『カラミティナイト-オルタナティブ-(2)』読了
『カラミティナイト-オルタナティブ-(2)』高瀬彼方/GA文庫)読了。
百合伝奇小説もひとまずの完結。ハルキ文庫版と比較するにはやや記憶が曖昧だが、バトルアクションや心理描写にかなりの加筆が加えられているようで非常に楽しかった。とくにバトル部分の増強ぶりには驚きを禁じえないほどにパワーアップしており、もはや別作品と言っても良いレベルだ。前は駆け引きなんてほとんどなかったもんなー。物語的には、優子を中心として智美と咲希の間の三角関係を描いており、まさに百合伝奇アクションの本領発揮と言った風情。もうこいつら絶対友情のレベルじゃねえ。三人の間で繰り広げられる愛憎のドロドロぶりは、百合好きで修羅場好きな人には悶絶ものではあるまいか。ちょっとしたボタンの掛け違いによって広がっていく亀裂の見せ方がハードで、痛ましいかった。智美と咲希、二人の違いは優子に選ばれたかそうでなかったかの違いだけなので、咲希の絶望の深さがよくわかる。それでも”騎士の力”なんてものがなければ、もうすこし穏便に物事が済んだのかもしれないのになあ…。雪村教諭の罪悪は深いな。この自己憐憫ナルシス野郎がいなければッ…小説のキャラでここまで気持ちの悪いやつも久しぶりだわ。そんな絶望的な状況の中でも、優子を守ろうとした彼女は、周囲からみられるよりも強い人間であることがよくわかる。咲希は優子に依存しようとしたのと比べると、その違いは顕著だと思うのだった。しかし、改めて読んでみても、ホリィの存在があまりにも薄すぎるな…。人間関係で完全に浮いているので、どうも収まりが良くない。智美は少なからず好意は抱いていると思うのだが、完全に優子の方が優先されているもんな。結局、以前のバージョンでは、ホリィに該当する役柄が今一つ収まりが良くなかったので、今回はどうなるのか期待したい。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント