『スクランブル・ウィザード(4)』読了
『スクランブル・ウィザード(4)』(すえばしけん/HJ文庫)読了。
緊迫した3巻の最後の展開から、果たして4巻はどうなってしまうのかと思わされたが、なんとなくはぐらかされた感じがした。日本どころか世界でも有数の魔法士である一花が起こす魔法による要人殺戮に対して、十郎があまり積極的に関わろうとしないせいか、どうも物語に動きが無い。一花に対する感情を処理出来ないで、なし崩し的に氷見谷昂と行動を共にしてしまう十郎に、主人公的な要素が少ないせいか。一花との葛藤がもっと発生するかと思ったのだが、案外、あっさりと自分の感情を理解出来てしまった十郎は、よく言えば老成しており、なんと言うか大人だなあ。大人すぎるために、一花の存在がちょっと物語的に軽くなってしまった感じがあって、なんと言うか複雑。あまりグダグダと迷い続ける十郎なんてプロフェッショナルじゃないし、らしくないけど、悩みすぎないのも物足りないという。難しいね(別にまったく悩んでいないわけじゃなくて、読者に対してもそれほど悩んでいる姿を見せないタイプのキャラクターとも言える)。月子ももう少し物語に関わってくるかと思ったら、最後だけちょっと関わっただけだもんな。なんと言うか、描写が淡白すぎるというか…。まあその分展開はとても速くなっているので悪いことばかりでもないが、ちょっとこれで一花が退場してしまうのは早すぎだろう、と言う気もする。最強と設定してしまったせいで、存在させておくとパワーバランスが崩れすぎるための退場だったのかもしれないが、もっといろいろ物語を引っ掻き回すかと思っていたので拍子抜けしてしまった。なんかすげえもったいねえなあ。
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