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2009.08.31

『宇宙をかける少女(下)』読了

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宇宙をかける少女(下)』(瀬尾つかさ/一迅社文庫)読了。

レオパルドと秋葉の最終決戦。物語の規模がどんどんスケールアップしていくのはさすが瀬尾つかさと言う感じだったな。登場人物たちの葛藤にも、一人一人きちんと決着を付けていくところも見事だった。特に感心させられたのが、アレイダこと獅子堂ナミの、姉、神楽に対する愛憎と、その行き着く先。なるほど、そこに落とし込むのか、と感心することしきり。単純に誤解だとか、改心するんじゃないところが美しいよな。アレイダに対する高嶺の憎しみもきちんと消化しており、よくこの分量で決着つけられたな、と思いました。

また、物語のテーマをつかさどっている神楽が圧倒的に強キャラなのも嬉しい。物語全編に巨大な影響力をもたらしながら、それをどう乗り越えるのかと言うところに焦点が当たっているんだよな。直接的に影響を受けたレオパルドとネルヴァルは、神楽から得た者をどのように継承するかと言うところに焦点が当たっているし、秋葉も、偉大すぎる先人を前に、凡人である自分がどう対峙していくかと言うところに物語の重要なテーマともなっており、その偉大さが見出せる。ラストにおける神楽の扱い方は正直びっくりするけど、ある意味納得できてしまうところにキャラ格の高さが見えるように思う。

物語的には、秋葉-レオパルドのラインよりも、敵対関係にある秋葉-ネルヴァル、レオパルド-ネルヴァルのラインの方が重要になっているところは、作品の構造的に仕方の無いところなのかな、と思う。実は秋葉とレオパルドの関係と言うのは、相棒としての関係以上には交錯する部分がなくて、実はネルヴァルとの関係の方が深くなってしまっているだよな。お互いに、共感と対立が根深くあって、単純な敵対関係とは言えない複雑なものが出来上がっているものな。それゆえに最後の展開はなかなか嬉しい。対立し、ぶつかりあい、一つの結論に止揚されていくと言う展開は王道にして誠実だと思うのだった。

概ね、主人公、秋葉を中心に、いかにして自分らしさを貫いていくか、またそのためにはどのようにするべきなのかという焦点にブレがなく、成長物語として一定の水準をクリアしていると思う。やや分量の問題か、SF的な飛躍感に物足りなさを感じないではいられないし、書き込みが不足しているように思うところもあるものの、そこは登場人物を大胆に絞り込んで、秋葉とネルヴァルの関係性に集約させていることによって成立させているところもあり、これは作者の手腕を称えるべきであろう。

内容的にはほぼ完全オリジナルであり、ノベライズとは言えない(むしろリメイクと言ってもいい)ものではあり、この作品単独で面白いものになっているので、原作は受け付けなかったと言う人(まあ自分のことだが)にもおススメできる内容になっていると思います。

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2009.08.30

『Le;0-灰とリヴァイアサン-』読了

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Le;0-灰とリヴァイアサン-』(六塚光/一迅社文庫)読了。

正直読み始めた当初は、「え?海からやってくる怪獣?」「その怪獣と戦うのが吸血鬼?」「なにその必然性のない展開は…」と言う感じの印象だったのだが、夏の海辺に日傘をさした吸血鬼、というイメージにやられてしまった。本当に作者はよくこういうイメージを思いつくな…感心するぜ。明るく鮮烈な太陽の下で、海獣(リヴァイアサン)と戦う吸血鬼と言うアイディアだけで回しているという印象があるのだが、実際、そのアイディアが実に魅力的であることは否定できない話だ。常に海獣に襲われ続け、人を食らう獣たちに対して対抗できるのは吸血鬼たちだけ、と言う世界観もかなり終末を感じさせる設定なのだが、深刻でディープな世界を、南国の明るい太陽の下で描写されているため、奇妙な明るさを感じさせるのはさすが。ただ、物語としては(この作者はいつもそうなのだが)小粒で、大きなスケールは感じられないのだが、その小粒感を補って余りあるのが世界設定の妙であろう。六塚光はこうしたアイディアを形にするのがすごく上手い作家であると言う印象があるのだが、その手腕が十全に現れた良い作品であろうと思いました。

ただ一方でやや危惧するところでは、やや物語のダイナミズムに欠けるところがある作家でもあるので、どうやらこの作品は続編が出るようなのだが、テンションが落ち込まないかどうかが心配ではある。はたして、物語の面白さを維持出来るのか…。まあ作品としては、この設定を作り上げただけでかなりの成功を約束されている感じもあるので、それなりに期待しておきたい。

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2009.08.28

買ったもの

1.『薔薇のマリア(12)夜に乱雲花々乱れ』 十文字青 角川スニーカー文庫
2.『ミスマルカ興国物語(5)』 林トモアキ 角川スニーカー文庫
3.『自殺島(1)』 森恒二 白泉社

買った。

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2009.08.27

『騎士は恋情の血を流す The Cavalier Bleeds For The Blood』読了

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騎士は恋情の血を流す The Cavalier Bleeds For The Blood』(上遠野浩平/富士見書房)読了。

最後まで読んで、なんだよ!全然しずるさんVS統和機構じゃねえじゃん!看板に偽りあり、だ!と思ったのだがまあいいか。深くは追求すまい。なにより冒頭から後半にかけて、”今回の犯人”であるところの葛城貴士についての話が実に魅力的ことを特筆すべきだろう。

タイトル通り、今回は”騎士”についての物語である。騎士の存在意義は唯一つ、姫君を守ること。騎士が本当に戦争をしていたことは過去になり、代わりに騎士を律するものとして生まれた騎士道。本来のあり方が形骸化し、”形骸が本物”として取り扱われることになったものである。それは嘘でありフィクションであるのだが、しかし、そのあり方が”本当”として扱われるようになったとき、騎士の役割は姫君を守ることこそが本当の役割となったのである。

この物語は、まさにそういう話だ。本来のあるべき姿から変質し、偽物のそれを本当だと思い込み、偽物の望みのために存在する。その、”本当”の願いも知らぬがままに。

葛城貴士は、常人には持てぬ特殊な能力、MPLSを持ちながら、自らの本当の願いも知らない愚か者だった。欺瞞であった。彼は確かに騎士であったろう。姫君を守り、戦った。だが、その戦いの本当の意味を、自らの望みをしらなかった。誤魔化している。己の心を誤魔化したまま、そしていつしか誤魔化したことが”本当”になってしまう。彼は自らを誤魔化したことこそが本当であると信じ、戦うのだが、彼はそんなことは”本当”はどうだっていいとしか思っていなかったのだ。そんなことより重要なことが、彼にはあったはずなのだった。

だが、彼はそれから目を背けた。踏み込んで考える事をしなかった。”オカリナ”との激しい駆け引きを続けながら、彼は”本当の望み”がなんなのか考えることさえしなかったのだ。

しずるさんはよーちゃんと出会い、断ずる。この”騎士”は卑怯者だと。一歩も前に進んでいない、進もうと言う意思さえ持てなかった愚かな者だと。彼女は事件を解決しない。ただ、その欺瞞を突きつけるのみなのだ。欺瞞に生きていた貴士は、欺瞞を暴かれてしまっては生きていくことなど出来なかった。”本当”から目をそむけ続けたツケが、彼に支払われる。

彼の本当の望みは、決して彼の手に残ることなく、はかなく散った。姫君を守り続けた騎士は、その本当の意味を知ることなく消えていった。守ることなど、”本当”は意味などないと言うのに。残された姫君は、もはや、騎士の力など必要としないだろう。勝ったり負けたりを繰り返しながら、その結果を抱えていくことだろう。”騎士”の生きた証は、もしかしたら、彼女の中でのみ、存在しえるのかもしれない、と思わせるラストは、救いなのか、あるいは残酷さなのか。

それすらも、定かではない。

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買ったもの

1.『アップルジャック』 小竹清彦 幻狼ファンタジアノベルス
2.『翼の帰る処(2)-鏡の中の空-(下)』 妹尾ゆふ子 幻狼ファンタジアノベルス
3.『”文学少女”と恋する挿話集(2)』 野村美月 ファミ通文庫

買った。

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2009.08.26

『灼熱のエスクード(4) DADDY,BROTHER,LOVER & LITTLE BOY』読了

61k4e48pinl__sl500_aa240_灼熱のエスクード(4) DADDY,BROTHER,LOVER & LITTLE BOY』(貴子潤一郎/富士見ファンタジア文庫)読了。

これ以外の展開は選択出来ないと言う意味で、これ以上はない終わり方だった。まあそうだなー、これ以外の終わり方を許さない話だったよな。基本的に”奇跡は起こらない”と言うことが一作目から言明されている作品なのだから、みんながみんな幸せになりました、めでたしめでたし、とは行かない。むしろ、奇跡の起こらない世界で、運命に殉じて気高く生きたことを誇ることが、彼らに許された唯一のことなのだ。

闇の者に転化した薫がそれまでの甘さがすっかり抜け切り、エログロ伝奇アクションの主人公らしい傲岸不敵な性格になったのはそれほど違和感を感じなかった。と言うより、ようやく薫が主人公らしくなってきた感じで、まあ良かったなあと。ちょっと急展開と言う感じもあるけど、このくらいにならないと主人公になれないってのも、伝奇アクションの主人公って大変だな、とどうでもいいことを考えたりもした(どうでもいい)。ヴァルデリーが薫の相棒役におさまる展開とかも、ようやく読みたかったものが読めたという感じで満足感が高い。エロくておっかねえお姉さんは最高ですよね、と改めて作者と自分の性癖の近さを知った。共感さえ覚えるな。もちろん、エロ残酷人外ロリのアロマ様はラスボスとしての風格はますます高まり、いい感じに狂っているのだが、ラストはちょっと格が落とされたかなー。薫に振られてそのまま死んだ(とも限らないのだが。アロマ様だしなー)のはちょっとかわいそう。薫くんは本当に罪作りな男だぜ!死ね。おっと本音が。レイニーさんは基本的に最初から最後まで捕まってばかりなので、すっかり囚われの姫君役が板についてしまったな。レイニーさんが活躍すると薫の活躍の余地がなくなるので仕方が無いのか。レイニーは意思にブレが無さ過ぎるので、活躍させるのが難しいかもな…。あ?ルーシア?…結局、一番頑張っていたのに一番報われなかったね…。我らがアルフェルム様は地味に暗躍しておいしい立場を持っていきました。すっかりただの変な人になってしまったなこの人…。

まあそんな感じでチョイ役だった人たちも総出演のクライマックスでした。決してハッピーエンドとは言えない終わり方ではありましたが、それぞれが懸命に未来を模索した結果ではあるので、決して残酷なだけの終わり方ではないのは救われると言ってよいのかもしれない、と思いました。

これで完結とのことですが、あとがきで作者も書いているように、エロスとバイオレンスに満ちた伝奇アクションの主人公としてふさわしくなった薫の物語も読んでみたいなーと思うので、すこし寂しい…。アロマ様の娘の話もすごく気になるぞ。いったいあとがきに書かれた部分のどこまでが嘘なんだ?娘が生まれているのは本当の設定と言うことでいいんだよな?な!?うおー親バカなアルフェルム様ちょー見てえ…。うっかり続きとか出ないかなー。

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2009.08.25

買ったもの

1.『藤子不二雄大全集 ドラえもん(2)』 藤子不二雄 小学館
2.『友達100人できるかな(1)』 とよ田みのる 講談社
3.『ドラゴンランス(1)廃都の黒竜(上)』 マーガレット・ワイス&トレイシー・ヒックマン 角川翼文庫
4.『ドラゴンランス(2)廃都の黒竜(下)』 マーガレット・ワイス&トレイシー・ヒックマン 角川翼文庫
5.『暁と黄昏の狭間Ⅵ 鳳船の書』 西魚リツコ トクマノベルスエッジ
6.『純潔ブルースプリング』 十文字青 角川書店

買った。

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2009.08.24

日々の雑記

・頭痛がだんだんひどくなってきたなーと思ったら、案の定、発熱していたみたいだ。体がほてる感じで、なんかだるい。とりあえず薬を飲んでとっとと寝ることにするので、今日はお休み。

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2009.08.23

『星図詠のリーナ(2)』読了

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星図詠のリーナ(2)』(川口士/一迅社文庫)読了。

マッピングファンタジーの第2弾。正直、好きな作品だったので、続きが出たのは嬉しい限りだ。冒頭の地図が前作の部分だけ埋められているあたりも、おお、と言う感じで嬉しかった。順調にシリーズが継続すれば、いずれこの大陸の地図が完成するまで進むのか…いや、もしかしたら大陸の外にだって行くのかもしれないと思うとわくわくする。今度はリーナがどんな新しい出来事に出会うのか。そうした期待感を抱かせてくれると言う意味で、なかなかに貴重な作品であると思う。おそらくは、主人公のリーナが、常に世界に対する好奇心を忘れず、新鮮な感情で向き合うことをしているためであろうと思われる。

