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2009.03.08

『たま◇なま キミは、何故生きている?』読了

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たま◇なま キミは、何故生きている?』(冬樹忍/HJ文庫)読了。

シリーズ完結編。あくまでも透と由宇の間で育まれた関係性を中核を置いて、物語を決着させており、およそ物語とはこれ以外に落とすべきところはないと思えるほどにきちんと落ちている。まあやっていることは一巻の内容の繰り返しになっているような気もするが、再び現実逃避と自己否認の魔の手につかまってしまった透を引っ張りあげたのが、人間としての心を培ってきた由宇だと言うところが違う。一巻では、透が由宇に新しい道を示したことで物語が終わっており、その関係は対等なものではなかった。しかし、完結編である今回は、由宇が透を救う形をとっており、ようやく二人の関係は、保護、被保護の関係から、対等な関係への第一歩を踏み出したと言える。物語は終わったとしても、キャラクターたちの人生は終わらず、また新たな歩みに向かっていくのだ、と言うところを示している点も、物語として広がりが出ているようで好ましいと思う。ただ、作者の初シリーズ、それもデビュー作であったためか、長編シリーズとしてはややバランスを欠いているところがあるのが惜しいところではある。物語はシンプルなのに、登場人物が多すぎると言うか、ぶっちゃけ生かしきれていないキャラクターが多すぎるように思う。作者としては、なんとかキャラを生かすつもりだったのかもしれないが、灯璃も愛華も美空も、はっきり言って物語には関わってきているとは言えない。と言うか、彼女らには、この物語があまり深く影響を与えていないと思う。ただ通り合わせただけ、と言うように感じる。登場する必然性に欠けるという言い方も出来るかもしれない。他にも灰人とか、面白そうなキャラクターは多いものの、あまり良く動かなかったと言う印象があり、そうじてキャラが勿体無いなあと思ってしまった。なんかこいつら使って番外編とか作り放題じゃね?って気がする。結局、この物語は徹頭徹尾、透と由宇の物語であり、他のキャラクターはあまり重要ではないのだろう。その意味は終始一貫している作品と言えるし、なにより、二人の物語としてはきちんと落としているので、作品としての満足度は高いと言えるので、余計に勿体無いなあ、と思うのだった。ほら、資産価値的な意味で。

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