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2009.01.31

買ったもの

1.『たま◇なま キミは、何故生きている?』 冬樹忍 HJ文庫
2.『カポネ(上)(下)』 佐藤賢一 角川文庫
3.『とある魔術の禁書目録(1)~(3)』 鎌池和馬 電撃文庫
4.『とある科学の超電磁砲(1)(2)』 原作:鎌池和馬 漫画:冬川基 アスキーメディアワークス

とりあえず言行一致のため『とある魔術~』を購入。いつになるか分からんがそのうち読む。ついでに薦められた『とある科学の超電磁砲』を購入。普通に読めるなあ…。

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『晴れた空にくじら2 戦空の魔女』読了

51o2ob5qk5l晴れた空にくじら2 戦空の魔女』(大西科学/GA文庫)読了。

おもっしれえー。ロマン溢れる空へ冒険と言う基本ライン(ようするにラピュタですな)はそのままに、格段にエンターテインメント度が増している。すっとぼけた主人公が相変わらずいい味をしているのだが、今回は脇役も大活躍だ。どっちかと言うと寡黙で職人気質なヒロインも、ようやくヒロインらしい動き方(まあなんとなくだけど)をするようになってきて、萌え度も急上昇だぜ。新キャラも登場してきて物語の舞台は整いつつあるって感じ。なりゆき軍属になってしまった主人公たちが、敵のエースに立ち向かうって、展開的にはツボを抑えている感じだが、それをことさらに意識しないストーリーテリングに痺れる。燃える展開をやっているのだが、それに囚われていないというか。なんかこの主人公だと熱血展開が熱血に見えないんだよなー。読んでいても、実は生死を賭けた戦場だと言うことを忘れかける…のだが、行間ではやっぱり人死にまくっていると言うところが恐ろしい。これが主人公補正…じゃない人徳と言うもの言うものかー。さりげなく見えるが、この人徳が読者と同様に乗組員の恐怖心に対する緩衝材となっているのだとすれば、戦場における主人公の功績は甚大なものであると言える。将の器とはこういったものか。と言うわけで、全然ライトノベルの主人公らしくないが、こういう魅力の出し方も全然ありだなーと思うのだった。

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「2008年下半期ライトノベルサイト杯」投票

2008年下半期ライトノベルサイト杯」に投票する。

選考基準として、自分”は”面白かった作品という縛りを設けた。自分が投票しなくても、上位に食い込みそうな作品はとりあえず省き、あまり投票されない(と思われる)作品に投じる。そんなことをやって省いた作品がまったく投票されないと言うことも考えられるが、それもまた投票の醍醐味であろう。もっとも途中経過などはまったく見ていないので、まったく見当違いなことを言っている可能性がある。どうでもいいよね。

前置きが長くなったが、以下に作品をあげる。

【新規部門】

【08下期ラノベ投票/新規/9784797349160】
61hrdtedjol晴れた空にくじら 浮船乗りと少女』(大西科学/GA文庫)
冒険小説でありSFでもある作品。とぼけた主人公や浮珠の設定など美点は多いが、設定に捕らわれすぎない闊達さが大きな魅力。ライトノベルではるがSFとしても作りこまれているので、地に足のついた描写がある。

 【08下期ラノベ投票/新規/9784840124294】
51zvezwseslラノベ部』(平坂読/MF文庫J)
ゆるゆる部活ストーリー。ネタ小説だがネタを知らなくても十分面白い、ある種理想のネタ小説。ライトノベル入門書という言い方をされることが多いが、実はあまり初心者向けではないと言うところは注意が必要。さりげなく、読書に対する登場人物それぞれのスタンスなどの描写が繊細で、細部まで神経の行き届いた丁寧な作品。作者の新たな可能性に驚かされる。

【08下期ラノベ投票/新規/9784094511017】
41qf2b25ggwl幽式』(一肇/ガガガ文庫)
青春ホラーの傑作。およそ、ライトノベルとして書かれたホラーの中で、これほどまでに妖異と怪異、人間の持つ闇を掘り下げた作品は多くはあるまい。恐怖とは未知なるものとの関わりが深く、この世でもっとも未知なるものとは、人間の持つ闇。その闇の正体がわからぬがゆえに、人は畏れ、あるいは惹きつけられる。彼岸と此岸の境目にある、幽かなる領域とは、まさにその闇の中にあるのだ。

【08下期ラノベ投票/新規/9784094511031】
51gmijsxlhl此よりは荒野 Gunning for Nosferatus(1)』(水無神和宏/ガガガ文庫)
正調。表現するならばまさにこの表現がふさわしい。強さに対する灼熱のごとき渇望を抱えながら、自分の無力さに打ちひしがれる少年の葛藤を、真っ向から描いた意欲作。無力さに対する克己をきちんと描いているので、暗黒ファンタジーと言ってよい舞台設定ながら、爽やかさをまとっている。西部劇+ファンタジーという舞台設定に惹かれる方もどうぞ。

【08下期ラノベ投票/新規/9784048673549】
51slepbjudl機械じかけの竜と偽りの王子』(安彦薫/電撃文庫)
本格的な群像劇、大河ファンタジー。ライトノベルとしても良く出来ているし、群像劇としても良く出来ているのだが、これが新人の作品と言うところが驚き。今後の期待も込めてオススメしておく。

 【既存部門】

【08下期ラノベ投票/既存/9784775806760】
51qqocouqclマーベラス・ツインズ契(4)貴公子の涙』(古龍/ゲームシティ文庫)
武侠小説と言うジャンルは、存外ライトノベルに近しいジャンルなのだが、未だにライトノベル界隈では読まれていないようだ。実際には波乱万丈にもほどがある展開に、強烈に立ったあくの強いキャラクター、魅力的な主人公と、非の打ち所のないエンターテインメントである。先入観を取っ払って、新たな世界を覗いてみるのはいかがか。

【08下期ラノベ投票/既存/9784840123662】
51hfsn9fzl七本腕のジェシカⅡ』(木村航/MF文庫J)
木村航らしい情念溢れるひりついたストーリーに、問答無用で叩き込まれる汎不死社会という異形の社会。読者に説明らしい説明をまったくせず、ノンストップで異世界でのボーイミーツガールが疾走する。万人にオススメとは言いかねるが、異世界に耽溺したいという方は是非。2巻で完結と言うまとまりの良さも良好。

【08下期ラノベ投票/既存/9784758040471】
51yi52xrqalANGEL+DIVE 3.LOVENDER』(十文字青/一迅社文庫)
薔薇のマリアもいいけど、あえてこっちをあげる。伝奇にしてリリカル。暗く冷たく優しく残酷な物語。乾いているのに情緒的とも言えるリリカルさを持っているのがすごい。まだあまり上手く言語化出来ない。

【08下期ラノベ投票/既存/9784086012393】
510gv3yyilアンゲルゼ 永遠の君に誓う』(須賀しのぶ/コバルト文庫)
ある意味、戦闘美少女セカイ系に対する作者の回答とも言える作品。『イリヤの空、UFOの夏』(の系統の作品)に対するカウンター。本来、全5巻のところを打ち切りで4巻になってしまったらしいのだが、まあコバルト文庫の購買層からすると無理も無いのか。そう思えるほどにコバルト文庫としては異端とも言える残酷で、それでいて力強い物語。少年の少女の恋は、”セカイ”を救うことは出来ないのだが、それでもそれを信じることは出来る。

