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2009.04.27

『薔薇のマリア Ⅹ.黒と白の果て』読了

薔薇のマリア Ⅹ.黒と白の果て』(十文字青/角川スニーカー文庫)読了。

セブンス編、完結。まーしかし今回も分厚いなあ…。クライマックスもクライマックス、しかも7つのゲームを順次こなしていくものだから、こんなに分厚くても構成がキツキツと言うのがすごいんだかなんなんだか…。正直、ゲーム毎にテンションのクライマックスになるシーンがあって、非常に構成的には無理矢理な感じがある。だって、ファーストゲームのローガン戦からしてテンション極限まで行っているんですよ?始まって30頁も過ぎてないのにクライマックスですよ?それが7つもあるんでですよ?読者としても、その読むテンションを維持するのがすごい大変だった。一つ一つは面白くても、テンションが上がったり下がったりを繰り返されては追いついていくのも一苦労だ。…しかし、作品の持つ熱に食いついていかないと置いてきぼりにされてしまうが、必死に食らい付いていけば、とてつもない満足感が味わえることは請け合い。どいつもこいつも勝負が、と言うか人生が熱い。熱すぎる。すげーなー。

ゲームそれぞれも薔薇のマリア登場人物の総力戦と言う感じで非常に熱いのだが、一方でマリアとアジアンの関係をひたすら描きぬいているところがさすがだった。マリアを失うことに怯えながら、昼飯時の仲間たちを見捨てることも出来ない葛藤を抱えるアジアンに対し、マリアがアジアンに対する感情をはっきりと自覚していく展開は見事だった。今回の物語で、アジアンは自らの秘密を他者に受け入れてもらうことが出来たと言うことであり、孤独を恐れながらも他者に対して心を開くことを恐れていた彼の再生の物語となったのだと思う。同時にマリアがアジアンに対して自分と同じタイプの人間であることを受け入れ、少なくとも彼の孤独を理解してあげたことは、人と人が理解しあえる可能性を提示しているようで、非常に素晴らしいことなのではないかと思うのだった。まあぶっちゃけラブ展開で転がりまわるとも言うけど。

しかし、結局、ルヴィー・ブルームは何がしたかったのか…。自分の実験結果を確認したいと言うことだったのかもしれないけど、なんと言うか、ずいぶん動機が薄いなあと思った。まあ理不尽な悪意と言う意味では正しいのかもしれないのだが、遊び気分で最後までいて、アジアンの予想以上の能力に圧倒されてやられてしまう、と言うのはちょっと悪役としての格を下げてしまったかなーと思った。散り様がちょっと情けなかったなー。もうちょっと理不尽な悪意を体現して欲しかったなあ、と言うのが読者としての贅沢な願望ですね。

ラストの二人の関係の落としどころとしては、まあこんなものでしょうか。いきなりラブ展開をやられても困っちゃうしなー。まあアジアンが簡単に報われてもつまらんしなー(勝手な言い草)。

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