今回は火山の噴火によって発生した難民問題に揺れるタヴァストと言う街での物語。新しい住民と古い住民の間でくすぶる火種は、いずれ大きな炎となって街を埋め尽くすであろうこと予見されている。この手の問題は、誰かに原因があるわけではないので解決することが難しいのだが、その解決策を模索して、リーナは再び歩き回ることになる。

問題を解決するために、リーナ自身があちこちを歩き回り、色々な人に出会い、話をしていく過程を丁寧に描いているところにまず好感が持てる。街の人々と話をして、柄の悪いゴロツキに絡まれたりして、高慢なエルフと出会い、そうしてリーナは問題に取り組んでいく。もっとも彼女はまだまだ未熟な少女であり、ただ目の前の問題に取り組むだけでなく、護衛の傭兵であるダールと行き違いの末に微妙な関係にやきもきしたりする普通の少女らしさもあり、作品としてのフックはなかなかに広い。難民問題と言うラノベには地味とさえ言える題材でありながら、ラノベ読者を惹き付ける部分も残してあるのも心憎いと言えよう。

個人的にはこの難民問題だけで物語を消化しても良かったと思うのだが、やはりそれでは物語的に起伏が無いと考えられたのか”竜”にまつわる敵の存在が出てきたりするのだが、こっちは完全にダールの物語であり、リーナとはあまり関わりは見出せなかった。基本的な物語ではリーナが主人公でありながらも、活劇サイドではダールが主人公となる構成は、前回と同様ではあるのだが、個人的にはこの部分の兼ね合いが完全に昇華されているとは言い難く、ぎこちないと感じる部分もあるのだが、これは今後の展開に期待したいところである。

それはそれとして、物語を完成させるに当たって、ずいぶん削ったとのことだが、そのあたりは逆にもっと厚くしても良かったのではないかと思う。削ったおかげで軽みを帯びているとは思うのだが、やや描写が足りない不満もあるので悩ましいところだ。とくにエルフの生態におけるあまりにも”アレ”であると言うところがすごく気になる。ものすごく気になる。一迅社文庫は性的な描写にすごく厳しいらしいから…ねえ?なんか気になるよね(どうでもいいよ)。

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少数派の意見は否定されるべきではない

手塚治虫はそんなに凄い人じゃないと思う

Something Orange経由で。

まあ結局面白いか面白くないかは読者の主観でしかないので、このような発言も当然かな、と思う。むしろこれに対して「手塚治虫は神様なんだよ!非難とか否定とかされるべきではないんだよ!」とぶった切られて議論の余地が出来なくなる方が不健全だ。誤解の無いように書いておくけど、一作者として「手塚治虫は最高!」と評するのはかまわない。自分も火の鳥とか大好きだし(むしろ火の鳥を駄作と評する人とは友達になれる自信が無い)。いけないのは、手塚治虫を過剰に権威化することだよな。漫画と言う文化の功績者としての手塚治虫と、一漫画家としての手塚治虫は切り離して考えないといけない。その功績を認めた上で、好きか嫌いかを判断するのならば、それは他者がどうこう言える問題ではないと思うな。だって、自分が傑作だって思ってても、それを理解されないなんてよくあることだもの。手塚治虫だけその例外にあたるなんて、それこそおかしいことだと思うよ。

まあ繰り返すようだけど、『火の鳥』、『どろろ』など手塚治虫の傑作群を貶める人とは友達になれる自信はないけどな!あれは今読んでも圧倒的に漫画的面白さに溢れているよ。

なんとなくだけど、嫌いな人と言うのは、あの過剰に記号的な絵が駄目なんじゃないかと思う。現代の漫画と比べると記号性が高すぎるからね。

あー?言い換えれば、現代に至るまでの漫画とは、いかに記号に肉付けしていくかと言う方向に進化をしてきたとも言えるわけか。記号に、ストーリーで、絵で、意味を付与していく。そうした肉付けを剥ぎ取ってしまえば、残るものは過去の漫画とそれほど変わらないのかもしれないな。…これでは現代の漫画は手塚の時代から進歩していないと言うありがちな擁護論になってしまうのかもな。まあ個人的にそうだと思っているんだけどー。

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2009.08.22

今日

風邪を引いてしまって、意識がまとまらないので寝ます。

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買ったもの

1.『ストーム・ブリング・ワールド(1)』 冲方丁 MF文庫ダビンチ
2.『機動戦士ガンダムUC(9)虹の彼方に(上)』 福井晴敏 角川書店
3.『機動戦士ガンダムUC(9)虹の彼方に(下)』 福井晴敏 角川書店
4.『あなたのための物語』 長谷敏司 ハヤカワJコレクション

買った。

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2009.08.21

『翼の帰る処(2) ―鏡の中の空―(上)』読了

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翼の帰る処(2) ―鏡の中の空―(上)』(妹尾ゆふ子/幻狼ファンタジアノベルス)読了。

あんまり意識してなかったけど、ヤエトと皇女って親子ほどに年齢が離れているんだよな…。おかげで、主従なのか擬似親子なのか恋愛なのかよくわからない人間関係描写が非常に気持ちよい感じ。本当にこの作者はキャラの関係性描写が楽しいなあ。ひたすら隠居を望む主人公ヤエトが、下手に真面目で有能なのものだから、どんどん責任を押し付けられていく展開がおかしいやら頼もしいやら。そのくせ、すぐに倒れる虚弱体質を抱えて、責務を果たしていくのは、極端に自己保身と言うものが欠けた、ひどく歪な人物像が見えるところも面白いところだと思う。30まで生きられないかもしれないと言う諦念が、この歪みを形作ったと言えば、これは非常に衛宮士郎的な歪みであることよなあ、と思うのだった。方向性は真逆だけど(極端に自己をないがしろにするのは同じでも、世界に対するスタンスが反対。まあこれは話が逸れるので掘り下げないけど)。

基本的に大河ロマン的な描き方をしているけど、基本視点がヤエトからブレないので、非常に端正な物語になっていると思う。隠居願望の強く庶民的ながら有能で病弱でしかし人を惹きつけるものを持つヤエトを初めとするキャラクターの骨格にも隙がなく、活き活きと物語を彩っている。登場人物たちが物語に操られる駒ではなく、本当に生きているような躍動感があるのだ。ヤエトに次々と降りかかる受難に対して、”ヤエトらしい”態度で立ち向かっていく姿は、単にキャラが立っていると言うだけではない、感動的なものがそこにはあるように思えるのだ。心ならずも出世してしまい、面倒くさいとぼやきつつ、しかし、(文字通り)骨身を削って皇女を支えていくヤエトは、決して活劇の主人公になるタイプではないが、魅力的(そして奇妙)な人物であるし、さまざまにうごめく陰謀に対しても果断に対処する姿には清涼感すら感じるのだった。

また、ファンタジーとして高い強度を誇っていた前作と比べても、今回の強度は劣るものではない。化鳥騎士団の存在を始め、失われつつあった神とのつながりが、再び強まりつつある世界の蠕動が、ヤエトと皇女の未来に大きな影を落としている。人間の物語を語りながら、その裏側では神話の時代が再現されつつあると言うことが語られつつあり、非常に興味深い。上巻ではまだそれは匂わされるだけに留まっているが、今後の展開次第ではどのように物語を重ね合わせていくのか、期待せずにはいられないのだった。

まあそんなことを考えながら、ヤエトと皇女のもどかしい感じのやりとりに萌え萌えするもよし、色々と妄想の余地があって単純に楽しい作品だと思います。基本的にヤエトがそういうことに無関心すぎるせいで、よけいにもどかしさが募るといいますか。もっともこの主従はそういう方向に行って欲しくないような気もするのでこれでいいのかもしれないが…。だが最後の皇女の姿は、鳥たちの”それ”に影響されているってことでいいんだよな!ヤエトからの通信があったときに、出られないとか言っていたことがあったけど、そのとき皇女さまは何をしていたんだろうね!?とニヤニヤしながら読んでいたのでした。フヘヘえろかわゆいのう(…なんかもう色々と台無しだな)。

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買ったもの

1.『オウガにズームUP!(3)』 穂史賀雅也 MF文庫J
2.『僕は友達が少ない』 平坂読 MF文庫J
3.『敵は海賊・短編版』 神林長平 ハヤカワ文庫JA

買った。『敵は海賊』シリーズが出ていることに少なからず衝撃を受けたのだが、まあどうでもいいことだ。

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2009.08.20

日々の雑記

・ブログを更新したし、0時を過ぎたのでさあ寝るかと思って横になりながら本を開いたら、その本がとても面白くて1冊読み通すと言う経験はおそらく誰しもあると思うが、興が乗ってしまい、さらにもう1冊読み始めてまたしても読み終えてしまった人間のことをなんと評するべきなのだろうか。

・ただのバカだな。

・おかげで今日は眠くてしょうがなかった。もう本当にやる気ナッシング。睡眠不足は人生の大敵じゃぜ。睡眠不足であるというだけで生きるのがつらくなってくる。

・まあ自業自得なんだけどな。

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2009.08.19

『ギャルゴ!!!!!-地上波初登場大全-』読了

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ギャルゴ!!!!!-地上波初登場大全-』(比嘉智康/MF文庫J)読了。

ギャルゴシリーズ完結。良くも悪くも最後まで淡々としている作品だったな。いろいろな事件が起こっているのに、物語の語り口はあくまでもマイペース。マイペース過ぎて読みながら頭を抱えてしまうところもあったりしたが…。この作品に登場する人物は、本当に”人類”とは思えない、なにか別の生物のような気がしてならないぜ。コトリさんを始めとして、なんつーか、マジで会話文を読んでて頭が痛くなってくる…。真剣な場面でもどこかズレた会話と反応をして、コミカルな場面でも淡々を語るこの作品は、本当にライトノベル的な位置から逸脱しているとしか言えないよな。正直、自分はその感性のズレ方はそれほど好きなタイプではないのだが、あまり他に類を見ないタイプの作品であることは認めざるを得ない。ズレ方がすごくユニーク。どんなにクライマックスに直面しても、文章がどこか冷めている感じがあって、あまり良いとは感じられないのだが、もしかしたら自分のよくわからない分野を開拓している作品かも知れず、ちょっと判断の難しいところがあると思うのだった。

内容については、ちょっとばかり話のバランスが悪いかな、と思った。ユイキイの正体や、エリアスと噂長の関係など、文章で説明しすぎているところが多く、もうちょっと自然に描写できないものか、と思わないでもないのだが、感動的な話を、あくまでも突き放した感じで描写するのはこの作者の特徴でもあるので、一概に悪いとも言えない。ユイキイをめぐる決着のつけ方についても、作者が明らかに後付け設定を繰り出して、何食わぬ顔をして締めてしまうところなんか、ちょっと待て!と叫ばざるを得ないのだが、まあこれも作者らしいと言えば納得できてしまうんだよな…。

ラストのオチについてはさすがだと思った。おばあちゃんの予言については、結果的には外れてしまったわけだけど、予言と異なることになっていなければ噂長にも勝てなかったわけだし、この結末も迎えられなかったのだから、まあ整合性は取れているんだよな。

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ドラクエ9プレイ日記(9)

・錬金素材を集めるため、世界中を回る。錬金素材の復活時間が場所によってまちまちなのがけっこうつらいよな。

・エルシオン学院到着。

・いきなり「おお、あなたが探偵ですね」とか言い出すのだが、身分確認ぐらいしろよ。

・学校の制服とかいきなりくれたんだけど、これって装備しているとなんか意味あるの?単に学生コスプレ?

