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2009.08.26

『灼熱のエスクード(4) DADDY,BROTHER,LOVER & LITTLE BOY』読了

61k4e48pinl__sl500_aa240_灼熱のエスクード(4) DADDY,BROTHER,LOVER & LITTLE BOY』(貴子潤一郎/富士見ファンタジア文庫)読了。

これ以外の展開は選択出来ないと言う意味で、これ以上はない終わり方だった。まあそうだなー、これ以外の終わり方を許さない話だったよな。基本的に”奇跡は起こらない”と言うことが一作目から言明されている作品なのだから、みんながみんな幸せになりました、めでたしめでたし、とは行かない。むしろ、奇跡の起こらない世界で、運命に殉じて気高く生きたことを誇ることが、彼らに許された唯一のことなのだ。

闇の者に転化した薫がそれまでの甘さがすっかり抜け切り、エログロ伝奇アクションの主人公らしい傲岸不敵な性格になったのはそれほど違和感を感じなかった。と言うより、ようやく薫が主人公らしくなってきた感じで、まあ良かったなあと。ちょっと急展開と言う感じもあるけど、このくらいにならないと主人公になれないってのも、伝奇アクションの主人公って大変だな、とどうでもいいことを考えたりもした(どうでもいい)。ヴァルデリーが薫の相棒役におさまる展開とかも、ようやく読みたかったものが読めたという感じで満足感が高い。エロくておっかねえお姉さんは最高ですよね、と改めて作者と自分の性癖の近さを知った。共感さえ覚えるな。もちろん、エロ残酷人外ロリのアロマ様はラスボスとしての風格はますます高まり、いい感じに狂っているのだが、ラストはちょっと格が落とされたかなー。薫に振られてそのまま死んだ(とも限らないのだが。アロマ様だしなー)のはちょっとかわいそう。薫くんは本当に罪作りな男だぜ!死ね。おっと本音が。レイニーさんは基本的に最初から最後まで捕まってばかりなので、すっかり囚われの姫君役が板についてしまったな。レイニーさんが活躍すると薫の活躍の余地がなくなるので仕方が無いのか。レイニーは意思にブレが無さ過ぎるので、活躍させるのが難しいかもな…。あ?ルーシア?…結局、一番頑張っていたのに一番報われなかったね…。我らがアルフェルム様は地味に暗躍しておいしい立場を持っていきました。すっかりただの変な人になってしまったなこの人…。

まあそんな感じでチョイ役だった人たちも総出演のクライマックスでした。決してハッピーエンドとは言えない終わり方ではありましたが、それぞれが懸命に未来を模索した結果ではあるので、決して残酷なだけの終わり方ではないのは救われると言ってよいのかもしれない、と思いました。

これで完結とのことですが、あとがきで作者も書いているように、エロスとバイオレンスに満ちた伝奇アクションの主人公としてふさわしくなった薫の物語も読んでみたいなーと思うので、すこし寂しい…。アロマ様の娘の話もすごく気になるぞ。いったいあとがきに書かれた部分のどこまでが嘘なんだ?娘が生まれているのは本当の設定と言うことでいいんだよな?な!?うおー親バカなアルフェルム様ちょー見てえ…。うっかり続きとか出ないかなー。

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コメント

感想読んでて、なんとなーく昔読んだ本を思い出しました。

伝奇といえばFate、という世代ではあるんですが、Fateフィーバーより前に、菊池秀行とか夢枕獏とか結構読んでたりします。もちろん古本で。

よくよく考えてみるとあの辺が一般小説で最後にウケた伝奇アクションなのかなーとか思ったりします。同じ伝奇でも今のラノベやエロゲとはだいぶ違いますよね。主人公は大抵タフだし、(やむをえない状況での)殺人にためらいなんてないし、桜レベルのヒドイ目に遭ってるヒロインなんて珍しくもない。

ま、そもそもあの世代の伝奇アクションは一部を除いて少年少女は単なる弱者でしかないですからね。殺されるか犯されるかのヤラレ役。今で言うとそのテの伝奇はニトロプラスぐらいなのかな。ヴェドゴニアぐらいしかやったことがないから断言はできないけど。

巻き込まれ型の少年主人公が少女ヒロインと協力しつつ、苦し紛れのキレイ事を振りかざして進むのが今風ですが、だいぶ変わったもんですね。

というか今のオタク業界の伝奇と菊池秀行や夢枕獏の伝奇って歴史的な繋がりとかどのくらいあるんだろうか。作家たちは少年時代に彼らの本を読んだりしてたのかな。

投稿: 暗黒 | 2009.08.29 16:57

伝奇ものの流れと言うものも、色々ありそうですね。僕は個人的にはFateが伝奇と言われると疑問を感じる世代なんですが、これは笠井潔が変な事を言い出したのがきっかけだと思っていて、”ファウスト”編集部あたりの持ち上げ方で形作られて行った印象があります。大体、Fateが伝奇だったらブギーポップだって伝奇ですよ。このあたりは言ったもの勝ちのなかなー。

かつての伝奇アクションの系譜はそれほどメジャーとはいえませんが、まあ昔も今もそれほど状況は変わってないと思いますよ。単にFateあたりで伝奇と言う言葉が有名になっただけで、昔からメジャーなジャンルではなかったのではないかな。今でも生き残っているのとなると、菊地秀行、田中芳樹、まああとは夢枕獏ぐらいですか。他にもいるかもしれませんが、僕の観測範囲では、あまり見かけないかもしれません。このあたりの伝奇小説の系譜は拡散して、ラノベに多く吸収されていきますが、その過程でエログロがオミットされてきた事情もあるのでしょう。その意味では、この作品は古き伝奇小説の血をそのまま受け継いでいると言えるでしょうね。

ところでニトロプラスについてですが、伝奇と言えば伝奇かもしれませんが、ヴェドゴニアは基本的に仮面ライダーなので、純粋に伝奇とは言えないと思いますよ。それ以外の作品では伝奇と言うよりもジュブナイル作品の方向が大きいですからね。ヴェドゴニアはむしろ異端。

投稿: 吉兆 | 2009.08.29 23:14

~外伝~的な本が後二冊ぐらい出てほしいです・・・薫君とアルフェルム様の戦いが描かれているようなのを是非お願いします!!orz
総出という感じの最終回で、ミラベリ先生が出てきたのは意外でした(笑)

投稿: | 2009.10.07 21:14

実を言うと…自分ものたうち回るぐらいに外伝が欲しい!です。あーアルフェルム様の活躍が見たいよー。

>ミラベリ先生が出てきたのは意外でした(笑)

あれ、ゲスト出演と言う感じでしたけど、おいしい役どころで出てきましたよね。少女の危機に颯爽と登場とかお前はヒーローか!みたいな。キザぶりも相変わらずで、実はちょっと嬉しかったり。

投稿: 吉兆 | 2009.10.07 21:27

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