『ゼロの使い魔(17)<黎明の修道女>』読了
『ゼロの使い魔(17)<黎明の修道女>』(ヤマグチノボル/MF文庫J)読了。
面白かった。デルフと言うメンターが存在しなくなったことによる影響がもろに出たという感じだ。サイト一人だけでは、自分の命さえ守れない。多くのものを背負ってしまったサイトにとっては、死ぬことは己一人の問題ではないと言う思いが恐怖となって圧し掛かってきているのではないか、と考えるのは、いささか勇み足であろうか。まあ少なくとも、がむしゃらにやってきた命のやりとりで恐怖を感じなかったのは、少なくとも彼は常に一人ではなく、誰かと共に戦ってきたということなわけで、まさしくデルフの存在の大きさと言うものが見て取れる。しかし、彼はもういないのだ。戦いの最中に軽口を叩いてくれる彼はもういないのだ。だから、純粋な意味で一人で戦うのと言うのは、サイトにとっては初めての経験であって。まさにそういう点で、自らの心の支え、否、生きる理由にさえなっているルイズの必要性と言うものを見つめなおす話になっていたと言える。逆に、それほどまでにルイズを必要としていながらも、アンリエッタに浮気してしまったところにサイトの(そして男の子の)どうしようもないところがあると思うのだが、まあそれを責めるのも酷かとも思う。まだまだ煩悩にも振り回される少年であるわけなので、無理も無いところだろう。ただ、彼は領地を得て、守るべきものにして支えでもあるルイズの存在は、彼に”責任”と言うものを与える。自分が何を、何のために戦うのか、その意味を見出していく。これはそういう物語なのだろう、と、最後にルイズと再会したサイトの描写をみて、強く思うのだった。
他、余談。
万歳!マリコルヌがついにイラスト化!口絵にも本分にもイラストで出てきているぞ。いやーよかったなあ。オレ、こいつ好きなんだよなあ。実は一巻からのほぼ皆勤賞の癖に、強きに流れ弱きを挫く上に卑屈でマゾと言うどうしようもないヤツなんだけど、こいつが出てくるだけで笑えるからなあ。ルイズに逃げられ、どん底に陥ったサイトをさらに足蹴にするこやつは、ぱないの!と思った。まあ普通に駄目なヤツだけどな。そこが好きというか。
王家の隠された双子の姉妹!いやある意味鉄板の展開だなおい。でも、双子は不吉なんて設定、今まであったっけ?あったのなら別にいいのだけど、無いとするならヤマグチノボルらしからぬ後付設定っぽいな。まあなんにせよ、陰謀が渦巻く中で、どのようにサイトたちが対抗していくのか、楽しみですね。あとイザベラさんの改心っぷりが正直びっくりですが…。ここまで変わりますか…。まあ、もともと彼女はタバサに対するコンプレックスが原点にあるわけで、それが反転すれば、こういうこともあるかなあ。哀れな存在でありながら優れている相手に対する劣等感は、相手が自分より上だと認めてしまえば敬意に変わるのかもしれん。妄想だけどね。でもこの辺りはすごく妄想のし甲斐があって楽しいわー。今後も活躍してくれそうなイザベラさんには期待してます。
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