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2009.06.04

『サクラダリセット CAT, GHOST and REVOLUTION SUNDAY』読了

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サクラダリセット CAT, GHOST and REVOLUTION SUNDAY』(河野裕/角川スニーカー文庫)読了。

お。おおおおおおお…こ、これは…、いやまてオレ、クールだ、クールになるんだ…。一作だけで作者の資質を判断することなど不可能…一作だけならば偶然、たまたまの可能性もある…だから過剰に持ち上げるのはよくない…いやしかし…これは…もしかすると、自分は新しい才能の登場を目撃(読撃だろうか)しているのかもしれない…。

ちょっと感動してしまって冷静さをうしなってしまい、客観的な評価は書けそうにないので思い切り主観全開で書かせてもらうが…この作者はもしかすると、乙一の叙情と西尾維新の先鋭さを併せ持った、まったく新しい才能かもしれない…と思った。なんと言っても端正な文章と、瑞々しい描写が抜群なのだが、この作品はさらに能力バトルとミステリを融合させ、青春ミステリにして能力バトルと言う極めて稀有な作品を、なんの歪みもなしに紡いでいるところがまず非凡だ。単純に青春物としてさえ一定以上の水準を保っているだけでもえらいのに、能力バトル的な駆け引きまで持ち込めていると言うこと自体がすごい。大抵、この手の才能は両立しないものだが…どうやらこの作家はその珍しい例外であるようだ。

この作家の作品を読んでいると、乙一の作品や、米澤穂信の作品を初めて読んだ時のような、心のなかに風が駆け抜けていくような感覚を覚えさえする。それほどの衝撃があった。無論、まだ粗さも感じないではない。ややご都合主義的なシーンも感じられた。だが、あえて言うが、それはこの作者の可能性をいささかも減ずるものではない。むしろ、これからさらに伸びるということでもあるのだ。おそらくこの作者はそう遠くない未来に傑作を書くと思うし、そしてライトノベルの枠組みで収まるレベルの才能でもない。おそらくよほどのことが無いかぎりは、レーベルやジャンルの垣根を越えて新たな世界へ飛び出して行くだろう。これまでの才能のある書き手がそうであったように。

その時、改めてこの作品を手にとった時、ああ、あの作家にもこんな時期があったんだな、と懐かしく思える日が来ることを、願ってやまない。今後、活躍して欲しい作家が、また一人増えたことを嬉しく思う。

追記。乙一のブログを読んですげー納得した。そうかこれ何かに似てると思ったらジョジョの奇妙な冒険の第四部か。

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コメント

はじめまして。
「サクラダリセット」は書店でペーパー配布してましたね。あれで気になっていたのです。
乙一、西尾維新、米澤穂信。
みんな私の大好きな贔屓作家なんです!これって偶然?!いいえ、必然です!ってくらい興奮してます。感想読んで確信させていただきました。
絶対明日買ってきます!O(≧▽≦)O

投稿: 空欄 | 2009.06.07 21:34

空欄さん、はじめまして。

正直、僕も乙一の感想は褒めすぎだろ?と紗に構えて見ていたんですが、読んでみてびっくりしました。新人らしく、粗はありそうなんですが、文章がとにかく瑞々しい。可能性を感じさせられました。

投稿: 吉兆 | 2009.06.07 23:55

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