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2009.04.24

『原点回帰ウォーカーズ』読了

51ulccafivl

原点回帰ウォーカーズ』(森田季節/MF文庫J)読了。

いやこれはすごい。もちろん面白かったが、それ以上に興奮させられた。この作者はこれほどのポテンシャルを秘めていたのかッ…。なんかなー、もう本当にへんてこりんな話なんだけど、これはとても計算して作れるタイプのヘンテコさじゃねえよなあ。十哲とか三奇人とかの設定からすると、いかにもラノベ的な設定なのかな、と思わせられるけど、読んでみるとそんなハンパなものじゃなかった。この作者、マジだ。すべて本気で書いているような気がしてきたぜ。何がおかしいのか一つ一つ上げていくときりが無いのだが、しかし、このおかしさが過剰さに結びつかず、すごくナチュラルに物語に取り込まれている。おかしなことが起こっていても、しかし、読者にしてもすでに物語内における常識と言うものがぶち壊されているため、何が起こってもああなるほどですんでしまう…そんなんで済ませてしまう自分が一番おかしいことは気がつけないのだ。次々に起こるおかしな出来事も、物語的にはこれしかないと思えてしまうのだった。この物語にはおかしな人とおかしな出来事がいくらでも出てきており、それらは記号に回収されていくのだが、それは”物語”すなわちフィクションが混入してきていることから生じるメタの視野を持ち込んでいることと無関係ではあるまい。フィクションと言う免罪符を得て、作者はフィクションの中から現実に向かう悲劇を回避するために干渉し続けている。しかし、現実はあまりにも強固で、フィクションはなかなか太刀打ちできない。その足掻きを延々と描いた作品とも言えると思うのだが、結局、現実を変えられるのは恋というもう一つのファンタジーが必要なるあたり、作者はどこまで自覚的にやっているのか本当に不安になってくる。現実を乗り越えるためにフィクションが必要なのはわかるが、乗り越え方がフィクションそのものと言うのは…まあ面白いからいいのか。とにかく、ぜんぜんよくわからん。すごいもの片鱗を読んだという実感だけはあるのだが、言葉が出てこないなー。

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