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2009.01.26

『電波女と青春男』読了

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電波女と青春男』(入間人間/電撃文庫)読了。

異様に読者に優しくない前シリーズと比較して、エンターテインメントを目指して書かれたと思われる冒頭部分は、同じ作者なのかと思わず疑ってしまうほどに読みやすく、作者がんばってんなーと感心した。しかし、およそ十数ページ進むと作者のテンションが上がってきたのか元通りの迂遠かつ装飾過剰な文体になってしまったのにはおかしいやら安心するやら。まあこれがこの作者の味わいだもんな。

まあそれはそれとして内容。うーん、一言で言うと若いなー。若い若い。偽悪的と言うか、いやらしい話だったわー。

いや、主人公の生活自体は面白いのですね。饒舌な語り口で繰り広げられる日常は、わりと波乱もなく、何事も無い生活でありながらも愉快な日常の描写になっている。問題は”電波女”の扱いかな。

まあ、結局のところ、すごくいやーな言い方をすると、これは”かわいそうな女の子を助ける”はなしなんだよな。”かわいそうな”というあたりに、自覚があるのかないのかわからんが(ありそうな気もするけど)スルーしているところがいやらしいな、と。彼女が引きこもっている理由(行方不明になった実際の理由)が明らかにされないところなんかいろいろ想像させられる。これは、彼女が電波なのか、それとも本当に超自然的な出来事があるのか、あるいは悲惨な現実が待っているのか分からないということ。と言うことは、最後の主人公の行為もその事実によって変わってくる。本当に救ったのか、あるいはただの道化か、あるいは残酷な傍観者でしかないのか(例えば、実際に行方不明だったときに、いーちゃんばりの虐待を受けていたとしたら?彼女にはなにも救いがない)。まあ、僕の妄想ではあるんだけど、そのあたりが明らかになっていない以上、このラストを素直に受け取る気はしないな。

それはおいておくとしても、物語的にラストは納得いかねえよなー。”電波女”を社会に適合出来ないアウトサイダーを象徴させているのだとすれば、それを無理矢理「今から一緒に空を飛んでやる。出来なかったらお前、地球人になれ」とか言ったって、どうすりゃいいのよ。それができねえから問題なんだろうが。それでなんとか出来るのなら、本人のやる気ですべてなんとかなるもんだと言う単純な問題意識しか感じないよねえ。

このあたりの問題は答えを出すのは難しいとはいえ、ちょっと無責任かなーと思った。

(やべー…また褒めてねえよ…。面白いのに、なんでこの作者の作品は素直に褒められんのかなー)

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コメント

こんにちは。
確かに、電波女がこれで本当に救われたのか、となるとちょっと分からない点があって、納得いかないところではあったかもしれないですね。
ただ、僕の場合、この作品を読んで感じたのは、「電波女をどう助けるか」、というより、「何で電波女=かわいそうな女の子を助けるのか」、という問題意識でした。
後半のおばさんの「かわいいから近づきたいと思っているなら、やめなさい」という意の台詞からは読者に対しては結構クリティカルな感じがして、面白いなぁと思いました。まあ、問題点を突いただけでうまく解決はできていないようにも感じましたが……。

投稿: K-AOI | 2009.01.27 16:20

こんにちは。はじめまして。

あのおばさんの疑問と主人公の回答は、ライトノベルにおける主人公-ヒロインの関係問題をぶっちゃけてしまいましたね。あれはあれで主人公には、常になにかしら明確な動機は必要ないのかも、と個人的には思いはじめていまして、気になるものは気になるんだ、と言う答えはある意味完璧なような気もします。

>確かに、電波女がこれで本当に救われたのか、となるとちょっと分からない点があって、納得いかないところではあったかもしれないですね。

まあそれこそ彼女自身の身になってみないと分からないことではありますが。なので、主人公としては、自分の出来ることをやったのだから、それでいいのかなー、と(本文で貶しておいてなんですが)思いました。

投稿: 吉兆 | 2009.01.27 22:33

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