【08下期ラノベ投票/既存/9784044267117】
51u1z0bwlsl円環少女 (9)公館陥落
テロと核。ライトノベルでそれをここまで執拗に描く作品は他に無いだろう。これほどまでに多彩な登場人物の陰影を描く作品も多くはあるまい。決して正しいことだけを出来ない、むしろ積極的に悪をなす必要さえある”社会”という化物に対して、必死に抗う人間の姿は、感動的ですらある。

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『静野さんとこの蒼緋(ふたご)』読了

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静野さんとこの蒼緋(ふたご)』(水鏡希人/電撃文庫)読了。

悪くは無い。とつぜんやってきた双子の妹に困惑し、ドタバタと騒がしくなっていく主人公の日常。科学部の愉快な仲間たちとの楽しいやりとり。学園で起こる事件に立ち向かう主人公たち。それぞれの要素は決して悪いものではなく、それなりに良く出来ていると思うのだが、どうも全体としてみるとちぐはぐな印象を受ける。どこに物語の中心があるのかわからない。あえて中心を作らず、平行して進めるという方法もあるにはあるが、これはそのタイプの作品ではないと思うしなあ。物語の冒頭は双子の妹とのドタバタが中心で、後半は事件の比重が大きくなっていくのだが、前後のつながりがあまり取れていないような。つなぐのが妹の”力”だけと言うのがいかにも弱い。さらに言うと、本来はもう一つの軸となるはずの学園生活における主体である科学部が、ある意味完全に”死んでいる”。物語になんら寄与していないので(ラストで事件に関わりがあることが分かるが、単に情報だけを提供されても、それで?とか思ってしまう)、お前らは一体なんのために出てきたのか、と言いたくなってしまった。単なるにぎやかしか、と言うにはキャラ付けが弱いしなあ。結論としては、面白いと言えないことはないが、あまりにまとまりが無い印象が強い。強い惹きを作らない、ある意味フラットな作風はこの作者の持ち味だと思うので(前作は物語的な強さよりも世界観とキャラクターの関係性を見せていた)、世界観そのものを見せない学園異能(世界観そのものは既存のものを流用している)とは相性が悪いのだろう。いろいろと勿体無いなーと言う印象だった。

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2009.01.30

買ったもの

1.『ミラクルチロル44キロ Bパート・ミラクルフレーバー』 木村航 メガミ文庫
2.『ワールドエンブリオ(5)』 森山大輔 少年画報社
3.『フリージア(11)』 松本次郎 小学館

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2009.01.29

買ったもの

1.『狼と香辛料(2)』 原作:支倉凍砂 漫画:小梅けいと アスキー・メディアワークス
2.『ギャルゲヱの世界よ、ようこそ!』 田尾典丈 ファミ通文庫
3.『耳狩りネルリ御入学万歳万歳万々歳!』 石川博品 ファミ通文庫
4.『マブラヴオルタネイティブ トータル・イクリプス(4)懺業の戦野』 吉宗鋼紀 ファミ通文庫
5.『鬼切り夜鳥子(5)禍☆星に願いを』 桝田省治 ファミ通文庫

小説読んで、漫画も読む。オレってわりといい消費者だなあ、とか思う。

2はある程度内容は予測出来るが、答え合わせをする感覚で購入。3は、タイトルを見てもあらすじを読んでも口絵を見ても冒頭を読んでもさっぱり意味がわからなかったので、これは読まずにはいられない!と衝動的に購入した。5はついに完結かー。

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今月の百舌谷さん

・今月号アフタヌーン掲載の『百舌谷さん逆上する』を読んで、腹筋が切れるかと思うぐらいに笑った。もう大爆笑。同時に自分がおかしくなったんじゃないかと思うほど泣けた。この涙は感動の涙だ。爆笑と切なさを同時に表現するとは、篠房六郎、恐るべし。

・あの場面の肝は、樺島くんの言っていること自体はあたまがおかしいとしか思えないのだが、百舌谷さんにとって本当に必要なものとは、樺島くん(の姿勢)なんだ、と言うことだ。好意を攻撃性でしか表現できない百舌谷さんにとっては、攻撃性でもって表現した好意を、ただ”そのままに”受け止めてくれる存在がどれだけ救いとなることか。まさにスーパーヒーローと言うにふさわしい。

・本当にこの漫画はきがくるっている。

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『とらドラ・スピンオフ2! 虎、肥ゆる秋』読了

51wjxp7ggglとらドラ・スピンオフ2! 虎、肥ゆる秋』(竹宮ゆゆこ/電撃文庫)読了。

本編では大変なことになっているとらドラ!の外伝短編集。とらドラらしい、なーんも考えずに読める作品あり、実生活にビシビシ響く痛い話もありとバラエティに富んだ内容になっている。たまにはこんなのも悪くない。

以下、各話感想。

「虎、肥ゆる秋」
なんかフィットネスクラブの描写にみょーなリアリティがあるなあ…。内容は、ラノベヒロインにあるまじき”肥満”になってしまった大河が、ダイエットのために竜児を連れてフィットネスに行く話。体験入学してさまざまなカリキュラムをこなしていくのだが、その過程の詳細なこと、まさに見てきたかの如し。まあ見てきたんだろうな。作家というのも大変なのだろう…。とりあえず亜美は世話好き、と。

「春になったら群馬に行こう!」
あれだな。春田はバカだけどかっこいいな。ちがうか。バカだからかっこいいんだ。つーか、コイツ、マジでバカだな。空気読めねえ後先考えねえ裏表もねえ脳を使って喋ってねえと真の意味でバカだ。だからかっこいい。陰に篭らず悩みに囚われずあらゆることに当たって砕けろ。刹那的だ。でもかっこいい。まさにバカッコイイを体現した男と言えよう。
あと、ゆりちゃんせんせーは人望があるなあ、と思った。

「THE END OF なつやすみ」
まあなんだな。なにも起こらない話だったな。単に夏休みの終りの一コマ。日常と地続きの、ある種の区切り。ヘアスタイル一つに右往左往。なーんかどうでもいいよねー。でも、夏休みってそんなもんだよなー。

「秋がきたから畑に行こう!」
ネタだらけの作品、か?なんか分かり難いネタがいろいろあったような気がする。あんま良く分かんなかったけど。竜児が一人でバタバターとする話と言えなくもない。なんだかんだでみんなに受けられている竜児はさすがだなあ、と思った。

「先生のお気に入り」
冒頭における北村の精神的な追い詰められぶりがやばかった。これはゆりちゃんせんせーでなくても腰が引けるわー。言うこと為すことがすべて尋常じゃない。性質が悪いのは、自分が尋常じゃないことを北村は理解していると言うことだよな。理解した上で尋常じゃない行為をしているので言葉が通用しない。その北村にとりあえずも耳を傾けさせたと言う点で、ゆりちゃんせんせーは見事だった。やっぱり経験というのは馬鹿にできんな。んで、その昔話はキツイわー。あれよ、経験が少ないと社会的距離感をつかむのが難しいんだよな。学生じゃない人間関係ってやつは経験しないと理解出来ない。教師と生徒と言うのは一つの例だけど、どうしようもないほどに断絶があるんだけど、それが分かっていないとこうなるんだよなー。あー身に覚えがありすぎるよー。

