『百舌谷さん逆上する』を読んで感動した
『百舌谷さん逆上する』の2巻がまたしてもすばらしすぎるので今更ながら感涙。表面的には百舌谷さんの”ツンデレ”ぶりを楽しむコメディに見えて、その実、”ツンデレ”病である百舌谷さんの世界に対する憎悪と孤独を描きぬいた感動作。ツンデレと言えば近年では萌え要素の一つとして知名度を得ているが、そのツンデレを”病気”であるとすることによって、ツンデレ本人にツンデレを自覚的にさせるというメタ的な表現を可能にしているのだ。なにより、ツンデレを本人の内面的要因と言うよりも外部的要因、つまり病気(しかも不治)としてしまうことで、ツンデレの解消が本人には”不可能”になっている点がひどい。本来のツンデレならば、デレてしまえば終わるのだが、病気ではどうにもならない。デレが存在しないツンデレなのだ。まったくツンデレに萌える読者を嘲笑する作者の悪意がヒシヒシと伝わってくるぜー。しかし、これは実験作ではあるが、紛れも無い青春漫画としても傑作でもある。ツンデレに苦悩する百舌谷さんの内面は涙なくして読めない。運動も勉強も容姿も並以下の樺島くんの漢ぶりにも(いろいろな意味で)涙。一巻の時点でも、相当に作者の本気は伝わってきたが、2巻では樺島くんの間違ったカミングアウトに驚愕したが、それ以降の展開はまさに神。普段はものすごい文字量で読者を圧倒する篠房演出を配して無音劇として展開する姿の美しさと言ったら。そしてオチも良い。まったく先を読ませぬ展開に本当に痺れるぜい。そしてなし崩しに虐げられる樺島くんのいい人ぶりも際だつ。マジでナイスガイだわー。そして不穏なラストといい、どこまでも変則ながらもまっとうな、というのも変な表現だが、青春ストーリー。すごいよー。語彙が不足してくるぐらいにすごいよー。表現方法が見つからない。あと表紙裏の狂った会話も面白かった。アシスタントさんの漫画が読みたい。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。



コメント
コメント失礼します。
前巻にも増して凄かったです。百舌谷さんの内面の葛藤をこれでもかと描写している篠房六郎の本気っぷりに震えました。
“通りすがりのただのドM”師匠の過剰なまでの説得力といったら……。無言で大きくうなずくことしか自分にはできません。
個人的には裕次郎くんがなんだか鍵なってくるような気もしていたり。
投稿: isaki. | 2009.01.30 22:05
ドM師匠がこんな重要な役割を果たすとは、と言うか”ドM”と言う概念自体が物語を支えるものになるとは、当初は予想だにしていませんでしたよ…。まあ、言われてみれば確かにツンデレとドMの相性の良さは理解できるんですが…。
勇次郎くんはどんなもんでしょうね。あまりそっちに行くと物語がわき道にそれてしまうような気がしますけど。
投稿: 吉兆 | 2009.01.31 06:25