・犯人はやはりというか当然というか初代エルシオン先生。また幽霊ですか。「現代の心根の腐った学生でもに天罰を下してくれるわ~」と、まあ、普通に迷惑な感じだったな。いや、自らの教育の理想が、現在の経営者の理屈で腐っていくのを見ていたわけだから、無念さはひとしおだろうけど。

・しかし、つっこんでもしょうがないことだが、なぜ初代学院長の墓所に教室があるんだろうか。旧校舎?いや地下だもんな…。エルシオン先生の時代は戦争の時代で、戦火を避け、それでもなお学びの火を消さぬよう、地下にもぐって授業を行っていたりしたのかもしれない。なにかドラマがありそうだぜ。

・事件解決後登場した本物の名探偵は、予想通り、歯牙にもかけられず追い出されるのでした。ちょっとかわいそう。しかも、学院側はわかっててやっていたらしい。…これはあれか?最初から事件なんて解決する気なくて、それっぽいことをやってお茶を濁すつもり満々だったってこと?…これはエルシオン先生も怒るよな…。

・学院の教師陣によるクエスト発生。しかし、何の意味があるのか理解に苦しむ。剣のクエストが、赤い看板を見て、その内容を教えてくれ、ってのはどういう意味があるのだ。なにか深遠な奥義が含まれているのだろうか…。

・7つの女神の果実が集まったー。さっそく天界に戻ろうとした関係のイベントは、まだ何がなんだかわからんなー。”帝国”って、今までしばしば文献とかに出ていたやつ?ということは今回の敵は人間なんかなー。まあ大昔の帝国が現代に復活しているだけでも人間とは限らないが。

・ナザム村。武器防具屋はよそ者には売らんとか言っているけど、このハイレベルな品物を村内のみしか流通させないとか、一体どういうことなんだろうね。この村の人たちは周辺のモンスターたちをぶっ殺したりして生計を立てているのだろうか…。ひょっとしてこの村人たちで世界を救えるのでは…。

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買ったもの

1.『星図詠のリーナ(2)』 川口士 一迅社文庫
2.『宇宙をかける少女(下)』 瀬尾つかさ 一迅社文庫
3.『Le;0-灰とリヴァイアサン-』 六塚光 一迅社文庫
4.『灼熱のエスクード(4) DADDY,BROTHER,LOVER & LITTLE BOY』 貴子潤一郎 富士見ファンタジア文庫
5.『ノパルガース』 ジャック・ヴァンス ハヤカワ文庫SF
6.『ハチワンダイバー(12)』 柴田ヨクサル 集英社

買った。

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2009.08.18

『俺の妹がこんなに可愛いわけがない(4)』読了

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俺の妹がこんなに可愛いわけがない(4)』(伏見つかさ/電撃文庫)読了。

今回は作品上の大きな転換期となる回のようである。最終的に京介、桐乃の兄妹の状況も激変し、果たしてここからどのように梶を切っていくのかなーと思っていたらアンケートにはずっこけました。ど、どこまでも読者に媚を売りまくっている作品だなあ…。ある意味、読者の欲しいものをマーケティングしてお届けしようという態度は商売人としてはまったく正しくあるわけで、むしろ褒めるべきところなのかもしれないが…。とにかく、そのあまりの衒いのなさに愕然としてしまった。まあ、売れる作品を書こうと言うこと自体は見上げたプロ根性と言えるとバクマンでも言ってたし、いいんだろう。たぶん。

重要なインターミッションの回のわりに(あるいは、ゆえにか)ほぼ連作短編集の形式をとっており、物語の構図としては、ある意味お約束。恭介が文句たらたらながらも桐乃のために走り回り、次から次におこる出来事をすこしでもよりよい方向に向かうと言う展開。なんだかんだで恭介は色々な出来事に体当たりでなんとかしようと頑張っているわけで、主人公としての好感度は高いよな。桐乃さんはお兄さんにもうちょっと優しくしてあげてもバチはあたらねえんじゃないかと思うんだけど、まあ、黒猫じゃないけど、兄に対する手厳しいと言うか苛烈な態度の裏に、なにやら素直になれないもやもやとしたものが感じ取れるところがあまりにも作者の巧妙な手口であると感じる。ほ、本当はお兄ちゃんのことが好きで好きでしょうがない桐乃なんて想像しないもんね!したら負けだもんね!と言いつつ妄想をさせられてしまう絶妙なさじ加減には、まあしょうがねえ、シャッポを脱ぐよ。

なんかねえ。麻奈実を家に連れて行ったらものすごい牽制を仕掛けたり、兄貴が無神経なことを言うたびに反抗したりと、その裏にある感情を妄想せずにはいられないよな。それでいながら直接的な描写は一切しないのだから、まったく見事なものだよな。ある意味致命的なのが黒猫作の妄想漫画とか、読者の妄想を先取りしすぎだよ!

えーと、まあそんな感じで読者に絶妙な感じで妄想をさせていくこの作品は、まことによくできたコンテンツであると確信した次第である。この絶妙に直接描写を避ける描写にどれほどの妄想を仮託できるかどうかがこの作品を楽しむ境目になっていると思うので、実に、よく訓練されたオタク向けのコンテンツだよなあ。消費されることを前提にした作品と言うか…。ここまでオタクコンテンツとして自覚的なのは、ラノベの中でも貴重だ。今後の展開アンケートも含めて(個人的には正直どちらでもかまわない)、状況の推移を見守っていきたい。

しかし、黒猫のプッシュぶりは本当にすごいよな。格ゲーでポロリに超動揺しているシーンとか、これまた妄想が加速されるぜ…。まあなんだ。フラグの香り?

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ドラクエ9プレイ日記(8)

・クエストに寄り道しつつカルバドの集落。しかしクエストってなんか理不尽なのが多いよな。ゴールドマンにゴールドメッキマンを倒せ!とか言われたのにゴールドマンを虐殺している現状。でもきちんと報酬はくれる。それでいいのかしら…。

・なんだこのヘタレはと思わされたナムジンさまの本当の男っぷりがかっけえ。見事な演技だ…これは騙される。

・シャルマナはどう考えても族長をたぶらかしているので、排除したい気持ちはわかるけど、ナムジンさま、これどう考えても最初から殺る気だよね?見た目にそぐわず苛烈っつーか…ナムジンさまは厳しい族長になりそうだぜ…。

・シャルマナさんの素顔が現れるシーンで、「お、かわいいな」と思ってしまった自分が悔しい。一瞬後にアレだよ…。

・一応、シャルマナの命を助けたところを見ると、苛烈なだけではなく寛容さも併せ持ち、名君になる素質はありそうだよね、ナムジンさま。ただ、これほどの傑物が草原の一族長で終わるとはとても思えないんだけど…。草原を統一して侵略戦争でも始めるんじゃないのナムジンさま。

・現在のうちのパーティ。主人公は魔法戦士。奇跡の剣のおかげで、攻撃に補助魔法に大活躍。パーティの要だ。剣をマスターしたので次は盾を覚えさせて、パーティの盾の役割かな。パラディンに転職してもいいかも。格闘家上がりのバトルマスターは斧をマスターさせた。遅いのが難点だけど、オノ無双がめちゃくちゃ強いので重宝。あとは闘魂を覚えさせて攻撃力の底上げを図るか。元盗賊のレンジャーはサバイバルを鍛えてみたけど、スキルがあんまり使えないな…。オオカミアタックはすごく強いけど、いかんせんMP消費がでかい…。スピードが異常に速い(メタル系にも先制できる)ので回復の要としては非常に重要。ザオラル、フバーハを覚えてくれるなど、本当に役に立つな。で、最後が魔法使い。僧侶と二束の草鞋を履いていて、状況によって「火力が足んないな」と感じたら魔法使い、「ここは回復が欲しい」と思ったら僧侶に転職させて対応している。

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買ったもの

1.『はじめてのあく(2)』 藤木俊 小学館
2.『あずまんが大王 3年生』 あずまきよひこ 小学館

ふ…あえて言うべきことがあるとすれば、『はじめてのあく』がおもしれー!と言うことである。なんかのう、なんかのう、キョーコさんはかわいいのう。かわいくないところがかわいいよね。ジローくんも純朴でかわいいよね。なんなのこのかわいらしいカップルは。最高ですね。

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2009.08.17

『鷲見ヶ原うぐいすの論証』読了

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鷲見ヶ原うぐいすの論証』(久住四季/電撃文庫)読了。

冒頭のありえない超自然的としか思えない導入が、物語を経ることで、理解可能な(根幹となる理屈はどうあれ)領域に降りて来るというところに、京極夏彦的な要素を感じた。物語の三分の一ぐらいを費やして、”悪魔との契約は論理的にありうる”と言うことを説明しているあたり、とくに強く感じる。ここまで論理的に説明されれば、確かに”悪魔は存在する”ような気がしてくるぜ。まさに悪魔の証明を証明した感じだ。

その証明を行うに当たって、作者はかなり綿密に作品世界を構築している。なにかしらの特殊能力を持ち、物語的役割の記号性を明らかにしたキャラクター配置とか、かなり綿密な計算をしている感じがしてとてもスリリング。良い意味で”キャラに血肉が通っていない”感じの不毛さがいいんだ。ミステリを突き詰めていけば人間性の否定に行き着くのはむしろ当然とさえ言えるのだけど、電撃文庫でここまでやっちゃうのは、さすがだなあと思う。久住四季は本当に活躍する場を間違えているとしか思えん。

とは言え、さすがにキャラ小説的にもけっこう頑張っているようで、努力が跡が見受けられる。うぐいすのキャラクターなど、かなりラノベ的。クールだけど実は主人公にラブラブだったりするあたり、フックはきちんと作っている感じ。もちろん主人公は鈍感だから気がつかないんだけど。コテコテですね。例の直感素質はどこ行った。

まあそんなラノベ要素はきちんと盛り込みながら、やっぱり作品としてはすごく理性的で、乾いた感じがするのは作者の良い点であるように思う。あくまでもミステリとしては妥協しない。最初は絶対に不可能かつ不可解な現象のように見えて、ラストですべての要素が解体されていく展開には見事なカタルシスがあった。ただ、作者が過去作品に”魔法”が実在する物語を書いていたり、そもそも電撃文庫であることを考えると、この作品はラノベ的伝奇で落ち着くのかミステリに落ちるのか最後まで見極めることが出来ず、非常にスリリングな体験だった。これはレーベルによる錯誤だよなー。その意味では、このドライブ感を生み出すことが出来たのは電撃文庫だったがゆえのものだったのかもしれない。…であればやはり作者は電撃文庫で書くべくして書く作家だといえるのだろう。

それにしても『ミステリクロノ』の続編は一体どうなったんだろうな…。もちろん『トリックスターズ』の続編も…。やっぱり第一部完なんて体の良い打ち切りみたいなものだとしか思えないよ。ある意味それが一番のミステリだぜ。

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買ったもの

1.『鋼の錬金術師(23)』 荒川弘 スクウェア・エニックス
2.『されど罪人は竜と踊る(7)Go to Kill the Love Story』 浅井ラボ ガガガ文庫
3.『クイックセーブ&ロード』 鮎川歩 ガガガ文庫
4.『ハヤテのごとく!SS 超アンソロジー大作戦!!』 築地俊彦他 ガガガ文庫

買った。

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日々の雑記

・ついったー経由で知ったのだが、『光の4戦士 -ファイナルファンタジー外伝-』のシナリオライターが紅玉いづき氏らしい。思わず目を疑ってしまったが、公式サイトでも発表されているので間違いないのだろう。…本当なんだよな?いまだに信じられんが、購入理由がまた一つ増えたことは間違いない。作者の世界観がどのようにゲームに反映されるのか(描写力にハードがついてこれるのか)、期待と不安の入り混じりはあるものの、今はとにかく嬉しいな。

・前から興味があった『BLACK BLOOD BROTHERS』を借りる機会があったので、読んでみた。たしか一巻だけ読んで、そのままにしていた記憶があるのだが、改めて何冊かまとめて読んでみると、これがめっさ面白い。これ、3巻までまとめて読んでから判断するべき作品だよな。どう考えても3巻までで一作品だよ。そこまで読まないと評価してはいけませんね。あと、吸血鬼ものはラノベ伝奇の世界では使い古されてしまった感じもあるけれど、これはこれで十分に新しく、オリジナルなものを描いているように感じるのも良い。

・しかし、『BLACK BLOOD BROTHERS』ってアニメ化されてたんだな…。全然知らなかったぜ。

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2009.08.16

『ヴァルプルギスの後悔 File2.』読了

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ヴァルプルギスの後悔 File2.』(上遠野浩平/電撃文庫)読了。

なんかすごく久しぶりに上遠野浩平の読んだ気がするのだが(そういえば事件シリーズを積んでいるよ、忘れてた)、予想以上に面白くて、自分がどうかしてしまったのかと思った。いや、別に上遠野浩平が嫌いとかそういうことではないのだが、一時期、上遠野浩平の書く話は全部同じ話だよなーと思い始めてから、あまり積極的に読む気がしなくなってしまったのだ。ところが今回読んでみたら、非常に面白い。おそらく、以前読んだ時と、何らかの意識変化が自分の中で起こったのだと思うのだが、どういう変化が起こったのかは正直さっぱりわからん。まあ、同じテーマの同工異曲であろうとも、それが面白いものであれば面白いということなんだろうな、ということなんだが、これだと何も言ってないに等しいよな…。まあ、いいや。とにかく、今の自分は上遠野浩平がとても面白く読める自分になれたと言うことだ。それで十分。