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2009.01.28

『空ろの箱と零のマリア』読了

51pjgdxvtl空ろの箱と零のマリア』(御影瑛路/電撃文庫)読了。

御影瑛路の三年ぶりの新作。待ちに待ったと言うか、存在を忘れるところまではいかないが、新作を諦めかかるくらいには待った。とりあえず感無量。その内容については、作者もあとがきで書いている通り、ずいぶんエンターテインメント性が高くなったなあと思う。まるでライトノベルみたいだ。まあ普通の、と形容するには作者の個性が強すぎるけれどもね。作者らしい、異様で異形な物語は健在と言えるので、ファンにも安心。まあ窓口が広がったわけなので、それはそれで良いのではないかと思う。…正直、昔の尖りまくった作品も懐かしい気もするのだが…まあ、それは言うまい。

作品としてはループものの括られるジャンルであると思うのだが、実のところループそのものは本題ではなさそうだ。むしろ、ループする世界、”拒絶された教室”の異形なイメージが主眼ではないかと思われる。おそらく意図的と思われる描写の不足。そこかしこにはびこる違和感。どこか捻くれた物語。この物語は、”どこかおかしい”。その違和感が物語全体を支配していると言ってよい(その一種異様なイメージこそ、作者の持つ魅力だと僕は思っている)。それらが主人公のみならず読者を幻惑しているのだ。その状況を生み出している”存在”こそが真の黒幕なのだが、その黒幕とは、おそらく実態のある存在ではない。それは閉塞した世界、どこにも行けないと認識するイメージが生み出したものである。この物語は、そうした世界を閉塞させようとする存在と、世界を進ませようとする力のせめぎ合いで動いている。その対決は、無論、作品内で行われているのだが、いかに世界を進ませようと主人公たちが足掻いても、閉塞させようとする存在にはなんら痛痒を与えてはいないと言うところに、作者独自の世界観が生まれているようで興味深い。その世界観は、暗く歪んだ、それゆえにおどろおどろしくも美しい世界だ。僕はその世界に強く魅力を感じる。この歪んだ世界が、物語がどのような結末を迎えるのか楽しみにするとともに、すこしでも長く続いてくれることを願ってやまないのだった。

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『プシュケの涙』読了

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プシュケの涙』(柴村仁/電撃文庫)読了。

これはもう、この構成を考えたこと自体がえらい。この二つの物語を、この順番に描いたことがすごい。物語に圧倒されると言う感覚を久しぶりに覚えた。冷たく悪意に満ちた世界で芽生える恋。その恋が美しいものになるかどうかはだれにも分からない。無私な恋、純粋な恋、一方的な恋、そして哀しい恋。それを作者は淡々と描き、淡々に語る。その突き放した描き方は、あまりにも美しく、哀しい。

この冷たく突き放された文体は、この作者のいままでの作品には無いものだ。否、それは正確ではないか。作者の文体が、これほどまでに冷たく悪意に満ちた哀しい物語と寄り添った物だとは、ぼくは今までまったく気がつかなかったと言うことだ。自分の見る目のなさをただ恥じ入るばかり。思えば『E.a.G』の時点で、作者の文体は、ときに非常に乾いた表現が滲むということに気が付いてしかるべきだった。

前編があるからこそ、後半が活きる。この後半があるからこそ、前編の哀しさ、無常感が際立つ。どこまで作者は残酷を強いるのか、と恨み言を述べたくなるほどだが、本当は作者が残酷なのではない。彼らの世界が残酷なのだ。

この作品はミステリの体裁で描かれている。だが、ミステリとしては、ちょっと慣れた人ならばすぐに真相に気がつくだろう。ぼくは前編は由良が榎戸川を連れて吉野彼方の家に行った時点で犯人は分かった。後半は、”彼女”の正体は、彼女が由良に名乗った時点で大体理解出来ていた。ぼくはミステリで推理をしない(出来ない)人間だが、ある程度ミステリに触れていれば分かるレベルだ。

だが、それはこの作品の価値をいささかも減ずるものではない。むしろこの作品は、いかに真実を見出したとしても、本質的に無意味であると言うことを語っているからだ。犯人を見つけたところで、彼女はすでに戻ってこない。彼女の正体がわかったところで、未来を語れるわけではない。むしろ、それを知ることによって、より深い哀しみを味わうのだ。

ただ、哀しい。その恋が。その想いが。時間とは決して取り戻せない不可逆のものであるということを冷酷に見つめたこの作品は、どこか硝子細工のように脆く、鋭い物語のようであった。

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2009.01.26

『電波女と青春男』読了

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電波女と青春男』(入間人間/電撃文庫)読了。

異様に読者に優しくない前シリーズと比較して、エンターテインメントを目指して書かれたと思われる冒頭部分は、同じ作者なのかと思わず疑ってしまうほどに読みやすく、作者がんばってんなーと感心した。しかし、およそ十数ページ進むと作者のテンションが上がってきたのか元通りの迂遠かつ装飾過剰な文体になってしまったのにはおかしいやら安心するやら。まあこれがこの作者の味わいだもんな。

まあそれはそれとして内容。うーん、一言で言うと若いなー。若い若い。偽悪的と言うか、いやらしい話だったわー。

いや、主人公の生活自体は面白いのですね。饒舌な語り口で繰り広げられる日常は、わりと波乱もなく、何事も無い生活でありながらも愉快な日常の描写になっている。問題は”電波女”の扱いかな。

まあ、結局のところ、すごくいやーな言い方をすると、これは”かわいそうな女の子を助ける”はなしなんだよな。”かわいそうな”というあたりに、自覚があるのかないのかわからんが(ありそうな気もするけど)スルーしているところがいやらしいな、と。彼女が引きこもっている理由(行方不明になった実際の理由)が明らかにされないところなんかいろいろ想像させられる。これは、彼女が電波なのか、それとも本当に超自然的な出来事があるのか、あるいは悲惨な現実が待っているのか分からないということ。と言うことは、最後の主人公の行為もその事実によって変わってくる。本当に救ったのか、あるいはただの道化か、あるいは残酷な傍観者でしかないのか(例えば、実際に行方不明だったときに、いーちゃんばりの虐待を受けていたとしたら?彼女にはなにも救いがない)。まあ、僕の妄想ではあるんだけど、そのあたりが明らかになっていない以上、このラストを素直に受け取る気はしないな。

それはおいておくとしても、物語的にラストは納得いかねえよなー。”電波女”を社会に適合出来ないアウトサイダーを象徴させているのだとすれば、それを無理矢理「今から一緒に空を飛んでやる。出来なかったらお前、地球人になれ」とか言ったって、どうすりゃいいのよ。それができねえから問題なんだろうが。それでなんとか出来るのなら、本人のやる気ですべてなんとかなるもんだと言う単純な問題意識しか感じないよねえ。

このあたりの問題は答えを出すのは難しいとはいえ、ちょっと無責任かなーと思った。

(やべー…また褒めてねえよ…。面白いのに、なんでこの作者の作品は素直に褒められんのかなー)

