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2009.08.12

『ソードアート・オンライン(2)アインクラッド』読了

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ソードアート・オンライン(2)アインクラッド』(川原礫/電撃文庫)読了。

キリトさんマジ自重。なんだよこのキリトさん総モテ本は。圧倒的なモテっぷりにもはや嫉妬とか感情移入とかそんなレベルじゃねーぞ。4話構成で4人のヒロインが出てくるんだけど、そそのすべてがキリトさんといい雰囲気になってキャッキャウフフするという願望充足もここまで徹底されれば腹も立ちませんな。まあこの作者の本はいつもそうなんだけどな!(なぜ切れる)

とりあえずまずもって言っておくべきことが言えたのでよしとする。これで冷静な感想に移れるというものだ。で、今回の内容だが…キリトさんTUEEEE!以上。いかん、感想が終わってしまった。などとどうでもいいことを書いているところからして、このシリーズの、と言うかこの作者に感想の書き難さを如実に現しているといっていいだろう。だって、基本的に、主人公が強くて、ヒロインが可愛くて、もちろん主人公にヒロインが恋して、ただ今回の場合はすべて悲恋に終わる(正ヒロインがいるからね)と言うコテコテの作品なんだが…これがとても面白いの。面白いのに説明し難いの。本来、作品の感想を書く際に、”面白い”というワードは思考停止の要素があるので使いたくはないのだが、その封印を破りたくなってしまう数少ない作家であり、作品なのだ。説明し難いんだよね。とりあえず読んでみろ、としか、読んでみなくてはその面白さがよくわからんタイプの作品なんだよなー。

とは言え、自分にもプライドと言うものが一応あったりするので(あるんだよ多分)、もうちょっと語ってみようか。と言うわけで今回の内容だけど、前巻が基本的に”攻略組”と呼ばれる一部の高レベルプライヤーの間だけでわりと話が完結してしまっていたところがあったのだけど、今回はそれ以外の、攻略に命を賭けているプレイヤーではなく、その中でも平凡な、”攻略組”以外の職についているような人々にスポットを当てた作品と言え、アインクラッドの世界感を広げていく意味合いがある物語と言えるだろう。さまざまな立場から、前作の主人公、キリトを観た作品にもなっており、彼のさまざまな側面も垣間見えるという、ええと、あれ、一体誰が得をするんだ?的な要素もあり、興味深い(無理矢理)。

以下各話感想。

「黒の騎士」
けしからん、まったくけしからん。リアル女子中学生がアイドル扱いとか、ネトゲーマーはどいつもこいつもロリコンばかりか!…まあ実際ネトゲでリアル女子中学生(しかも可愛い)がいたらアイドルだよね…。まあそんな相手にもクールな態度を貫き通すキリトさんカッコいい!と言う話のような気もする。この話のキリトはクールで頼りがいのあるお兄さんと言う感じ。なにげにキリトさんに妹(従妹だけど)がいるという重要な事実が判明したりして、なんか情報量はわりと多いよな。

「心の温度」
また当然のようにキリトさんつえーな展開なわけですが、前の話とは別の視点から観ているので、キリトの性格が大分違うように見えるのが面白い。まあ「黒の騎士」より数ヶ月経っているので、そのせいもあるのかもしれないけど、シリカが13才であったのに対して、リズはほぼ同年代であるというのも大きいのだろう。等身大の、ちょっと生意気で少年らしいキリトがそこには現れている。とは言え、「黒の騎士」にも出ていたけど、過去に仲間を死なせたというトラウマが陰となって、彼の自己犠牲的とも言える行動につながっているのがわかる。これ、最後まで読むとわかるけど伏線ね。でも、きっと女性プレイヤーは、こういう陰影にコロっとやられちまうんだろうなあ。ラストはキリトマジ許せねえ。犬のウンコ踏め。

「朝露の少女」
えーと、この時期は…正ヒロインのアスナとの新婚生活でアインクラッド最強のラブラブバカップル一直線を突き進んでいた頃のキリトさんが描かれている。もうね、本当にね、こいつらはね…いや何も言うまい。ただ、結婚生活に入ったこともあってか、ずいぶん明るくなって、トラウマを克服しつつある感じが良かったですね。また、実はいる子供プレイヤーはどうしているのとか、一巻で出てきたわりにあっという間に全滅してフェードアウトしていった”軍”とかどうなっているの?とか、アインクラッドのメンテナンスとかどうなってんの、とかわりと読者の疑問に答える内容になっていたかな。”軍”は本当に前作は存在意義がさっぱりわからなかったからなあ…。その結末が描かれたことは、作品の意外な、と言っては失礼だが懐の深さが見えるようだった。

「赤鼻のトナカイ」
収録されている作品の中でもはもっとも過去の話にして、おそらくもっとも重要な、キリトのトラウマの根幹が描かれている話。一巻でも少しだけ語られていた、自分がビーターと言うことを隠して、あるパーティに参加していたころのキリト。初めて自分を受け入れてくれた仲間たちと、ほのかな恋心。しかし、それはキリト自身の思い上がりによって粉々に砕かれてしまう。このあたり、まったく作者は容赦ない。キリト自身には確かに悪気はなかったのだろうが、間違いなく罪はキリトにあった。自分なら仲間を影ながら助けることが、本当の自分をさらけ出さなくても大丈夫だという思い上がりが仲間を殺した。キリトが自分を責めるのは当然であり、そして失ったものを少しでも取り戻そうと足掻いた結果、トッププレイヤーとしての実力と、二刀流のスキルだと思うと、あらゆる因果はきちんとつながりがあるのだな、と思わされた時点で作者の意図に嵌っているのだろう。作者の手腕の確かさを感じさせる一編でした。

…それにしても、各話感想と言っておきながら、基本的に全部これキリトの話だよなあ…。キリトが抱えるトラウマと、その払拭されていく過程が描かれており、ぶっちゃけ各話登場の女の子が主人公で、キリトがヒロインみたいな扱いになっている…。本当に誰得…。いや、それがむしろ面白いというのだから、作者の手腕こそ褒めるべきかもしれないなあ。

そういえば巻末を読む限り、次回は現実世界が舞台になるみたいですね。時系列的にも続編となるのだろうか。その場合、どういう展開になるのか…期待は尽きませんね。

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コメント

> 作品の感想を書く際に、”面白い”というワードは思考停止の要素があるので使いたくはないのだが、

この人の作品、いい意味でも悪い意味でも"面白かった!"以外の感想が出てこないので、私も感想に困ってます。よくできてるし、一気に読めて、すっごく面白かったと思うのだけど、決してそれ以上の、胸に響いたり記憶に残るような作品じゃないというか、なんというか……

投稿: ub7637 | 2009.08.13 07:10

この作者、読んでいて”引っかかる”部分と言うのが恐ろしく少ないと思うんですよ。流れるように読めてしまう。それはツッコミどころが少ないとも言えますし、新鮮味が薄いという言い方も出来そうです。長所と短所は表裏一体と申しますか。難しいですね。

投稿: 吉兆 | 2009.08.13 22:02

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