というわけで霧間凪が主役で、上遠野ワールドにおいてたびたび言及されてきた”魔女戦争”について描かれるようだ。上遠野ワールドの中でもけっこう重要なポジションにあるような気がするので、この物語が周囲にどのような波紋を広げていくのか、ただそれだけを想像するだけで胸が躍る。そもそも上遠野浩平が描く物語とは、”世界のどこかとつながった物語”であり、たとえ当事者本人には大変な失敗であたったり、不幸だったり、ただひた向きに抗っただけであった事柄は、必ずどこかに”受け継がれる”と言うことを描いているものと言うことが出来る。この世に無関係な出来事など無い、すべては必然の繰り返しで成り立っている、ととるスタンスですね。とは言え、その中でもなんらかの意思を受け継ぐものの中でも、一際大きな存在感を放つ登場人物もいる。それが”炎の魔女”霧間凪であり、ただひたすらに正義の味方である事を志向する彼女は、おそらく本質的には壊れていると思うのだが(少女期、と言っても今もそうだけど、そこでのスケアクロウとの出会いによって、自分の生きる意味を規定してしまったと言う意味で、彼女は壊れてしまっている)、彼女の持つエネルギーの量は凄まじく、彼女の行った行為によって、実は世界は何度も救われていたりする。彼女自身は自分に出来る範囲のことをやっているにすぎなく、事実、世界の謎に直接迫れたりするわけでもないのだが、彼女の姿勢が、生き方が、自然に他者に影響を与え、世界の危機を救っていたのだ。ただ”可能性を絶つ”ことによってしか世界を救わないブギーポップとは、そこが根本的に異なる。彼女はあくまでも、人間の持つ可能性としての問題のみを武器に、世界と戦っているのである。

そんな霧間凪が、純粋な”正義の味方”であることを許されるのか否かというところが、『ヴァルプルギスの後悔』と言う話になるのだろう。ただ、”普通の人間”でありながら、自らの意思と努力によって戦い続ける霧間凪自身の持つ”異能”。それによって、彼女は自らの存在意義を揺るがされることになる。”悪”たる魔女、ヴァルプルギスは、霧間凪が本来決して認めてはならない存在だ。だが、彼女の力なくして大切な物を守れないと知ったとき、霧間凪は選択することさえせずに”魔女”の力に覚醒する。正義を志向するがゆえに”悪”となることにも躊躇いをみせない。それが霧間凪の強さであり、弱点でもある。結果的にアルケスティスの介入により、ヴァルプルギスの覚醒は中途半端なままに留まっているが、果たして、霧間凪は、自らの正義の味方と言う”偶像”を守り抜くことが出来るのか、と言うところが注目されるところのではないかと思われる。個人的に、”正義の味方”などと言うものは存在することが許されるものではない。正義の味方と言うものは、結果的に、助けるものを選別している存在に過ぎないのだ。どう足掻いたところで、正義の味方に救われぬ存在がある。正義の味方とは、言ってみれば究極のえこひいきであり、エゴイスト以外なにものでもない。”悪”を自認するヴァルプルギスの方がはるかに公平だ。”霧間凪”と言う存在の中に、”正義”と”悪”と言う矛盾する存在を内包させたことは、おそらく無意味ではあるまい。両者の対立の結果、何か新しいものが生まれるのか、あるいは片方が駆逐して終わるのか、非常に興味深いところである。

さて、物語は、『ビートのディシプリン』から分岐する形で始まって、2巻にてついに合流を果たした。『ビートのディシプリン』ラストにようやくつながったと言える。そちらを読まないとわけのわからんところがあるのが相変わらずの一見さんお断り仕様ではあるんですけど、まあこれは今更の話ですよね。こんなことで躓くぐらいだったら読まなくていい、という突き放しぷりが見事であります。

ピート・ビートと朝子が今後どのような役回りを演じているのか、大変気になりますので、続きはもう少し早いといいなあ。

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2009.08.15

日々の雑記

・昨日はいわゆるコミケに行ってきたのだが、久しぶりに「ああ、オレ、コミケって苦手だな」と思った。別にコミケ自体が嫌いってわけじゃあないのだが。

・なぜかと言うと、オレの苦手と言うか嫌いなものがいっぱいあるから。

・まず人混みが苦手。これを苦手と言っていては都会で生きていけないのだが、ものには限度と言うものがある。あんな人混みの中にいるだけでストレスだぜ。

・で、言いがかりに近いけど、コミケスタッフの体育会系な雰囲気が苦手。あれだけの人数をさばいて行かなければならない苦労は想像を絶するけど、大声を張り上げて命令されると反射的にムカついてしまう自分。昔はあまり気にならなかったけど、最近、すごく腹が立つようになってきた。多分、実生活で大声で命令的なことを言う人間がロクなやつではないことが多かったせいだな。

・あと参加者にマナーが悪い人が多いのが苦手言うかムカつく。わりと自分は教条的と言うか保守的なところがあるのだが、ゴミをゴミ箱に捨てるという一般常識さえ出来ないやつが多すぎる。死ね。あと押すな。押しても前がつまっているんだから進めねえんだ。殺すぞ。あと道に座り込むな。通行人の邪魔だ。蹴飛ばすぞ。

・まあそんなところ。コミケ自体はともかく、コミケに参加すること自体は苦痛の面が強くなってきたし、そろそろ参加すんのやめようかな、と考え中。疲れるしね。

・でも明日はきっと参加するんだろうな…。

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2009.08.13

『狼と香辛料(12)』読了

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狼と香辛料(12)』(支倉凍砂/電撃文庫)読了。

いつもいつも大変な事件に巻き込まれて困ったことになるロレンスだけど、今回はわりとそうでもない。いつもは巻き込まれるばかりだけど、今回は自分から首をつっこんでいくのだから、微妙に違うよね。事件そのものの、どちらかといえばロレンス自身は傍観者的な立場で、場の調整をするために介入する感じか。いつもと違ってロレンス自身の利害が絡んでいるわけでないので(まあ間接的にはともかくだが)、いつもほどに切迫感は感じられない感じ。その分、ロレンスとホロのいちゃいちゃぶりは相変わらずと言うか、作品の半分くらいは二人のいちゃいちゃで出来ております。要するになにが言いたいかと言うと、話が進まんなあ、と。ヨイツへの手がかりを探すだけでどれだけ巻数をかけているのか…。まあ6巻あたりから、話(と旅)の引き伸ばしに入っているのはわかるのだが、そろそろなにか動きがあってもいいのではないだろうか。まあ出版社がこんな金の卵をやすやすと手放すはずもないので引き伸ばされるのは半ば必然ではあるのだけど。世知辛い世の中だのう。

とは言え、二人のいちゃいちゃを読んでいるだけでも楽しいのはまた事実。今回はあまりサスペンスフルなところは多くなかったけど、それだけロレンスも商人として、人間として成長しており、生半可な修羅場ではびくともしないことでもあるので、それもおかしいとは言えないよね。これでオタオタしてたら10巻以上も何をしていたんだ、と言うことになる。と言うか、今までがあまりにも修羅場をくぐりすぎなので、たまにはこういう話もいいのではないだろうか。いや、僕がこんな調整役をやれと言われたら胃痛で死ぬけどね。それをものともしないロレンスさんは頼りがいがあるなあ、と思いました。終盤に入ってからの、詐欺師もかくや(というか詐欺だけど)という口八丁ぶりはとても楽しかったので、もっとでかい取引で大法螺を吹くロレンスさんというのももっと読んでみたいなあ、と思わされるのだった。

新鮮味と言うのは今更ないけれど、こういう安心感のあるシリーズも悪くはないと思うのです。

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買ったもの

1.『獣の奏者(3)探求編』 上橋菜穂子 講談社
2.『獣の奏者(4)完結編』 上橋菜穂子 講談社

出ていることを今日知ったのでさっそく買ってきた。読むのが楽しみだ。だが実は1、2巻の感想を書いていないので、そっちを読み直してからにしようかな…。

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2009.08.12

『ソードアート・オンライン(2)アインクラッド』読了

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ソードアート・オンライン(2)アインクラッド』(川原礫/電撃文庫)読了。

キリトさんマジ自重。なんだよこのキリトさん総モテ本は。圧倒的なモテっぷりにもはや嫉妬とか感情移入とかそんなレベルじゃねーぞ。4話構成で4人のヒロインが出てくるんだけど、そそのすべてがキリトさんといい雰囲気になってキャッキャウフフするという願望充足もここまで徹底されれば腹も立ちませんな。まあこの作者の本はいつもそうなんだけどな!(なぜ切れる)

とりあえずまずもって言っておくべきことが言えたのでよしとする。これで冷静な感想に移れるというものだ。で、今回の内容だが…キリトさんTUEEEE!以上。いかん、感想が終わってしまった。などとどうでもいいことを書いているところからして、このシリーズの、と言うかこの作者に感想の書き難さを如実に現しているといっていいだろう。だって、基本的に、主人公が強くて、ヒロインが可愛くて、もちろん主人公にヒロインが恋して、ただ今回の場合はすべて悲恋に終わる(正ヒロインがいるからね)と言うコテコテの作品なんだが…これがとても面白いの。面白いのに説明し難いの。本来、作品の感想を書く際に、”面白い”というワードは思考停止の要素があるので使いたくはないのだが、その封印を破りたくなってしまう数少ない作家であり、作品なのだ。説明し難いんだよね。とりあえず読んでみろ、としか、読んでみなくてはその面白さがよくわからんタイプの作品なんだよなー。

とは言え、自分にもプライドと言うものが一応あったりするので(あるんだよ多分)、もうちょっと語ってみようか。と言うわけで今回の内容だけど、前巻が基本的に”攻略組”と呼ばれる一部の高レベルプライヤーの間だけでわりと話が完結してしまっていたところがあったのだけど、今回はそれ以外の、攻略に命を賭けているプレイヤーではなく、その中でも平凡な、”攻略組”以外の職についているような人々にスポットを当てた作品と言え、アインクラッドの世界感を広げていく意味合いがある物語と言えるだろう。さまざまな立場から、前作の主人公、キリトを観た作品にもなっており、彼のさまざまな側面も垣間見えるという、ええと、あれ、一体誰が得をするんだ?的な要素もあり、興味深い(無理矢理)。

以下各話感想。

「黒の騎士」
けしからん、まったくけしからん。リアル女子中学生がアイドル扱いとか、ネトゲーマーはどいつもこいつもロリコンばかりか!…まあ実際ネトゲでリアル女子中学生(しかも可愛い)がいたらアイドルだよね…。まあそんな相手にもクールな態度を貫き通すキリトさんカッコいい!と言う話のような気もする。この話のキリトはクールで頼りがいのあるお兄さんと言う感じ。なにげにキリトさんに妹(従妹だけど)がいるという重要な事実が判明したりして、なんか情報量はわりと多いよな。

「心の温度」
また当然のようにキリトさんつえーな展開なわけですが、前の話とは別の視点から観ているので、キリトの性格が大分違うように見えるのが面白い。まあ「黒の騎士」より数ヶ月経っているので、そのせいもあるのかもしれないけど、シリカが13才であったのに対して、リズはほぼ同年代であるというのも大きいのだろう。等身大の、ちょっと生意気で少年らしいキリトがそこには現れている。とは言え、「黒の騎士」にも出ていたけど、過去に仲間を死なせたというトラウマが陰となって、彼の自己犠牲的とも言える行動につながっているのがわかる。これ、最後まで読むとわかるけど伏線ね。でも、きっと女性プレイヤーは、こういう陰影にコロっとやられちまうんだろうなあ。ラストはキリトマジ許せねえ。犬のウンコ踏め。

「朝露の少女」
えーと、この時期は…正ヒロインのアスナとの新婚生活でアインクラッド最強のラブラブバカップル一直線を突き進んでいた頃のキリトさんが描かれている。もうね、本当にね、こいつらはね…いや何も言うまい。ただ、結婚生活に入ったこともあってか、ずいぶん明るくなって、トラウマを克服しつつある感じが良かったですね。また、実はいる子供プレイヤーはどうしているのとか、一巻で出てきたわりにあっという間に全滅してフェードアウトしていった”軍”とかどうなっているの?とか、アインクラッドのメンテナンスとかどうなってんの、とかわりと読者の疑問に答える内容になっていたかな。”軍”は本当に前作は存在意義がさっぱりわからなかったからなあ…。その結末が描かれたことは、作品の意外な、と言っては失礼だが懐の深さが見えるようだった。

「赤鼻のトナカイ」
収録されている作品の中でもはもっとも過去の話にして、おそらくもっとも重要な、キリトのトラウマの根幹が描かれている話。一巻でも少しだけ語られていた、自分がビーターと言うことを隠して、あるパーティに参加していたころのキリト。初めて自分を受け入れてくれた仲間たちと、ほのかな恋心。しかし、それはキリト自身の思い上がりによって粉々に砕かれてしまう。このあたり、まったく作者は容赦ない。キリト自身には確かに悪気はなかったのだろうが、間違いなく罪はキリトにあった。自分なら仲間を影ながら助けることが、本当の自分をさらけ出さなくても大丈夫だという思い上がりが仲間を殺した。キリトが自分を責めるのは当然であり、そして失ったものを少しでも取り戻そうと足掻いた結果、トッププレイヤーとしての実力と、二刀流のスキルだと思うと、あらゆる因果はきちんとつながりがあるのだな、と思わされた時点で作者の意図に嵌っているのだろう。作者の手腕の確かさを感じさせる一編でした。