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『百舌谷さん逆上する』を読んで感動した

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百舌谷さん逆上する』の2巻がまたしてもすばらしすぎるので今更ながら感涙。表面的には百舌谷さんの”ツンデレ”ぶりを楽しむコメディに見えて、その実、”ツンデレ”病である百舌谷さんの世界に対する憎悪と孤独を描きぬいた感動作。ツンデレと言えば近年では萌え要素の一つとして知名度を得ているが、そのツンデレを”病気”であるとすることによって、ツンデレ本人にツンデレを自覚的にさせるというメタ的な表現を可能にしているのだ。なにより、ツンデレを本人の内面的要因と言うよりも外部的要因、つまり病気(しかも不治)としてしまうことで、ツンデレの解消が本人には”不可能”になっている点がひどい。本来のツンデレならば、デレてしまえば終わるのだが、病気ではどうにもならない。デレが存在しないツンデレなのだ。まったくツンデレに萌える読者を嘲笑する作者の悪意がヒシヒシと伝わってくるぜー。しかし、これは実験作ではあるが、紛れも無い青春漫画としても傑作でもある。ツンデレに苦悩する百舌谷さんの内面は涙なくして読めない。運動も勉強も容姿も並以下の樺島くんの漢ぶりにも(いろいろな意味で)涙。一巻の時点でも、相当に作者の本気は伝わってきたが、2巻では樺島くんの間違ったカミングアウトに驚愕したが、それ以降の展開はまさに神。普段はものすごい文字量で読者を圧倒する篠房演出を配して無音劇として展開する姿の美しさと言ったら。そしてオチも良い。まったく先を読ませぬ展開に本当に痺れるぜい。そしてなし崩しに虐げられる樺島くんのいい人ぶりも際だつ。マジでナイスガイだわー。そして不穏なラストといい、どこまでも変則ながらもまっとうな、というのも変な表現だが、青春ストーリー。すごいよー。語彙が不足してくるぐらいにすごいよー。表現方法が見つからない。あと表紙裏の狂った会話も面白かった。アシスタントさんの漫画が読みたい。

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最近のアニメ

・『攻殻のレギオス』
ゲゲー!一話の中にレギオスサーガの主人公3人(4人か?)がそろい踏み!見事なまでに原作未読者おいてきぼりな展開だ。レイフォンとニーナの物語として見ると、どうも脇道にそれすぎと言う印象があるなあ。ぼくは原作を、レイフォンとニーナのダブル主人公とした物語だと見ていて、その意味だとディックの物語もニーナを描く上では不可欠ではあるのだが、しかしそれはやっぱりディックの物語であるというところにねじれがあると思うんですね。ディックの物語は、レギオスを描く上では重要なパーツなのだが、レイフォンとニーナの物語としてはやっぱり邪魔だという。その意味では原作に忠実ではあるのだけど、原作のわかり難さもそのまま持ってきているようで、アニメとしてどうなるのか不安を感じる。

・『黒神 The Animation』
アクションが地味ながらすごいなー。たんにパンチを打つだけでも、フック気味の当て方、ストレートな当て方などと使い分けている。ストーリーは主人公がネガティブすぎるものの、導入としては正しいのかな。しかし、シンクロ部分が、なんかテンプレート過ぎるような。

・『宇宙をかける少女』
男根的な比喩は一体なにを意味しているのだろうか…。

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ぼくが『とある魔術の禁書目録』を読めない理由

・やっぱオタク的に『とある魔術の禁書目録』を理解できていないのはまずいなあ。面白い面白くないはともかくとして、もうちょっと分析した方がいいかもしれないような気がする。最近のライトノベルの傾向と言うか、オタク的な要素をチェックする上でも重要な気がしてきた。

・ただなあ、この作品、どうしても序盤の壁が厚いんだよなあ。面白さの本質まで食い込めない。いままでこの作品には、アニメも含めれば4回くらい挑戦しているんだけど、未だに途中で挫折してしまう。

・別に、面白くないわけじゃない。面白くないわけではないのだが…なんか癇に障るというか。読んでいて、苛立ってしまう。

・それがなぜかと言う点は、実は大体分析できている。ひとえに主人公の人格が腹立たしいのだ。彼の行為に何一つ裏付けが無く、基盤となるはずの倫理観が曖昧な点が苛立つ。なんのために主人公は事件に関わるのか、その心理描写があまりにもおざなりにされている。そこに腹が立って腹が立ってしょうがなくなって、その度に読めなくなってしまう。

・で、最近(でも無いけど)気がついたのは、この苛立ちって『Fate/stay night』で、士郎に感じた苛立ちと同じなんだろうなあ、というもの(おそらく作中で凛が士郎に感じた苛立ちとも近いはずだ)。なんのために助けるのか、その部分がまったく欠落している。そこには正義の味方なんてものを本当に実現させようとしている歪みがある。それが、上条当麻と衛宮士郎という主人公には共通しているものだ。あとは『Fate/stay night』内で衛宮士郎の歪みには言及されているが、『とある魔術の禁書目録』内では上条当麻の歪みに言及されない(無自覚である)と言うことに尽きるのだと思う。ぼくはけっこう物語がテーマに沿って帰結する話を好むので、その歪みが物語の展開に寄与しないことに苛立ちが生じるのだろう。

・なので、対応策としては主人公の歪みに目をつぶるか、自分の中で論理的決着をつける必要があると思われる。それを行ってこそ、自分は『とある魔術の禁書目録』を読めるようになるのだろう。

・とりあえず、アニメを観て、原作をもう一度読んでみようと思う。

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買ったもの

1.『とらドラ!(2)』 原作:竹宮ゆゆこ 漫画:絶叫 アスキー・メディアワークス
2.『百舌谷さん逆上する(2)』 篠房六郎 講談社
3.『ジャバウォッキー(7)』 久正人 講談社
4.『蒼穹のカルマ1』 橘公司 富士見ファンタジア文庫
5.『アロマパラノイド 偏執の芳香』 牧野修 角川ホラー文庫

限定版か通常版のどちらを選ぶかと問われれば、迷いなく通常版を選んできた自分ですが、とらドラ!は特装版を買いました。田中ロミオが寄稿していると聞いては仕方がない。

百舌谷さん逆上するが最高にすばらしかった。

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2009.01.24

『放課後の魔術師(2) シャットダウン・クライシス』読了

放課後の魔術師(2) シャットダウン・クライシス』(土屋つかさ/角川スニーカー文庫)読了。

この作品に一つ問題があるとすれば、主人公が17歳である必要がほとんど感じられないと言う点ではないかと思うのだが。およそヒロインとの関係性だけを見るに、教師と生徒の関係性を超えるものではなく、主人公が成人していたとしても何の問題もないような気がする。もっとも関係性というものは不変のものではありえず、変化していくものであると考えれば、現在は教師と生徒の関係でありながらも、いずれは少年と少女の関係性に移行していくのかもしれない。現時点ではなんともいえないところか。それはそれとして、主人公とヒロインの関係性は、やはり前巻に引き続きとても面白い。理性的で論理的でありながらもピュアなやりとりをする二人の関係は、なんというか非常に眺めていて楽しいなあ、と感じさせる。また、異能バトル的な側面は主人公やその周りの大人たちがきちんとプロフェッショナルをしているところが良いのではないかと思った。前回で魔術師として稀有な才能を持っていることが判明したヒロインも、才能だけでは活躍できないところもセカイ系異能バトルによくある方向性をとらない作者の志向が伝わってくる。その分、妹がものすごく便利なキャラにされているような気もするが、これはデウスエクスマキナであると考えれば別にいいのか(ちょっと安易な気もするが)。まあそうじて楽しい作品でした。

