« 『花守の竜の叙情詩』読了 | トップページ | 買ったもの »

2009.07.07

『ビスケット・フランケンシュタイン』読了

51p6qb51ajl

ビスケット・フランケンシュタイン』(日日日/メガミ文庫)読了。

…うーん…。正直なところを率直な想いで申し上げるといささか過激な発言になってしまうので躊躇いがあるが…まあいいか。一言で言うと「しゃらくさい」作品でした。日日日を読むのは久しぶりなのだが、久しぶりになった理由のと言うのが、つまるところ、日日日の語る人生訓と言うかお説教と言うか思想と言うか、まあとにかくそういうものが非常に押し付けがましく論理的でなく倫理的にも自分に合わなくなっていったので(ジェネレーションギャップかもな)、これは無理だ、と思って読まないようになっていたのだった。もっとも、個人的に日日日の才能自体は評価しているつもりで、その文章の巧みさや心理描写には非凡なものがあると思っている。問題なのは、その基礎となる思想的な部分に、非常に独善的と言うか、言ってみれば視野が狭いところがあって、そこが非常に鼻につくのである。作者が何かを”語ろう”とすればするほどにその鼻につく部分が大きくなるのが、自分が日日日を読めない理由なのだった。

だが、文章や描写そのものは評価しているので、何かを語ろうとするのではなく、ありのままの作者(その視野の狭さや独善的な部分)をさらけ出してくれると、途端に自分は面白く読めるようになるのである。作者自身の心象そのものを描いてくれると、作者自身が意識していない部分が滲み出てくる感じがあり、非常に面白い。結局、この人、ライトノベルに向いてない、純文系の作家だと思うんだけどな。また、描写の滑らかさは、グロテスクな表現とも相性がよく、個人的には日日日はホラーを書くとすごいものを書きそうな気がするのだが、まあ話が逸れるので置いておく(でも、日日日の書いたグロテスクホラーは是非読んでみたいなあ…)。

で、長々と言い訳をさせてもらったわけだが、ようするに全然僕が駄目な方の日日日だった、と言いたいわけなのである。どうもこの人は自分のよくわかってない描写を適当に書いてしまうところがあって、いろいろ勉強している感じはあるのだが、結局、勉強した内容を説明しているだけに過ぎない(作者独自の理論まで達してない)ところが非常に鼻についた。自分でも結論が出せない話は書かなきゃいいのになあ…泥雪姫の辺りの話なんて、何がやりたかったのかさっぱりわからん。いや、結局、さっぱりわからんと言うことがわかった、と言うことを書きたかったみたいなのだが、それが一体なんだというの?としか言いようがなく、白けてしまう。あとなー、主人公のビスケの目的が明らかになるところなんて、非常にがっかりですよ。ここまで引っ張っておいて、オチがそれですかって感じ。化物化物とやたらと自虐的なのもイライラするし…。えーと、まあ、そういう感じなわけです。

心の底から言わせてもらうけど、作者は社会派を気取るのは本当にやめたほうがいいと思う。なんか社会について物申している自分がカッコいい!と言うところが透けてみるので、鼻持ちならんのですよね。お前に言われたくねーよ、みたいな感じを受けてしまうのは、作者の描写力の確かさが明らかにマイナスに働いているよなー…。

そういうわけなので、僕にはこの作品は評価できません。本当に申し訳ありません。

(うーん、あらすじを読んだ時は、もうちょっと文芸寄りだと思ったんだがなー…)

|

« 『花守の竜の叙情詩』読了 | トップページ | 買ったもの »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/29313/45569582

この記事へのトラックバック一覧です: 『ビスケット・フランケンシュタイン』読了:

« 『花守の竜の叙情詩』読了 | トップページ | 買ったもの »