…それにしても、各話感想と言っておきながら、基本的に全部これキリトの話だよなあ…。キリトが抱えるトラウマと、その払拭されていく過程が描かれており、ぶっちゃけ各話登場の女の子が主人公で、キリトがヒロインみたいな扱いになっている…。本当に誰得…。いや、それがむしろ面白いというのだから、作者の手腕こそ褒めるべきかもしれないなあ。

そういえば巻末を読む限り、次回は現実世界が舞台になるみたいですね。時系列的にも続編となるのだろうか。その場合、どういう展開になるのか…期待は尽きませんね。

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買ったもの

1.『3月のライオン(3)』 羽海野チカ 白泉社
2.『蜻蛉迷宮(1)』 原作:谷川流 作画:菜住小羽 メディアワークス

買った。本当にヤマカンはうぜえなあ。これが褒めているとはとても思えんが。

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2009.08.11

『烙印の紋章(4)竜よ、復讐の爪牙を振るえ』読了

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烙印の紋章(4)竜よ、復讐の爪牙を振るえ』(杉原智則/電撃文庫)読了。

第一部完、らしい。正直、てっきり一部完と言う名の打ち切りに等しいのではないかと予想していたので、あとがきにて5巻を匂わせる作者の言葉には驚かされた。本編以上にそっちに驚いてしまった。いや、でもなあ、4巻で、しかも第一部完結とか言われたら、そういう風にとってしまってもおかしくないよなあ。とはいえ、ここはどうやら打ち切りの乗り切ったということで、それだけの支持があったことを言祝ごうではありませんか。いやめでたい。

第一部完と言うだけあって、物語当初の目的である復讐をついに目前としたオルバが、いかにして復讐を果たすのかが主眼になっている。ところが復讐のために就いた皇子という立場が邪魔をして復讐を成し遂げられないという状況は皮肉と言う他は無い。すでに彼は復讐のみに生きるためには多くのものを背負いすぎてしまったのだ。自分一人の復讐のために、責任を投げ捨てることは出来ない。その苦衷の中から、許婚のビリーナ姫の母国、ガーベラへの侵略に伴い、またしても起死回生の策を編み出すオルバは本当に軍師要らずだよな。モデルが織田信長だというが、まさしくそれで、本人の才幹のみで事態を打開するタイプの為政者になりそうだ。もっともこういうタイプは敵も多く作るので、そのあたりをどのように描いていくのかが興味深くもある。5巻以降が描かれるのならば、オルバに降りかかる受難より一層に描いてくれそうで嬉しいことである。最後まで一人であることを貫き通すのか、あるいは誰かと荷を分かち合うことになるのか。史実の織田信長を考えるに、前者だと長期政権は望めそうもないので、ビリーナ姫ともっと上手く支えあっていけば言いと思うんだけどな。なかなか無理か。オルバ、ツンデレだもんな。

と言うわけで、からみあう状況の中、責任を果たしつつ復讐も果たすという難事を潜り抜けていく展開はわくわくさせられるものだった。とは言え、客観的に読むと、復讐関連については、あまり重要な感じではなく(オルバ本人にとってはまた違うんだろうが)、いささか偶然とご都合主義に支配されているようで、少々評価しにくい。ダグの説得が失敗したらどうするつもりだったんだろうね。皇帝の意思に逆らってまで遂行するガーベラへの援軍の部分は、ゼノン、エリックと言う、味方どころか一極は敵対国家同士の間で、決して主流派ではないものたちが、お互いの利益のためにつながりを結ぶという展開は、カエサルの三頭政治っぽくてなかなか楽しかった。3人とも、故国ではどちらかといえば苦しい立場ゆえに、結びつくことに利益が生まれる。そこをついた形で、このあたりは非常に納得度が高かった。妙にゼノン、エリック両王子の描写が多いなあ、とは思ったが、こういう展開に仕立てるとは。けど、それを考えるとやっぱりラストの落とし方はさっぱりわからんぞ。ここまでお膳立てしておいて、このオチはオルバ、いくらなんでも無責任すぎだろう。ちょっとこのあたりは第一部完結させることを優先しすぎて説明が不足している気がするのだが…。本当にちゃんと続いてくれるんだろうな。これで続かないとさすがに困るぞ…。ビリーナが可哀想だし…。

相変わらずキャラクターは立ちまくっているし、非常に群像劇としても面白いので(何度も書いているけど、脇役のキャラ、例えばアークスとかでも魅力的に描けるというところは非凡だよなあ)是非とも続きが気になるところ。返す返すも5巻をお待ちしております。

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ドラクエ9プレイ日記(7)

・サンマロウに到着。一連のイベントがまたやるせない。今回のドラクエは死者の話ばっかりだな。もうゴーストバスターズに改名したほうがいいんじゃないか主人公。

・マキナお嬢さん…!幸せになって、と言う遺言はおそらく彼女には伝わってないよ…!それはただの人形に戻れといっただけに過ぎないのでは…!根本的なディスコミュニケーションが解消されないで終わるのがすげえ。なんと言うバッドエンド。

・自意識を持った人形の幸せとはただの人形に戻ること、と考えるとスジは通るけど容赦が無さ過ぎる展開だなあ。切なすぎる。

・しかし、ここの町長や宿屋の息子とかは本当にクズだな。事件が解決してもなにも反省しやがらねえ。クズはどんな目にあってもクズ、と言うところがドライな認識だなあ…。

・ともあれ、船が手に入った。一区切りっぽいので、放置しているクエストを消化していこうかなー。

・ひさしぶりにウォルロ村に戻ったら、ニードが順調にクズになっていた。どんなにがんばっても駄目人間は駄目と言うことか…。堀井さん…もうちょっとその…手心と言うか…。

・メタキンダンジョンで有名な「まさゆきの地図」、ふと気がついたら持ってた。いつの間に…。

・クエストを順調にこなしつつ、グナビア城へ。

・ほうほう、女王様は美人でわがままと。楽しみじゃのう。

・…うん、まあ僕はこの女王様はありだと思うよ。萌えないけど。高慢だけど実は素直そうなところとか(つうか子供っぽい感じ)、たぶん、後で改心イベントがあるんだと思うんだけど、このレベルなら確かに更生の余地はある。

・どっちかと言うとジーナさんに萌え。ドジだけど同僚のみんなに愛され、慕われている感じがあって、人柄がにじみ出ているよな。

・だが、一番の萌えは屋上にいるパラディンのお姉さん。な、なんなのこのナチュラルな高慢ちきっぷりは。超上から目線…。なんかゾクゾクしてきた(はい変態ですね)。

・風呂場にダイビーング!が、なぜか全員着衣で水浴。た、たしかに昔の水着はほとんど着衣とかわんねえけどさあ…な、なんでそういうことするの?プレイヤーの期待を裏切って楽しいの?

・なぜ浴場の地下に墓場があるのだ…。わからん。

・女王がさらわれたってのに、(ジーナたんを除いて)誰一人心配してないのには笑えるのだが笑っていいものか。大爆笑だったのは、正門の女戦士に話しかけると「女王がさらわれたですって!」「……」「そうですか、教えてくれてありがとうございました」の流れ。お前、その沈黙の間になにを考えた!

・先代王の幽霊がいた。本当に今回のドラクエはこんなんばっかりだな。街の人の話を聞いていると、ああ、国王としては優れていたけど、良い父親ではなかったんだろうな、と思っていたらやっぱりそうだったみたい。娘に対する省みなさが、今の女王の子供じみた振る舞いに続いているんだろうな、と言うわけでドラクエ9における伏線の用意周到さに改めて感心した。

・今回のボスはなんかギャグ調だな…。いや、今までシリアスすぎる話ばかりだったので、たまには良いんだけどね。と言うか、こういう話に救われるって、どんだけ鬱話ばかりなんだよドラクエ…。

・「気がついたけど、ワシ、人間ちゃうわ…。人間は口から火ぃ吹かへんもんな」いやもうちょっと早く気がつこうぜ。ちなみにうちの主人公は口から火を吹くけどな。

・孤独だと思っていた女王は、実は心配してくれる人がいたのだと言うことに気がつき改心するのでした…っつっても心配してたのはアノン(トカゲ)とジーナたんだけだけどな。まあこういうのは数の問題ではないのだたぶん。

・でも、改心して初めて行うのが、浴場の公開ってのは、その、なにか違うような気がするんだけど…。たしか、女王が水浴のために水を使いすぎているのが問題視されていたんじゃなかったっけ…。民衆も、「これは行かなきゃだわ!」なんて言っている場合じゃねーよ。まあみんな納得してんならいいんだけどよー。

・結局、民衆のみなさんは、女王様が特権を振りかざしているのが気に食わなかっただけなのか。自分にも甘い汁を吸わせろと。…なんつーか、この国の将来が心配だぜ。

・ちなみに僕は男主人公でやっているんだけど、「ここは乙女のための水浴場だけどあなたは恩人だから入っていいですよ」って言われて、いや良くないだろうと思った。女風呂に男を入れるようなもんだぞ。屋上でこっそり覗いていたおっさんが聞いたら血の涙を流しそうだな。

・もちろん入ったら「きゃー男よー!」って叫ばれました。入っていいよって言われたのに…。

・ちなみに先代王の幽霊は再度ダンジョンにもぐったら影も形もありませんでした。昇天イベントぐらいあると思ったのだが…。

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2009.08.10

『世界平和は一家団欒のあとに(8)恋する休日』読了

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世界平和は一家団欒のあとに(8)恋する休日』(橋本和也/電撃文庫)読了。

なんつーか、この世界って親父程度の能力者はごろごろいるのな…。どうやら根本的に我々とは異世界みたいだぞう(いや、悪の組織とかある時点で異世界なのは間違いないんですけどね)。一見、普通の学園異能っぽかったから騙されたよ。…よく考えたらクラスメイトに普通に治癒魔術の使い手いたりするわけだから、本当に今更の話だよなあ。驚くほうがむしろ筋違いか…。

えー今回は美智乃メインながらも、星弓家の過去話。登場シーンは少ないけど、実質、織花おばあちゃんのお話だと言ってもいいでしょう。軋人と香奈子が順調にイベントをこなしていくうちに、おばあちゃんにかつて思慕を寄せていた、大三郎おじいちゃんの部下、煉次さんに来るべき覚悟を試される美智乃。フラグ体質の軋人は当然の如く巻き込まれ、煉次に覚悟を試されることになる。

煉次は徹頭徹尾、美智乃の将来を心配しているんだけど、やり方もまた徹頭徹尾不器用極まりなく、覚悟を試すのにいちいち拳に物を言わせないとなにも語れないという、ある意味、渋い男のラプソディを奏でているのだが、まあ、端的に言って迷惑極まりないよな。基本が見事な老紳士なのに、なんで中身がいつまでも仁義無き戦いなんだ…。と言うわけで、基本的にもうちょっとやり方があんだろーが、と言うツッコミを無効化するのが、「自分、不器用ですから」を地で行く煉次さんなので、まあしゃあねえのかな、と思わされた時点で僕はこの物語を拒否することは出来ませんね。

やり方はむちゃくちゃだけど、常に命の危険にさらされる可能性の高い星弓家の一員として、無事でいられるとは限らない。軋人自身は強いけど、守るべき人もすべて守りきれるかと言えばそうではない。香奈子を守り続ければ美智乃は守れないかもしれない。その逆もまたしかり。そこの覚悟はあるのかどうか、と言うことを、手荒い方法で教えようとしているわけですね。そしてその裏では、かつて織花を守れなかった自分自身の悔いが残っており、それゆえに強引な方法をとらせたとも言える。

しかし、煉次の(やや一方的な)試しに対して、美智乃はただ守られるだけじゃない、誰かと一緒に歩いて行きたい、と言う答えを出しているわけで、まったくこれは煉次の性急さがあらわになった感じだよな。結局、”自分が守りたい”と言う欲を優先しているに過ぎないわけだ。

だからまあ、最後に美智乃がおばあちゃんの言葉を伝えるシーンは、彼の中にわだかまっていた悔いを洗い流す意味もあって、落ち着くべきところに落ち着いたんじゃないかなと思う。美智乃自身が答えを出して、その上でおばあちゃんの気持ちを代弁しているわけだし。めでたしめでたし、と言う話でした。