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『ムゲンのセンカ(1)』読了

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ムゲンのセンカ(1)』(六塚光/角川スニーカー文庫)読了。

好きだった女の子が平行世界からやってきた!それもたくさん!と言うわけでハーレム状態のバトルヒロイン物語の始まり。設定的に奇抜なところは無いけれども、それゆえ安定して楽しめる作品。いつもの六塚光作品だなあ。描写をもっとつっこめそうなところをあえて流す淡白さは健在だ。もっとも物語がまだ始まったばかりなので、それがユーモアにつながるところまでいけていないような気もする。そこまで面白がる前に終わってしまったと言うか。とはいえ、ほのぼのとしながらも殺伐とした世界観の片鱗が垣間見えるし、主人公とその周辺の秘密についても今回明らかにされたことがすべてではないだろうし、まだまだ話は動きそうな気もする。とりあえず続刊に期待。

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2009.01.22

『機動戦士ガンダムUC(7)黒いユニコーン』読了

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機動戦士ガンダムUC(7)黒いユニコーン』(福井晴敏/角川書店)読了。

すげー!ガンダムだ!超ガンダムだ!ひゃっほー!…とオレの中のガンオタ部分が大喜びだった。だが、ガンオタであった自分を今更客観的に眺めるのは、気恥ずかしい思いもある。その気恥ずかしさは、この作品に対する自分のアンビバレンツな衝動にも現れている。この作品さいこー、と絶賛したい気持ちと、ここまで衒いなくガンダムっちゃうのかー、という恥ずかしさ。オレも日和ったものだなーと改めて自分のオタクスキルの低下を振り返るのだった。中二病大好きなのに恥ずかしい自分が恥ずかしいよ。でも、「ユニコーンガンダムは伊達じゃない!」とかいわれちゃうと、言っちゃったー!恥ずかしー!ってならない?人をつなぐものがガンダムなんだ!とか言われるとぬぐぐぐがあ!と叫びたくならない?オレはなるんだ。客観的にみて恥ずかしい。…だがおそらくそこがいいのだ。好きなんだよ文句あっか!オレが!オレたちがガンダムだ!的な。みんなガンダムと一体化してガンダムりたいんだよ大人は。ここにもガンダムの呪縛から解き放たれぬ大人が一人…(オレのことだ)と言うわけで己が業をさらけ出して突っ走る福井晴敏はおそろしい作家だなあと改めて思うのであった。

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物語優先の物語とキャラクター優先の物語

http://kiicho.txt-nifty.com/tundoku/2009/01/5-c820.html#comment-34909690

上のエントリのhatikadukiさんのコメントに返答しようとしたら、ちょっと長くなってしまったので別エントリを立てます。

昔からぼくは物語主導の作品が好きで、キャラクター主導タイプの作品はそれほどでもない傾向がありまして。(ここで言う物語主導と言うのは、作者の描きたいストーリーというのがまずあり、キャラクターはそれに従属している作品、キャラクター主導はストーリーよりもキャラクターを動かすことを重視している作品を指しています。まああくまでも便宜上であり、実際にきっちり作品を区分けすることは出来ませんが)

そのため、バッカーノなどは、実際、ぼくの中では”傑作”とまでは評価できていません。作者にとって描きたい物語よりもキャラクターをいかに動かすかと言う点を重視しているように見えるからです。もちろん客観的に見て、ある分野において優れた作品であることは理解していますし、読んでいてすごく面白いとさえ思うのですが、好きかといわれると、うーん、と首をひねってしまう。面白いと思うことと、好きになれるかと言うことは必ずしも一致しないんですよね。同じ傾向を持つ作品として、とある魔術の禁書目録などもあります。

しかし、例えばゼロの使い魔は、世界設定やキャラクターの設定が非常に精緻な作り方をしているところなどを非常に高く評価しています。たしかに描写そのものには弱いところもありますけど…。ただ、この作品には根本的に”物語を語るためにキャラクターがいる”という認識がある、と、ぼくは思っています。物語というのは基本的に始まりがあって、終わりがあるもの。つまり、物語主導の作品とは(引き伸ばしこそあれ)常に終わりを志向している作品であり、また、物語のために、キャラクターを犠牲にすることさえする(けっこう立ち始めたキャラクターであっても容赦なく物語から退場させる)。不可逆性の物語と言えるのでしょう(そういう作品は、ぼくはけっこう無意識に贔屓にしてしまうみたいなんですよね)。それに対して、これはキャラクターを動かすことを主目的とする作品では、基本的にキャラさえ動いていれば永遠に物語を続けることが出来る。

ただ、重要なことは、物語主導の作品も、キャラクター主導の作品も、どちらが優れているとかそういう話ではなく、どちらでもあっていいし、どちらもにも傑作が存在していると言うことです。あるいは物語主導な要素があるし、キャラクター主導な要素もある作品もある(と言うか、単純に区分けできない)。なので、本当にこの区分はぼくの趣味の問題です。

で、林トモアキについての話になるわけですが、作品はとても面白いと言うことはわかるのですけど、好きな部分と苦手な部分がどちらも非常に大きいのです。どちらかといえばキャラクター主導を志向しているように見えるのですけど、一方で物語を閉じようとする強い物語性も感じさせます。とくにこのマスラヲシリーズは、キャラクターを動かそうという志向と物語を閉じようとする志向が拮抗していて、非常にいびつな作品になっている(例えば例にも挙げた決勝戦のシーンは、物語的には省略可能だと思うのだけど、それでもキャラクター的にあえて描くところに歪みがある)。クライマックスに向け、すさまじいテンションを見せていく上で、えーそれを取りこぼしちゃうのか、というところがあり、今回のような歯切れの悪い内容になってしまったわけです。

まあ実際のところ、作者はけっこう天然に書いているだけなのかもしれないんですけどね(妄想)。まとまりの無い内容ですが、以上、言い訳でした。

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買ったもの

1.『ベン・トー 国産うなぎ弁当300円』 アサウラ スーパーダッシュ文庫
2.『戦乱学園 合戦の第一法則・弱い武将はよく攻める』 藤原京 スーパーダッシュ文庫
3.『超人ロック 凍てついた星座(3)』 聖悠紀 少年画報社
4.『ストロベリーシェイクSweet(2)』 林家志弦 一迅社
5.『ワルキューレの降誕(2)』 富士宏 マックガーデン

うおおお!ワルキューレの降誕が傑作すぎる!惜しむらくは2巻で完結してしまったことか…。もう少しゆっくり描いて欲しかったが、プロットのみ情報を圧縮していくこのスピード感は捨てがたい…。

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2009.01.21

『戦闘城塞マスラヲ(5)川村ヒデオの帰還』読了

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戦闘城塞マスラヲ(5)川村ヒデオの帰還』(林トモアキ/角川スニーカー文庫)読了。

