな、と思う。実は秋葉とレオパルドの関係と言うのは、相棒としての関係以上には交錯する部分がなくて、実はネルヴァルとの関係の方が深くなってしまっているだよな。お互いに、共感と対立が根深くあって、単純な敵対関係とは言えない複雑なものが出来上がっているものな。それゆえに最後の展開はなかなか嬉しい。対立し、ぶつかりあい、一つの結論に止揚されていくと言う展開は王道にして誠実だと思うのだった。

概ね、主人公、秋葉を中心に、いかにして自分らしさを貫いていくか、またそのためにはどのようにするべきなのかという焦点にブレがなく、成長物語として一定の水準をクリアしていると思う。やや分量の問題か、SF的な飛躍感に物足りなさを感じないではいられないし、書き込みが不足しているように思うところもあるものの、そこは登場人物を大胆に絞り込んで、秋葉とネルヴァルの関係性に集約させていることによって成立させているところもあり、これは作者の手腕を称えるべきであろう。

内容的にはほぼ完全オリジナルであり、ノベライズとは言えない(むしろリメイクと言ってもいい)ものではあり、この作品単独で面白いものになっているので、原作は受け付けなかったと言う人(まあ自分のことだが)にもおススメできる内容になっていると思います。

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コメント

初めまして^^
アニメのネルヴァルのやり方にも一理あるよなとか思って、
小説ではどうなってる?と思い小説を見た者です^^
ネルヴァル否定して欲しく無いけど、アニメとか否定する空気だし…
(結局否定され無い事にほっとしていたり)

さて、小説版ですが
個人的にはアンチQT、ナユカの空間安定能力をネルヴァルに話して、
話し合いで解決してほしかったな~と思ってます。
肯定的に見ると結局、ネルヴァルは生きているし、否定される事は無かったし、
秋葉の言い分にも一理ありますが、攻撃する事はないだろうと!
ネルヴァル頭脳体に話し合いは無理!って言う根拠欲しかったな~と
ネルヴァルは十分話し合いで解決できる人物であるはずだから!
人間体と頭脳体は別って弁解くらいは欲しかったなと

余談になりますが
宇宙をかける少女を見ていると、勧善懲悪(ヒーロー者)と言うのは、本当に
「勝った方が正義となる」って話にしか見えないな~;;
後、宇宙をかける少女等の話を見て、人を助けるのに理由は要らないって
言葉が嫌いになったな!ネルヴァルがアニメ小説等で悪役になっているように、
人を助けるには理由がいるよね!それなりの

後、これを瀬尾つかささんに言いたいけど、彼のブログにコメントするには↓
http://blog.livedoor.com/
にログインすればいいんだよね^^?
後、瀬尾つかささんにこのコメントみせたらなんて言うだろう?それでは^^ノ

投稿: 宇宙をかける少女ファン | 2012.09.04 16:30

正直なところ三年前に感想を書いた本の内容は忘却の彼方なので具体的な話は出来ませんが、どんなに理性的な人格でも常に対話が可能とは限らないと思います。対話と言うのはどうしても時間がかかってしまうもので、短期的に結果を出さなければならないときは、対話をしたくても出来ない(対話すると言う選択が出来ない)ということもありえます。結局、ケースバイケースですね。

あと、瀬尾先生のブログにコメントしたいという話ですが、そんな話をここでされても。自分は瀬尾先生の友達でも知り合いでもないんですぜ。ブログ環境なんて知りませんよ。気になるなら直接確認されてはいかがでしょう?

投稿: 吉兆 | 2012.09.04 21:49

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