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買ったもの

1.『のだめカンタービレ(22)』 二ノ宮和子 講談社
2.『ツマヌダ格闘街(6)』 上山道朗 少年画報社
3.『藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん(1)』 藤子・F・不二雄 小学館
4.『サムライガード(4)』 舞阪洸 GA文庫
5.『神曲奏界ポリフィニカ こんふーじょん・ぶるう』 築地俊彦 GA文庫
6.『神曲奏界ポリフォニカ プロミスト・ブラック』 大迫純一 GA文庫
7.『ミストボーン(2)赤き血の太陽』 ブランドン・サンダースン ハヤカワ文庫FT

突然ドラえもんが読みてえなあ、と思ったら藤子・F・不二雄大全集が出ているとはいい世の中になったものだな。ツマヌダ格闘街と一緒に買うことで原点とパロディを同時に購入することのおかしみのようなものもないではない。

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日々の雑記

・先週は体調が悪かったので、土日はひたすら寝ようと思ってたら本当にいくらでも寝れてしまうことにびっくりした。

・土曜日は1:00から寝て、11:00頃まで寝た。16:00くらいからまた眠くなったのでそのまま21:00くらいまで寝た。そして夜半過ぎて1:00頃にまた眠くなったので寝て、8:00くらいに一度起きたのだけど、ものすごく眠いので耐え切れずにそのまま二度寝。12:00ぐらいに起きた。

・えーと、合計すると二日間で22時間26時間くらい寝たわけか…まあ半日以上近く起きているわけだから、そんなに極端に寝ていたわけではないか。自分では一日の三分の二ぐらい寝ていた印象があるのだが。

・なんか寝すぎて頭痛がしてきたので、今日はコーヒーをがぶ飲みして乗り切る。全然、体調よくなってねえじゃねえか。日々の生活に問題があるような気がしてきた。

・今週のジャンプ。

・ワンピースはすごいねえ。白ひげの部隊長は、本当に七武海クラスなんだな。こんなのが14人もいるんだから、白ひげマジおっかねえ。しかも、白ひげはそいつらよりもはるかにつええと来たもんだ。こりゃ、白ひげが負けるのは、己の寿命のみと言う気がしてきたな。

・ぬらりひょん。畏れバトルに細かいルール設定が入ってきた。能力バトルへのテコ入れかなあ。ハンター×ハンターとかあのへんの二番煎じにならないことを祈る。

・めだかボックス。キャラの過剰なまでの記号的な立ちっぷりに、西尾維新的なものを感じた。水着を着ないと力が出ない喜界島会計とかね。論理的に考えるとおかしな展開なんだけど(風紀委員長が積極的に器物破損に従事するってどういうことよ)、まあこのおかしさが味わいだと思えばすべて許せるさー。

・スケダン。ボッスンとヒメコがひたすらいちゃいちゃいちゃいちゃするだけの話だった。こんなくだらない内容で面白いのはすごいよな。

・カギマン。実は意外に嫌いではない。褐色肌ショートなメインヒロインが、けっこう、その、かわいいんじゃないかなー、と(日和やがって!)。主人公の必殺技が本当に”必殺”(殺す気で出せば確実に相手は死ぬ)なので、うまく活かしてくれる展開を希望。ストーリーの進みが非常にスローなのが不安要素。もっとガツガツ行かないと続かないんじゃなかろーか。

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2009.08.09

『剣の女王と烙印の仔(2)』読了

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剣の女王と烙印の仔(2)』(杉井光/MF文庫J)読了。

決して面白くないわけではないのだけど、どうも杉井光の良い点が殺されている感じがあって、あまり評価出来ない。別に悪いわけではないのだけどね。ただ、自分にとって、杉井光という作者の長所は、良い意味で非常にスケールの小さい物語を描くところにあると思うのだ。スケールが小さいというのはあまり肯定的な意味には捉え難いと思うけど、自分はそうは思わない。つまり、俯瞰してみてしまうと取りこぼしてしまうような、そういった人々の、小さな感情のさざなみを捉えることに長けている作者であると思うのである。『神様のメモ帳』や『さよならピアノソナタ』では、主人公の、言ってしまえば自閉した己の中に埋没してしまいそうな感情を、かろうじて外に向けるようになっていくその過程が、非常に丁寧な手つきで語られていたわけだが、作者はまさにそういう”うじうじしたところ”を描くのが本当に上手く、そしてクライマックスでは、その”うじうじ”が昇華されていくところにリアリティを失うことなく描いていると感じられるのだ。

翻ってこの作品を見ていくと、物語の骨格は、非常にスケールが大きなものになっていることがわかる。聖王国という国家の中で、血統によってその運命を定められたもの達が、運命に抗う物語であるということが出来る。ところが、どうも描き方が良くない。運命的な、大きな流れによって翻弄されているはずの主人公たちは、結局、自分たちの内面のことばかり気にしていて、世界の流れには無関心であるように思えるのだ。物語の内包している規模は一国家以上のものがあるのに、物語としてはあくまでも個人的な範疇に留まっている。ファンタジーで戦記物でありながら、やっていることは『神様のメモ帳』や『さよならピアノソナタ』と大差ないんですよね。自分の中で”うじうじしたもの”を抱えて、それを解消することでしか物語が動かない。前述の2作はそれでも良いと思うんですよ。現代が舞台だし、描写されている世界も狭いからね(広くても学校やニート等の小集団を超えない)。でも、一応これはファンタジーでしょ?戦記物でしょ?運命とか神とか人間の生死がかかっているのに、いつまでも自分の感情だけに拘っている主人公たちには違和感を感じてしまうんだよな。

結局、世界は変わっても、作者のやっていることには何一つ変わりが無いのが問題なのかもしれない。杉井光は作品にスターシステムを導入しているんだけど、それが悪い方向に働いてしまっている感じ。『神様のメモ帳』のナルミが、ファンタジー世界で切った張ったの世界に紛れ込んでしまった感じといえば、この違和感を理解してもらえるかなあ。

まあ繰り返すけど、悪くは無いんですよ。それ以上に、違和感が強いだけで。それが致命的なんだけどね。

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2009.08.07

『ぷりるん。~特殊相対性幸福論序説~』読了

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ぷりるん。~特殊相対性幸福論序説~』(十文字青/一迅社文庫)読了。

正直なところ、この作品は実に僕のプライベートな部分を直撃してしまって、あまり冷静には読めなかった。具体的に言うと、読んだあとは世界は醜いし人間はおぞましい、と言うような対人恐怖症と言うか脅迫観念めいたものが出てきて、ちっとも冷静な気持ちでいられなくなってしまった。僕のトラウマとでもいうべきものを突っつく、非常に危険な読書であったのだ。

その内容がどんなものかと言うと、一言で言えば反吐の出るような話である。わかりにくい?まあそりゃそうだ。正確には、自分にとって反吐が出るような世界が再現されていた、と言うべきか。人間は嘘をつくし、悪意を持っているし、善意は報われるとは限らないし、生きることはそれだけで苦行だ。要領よくそうした物事を受け流せない、一種不器用な人間ほど、世界は生きにくく、苦しみ深い。これはそうした不器用さを持った主人公が、クソッタレな世界と対峙して行く物語なのである。

しかし、世界と対峙していくのは生半可なことではない。やり過ごせない、不器用さを抱えていればなおさらだ。物事を適当に流していくことの出来ない主人公は、世界の不条理を真正面から、まともに受け止めてしまう。受け止めざるを得ないのだ。最初からなあなあでやり過ごせるのならば、そうしている。それが出来ないほどに、自身に、世界に対して潔癖だからこそ、悩み苦しむ。だから、主人公に対して、なぜそんなに思い悩むのか、と言う疑問は無意味である。そうであるから、としか言いようがないからだ。

この物語が痛ましいのは、決して現実から逃避することを許さない主人公の不器用さが、果てし無く彼自身を追い詰めていくことを必然とするからだろう。世界は、人々は際限なく彼を傷つけるし、彼は傷つけられていく。中盤に至るすべての物事は、主人公にとってすべてが悪意をもって接してくるようで、本当につらい話だ。こういうときは、世界すべてが敵意を持っているように思えてしまうものなのである。自分はただ向き合っているだけなのに、それが報われないというのはあまりにも苦しいものなのだ。

だが、物語は中盤を超え、終盤に向かうにつれて、それまで現れていた物とは別の側面を現し始めてくる。まるですべてが反転して、世界に善意が現れはじめたかのようだ。しかし、そうではないことを、僕は知っている。世界から感じる悪意とは、畢竟、あらゆる出来事の一側面に過ぎない。そこに悪意を見出すのも善意を見出すのも、観測者の視点次第なのである。だが、それに気がつくことを、一人だけでは出来ないこともまた僕は知っている。追い詰められた精神は、別の視点を持つことを許さない。自分は自分にしか許せない、という表現を時折聞くが、僕にいわせればそれはまったく逆だ。自分が自分であるからこそ許せない。自分だからこそ受け入れられない。ある種の人間にとっては、この世で最大の邪悪は、自分自身なのである。

だからこそ、主人公を救うためには、誰かの助けが必要だった。傷つけられながら、それでもなお自分にすべての悪意を引き受け続けた彼を、悪意は君に向いているわけではないのだ、引き受けなくてもいいんだ、と言うことを、言わば”許してくれる”相手が必要だった。その先導者となってくれたのが、”姉”である。おそらくは、本人自身が世界の悪意と対峙した経験あってのことであり(事実、登場人物の中ではもっとも年長である)、それゆえに主人公を救い得たのだ。

そこで”許し”を得た主人公は、少しづつ、物事の別の側面を知る”余裕”を得ることができるのだった。そこで初めて悪意に満ちていると思っていた世界の、もう一つの側面を知ることが出来るのだ。悪意だと思っていたことに対する善意を、薄っぺらな表層しかないと思っていたことの深い意味を、苦しみしか与えない存在の哀しみを、憧れに対する真実を知り始める。”許し”を得てなお、そこには苦しみは付きまとう。何故なら、形は変わったとしても、それは世界と対峙する行為そのものだからだ。主人公は、己の存在をかけて、世界と対峙することで、新しい世界を知ることが出来るのだった。

そして最後に主人公は知る。理解不能だと、恐怖さえ感じていた存在の、本当の思いを。自分が身勝手に規定していた存在の、本来の意思を。彼は知り始めるのだった。そして”知る”ことそのものが、彼に対する支えになり、世界と対峙する更なる力を彼に与える。

「ぷりるん」。身勝手で、滑稽で、理解不能な、そんな相手の心中を慮ることが、彼には出来るようになる。主人公の世界は、その瞬間に決定的に変わった。世界の認識が変わって行く過程において、「ぷりるん」こそがその象徴であった。「ぷりるん」はなにも変わらない。ただ、主人公が思いやることが出来るようになっただけなのだ。それは他者に対する想像力。世界は自分一人の物ではないと言うことを知ること。自分は孤独ではないというその認識こそが、世界と対峙し、世界を変える力となるのである。

繰り返すが「ぷりるん」はなにも変わらない。主人公の認識が変わっただけである。認識を変えること。それは世界を見定める目を新たに持つこと。それは本当に難しいことであり、その目を持つまでの葛藤を、僕は知っている。そして、その葛藤は一生続くのである。世界は決して今見ているものがすべてではない。すべてには別の見方が必ず存在する。その存在を知ることを、人は時に成長と呼ぶのだろう。

それこそが、本当の救いであろうと、僕は思い続けている。

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買ったもの

1.『騎士は恋情の血を流す』 上遠野浩平 富士見書房
2.『佰物語』 西尾維新 講談社BOX

わーい、しずるさんの新作だー。しかし今後このシリーズは、このソフトカバーでいくんかなー。まあ買うけど。高いぞ。

『佰物語』はとっくに完売でもう買えないんだろうなーと思ったら普通に本屋のレジ横にあったのでびっくりした。衝動買いをしてしまった。

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2009.08.06

買ったもの

1.『ヴァルプルギスの後悔 File2.』 上遠野浩平 電撃文庫
2.『俺の妹がこんなに可愛いわけがない(4)』 伏見つかさ 電撃文庫
3.『狼と香辛料(12)』 支倉凍砂 電撃文庫
4.『烙印の紋章(4)』 杉原智則 電撃文庫
5.『ソードアートオンライン(2)アインクラッド』 川原礫 電撃文庫
6.『世界平和は一家団欒のあとに(8)』 橋本和也 電撃文庫
7.『鷲見ヶ原うぐいすの論証』 久住四季 電撃文庫

買った。…ラノベオタクの本領発揮と言ったところか。

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2009.08.05

『宇宙(そら)をかける少女』読了

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宇宙(そら)をかける少女』(瀬尾つかさ/一迅社文庫)読了。