戦闘城塞マスラヲ!完!!相変わらずやべーよこの作者…。クライマックスのテンションの上げ方は圧倒的。というか、作者本人がノリノリ。超ノリノリ。なんか脳内麻薬を分泌させまくりながら書き上げたっぽい印象を受ける。テンションが異常なことになっている分、まあいつもどおり細部がめちゃくちゃと言うか矛盾や明らかな演出ミスなどいくつも見つけられるのだが、そんなこたぁ知らねえ!とばかりにフルスロットルで爆走するクライマックスでトントンと言うことで。まあ、正直、決勝戦の描写はいらないと思うんだけどな…。あそこでテンションをむりくり上げない方が、後半のクライマックスへのつなげ方が綺麗だと思うのだが…おっと、思わずツッコミを入れちまったぜ。まあそんな感じで揚げ足をとろうと思えばいくらでもある、しかし、その無理矢理さこそが尋常ならざる熱気につながっていると言えるので、やっぱり評価の難しい作家だなあ、と改めて思った。おそらく、この人は作品の構成よりもキャラクター主導で動かしていくことを選んでいる作家なのだろう。枝葉末節を踏み潰し、キャラクターを縦横に動き回らせる。そこから生じるドライブ感は、やはりこの作者の非凡さの表れであろうと思うのだ。

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買ったもの

1.『新興宗教オモイデ教外伝(3) ~夜考物語 壊真の火~』 原田宇陀児 ガガガ文庫
2.『うしおととら(2) 風霜に舞うひとひら/妖病棟』 原作:藤田和日朗 著:中山文十郎 ガガガ文庫R
3.『原点回帰ウォーカーズ』 森田季節 MF文庫J
4.『ラノベ部2』 平坂読 MF文庫J

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2009.01.20

『鬼切り夜鳥子(4) 聖邪が街にやってくる!!』読了

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鬼切り夜鳥子(4) 聖邪が街にやってくる!!』(桝田省治/ファミ通文庫)読了。

楽しい作品。楽しいだけの作品とも言えるが、それは批判するべきところではないだろう。エンターテインメントとして唯一正しいことがあるとすれば、面白いかどうかと言う一点だけで、それ以外のことはすべて些事とさえ言える。この作品は、読者を楽しませようと言う意思が極めて強固にあり、次から次に繰り出されるガジェット、健全な(それゆえ甘酸っぱくもエロい)登場人物、惜しげもなく繰り出されるイベントを詰め込み、快楽原則にのみ忠実に物語を紡いでおり、とても楽しい。読みながら良い気分になれる作品であると言える。

ただ、ぼくはちょっとこの作品は読者にわかりやすく書きすぎなんじゃないかと思う。以前の作品でも同じことを思ったのだが、このシリーズは物語の流れが非常にスムーズで、シームレスだ。ただ、そのスムーズさに、逆にすごくご都合主義的な印象を受けてしまう。物事が全体的に主人公たちに都合よく回りすぎているように感じられる。言い換えると、作者にこの物語の楽しみ方はこうこうこうなのでこういう解釈しか出来ません、と言う感じで畳み掛けられて、読者として他の楽しみ方が出来ない窮屈さがある。ようは遊びが少なすぎと言う言い方も出来るかもしれない。

たぶん、作者はすごく論理的にこの作品を設計しているんだと思う。イベントごとの因果関係もはっきり決めてあって、流れがすごく綺麗だから。ただ、綺麗な水を好む魚ばかりではないということなんだろうなー。実のところ、ぼくは小説は別に読者にわかりやすく書く必要はないんじゃないか、100%理解出来るようにつくらなくてもいいんじゃないかと思うので、その辺の価値観の問題なのかもしれない。まあ判断は続巻を見てからかな。

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雑記のようなもの

・北方謙三水滸伝は早く読まなくちゃなーとずっと思っている。

・古川日出男ももっと読まなくちゃなーと思いながら積んでいる。

・桜庭一樹の近作は必読だよなーと思いつつ指をくわえて眺めてる。

・この三者の作品は、心のどこかに常に意識されていて、読めば面白いということは自分にとっては自明で、さらに自分にとっては読む必然性のある存在にも関わらず、どういうわけか(あるいはそれゆえに)手が出ない状態。読まなくてもこの三者的ななにかがどういうものかわかっているのでまだ読まなくてもいいかなーという感じ。

・成分を摂取する必要が出てくれば読むと思うので、もうしばらく寝かせておこう。

・ ところでオタク的には『CLANNAD』の視聴はやっぱり必須なのだろうか。

・『Air』で七転八倒した経験からして、視聴に相当の覚悟が必要であろうことは疑いない。漏れ聞く内容もそんな感じだし。

・でもなー、『CLANNAD』を観ずにしてオタクを語るなかれ、って風潮が(ぼくの中で)あるんだよなー。まあ、別にオタクを語るつもりもないんだけど。

・自分はどうもオタク的なスキルが低くていかんなー。もっとディープに掘り下げるエネルギーを持たねば。このままではオタクとしてのアイデンティティ危機もありうる。

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『イヴの時間』を観る

・『イヴの時間』をけっこう面白がって観ている。

・拭い難い青臭さがぷんぷんと匂い立つ作品なのだが、だんだんそれも(それが)いいんじゃないかという思いが。

・今の自分からするとバカなこと思い悩んでんなー何も考えずに萌えりゃいいじゃん(もちろんある程度の自制と言うか倫理を持って)とか思うのだが、そういうのが気になる年頃を思い出したというか。

・ようするに、ぼくにとってこれは思春期アニメであり、SFとしては捉えていないと言う。

・他の人がどんな風に観ているのか、ちょっと気になる作品。

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2009.01.19

『マーベラスツインズ契(4)貴公子の涙』読了

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マーベラスツインズ契(4)貴公子の涙』(古龍/ゲームシティ文庫)読了。

花無缺と小魚児、それぞれの戦い。などと悠長に構えている場合ではないほどの二転三転のどんでん返し。新キャラも大量投入されているものの、人員整理に定評のある古龍先生のことだから誰が生き残るのかぜんぜんわからなくておそろしいぜ。清廉にして潔白な花無缺は、やはりどす黒い悪意には弱かった。さまざまな悪辣な手段を弄され、ついには遊絲針を打ち込まれ、その武術を封じられるどころか命すら危険な状況に陥ってしまう。しかし、報われぬと知りつつも、鉄心蘭への想いを貫き通すため、自らの命を顧みずに武術を振るう花無缺は見事なヒーローだと言えよう。すごいぜ男だぜ。しかし、そうまでしながらも結果として鉄心蘭を失い、失意のどん底へ。これから再生への前振りとは言え、情け容赦のない作者の突き放しぶりに恐怖を感じるのですが、新キャラ蘇桜の存在で少しは持ち直すかと思いきや、誤解とすれ違いによってますますピンチに。どーすんだこれ。一方、小魚児は、育ての親たちを助けるため魏無牙のアジトへ突入する。予想を上回る実力に追い詰められるも、そこは小魚児、不敵にやりあい、駆け引きを仕掛ける。この狡猾さが花無缺にもあれば…とは思うものの、とにかく九死に一生を得た小魚児は蘇桜と出会い、またしてもフラグを立てるのであった。お前またかよ!少しは花無缺を見習え!と言いたいところだが、彼の場合、勝手に女の子に惚れられてしまう上に、女の子がことごとく一筋縄ではいかない曲者であるところが不幸なのだな。女難の相もここに極まれりだ。蘇桜はプライドが高くて気の強いけど惚れた男には弱いと言うまあ絵に描いたようなツンデレ美少女なんですが、性格もものすごく悪いせいもあって、またしても小魚児を困らせることになりそうだ。彼女がもう少しなんとかしてくれれば花無缺は…まあ、それは言いすぎかも。あとどうでもいいけど江玉郎は相変わらずクズ。最悪のゲス。いっそすがすがしいですね。新しく登場した白夫妻の悪辣ぶりもいやらしいけど、やっぱクズという意味でははるかに上回っています。褒めていません。とにかく話が混乱するだけしてぶった切られているので、続きが強烈に気になる。早く続きをお願いします…と思ったら携帯配信だと!?まさか紙媒体では発表しないとでも言うのか!!?もしそうだとしたら編集部を呪う。マジで抗議のメールを出す。読者をなめんな。

