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2009.08.05

『宇宙(そら)をかける少女』読了

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宇宙(そら)をかける少女』(瀬尾つかさ/一迅社文庫)読了。

アニメ版は10話ほど観たところで諦めた『宇宙をかける少女』を瀬尾つかさがノベライズするというので不安な気持ちがいっぱいのまま読んだら予想以上、と言うか予想外に面白くてびっくり。秋葉の動機がきちんと描かれているので、彼女の成長物語として非常に評価できる内容になっている。一個の自立した人格が明確に打ち出されているんだよなあ。人間関係的にも絞り込まれて、姉妹間のコンプレックスと憧れもきちんと認識があり、それを乗り越えようとしている秋葉がものすごく好感の持てる人格になっていて驚かされた。少なくともアニメはこういう話ではなかったような気がするのだが…いや、まあいいか。

とにかく原作と違って登場人物が絞り込まれているので、視点がふらつかないのは好印象。もちろん上下巻ということで、絞り込まなければ物語が成立しないという要請もあったと思うけど、少なくともおかげで秋葉がどのようにしてレオパルドと関わり、パートナーシップを築き上げていくのかと言う点が明確に描写されているところが大変素晴らしいと思った。前にもどこかで書いたと思うけど、作者はやっぱり人間関係のドラマを描くのが上手いよな。因果関係がハッキリしているのですごく納得がいく。そりゃ、いきなり喋るコロニーと出くわせばびっくりするし、いきなりパーツを集めろとか言われたって納得できるわけ無いよなあ。そして、納得できずに事件に深入りして、その結果ほのかを傷つけてしまったことをきっかけに、本当に自分がすべきことがなんなのかを模索していく展開もすげー納得できる。

そしてラストの展開も、他者を巻き込みたくないレオパルドのツンデレぶりと、正しいことをしたい秋葉の対立が、きちんと交差していく展開もよかったと思います。お互いに大事にしていることはそれほど違ってはいないのだから、対話すればきちんと”気持ちが通じる”と言うことが描かれていたと思います。そしてエピローグ。これってアニメの方だとどうなっているのかわからないけど、いきなり既存の舞台を超越してしまうところなんて、瀬尾つかさらしい物語のインフレ感が感じられて、とても作者らしかったと思います。すくなくとも読者に「えーマジでー」と思わせることに成功しているというか。

まあよく考えればそんなに気を衒ったことをやっているわけではなく、物語としては基本と言うか王道を貫いている感じなんだけど、どうもアニメに足りなかったのはこの”王道感”だったんだなあ、と言うようなことを思ったりして、相対的に小説の印象がとても良くなりました。

しかし、褒めているのかこれ。自分でもどうかと言う感じだな…。まあ、この作品はこの作品で、普通に下巻が気になるので期待して待ちたいと思います。作者らしく、このままスケールがどかどかアップしていくと嬉しいなあ。

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