アニメ版は10話ほど観たところで諦めた『宇宙をかける少女』を瀬尾つかさがノベライズするというので不安な気持ちがいっぱいのまま読んだら予想以上、と言うか予想外に面白くてびっくり。秋葉の動機がきちんと描かれているので、彼女の成長物語として非常に評価できる内容になっている。一個の自立した人格が明確に打ち出されているんだよなあ。人間関係的にも絞り込まれて、姉妹間のコンプレックスと憧れもきちんと認識があり、それを乗り越えようとしている秋葉がものすごく好感の持てる人格になっていて驚かされた。少なくともアニメはこういう話ではなかったような気がするのだが…いや、まあいいか。

とにかく原作と違って登場人物が絞り込まれているので、視点がふらつかないのは好印象。もちろん上下巻ということで、絞り込まなければ物語が成立しないという要請もあったと思うけど、少なくともおかげで秋葉がどのようにしてレオパルドと関わり、パートナーシップを築き上げていくのかと言う点が明確に描写されているところが大変素晴らしいと思った。前にもどこかで書いたと思うけど、作者はやっぱり人間関係のドラマを描くのが上手いよな。因果関係がハッキリしているのですごく納得がいく。そりゃ、いきなり喋るコロニーと出くわせばびっくりするし、いきなりパーツを集めろとか言われたって納得できるわけ無いよなあ。そして、納得できずに事件に深入りして、その結果ほのかを傷つけてしまったことをきっかけに、本当に自分がすべきことがなんなのかを模索していく展開もすげー納得できる。

そしてラストの展開も、他者を巻き込みたくないレオパルドのツンデレぶりと、正しいことをしたい秋葉の対立が、きちんと交差していく展開もよかったと思います。お互いに大事にしていることはそれほど違ってはいないのだから、対話すればきちんと”気持ちが通じる”と言うことが描かれていたと思います。そしてエピローグ。これってアニメの方だとどうなっているのかわからないけど、いきなり既存の舞台を超越してしまうところなんて、瀬尾つかさらしい物語のインフレ感が感じられて、とても作者らしかったと思います。すくなくとも読者に「えーマジでー」と思わせることに成功しているというか。

まあよく考えればそんなに気を衒ったことをやっているわけではなく、物語としては基本と言うか王道を貫いている感じなんだけど、どうもアニメに足りなかったのはこの”王道感”だったんだなあ、と言うようなことを思ったりして、相対的に小説の印象がとても良くなりました。

しかし、褒めているのかこれ。自分でもどうかと言う感じだな…。まあ、この作品はこの作品で、普通に下巻が気になるので期待して待ちたいと思います。作者らしく、このままスケールがどかどかアップしていくと嬉しいなあ。

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最近のアニメ

なんか毎月恒例みたいになってきたが、最近観ているアニメの面白かったランキング。7月分全体を視聴した結果で判断している。

 1.真マジンガー 衝撃!Z編
 2.CANAAN
 3.化物語
 4.東京マグネチュード8.0
 5.Phantom ~Requiem for the Phantom~
 6.青い花
 7.亡念のザムド
 8.懺・さよなら絶望先生
 9.うみねこのなく頃に
10.ニードレス
11.狼と香辛料Ⅱ
12.プリンセスラバー!
13.ティアーズ・トゥ・ティアラ
14.涼宮ハルヒの憂鬱
15.バスカッシュ
16.うみものがたり
17.クロスゲーム
18.GA 芸術科アートデザインクラス
19.かなめも
20.宙のまにまに
21.よくわかる現代魔法
22.蒼天航路
23.グインサーガ
24.鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST
25.咲 -Saki-
26.シャングリ・ラ

1位から3位までは心の底から楽しいなあと思いながら観てる。もう客観評価は不可能なほどに観ているのがとにかく幸せな時間。4位から10位までは一定の引力を感じさせてくれる作品。ストレスを感じずしかも品質も高いと言うことがない。毎週観たいと思わせてくれる。11位から20位までは、個人的に趣味に合わなかったり、作品として気になる点はあるものの、それを上回るほどに品質が高いか、あるいは観るのが苦痛ではないレベルの作品。ストレスは感じるけど面白い、とかなんにもストレスを感じず観れるというのはこの枠。21位以降は、とくになにも感情が想起されなかったり、見るのが苦痛レベル。観ながら、何で自分はこれ観ているんだろうと真剣に疑問を感じる。時間が無ければ観てないな。

1位~3位について。
真マジンガーが圧倒的におもしれえ。マッドすぎる業の深いキャラクターばかり登場して、アクの強い活躍を随時みせてくれる。ロボットアクションとしても見所が多く、とにかく品質は高い。今川監督最高。
CANAANはとにかく読解が大変なアニメ。カナンのキャラがさっぱりわからん。でも、アクションは今季最高の美しさだし、群像劇としての楽しさもあって、懐が本当に深い作品だと思う。
化物語は、原作をアニメ的なテンポを優先するためにシェイプアップしている部分はあるが、原作に極めて忠実に作っており、しかも面白いと言うところがすごい。なにを当たり前な、と言うかもしれないが、化物語を原作に忠実に作ったら、普通はアニメとしてはすごく退屈なものになると思う(会話しているだけだからね)。それを面白いものにした新房監督とスタッフは本当にえらい。

4位~10位まで。
・東京マグネチュード8.0。すごく品質が高いと思う。人間の嫌なところをきちんと描いているところがいい。
・Phantom ~Requiem for the Phantom~。ノワールアクションとして品質高い。抑えた演出がやるせなさをかもし出す。
・青い花。描写の繊細なところがすごくいいと思うんだよな。言葉ではなく、”空気”で伝えようとするものがある。
・亡念のザムド。本当に地味アニメ。考えないとなにもわからんマゾ仕様がたまらん。
・懺・さよなら絶望先生。純粋に爆笑できるアニメって貴重だ。だが、絶望先生が爆笑できる自分はかなり駄目だと思う。
・うみねこのなく頃に。エピソードⅠ完結でテンション上がってきたー。まあ原作をかなり削っているので、推理は不可能だと思うんだけど、とにかくテンションの高さは魅力。原作の魅力は自分はそこだと思っているので。
・ニードレス。なんで自分はこんなくだらないアニメが面白いんだろう…。子安がすげーバカで活き活きとしているからかな…?

11位~20位まで雑感。
まあ今期は品質高いのが多いね。自分が好きになれるかは別問題だけどさ。このあたりは、出来がよいのはわかっていても、観るのがすげー気力を要するのがあって、大変。具体的にはうみものがたりとかGA芸術科アートデザインクラスとかかなめもとか宙のまにまにとか。もう限界かもしれない…。涼宮ハルヒの憂鬱も別の意味で心が折れそうだが、まあ、視聴者に対する嫌がらせだと割り切ればまだ耐えられそう。他は普通に面白く観てる。気力を消費しないで観れるアニメはいいものだ。

21位以降。
さあ、このあたりは本当にどうしたものでしょう。観なくてもいいんじゃないか、という誘惑の声にほとんど従いかけている状態。もうゴールしてもいいよね…?

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買ったもの

1.『プリンセスハーツ~初恋よ、君に永遠のさよならをの巻~』 高殿円 ルルル文庫

買った。

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2009.08.04

『戦う司書と絶望の魔王』読了

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戦う司書と絶望の魔王』(山形石雄/スーパーダッシュ文庫)読了。

前巻にて覚醒し、世界を滅ぼそうと行動するすべての始まりの男。かつての英雄にして魔王、ルルタ・クーザンクーナ。人類が楽園より追放され、神によって滅びに瀕していた時代に、人類の希望として絶望に立ち向かった彼と、人類の物語が語られる。

神々しいまでに完璧な英雄、ルルタ・クーザンクーナの真実がついに明らかにされる過去編。さまざまな人物の視点から、英雄、ルルタ・クーザンクーナが描かれていく。ある者にとっては世界を守る英雄。ある者にとっては神そのもの。そして、ある者にとっては、ただ恐怖に震え、泣き濡れる子供にすぎなかった。

多くの人間がルルタに期待する。それは楽園から追放された人間たちの、ただ己が生き延びたいという浅ましき欲望。その欲望のすべてを背負わされ、ルルタ・クーザンクーナは戦い続ける。”英雄”と言う、人を超えたものを求められ、”英雄”として生き、”英雄”として死ぬことを願われて。

”英雄”とは人々の希望が、欲望が生み出すものである。”英雄”とは希望そのもの。つまるところそれは”人間ではない”。ただ、”そうであるべきもの”と言うだけに過ぎない。予言者(預言ではない)によってその役目を背負わされた、ただの人間であるということは、誰ひとりとして理解しようとしない。否、しなかった。

ここで一人の少女が登場する。ルルタと共に戦うことがすべての世界の中で、ただ一人、他者への愛を忘れない者。本当の意味での、楽園の最後の継承者。人々は知らない。彼女こそが真の希望であることを。己が忘れた楽園を生きるものである事を。彼女こそが、世界最後の神との架け橋であるということを。

他者への、ごく当たり前の愛を持った彼女は、ルルタを”英雄”としてはみなさなかった。ただの、哀しく孤独な少年としてしか接しなかった。”英雄”として、人間的なすべてを剥奪されていたルルタに、人を愛すること、世界を愛することを教えた。

言ってみれば、その時、初めてルルタは本当に意味で”世界を守る者”としての意思を手に入れたと言って良いのだろう。役目だから、使命だから戦うのではない。守りたいものがいるから戦うのだ。そんな当たり前のことを、ルルタに初めて教えてくれた存在だったのだ。

だが、人間は、それを理解しなかった。彼女は最後の希望であることを理解しなかった。唯一、神に愛された存在であることを考えもしなかった。それこそが、欲望に支配され、楽園を追放された証であることを理解しなかった人間そのものだった。

生まれるものは、絶望。ルルタは絶望した。人間に絶望した。世界に絶望した。その絶望が、世界を真の意味で殺すのだった。そして物語は現代に続く。絶望しかない世界で、真なる意味で幸福を求め、失われた希望を手にしようとあがくルルタに対して、しかして、世界は牙を剥く。彼の絶望を理解するものは、やはりいなかった。

そして、運命の輪は回り始める。ルルタを取り巻く絶望は、ハミュッツとチャコリーを生み出した。彼女らが、物語の最後の引き金を引き始める。

滅び行く世界。滅ぼす魔王として目覚めたルルタ。彼の前に立ちふさがるのは、武装図書でもなく、恋した相手のために、運命に抗った”彼”であった。本当の意味で、運命に抗った彼だけだった。

物語は終焉に向かっていく。ハミュッツの引いた引き金は、未だ止まってはいない。絶望に絶望を上塗りする、誤解と齟齬が撒き散らす終焉に向けて物語は加速する。

残されたものは絶望せるルルタと”恋する爆弾”。そして死したるハミュッツだ。彼らが絡み合う運命は、どのような結末を迎えるのか。残されるものは絶望か、あるいは希望か。すべての要素は絡み合い、混沌にして残酷なる物語は、最終局面へと向かっていく。

ルルタの絶望は救われるときが来るのか。ハミュッツの引いた引き金は、彼の絶望を完成させるのか、打ち砕くのか。それすらもわからぬまま、物語は最後の局面を迎えるのだ。自分はただ祈る。すべての人々に希望をもたらす終りが来ることを。しかし、それは本当に可能なのかどうか。それすらも疑義をはさまずにはいられないのだ。より幸福を求める心こそが、人間の業である。業こそがすべての元凶。業を描き続けたこの物語が、どのような境地にたどり着くのか、未だ見えない。業は克服されるのか否か。

だが、それでも。そう、願わずにはいられない。

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ドラクエ9プレイ日記(6)

・しばらくレベル上げをした後、ツオの浜へ。

・ちょっとレベルが足りないのかだんだん戦闘が厳しくなってきた。やっぱり転職したては弱いや。

・ヌシ様とバトル。全滅する。くっそー。それまでダンジョンでレベル上がったりアイテムを撮ったのが全部パー。これは気力を削られる。

・たまたま友人が来ていたので助っ人に来てもらう。しかし、友人のレベル高すぎ。どんな生活しているんだ。

・その後も友人の一緒に話を進める。順調に行くかと思われたが、途中でクエストに必要なアイテムを根こそぎ拾われたことが判明。あやうく友情が壊れかける。

・マルチプレイの恐ろしさを実感。もうちょっと話を進めて、レベル差を縮めてからにしよう。

・新大陸へ。自由の街って、要するに駄目人間の集まりってことですね。過ごし易そうだと思う自分は間違っている。

・小さなメダルの船長はありがたい。盗賊の鍵を手に入れる。しかし、あまり開けることが出来ない罠。なんだよー。

・バニースーツとか手に入れる。おお、なんと…本当にドラクエのセンスはおっさんだよな。もちろん着せたよ。

・ビタリ山の一連のイベント。なんだこのどうしようもなく報われない話は…。ラザオ爺さん、夢のために恋人を犠牲してた。故郷に帰ると恋人は別の男と結婚してた。そのことを後悔。山の中に石で幸福だった頃の街を作る。そんで死ぬ。…だめだ、書いてみたら本当にどうしようもなく切ねえ。