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雑記のようなもの

『ベネズエラ・ビター・マイ・スウィート』を読んで面白かったなあ、と思いつつも一般受けはしなさそうだなーと思っていたら、感想を探してみたら総じて褒められていたので驚いた。今のライトノベル界隈はこういう作品を受け入れるほどに成熟したのか…。それで木村航がいまひとつ評価されないのは何故なのかとちょっと納得できない。

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最近のアニメ

・『鉄腕バーディー DECODE:02』
相変わらず動きに拘った演出が光る。一期がツトムの物語になっていたのと対比して、今度はバーディーの物語になりそうな感じ。物語のバランスは取れている。

・『鉄のラインバレル』
ごめん、もう無理。フォローしきれない。

・『FLAG』
面白いよこれ!戦争をテーマにしたシリアスなドキュメンタリータッチのドラマかと思ったら突然ロボットが出てきてびっくりさ!そういう話なのね…。

・『黒神 The Animation』
原作はパラパラと雑誌で眺める程度。面白いといえなくもない。ヒロインを金属バットでぶん殴るとか、センスがいちいち(あたまが)おかしい。死に近しいが故に仮面をかぶり続ける主人公の描写は悪くないのだが、突然ヒロイックに覚醒したりとやっぱりちょっとおかしい。

・『まりあほりっく』
原作は2巻くらいまで読んだような気がする。しかし、百合と女装というあまりにも極まった題材。オタク文化の受容性のたいしたものだな。

・『空を見上げる少女の瞳に映る世界』
難しい。なんか昔の広井王子の作品みたい。台詞回しや作品世界は低年齢層向けを狙っているように見えて、演出やストーリーは大きいお友達向けみたいな感じで、どうも狙いどころがよくわからない。

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『空の境界【忘却録音】』を鑑賞してきた

本当に鮮花祭りだった。式は脇役。幹也もちょい役。橙子など数カットのみ。全編をひたすら鮮花ばっかりだった。鮮花好きの人にとってはたまらない作品であろうな。【矛盾螺旋】と違い、すごくシンプルな物語になっているので、安心して鮮花の活躍を堪能できる。ただ、随分と話が改変されているなあ。改変の意図がよくわからない。【痛覚残留】のふじのんはOKで、こっちの葉山のアレが駄目というのはなぜなんだろう。物語の基本は変わらないのでかまわないと言えばかまわないのだが、それだけに変更した理由が気になる。まあ、そのうちどこかで語られるだろう。

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2009.01.18

『ベネズエラ・ビター・マイ・スウィート』読了

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ベネズエラ・ビター・マイ・スウィート』(森田季節/MF文庫J)読了。

あるところで褒められていたので興味が出たので買った。読んだ。驚いた。これはすごいな。かなり褒めたいのだがとても他の人にはオススメ出来ない。出来ないことは無いが、良さが説明しにくい作品だった。

焼いたフルーツってずるい味がする――。そんな冒頭の言葉ですでに僕は胸を打たれる。本当は甘くないのに、人工的に甘くした、嘘のような味がする。そんな言葉だけで、語り手の彼女の心性が垣間見える。彼女は頭がよくていろいろなことに怒っていて潔癖なのだな。

これはロックバンド、ベネズエラ・ビターをめぐる少女と少女と少年の物語。その大枠の中に、少女と少女の、少年と少女の、ある少年の物語が挿入され、物語は拡散していくのだ。

拡散。そう、物語は噂話として語り継がれ、曖昧な言葉の海の中で姿かたちを変えて行き、いずれ真実を知るものさえいなくなるのだとしても、語られることだけで存在を維持されるものもあるのだ。

それが、この物語における”イケニエビト”であり、あるいは”タマシイビト”もまた噂話の、つまり都市伝説と言う名の虚構によって成り立つ存在であり、嘘の中の真実として語り継がれていくのだろう。

うそっぱちの物語の中で、伝聞されること。誰かが存在した証を忘れないこと。それが大切なことだと言うのなら、忘却される運命にある”イケニエビト”はなによりも残酷を強いられている。

これは、存在に無残さを持った”イケニエビト”の、抵抗の物語でもある。抵抗とは戦い。だが、その戦いは流血を伴うものではない。軽やかに逃避し、音楽を奏でるための闘争。革命と恋にまつわる物語なのだ。

ベネズエラ・ビター。甘くもほろ苦い運命よ。その甘さを忘れるな。その苦味を刻み込め。

これはそんな物語だ。

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2009.01.16

『ばけらの!』読了

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ばけらの!』(杉井光/GA文庫)読了。

2巻を買ったのであわてて1巻を読んだ。面白い。面白いんだが『さくらファミリア!』と同様に力が抜け切った内容であった。しかも、こっちは題材が題材だけにやたらとメタ的なネタ(変な表現…)が多かった。登場人物たちが自分たちを小説の中の存在だと言うことを前提としたトークを繰り広げるものだから、読者としては、ツッコミを入れること自体がバカバカしくなってくるぜ!だがそこがいい。この徹底的に戯画化した(まあモデルがモデルだし…)キャラクターの濃さというか、その奇人変人ぶりを鑑賞する小説だと読んだ。ようするに出オチキャラで構成されているんだな…。この濃ゆいキャラたちの元ネタについては分かる人もいるしわからない人もいるけど、そのあたり、どこまで現実を参考にしているのか考えながら読むのも面白いだろうなー。例えば、Mさん語はあれで日常会話が出来るのだろうか?とか考えると面白い…ような気もする。まあいいや。キャラがしょーもない会話をしているのを延々眺めるだけ、という割り切り方が心地良い作品なので、疲れた時に読むのがオススメです。

どうでもいいんだけど、直前に『さくらファミリア!』を読んだせいもあるのかもしれないのだが、杉井光の書く小説の主人公って、全員同じキャラクタなのな。『神様のメモ帳』も『さよならピアノソナタ』も『さくらファミリア!』も『ばけらの!』も、ぜんぶ主人公のキャラクターが同じ。男主人公の書き分けが出来ないのか…あるいは、基本的に杉井光は私小説作家と言うか、自分の投影しないと書けないのか…。まあ、そういうところも面白いなーと思ったのだった。

