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2009.08.23

『星図詠のリーナ(2)』読了

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星図詠のリーナ(2)』(川口士/一迅社文庫)読了。

マッピングファンタジーの第2弾。正直、好きな作品だったので、続きが出たのは嬉しい限りだ。冒頭の地図が前作の部分だけ埋められているあたりも、おお、と言う感じで嬉しかった。順調にシリーズが継続すれば、いずれこの大陸の地図が完成するまで進むのか…いや、もしかしたら大陸の外にだって行くのかもしれないと思うとわくわくする。今度はリーナがどんな新しい出来事に出会うのか。そうした期待感を抱かせてくれると言う意味で、なかなかに貴重な作品であると思う。おそらくは、主人公のリーナが、常に世界に対する好奇心を忘れず、新鮮な感情で向き合うことをしているためであろうと思われる。

今回は火山の噴火によって発生した難民問題に揺れるタヴァストと言う街での物語。新しい住民と古い住民の間でくすぶる火種は、いずれ大きな炎となって街を埋め尽くすであろうこと予見されている。この手の問題は、誰かに原因があるわけではないので解決することが難しいのだが、その解決策を模索して、リーナは再び歩き回ることになる。

問題を解決するために、リーナ自身があちこちを歩き回り、色々な人に出会い、話をしていく過程を丁寧に描いているところにまず好感が持てる。街の人々と話をして、柄の悪いゴロツキに絡まれたりして、高慢なエルフと出会い、そうしてリーナは問題に取り組んでいく。もっとも彼女はまだまだ未熟な少女であり、ただ目の前の問題に取り組むだけでなく、護衛の傭兵であるダールと行き違いの末に微妙な関係にやきもきしたりする普通の少女らしさもあり、作品としてのフックはなかなかに広い。難民問題と言うラノベには地味とさえ言える題材でありながら、ラノベ読者を惹き付ける部分も残してあるのも心憎いと言えよう。

個人的にはこの難民問題だけで物語を消化しても良かったと思うのだが、やはりそれでは物語的に起伏が無いと考えられたのか”竜”にまつわる敵の存在が出てきたりするのだが、こっちは完全にダールの物語であり、リーナとはあまり関わりは見出せなかった。基本的な物語ではリーナが主人公でありながらも、活劇サイドではダールが主人公となる構成は、前回と同様ではあるのだが、個人的にはこの部分の兼ね合いが完全に昇華されているとは言い難く、ぎこちないと感じる部分もあるのだが、これは今後の展開に期待したいところである。

それはそれとして、物語を完成させるに当たって、ずいぶん削ったとのことだが、そのあたりは逆にもっと厚くしても良かったのではないかと思う。削ったおかげで軽みを帯びているとは思うのだが、やや描写が足りない不満もあるので悩ましいところだ。とくにエルフの生態におけるあまりにも”アレ”であると言うところがすごく気になる。ものすごく気になる。一迅社文庫は性的な描写にすごく厳しいらしいから…ねえ?なんか気になるよね(どうでもいいよ)。

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» 『星図詠のリーナ2』 感想 [わたしは趣味を生きる。[ラノベ・音楽中心]]
王女様のマッピングファンタジーの第2巻です。物語は前回ほど起伏に富むものではあり [続きを読む]

受信: 2009.08.31 14:52

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