・スライムくんがかわいい。ちゃんとモンスターとは意思疎通が出来るのに、虐殺しまくる主人公に疑問を感じちゃうぜ。

・このラザオ爺さんの元恋人と言うのが以前登場してたエラフィタのクロエさん。まさか棚に「石の友」なんて雑誌があったのが伏線だったとは…。で、話を聞いてみたら、今の旦那さんが口説き落とすのに10年かかったとか言っている。10年帰ってこなかったのか…これはラザオ爺さんが悪いよなあ。余計に報われない話になってきた…。

・つうか、このイベントは本当に見事。ちゃんと、クロエさんやソナさんと仲のいいもう一人がいた、とかクロエさんと旦那さんがらぶらぶだったりとか、「石の友」とか、きちんと伏線が張ってあるもんな。

・レンジャーイベントを消化。上級職を解放しつつあることにより、再びパーティの戦略の立て直す必要性を感じる。攻撃に特化するか、防御を重視するか。とりあえず、パーティーの肉弾担当を、元武闘家をバトルマスターへして攻撃力特化、主人公を魔法戦士、盗賊をレンジャーにして攻撃と補助をそれぞれ担当。魔法使いはそのまま継続。このパーティは回復が弱いのがネックになるので、レンジャーがある程度カバーしてくれることを期待。つうか賢者はいつになったら転職できるのかなあ。

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買ったもの

1.『ぬらりひょんの孫(6)』 椎橋寛 集英社
2.『スケットダンス(9)』 篠原健太 集英社
3.『ToLOVEる(15)』 脚本:長谷見沙貴 漫画:矢吹健太郎 集英社
4.『魔人探偵脳噛ネウロ(23)』 松井優征 集英社
5.『バクマン。(4)』 原作:大場つぐみ 漫画:小畑健 集英社

買った。…ところで、漫画原作における、”原作”と”脚本”の違いってなんなんだろうな。ToLOVEるとバクマン。を見てそんなことを思った。

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2009.08.03

買ったもの

1.『翼の帰る処(2) ―鏡の中の空―(上)』 妹尾ゆふ子 幻狼ファンタジアノベルス
2.『魔人探偵脳噛ネウロ 世界の果てには蝶が舞う』 原作:松井優征 著:東山彰良 ジャンプJブックス
3.『桜の下で会いましょう』 久遠くおん HJ文庫

買った。

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2009.08.02

『ヴァーティゴ』読了

ヴァーティゴ』(深見真/幻狼ファンタジアノベルス)読了。

表紙とあらすじを読んで、どうせいつもの深見真なんだろうなと思いながら読んだら、本当にいつも通りの深見真だった。まあこのあらすじは半分嘘あらすじだけどな。嘘はついてないけど、別に重要でもないと言う。まあ、あまりにもいつも通り過ぎる作品に、編集者が少しでもキャッチーさを演出しようとして先走ったんだろうな、と思うとまあいいかと思う。でも、このあらすじから興味をそそられて読んだ人にとっては詐欺か、よく言っても誇大広告だよな。別にいいけど。

と言うわけで特に語るべきことも多くないが、要するにマッチョなガチレズメスゴリラたちがバトルってぶん殴って犯罪者どもをぶち殺すという、中二病と言うにもはばかられる内容でござりんす。電脳描写とかサイバーな表現とかも言及する必要があるのかもしれないけど、どう考えても重要ではなさそうだしな…。単にメスゴリラたちがなぜメスゴリラなのかという理由付けにしか使われていないような…。まあつまり深いことは気にするな。

で、主人公二人によるレズ物かと思わせておいて、実はお互いに意中の相手がいるという。最初は、オイこら、なんだそりゃ!とか思ったが、要するにこれは普通にバディ物を書くつもりだったんだろうなー、と言うことに思い至った。まあそれならこの設定も普通か。全員女であることを除けば。

そんで、例によってセックス&バイオレンスで、バディ物で、まあここまで深いことを考えなくてもいい作品と言うのもある意味壮観だなーと思いながら読んだ。つまりまあそういう話だ。決して否定的な意味ではなく。でも、これは深見真に慣れている自分だからであって、普通の人がいきなり読んだら、なんだこりゃ、以外の感想は出てこないような気もするなあ。その意味では一見さんにまったく不親切な話ですね。

まったく、作者はもう少しサービス精神と言うものについて考えた方が良いのではないか、と思うのだった。作者が好きなだけではなく、読者が好きなものももう少し考慮していただきたい。以上。

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2009年上半期ライトノベルサイト杯

2009年上半期ライトノベルサイト杯に投票いたします。よろしくお願いいたします。

予想以上に新規作品が多くなった。やはりイメージ的には新規の方が印象が強くなるのかね。不思議。

【09上期ラノベ投票/新規/9784840127875】
『いつも心に剣を(2)』(十文字青/MF文庫J)
十文字青の新シリーズ。現在2冊まで出てます。この人、いくつもシリーズを抱えているので、既存部門とどっちにしようかと思ったけど、地味ながらとても好きなこの作品をプッシュいたします。今回は作中ではなんの変わらない人間同士が、人間と魔女に別れて対立し、善が人を虐げ、悪が人を助ける倒錯した不条理な世界で、身を寄せ合うようにしていき少年少女の数奇な運命を描く。主人公二人のキャラ描写も特異で、いわゆる”キャラ萌え”の出来る登場人物が一人もいないのがポイント。どの人物も鬱陶しくて不快な部分と、それと同じくらいに生きることに苦痛を覚えながら必死で生きている部分を併せ持っている。そこを受け入れられるかどうかもまた、この作品の評価を決めるポイントだろう。

【09上期ラノベ投票/新規/9784044743017】
『サクラダリセット CAT, GHOST and REVOLUTION SUNDAY』(河野裕/角川スニーカー文庫)
終始、叙情的で繊細な描写をしているのにやっていることはジョジョ。淡い恋と、不器用な生と、生きることの孤独を描いているのに、やっぱりジョジョ。なんだこりゃ…。乙一×荒木飛呂彦というやってはいけない悪魔合体をやってしまった作品という表現も出来るな。結果として極めて繊細かつケレンに満ち溢れた作品だった。主人公の歪み方がなかなかまるで乙一かと思わせておいて、能力の駆け引き、意外な結末などまるでジョジョ。変な話だなあ。
個人的にとても好きな新人として今期の一、ニを争う作品です。

【09上期ラノベ投票/新規/9784758040686】
『星図詠のリーナ』(川口士/一迅社文庫)
読む前はねえ、マッピングファンタジーとかまた編集部はヘンテコなキャッチコピーをつけるよなーと斜に構えて読んでいたんだけど、読んでみたら本当にマッピングファンタジーとしか言えない話だった。マッピング、という行為が物語の主題にがっちり組み合っているんだよな。キャラといい物語といい派手な部分はまったく無いのだが、良作という言葉のぴったりな作品。

【09上期ラノベ投票/新規/9784840127844】
『原点回帰ウォーカーズ(2)』(森田季節/MF文庫J)
不思議なというしかないセンスをした森田季節がキャラに特化したラノベを書いたらなんか得体の知れないものが出来てしまいました!キャラは立っている。確かに立っているんだが…立ち過ぎ!物語も相乗効果でよくわからんテンションに包まれている。

【09上期ラノベ投票/新規/9784757749320】
『耳刈ネルリと奪われた七人の花婿』(石川博品/ファミ通文庫)
オレ、これ好きー。主人公の一人称で語られている作品なんだけど、その一人称が嘘をついているという、非常に先鋭的な作品。読者は、主人公のエロとバカな発言の奥にある真摯な思いを汲み取る必要があるのだ。それを汲み取ると、物語は途端にシリアスかつ熱い物語に変貌するのである。本当だよ?

【09上期ラノベ投票/新規/9784048674676】
『プシュケの涙』(柴村仁/電撃文庫)
これはねえ…。冷たく理不尽な世界であったほんのわずかな希望が叩き潰されたところから物語が始まると言うところに凄みを感じた。希望がすでに失われた後に、その希望がどのようにして生まれたのかを語るなんて凶悪すぎる…。希望が無いことを嘆くなんてレベルの話じゃないぞ…。

【09上期ラノベ投票/新規/9784048678438】
『アクセル・ワールド02 紅の暴風姫』(川原礫/電撃文庫)
ソードアートオンラインと同時にシリーズが始まっているけど、個人的にはこっちが完成度は高いような気がするなー。いや、どっちも上手いし面白いんだけど。作者の最大の魅力は、バトル描写でもなく、キャラ萌えでもなく、人間の関係性の描写なんだと思うのだけど、こちらのシリーズは本当にその点が素晴らしい。デブでさえない主人公に、ヒロインが好意を持つ過程にきちんと納得の行く理由付けを行っているところも良い。きっかけは才能だけかもしれないけど、そこから構築していくものもあるのだ。

【09上期ラノベ投票/既存/9784048675307】
『悪魔のミカタ666(6)ノットB』(うえお久光/電撃文庫)
本当に悪魔のミカタという物語はどこに到達してしまうんだろうなあ。読者が予想する最終回予想を、どんどん上回っていく作者の覚悟には痺れる。ど、どこまで作者はハードルを上げていくんだ…?無印一巻の時点でこの展開を予想できた人は神(つまり不可能)。

【09上期ラノベ投票/既存/9784829133798】
『宝仙娘娘追宝録(11) 天を決する大団円(下)』(ろくごまるに/富士見ファンタジア文庫)
つ・い・に宝仙娘娘追宝録、完結!もうこれだけでなにも言うことが無い。あの混乱したクライマックスを本当に大団円に持っていく力技がすごい。敵も味方にも”悪人”がいなくて、それでも悲劇が止められないというやるせなさが良かった。そのやるせなさもきちんと回収されているところも見事だったな。終りもただ終りというわけではなく、これからの物語の広がりを感じさせられて、美しい。信者補正が入っているかもだけど、きちんと完結したので、多くの人に読んでもらいたい。

【09上期ラノベ投票/既存/9784488451066】
『秋期限定栗きんとん事件(下)』(米村穂信/創元推理文庫)
これもすごかった。夏の話で別れてしまった主人公二人が一年間をいかに過ごしたかが描かれる。本当にこいつらはタチが悪いよな。ただ、ひねくれた、社会に対して冷笑的な展開にならないかとひやひやしていたので、予想以上に前向きな終わり方にはほっとした。いや、ひどい目にあわされた人はいるんだけどね!でも、こういう社会に反抗するのでもなく、シニカルになるのでもなく、(主人公の特異性を受け入れた上で)自己を肯定出来る前向きさがとても良いなあ、と思うのだった。大抵のラノベだと、自分が逸脱していると思うと、すぐに社会を排除する方向に行くからな。その点、作者の誠実さが感じられるのがよかった。

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2009.08.01

『ベン・トー(4) 花火ちらし寿司305円』読了

51lbyyut7yl__sl500_aa240_  『ベン・トー(4) 花火ちらし寿司305円』(アサウラ/スーパーダッシュ文庫)読了。

メインとなる少女二人の対立と和解を、狼たちの熱き戦いに絡めて描いている物語であると言える。二人の少女の感情の流れが自然で、下手をすると陳腐に陥りかねない物語を、説得力のあるものにしていると思う。著莪と佐藤の過去が前提にあり、その上で著莪に少女たちを説得しているので、ギリギリで説教臭くないレベルに留まっているのだ。

少女二人がメインの物語と言うと、作者の本来のフィールドと言う印象があって、非常に懐かしい感じがした。もっとも初期作品ほど深刻なものではないが、少女二人の”セカイ”に亀裂が走ると言う意味では本人たちの視点から観れば切迫感と言う意味ではなにも変わらない。その亀裂が修復されることによって、セカイとの闘争(半額弁当)によって肯定されるという展開は、まったく違和感がないどころかむしろテンションの高さに乗る感じがあって見事だった。

メイン部分もそのように大変面白かったのだが、例によって組み込まれている小ネタも大変報復絶頂で大変素晴らしい。例えば佐藤の槍水先輩に対する執拗に性的かつ粘着質な視線には鬼気迫るものがあった。と言うのは半分冗談だが、今回は石岡君関連のヒドイ話が少なかった影響か(まあ友達を一人犠牲すれば、というのを何度も強調されたりしているが)、佐藤のエロ妄想が爆発している感があり、むしろ感心させられてしまった。ニーソとか太股とか背中とかデニムミニとか、とにかく視点が本当に変態的だな…。まったくこいつの二つ名は体をきちんと現しているなあ、と思いました。これがエロス革命(レボリューション)や!

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