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2009.01.12

『オトナリサンライク』読了

51usrpeuvl

オトナリサンライク』(竹岡葉月/角川スニーカー文庫読了。

”善き隣人”とと呼ばれる妖精が実在する世界で、窃盗によって奉仕活動を義務付けられた少年が人間と妖精が関わる事件を通して、自分の居場所を見つけていくと言う話。とても”まっとう”な話であり、好感を持たずにはいられない。仲間に裏切られ、自暴自棄になっていたキーチ(彼が本来は異国人であることも居場所の不在に象徴的である)が、センターの人たちに受け入れられることで立ち直る、というように、物語としてはシンプル極まりないのだが、それゆえに安心できる内容だ。ただ、同僚となるセンターの相談員が全員美女美少女だったり、ほとんど最初からキーチを受け入れる態度を示している(一部を除く)ところがご都合主義的と言うか、ぬるい部分があるとは言えなくも無い。いろいろな事件には取り組んでは行くものの、基本的にはキーチは決して見捨てられることは無いわけで、彼自身の葛藤自体はそれほど深いとは言えない。しかし、妖精の事件の中には、決して後味の良いとは言えない、解決不能な要素が存在することを否定しない部分があるように、決してあまやかなだけの内容にはなっていないところは好ましいと思う。あくまでも、今回の話は、最初から自分の居場所を喪失しているキーチが、受け入れること(そして受け入れられること)を認めるという物語なわけで、その意味では物語にはブレはないのだ。まあ、各エピソードとキーチの葛藤には、相談員とのコミュニケーション以外の要素と有機的なつながりが見て取れない点はやや物語の統一性を欠くと言えなくもなく、続巻があるのであれば解消してもらいたい点ではある。居場所を手に入れたキーチは、次はその居場所を維持し続けるという課題が必然的に浮かび上がって来ると思うので、続きは出しやすいだろうなと思う。個人的には踏み込みが浅い点はあるものの、読んでいて気持ちの良い作品であることは疑いなく、万人にオススメできる作品と言えるだろう。

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