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2009.02.15

『アンゲルゼ 永遠の君に誓う』読了

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アンゲルゼ 永遠の君に誓う』(須賀しのぶ/コバルト文庫)読了。

うーん…これはすごいな。凄まじい密度。本来は全5巻であるところを、打ち切りにより4巻にまとめ上げることになったと言うこともあるのだろうが、それを差し引いたとしても圧倒的とさえ言える情報量が詰め込まれている。おそらく、有紗が死亡するところまでが本来の4巻のクライマックスだったのだろうが、それが序盤から中盤にかけての一エピソードに過ぎないんだもんな…。彼女の境遇は凄まじく悲惨の一言で、彼女は何一つ報われない人生を、それでも受け入れて生きたという哀しい物語を、今回の描写だけにとどめたと言うのは、すごいと思うと同時にあまりにも惜しい。もったいない。それ以上に哀しいことだ。その彼女のあまりにあっけない死を、受け入れがたい死を受け入れ、乗り越えていく過程が、これでもかといわんばかりに濃密に描かれているのだ。暗躍するアンゲルゼ、ロンの登場とその計画。無言のまま行動する敷島。少年少女だけではなく、大人たち、そして異類のものたちの感情まで描きぬいていることも見事と言うほか無い。そして、避けられぬ結末に向けて交わされる少女と少年の感情のやりとりから大切なことを受け入れた陽菜が、アンゲルゼの女王として覚醒する。その結末は決して大団円とは言えない。いくつもの奇跡を起こしながら、それでもそこから零れ落ちるものたちがいる苦い終り。しかし、奇跡の贄として自らを供した陽菜と、それでも諦めぬ覚野の二人には何一つ後悔はなく、むしろこれから先の希望を胸に抱き、生きていくことになるのだ。戦いの中で引き裂かれた幼い日々を描いた作品として、これほどの密度をもって語られることが出来たこの作品は幸福であろう、とただ思う。

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