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2009.06.22

『GENEZ(1)』読了

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GENEZ(1)』(深見真/富士見ファンタジア文庫)読了。

まあいつも通りの深見真だったな。百合成分はほとんど無かったけど、バイオレンス描写が富士見ファンタジア文庫としてはかなりギリギリのレベルに行っている。再生するとはいえ、美少女の拷問シーンはちょっと読者の教育に悪いんじゃないかしら。まあ僕は全然平気ですけどね。

あと戦闘のエキスパートである主人公に自らを「正義だ!」と断言させているあたり、深見真が全開になっているなあ、と思う。現場の人間が、自らの感情を元に行動することが肯定される組織って、どんなもんなんだろうなあ。ちょっと想像がつかんわ。マジなのかそうでないのかよくわからん辺り、まさしく深見真節と言えよう。まあ平和ボケした日本人の台詞かもしれないけど、強者が自分の行動を”正義”だと認識して行動するのって、ちょっとやな感じだよな。まーオレは自分自身の信念すら疑いを抱いてしまうタイプの人間ゆえに、自分の信念に一点の曇りも無い人間を見ると自動的に疑問を抱いてしまう相対主義信奉者なので、割り引いて考えておいてくれると幸い。でもやっぱり暴力は暴力であり、それに対する意識は必要だと思うんだよねえ。もちろん作者がそれを意識してないとは言わないし、むしろ暴力機構としての軍事的パワーを有効に活用しようと言う意図があるのだろうとは推測できるけど、深見真の軍事論は、ちょっと無邪気すぎて、斜めに見ちゃうよな。もちろんこんなのは今に始まったことではなく、それを含めて面白いなあ、と思っているんだけどね。僕とは大分感覚が違うけど、僕が正しいと言う保障もないしなー。

内容的には深見真のミリオタとしての側面が存分に発揮されたバイオレンスアクションになっていて、ライトノベル的な設定からよくもまあここまで(いろいろな意味で)濃い物語を紡げるものだと感心した。超人軍事アクションとしてよく出来ているので、作者の作品の中ではわりと万人向けの作品になっていると思う。

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コメント

お久しぶりです。個人的な感想を少し。
 結論として、深見真の作品は二度と買わない。どれもこれも、説得力の無い「正義」を前面に押し出した作品(主人公)ばかりなので。

 主人公の境遇や「俺、正義」みたいな主張をするに至った経緯がムリヤリ過ぎるし、地の文章から「世界は平和じゃないのに、日本は~」みたいな作者の説明がウザすぎる。
  あくまで個人的な感想ですが。いいかげん説得力がまったくないのに、「正義」とか「人を救う」とか書くのはやめてほしい。

>ミリオタとしての側面
 深見真の知識は疑っています。PMCに関するリサーチ不足も致命的かと。
 
 作者は傭兵とPMCの違いを「規模の大きさと高度のシステム化」とか主張したけれど、私はP・W・シンガーが主張ように「法人企業化したこと」だと思う。
 で、『会社』の存続こそが第一の条件である企業は、(少なくとも今のところは)好き勝手に(戦闘を目的とした)介入したりはしない。
(あくまで国家の下請けなので、国家の後ろ盾なしにPMCが作戦行動をとったりはしないと思う)
 いやまぁ、フィクションなのでここら辺は突っ込むだけ野暮だと思うのですが。作中ではPMCが普及している世界観なのに、それを支える設定が皆無(未だ国際法が制定されていない、PMCが少年兵を雇っている、わざわざ日本の学校の中に作る必要ないじゃん、とか)。


 
 

投稿: | 2009.06.23 14:45

えーと、どちらさまでしょう…まあそれはともかく。

深見真の作品は、わりあい好きな自分でもその独善性が鼻につくことがあるので、そのようにおっしゃる気持ちはよくわかります。まあ、個人的には、作者もある程度のわかって書いていると思うんですけどね。作品中で描写されている”正義”が必ずしも現実にそぐわないことくらい。その上で書いているのではれば、一つの意見としては、許容できるかな、と(あくまでも自分はですけどね)。

あと、この作品だけで(他の作品を読んで上で判断されたのであれば申し訳ありませんが)作者の軍事知識を疑うのはさすがに早計かと。富士見ファンタジア文庫と言うのは、おそらく対象年齢は10代がメインでしょうし、ジャンルも軍事関係を詳細に描くと言うわけにも行かないでしょう。あくまでもPMC関連の描写はファンタジーだと捉えた方が(現実に即しているとは考えない方が)精神衛生上よいのではないかと思います。

投稿: 吉兆 | 2009.06.23 22:07

 前回、名前を書くのを忘れてしまい、申し訳ありません。ヒロといいます。

 >独善性が鼻につくことがあるので
 これまで、深見真の作品は読んできましたが(ゴルゴダとか、あなたのレビューで興味を持ったので)、毎度毎度主人公が「都合のいい悪役」を皆殺しにして、身勝手な正義を主張している気がしてなりません。
 「”正義”が必ずしも現実にそぐわないこと」に自覚的でないことこそが、エンターテイメントだと作者は誤解してんじゃないか、というのが個人的な意見。
 勿論、必ずしも自覚的である必要は無いかもしれませんが、深見真の描くキャラはあまりにバランスが悪すぎます。(私はパラベラムの主人公に吐き気がしました)

 >作者の軍事知識を疑うのはさすがに早計かと。
 確かにそうかもしれません。しかし、キャラクターにしろ、世界観にしろ、「作品世界の」説得力が無いのは確かだと思います。
 主人公の境遇や行動原理一つとっても、『フルメタ』の主人公のほうが「説得力」があります。(同じ富士見ファンタジア文庫のとはいえ、別の作品と比べることはナンセンスかもしれませんが)

 私は「説得力」が気になるタイプのようです。
 たとえMGSのパワードスーツや、魔法、PMCが一緒に出てこようとかまいません。むしろ大歓迎です。しかし、それらを支える説得力、ひいては作者の知識・力量がなければ、ただの資源の浪費になると思います(いいすぎかもしれませんが)。
 

 

投稿: ヒロ | 2009.06.25 03:42

ヒロさん、こんにちは。コメントありがとうございます。

深見作品の主人公の持つ、身勝手な正義感と言うのはまさしくそのとおりだと思います。ただ、作者はその身勝手さを肯定的に描いているんですよね。そこが受け入れられない、と言うのはよくわかります。僕も最初に読んだ『ヤングガン』シリーズも、殺し屋が主人公なんですが、悪を殺すことは正しいことだ、と平気で作者は描いているんですよね。その点がスルー出来ないと、この作者を楽しむのは難しいかもしれません。と言うか、僕自身、その価値観は受け入れられず、一冊だけ読んだ後、ながらく(何年も)深見真を読まない時期があったぐらいです。

僕自身、決して作者の表現している正義に対しては、賛同しているわけではありません。ただまあ、一面のシンプルな魅力がその理屈にはあるかも、とは考えています。『悪を殺すのは正義』なんて、まったく、今時本気でこんなことを書いているなんて、まともな大人の意見じゃありませんせんよね。

おそらく、深見真と言うのは、中二病を描き続けている作家なんだろうと自分の中では解釈しています。つまり、10代の、狭くて青臭い倫理観を、そのまま作品の基調としている。だから非常に独善的にもなる。そこが嫌いな人は、とても人間的にまともだと思います(皮肉でなしに)

けれども、やっぱりだれがどう見てもクズとしか言いようのない悪党をぶち殺すことに対して、確かに爽快感みたいなものはあるんですよ。自分にも。それは人道的、社会的にも間違ったことでは価値観であることは承知していますし、もし、そのようなことを言い出す人がリアルでいたら、全面的に反対します。

けれど、物語の上ぐらいは。それぐらいは、盲目的で純粋な正義感を振りかざしてみたい、と言う欲望が自分の中にも、ないわけではないと自覚しています。そうした自分は間違っていると思いますが、わざわざ否定するほどのことでもないでしょう。それも自分自身。自分をコントロール出来ればそれでかまわないのではないか、と。そう思えるようになって、初めて深見真と言う作家が面白いなあ、と思えるようになったんですよね。それまで、自分の中にあるそういった欲望こそ醜いものだと思えていた頃は深見真がまったく読めなかったんですが、人間とは(自分には)そういう欲望もあるんだ、と言うことも認めると、一つの極論として、深見作品を受け入れることができるようになったのです。

まあ、だからどうした、と言うわけではありませんが。ヒロさんが深見真が嫌いだと言う理屈はまったく間違っていませんし、それでよいと思いますよ。深見作品には独善性があることには違いありませんしね。

投稿: 吉兆 | 2009.06.25 22:03

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