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2009.02.26

『宝仙娘娘追宝録(11) 天を決する大団円(下)』読了

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宝仙娘娘追宝録(11) 天を決する大団円(下)』(ろくごまるに/富士見ファンタジア文庫)読了。

宝仙娘娘追宝録、完・結!なんと言うか、ライトノベルの一つの時代が終りを迎えたのだ、と半ば冗談交じりにも思う。これを読んで、自分の中のもやもやとしたすっきりとしないものの一つがようやく解消された。世界はほんの少しだけマシになったような気がする。とにかくめでたい。

真意の見えぬ龍華の行動に混乱の極みを陥る人間界を舞台に、邪仙と認定された龍華に刺客が差し向けられる。龍華に対する復讐を果たすべく和穂の体を乗っ取った鏡閃は龍華の元へ向かう。そして和穂を鏡閃から解放するために、打ち直された殷雷たちも龍華の元へ向かう。

無益な殺戮を行う龍華で物語を引っ張り、和穂と鏡閃と殷雷が自分の想いを果たすために十全に動き回らせ、個性的な脇役たちが花を添える。ちょい役でさえ(龍華に殺される宝貝使いでさえ)とても魅力的な造型を行える作者にはまったく脱帽するしかない。とはいえ、かなり重い展開であり、最終巻に入ってもまったく帯に書かれている大団円という展開は見えてこないのだが、ろくごまるにはここまで綿密に張り続けて来た伏線を一気に消化することにより大団円へのアクロバットを成功させた。早すぎても興醒めだし、遅すぎれば読者を納得させられないギリギリのところを見極めた見事な着地であると思う。本編と奮闘編(短編集)の関わりは、これまでも少しずつ伏線は張られていたが、ここに来て関係がはっきりと分かり、感心してしまった。なるほど、あのキャラクターが出ていたのはそういう理屈か。

やや伏線の消化が綺麗すぎるせいか、物語が窮屈というか、生硬に感じられてしまうのだが、これはさすがに多くを望みすぎと言うものだろう。いろいろと語られていないところも多く、勿体無いと思わせるところもあるが、少なくとも瑕疵と言うほどではない。むしろ、これで終わることが勿体無く感じさせると言う意味では絶妙とも言えようか。読み終わった後、思わず「じゃあ奮闘編で続きを…」と言いたくなってしまうこと請け合いである。これで終りであることがすごく勿体ないような気もするが、このように言われるうちに終了することが出来たこの作品はとても幸福なものであったと思われる。作者にはお疲れ様と言わせていただきたい。

(追記)
村長代理の正体にはびっくりしました。誰だっけ?と思ったけど、他の人の感想を読んでいたら3兄弟と言う伏線があったことを思い出し、ああ、そっちか!とびっくりした。すると大分、三国時代の歴史も変わってくるのかなー。そういや、関羽が早くに死んでるって話がどっかにあったっけか。どこだったか思いだせんが。あと、夜主は結局、龍華と関係なかったのかなあ。

(追記2)
今頃気がついたのだが、龍華のやったことって、コードギアスで○○(ネタバレになるので伏字)のやったことと同じだよなー。過程と目的がそっくり。もっとも、龍華の目的はより個人に収斂しているのだが。

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