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2009.05.21

『よいこの君主論』読了

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よいこの君主論』(架神恭介+辰巳一世/ちくま文庫)読了。

ああ、オレも小学生、せめて中学生のときにこの本に出会えていれば人生変わったかもしれないなあ、と一瞬だけ思ったが、なんとなく進んではいけない方向に人生を捻じ曲げてしまった可能性もあるのでやっぱり読まなくて良かったのかもしれない。でも、小学生に読ませたらどうなるのか気になるぞ。甥が大きくなったら読ませてみるか…(他人の人生をおもちゃにするんじゃありません)。

と言うわけで、タイトル通り、マキャベリの君主論を、子供でもわかるように児童書風に描いた君主論。まあコンセプトからして冗談としか思えないと言うか、実際、冗談のようなネタ本と言えなくも無いのだが、中身はものすごく硬派だよこれ。あらすじを読んだ瞬間はちくま文庫、気でも違ったか?とびっくりするが、実際にはきちんと君主としての心構えをみるみるうちに理解できるようになります。とある小学生の仲良しグループの覇権をめぐる物語になっているので、キャラクターに感情移入すれば理解度も倍増。人間を効率的に支配する方法を子供に教えたければ、この一冊を読んでおけば事足りるのではなかろうか。子供を世紀末覇者にしたい親御さんは万難を排しても買うべき本だと思います。

まあ、たしかどこかでライトノベル的に君主論が理解できる、と書かれていたような気がしたが(どこで書いてあったのかは忘れた)、ラノベとしてはキャラが弱いのが残念なところ。登場人物が今一つ理解しきれなかったので、常時参照すべく冒頭の登場人物一覧は手放せなかった。ひろしくんとりょうこちゃんとまなぶくんはすぐに覚えたんだけどなあ。…何故まなぶくん?話は変わるがこの冒頭のキャラ設定無駄が多すぎ。そもそもひろしくんが一冊の書物に出会ったことから運命を変えることになる--なんて書かれているけど、そんなシーンどこにもねえじゃねえか。他にもなんか意味があるんだろうと思った設定がいろいろあるみたいなんだけどぜんぜん生かされてなかったぜ。まったく…こう言う無駄な熱意大好きよ!(え?)こういう無駄な情熱がこの作品には至るところに溢れており、例えば合間合間にふくろう先生とたろうくんとはなこちゃんによる物語と言うか君主論の解説シーンがあるんだけど、この辺りの会話が大概狂っているのも素晴らしい。息をするように自然と”愚民”なる言葉を使いこなし征服王としての気概を見せ付けるはなこちゃんのポテンシャルには驚愕した。結婚してくれー!(落ち着けよ)クラスの覇権をめぐる息詰まる駆け引きもまたたまらない。まったく最近の小学校は地獄だぜー。オレが将来帝王になれない理由がよくわかったってもんだ。いや、君主論があれば今のオレにも…(無理か)。

それにしても、全体的な(頭の)おかしさに満ち溢れた作品なんだけど、やっていることは真面目なんだよね。真面目なのに(頭が)おかしい…いや、気の毒なことになっているのだけど、この気の毒さが作者のアレンジにあるのか元々の君主論にあるのか、難しいところだ。いや、両方だと思うんだけどね。

ともあれ、これで「最近の読書は?」と質問されたときに、「マキャベリの君主論を少々…」と応えることが出来るようになるので、知的な自分を演出したい人にもおススメだぜ。おもしろいねー君主論(知ったかぶり)。

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コメント

この人の名前が挙がってて少しビックリしました(笑)

幼少時のメンタルを考えると、この本を読んでいてもそう意識して行動できるかはまた別の問題かもしれませんね(笑)。
あの時期の子供は身体的な要素から何から含めて制限だらけで、その中でなんとか自分の立ち位置と周囲との関係を構築するので、自分から意識してこの関係を作ろうと思えるかというと、という。
パンク本もですが、この人の本は一貫してるとこがあるなと思います(笑)

かなり前の記事にコメントして申し訳ありません。
最近、こちらの記事を参考にしてライトノベルを発掘させて頂いてます。

投稿: | 2010.01.30 14:22

>幼少時のメンタルを考えると、この本を読んでいてもそう意識して行動できるかはまた別の問題かもしれませんね(笑)。

きっとそのあたりが生まれついての帝王と愚民の差なんじゃないでしょうか。

投稿: 吉兆 | 2010.01.31 10:00

中学1年の時に母親が買ってきて、
私は表紙を見てふざけてるのか???
と思いましたが後でこっそり読んだら
とても面白かった。という記憶があります。

投稿: みき | 2012.08.16 14:18

この本を買ってきたお母様の慧眼に感服の至りです。それをちゃんと読まれたみきさんの先入観に縛られない態度もまた賞賛に値すると思いますね。

投稿: 吉兆 | 2012.08.16 19:56

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