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買ったもの

1.『ハヤテのごとく!(18)』 畑健二郎 小学館
2.『結界師(23)』 田辺イエロウ 小学館
3.『神のみぞ知るセカイ(3)』 若木民喜 小学館

なんだ結界師のこのラブコメ展開は…今頃になってなにをしているんだろう…。

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2009.01.15

『さくらファミリア!』読了

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さくらファミリア!』(杉井光/一迅社文庫)読了。

このタイトルは、さくらさん家の家族と言う意味と、サグラダ・ファミリアをかけているのかしら。最初に連想したのが後者なので、作中の叙述トリック(まあたいしたものではないけど)には見事に引っかかったぜ。それはともかくとして、杉井光のきわめてユルい部分があらわになった作品…なんだけど、題材そのものは危険極まりないよな。物語は非常にユルユルで萌えーでキャッチーなドタバタコメディなんだけどねえ…。世界最強の宗教をネタにするとは杉井光は恐れ知らずだな。”御子”や”ガブリエル”の劇中での扱いは訴訟もんだぜ。とくにラストの”神父さま”はまずい。イラストは後姿だけでまだ良かったけど。

物語そのものは、最終的に主人公が覚醒してイヤボーンで終わったりと、非常に作者がリラックス(手抜きではない)して書いているようで、気楽に読むことが出来ます。バカバカしいボケにまみれた登場人物の中、一人でツッコミ役を担うのが主人公なのもお約束。何から何までコメディ小説としての基本の忠実なのでその意味でも安心。楽しいだけの作品だけど、それ以外なにものでもない。素晴らしいですね。

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買ったもの

1.『静野さんとこの蒼緋』 水鏡希人 電撃文庫
2.『ばけらの!2』 杉井光 GA文庫
3.『晴れた空にくじら2 戦空の魔女』 大西科学 GA文庫
4.『神曲奏界ポリフォニカ クリムゾンS(2)』 榊一郎 GA文庫
5.『神曲奏界ポリフォニカ リベレーション・ブラック』 大迫純一 GA文庫
6.『カラミティ・ナイト-オルタナティブ-』 高瀬彼方 GA文庫
7.『病の世紀』 牧野修 角川ホラー文庫

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2009.01.14

『灼熱のエスクード(3) I WILL CATCH U』読了

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灼熱のエスクード(3) I WILL CATCH U』(貴子潤一郎/富士見ファンタジア文庫)読了。

く、くくくくぬぅ…お、オレは、今まで小説を読んできて、ここまで主人公に嫉妬したのは初めてだっ!オレの(オレのじゃねえよ)レイニーさんにてめえ!このやろう!心が弱っているところに付け込みやがってっ!くっそがぁあぁあああ!

と、一通り憤りを吐き出しておきました。すっきり。

まったく、このシリーズのエログロ万歳主義には毎回ほくほくですけど、アロマが復活して以来、その傾向にますます拍車がかかっていますよね。良いことです。物語的にはアロマ復活とレイニーがレディ・キィであることが判明したことで生じる混乱と、その混乱の中、打ちひしがれたレイニーが千年前の過去を回想するという物語。アロマ関係は前述の通りエログロ満載で万々歳。アロマ様はほんまに手加減をしらぬお人やで…。淫猥かつ残酷な人外ロリとしてここまでやってくれるとは。イラストから地の文まですべてが危険なのだが、ぼくの大好きなアルフェルム様すら陵辱するその残忍さがおそろしい。アルフェルム様、種馬扱いかよ…。あまりの落ちぶれっぷりに思わず泣けてくる。しかし、忠誠の深い部下たちの献身によって、一矢を報いようと立ち上がろうとする姿は、思わずもらい泣き。何と言う忠臣だ、執事の人…(名前を忘れた)。まさに主人公(?)の面目躍如ですよね、アルフェルム様。

一方、レイニーの回想は、まだ初々しかったレイニーの戦い。領主の娘として不自由ない生活を送りながら、魔族の侵攻によって失われたものを取り戻すために、レジスタンスに協力するレイニー。しかし、反抗は無残に失敗に終わり、レイニーは”向こう側”へ。そしてかの”グランドマスター”と邂逅する。あと、やっぱり魔族たちの描写が秀逸。残忍、残酷で傲慢だけど、文化的といっても良い魔族は、まぎれもなく人類の敵でありながらどこか魅力的だった。とくにグランドマスターは存外かるーく描写されていて拍子抜け。まあ、魔王然とした存在を想定していたわけではないが、なんだこの貴族のぼんぼんは。それゆえの恐ろしさがあるわけだけど。”こちら側”に帰還し、永遠の戦いを続ける決意をするまでの過程を描くことで、レイニーを支えるものをきちんと描いたと言えると思った。

そして現在。薫がレイニーを助けるためになりふり構わないところはさすが本来の主人公。しょうがない…そこまでやるなら…認めてやるよ!(苦い顔で)と言うわけで、すっかり弱さを剥き出しにしたレイニーとの、束の間の交流。ひたすら戦士として戦い続けたレイニーが、一人の女として存在することが許された、と言うことで、喜ばしいことなのかもしれません。が、そうは問屋が卸さない。レイニーが戦士ではなくなったと言うことは、もはや彼女に頼れないということを意味する。本当の意味でレイニーと対等になるために、薫の戦いはこれから始まるのであった。レイニーの背負っていたものと同じものを背負い、最後の戦いへ。

おそらく、最終回は一巻の反復になるのだろうなあ…。レイニーをレディ・キィとしての役目を全うさせるか、あるいはそれを乗り越える展開があるのか。どちらもありそうで、展開は予断を許さない。期待したい。

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最近のアニメ

・『ドルアーガの塔~the Sword of URUK~』
 言及はしていなかったけど、前期は視聴済み。ややメタネタが多すぎたのが気になるところだった。続編である今作は、ストイックなつくりで好感を持てる。期待。ジルとファティナが典型的なヒモとOLの関係になっていて面白い。これでファティナを捨てたらジルは外道。

・『獣の奏者エリン』
精霊の守り人の作者、上橋菜穂子原作のアニメ化。原作はすごく面白かったのでやや身構えて観た。悪くはない。長丁場になりそうなので、丁寧にやってくれれば、と思う。

・『鋼殻のレギオス』
原作既読。現在と回想が入り混じる上にキャラクターが大量に投入されているので、ややわかり難い。しかし、処理の仕方はそう悪くは無いし、おそらく目玉になるアクションは良好。ちょっと音楽がうるさい。

・『WHITE ALBUM』
いちおう原作ゲームはプレイ済み。重い。コミュニケーションが取れないストレスを強く感じる。ドロドロとした展開の予感をつよく感じさせるので、引きは強い。

・『明日のよいち!』
別にどうでもいいや。

・『宇宙をかける少女』
二話目にしてすごくわかり難い。重要な描写がいくつか欠落している印象。話の流れがスムーズではなく。ぶつ切りにされているような。キャラクターの感情の流れが理解し難いのだが、これは勝手に妄想しろということなのか。せめて主人公の思考回路はどうなっているのかぐらいは教えて欲しい。面白くないわけではない。

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2009.01.13

買ったもの

1.『バクマン。(1)』 原作:大場つぐみ 漫画:小畑健 集英社
2.『ギャンブルフィッシュ(10)』 原作:青山広美 作画:山根和俊 秋田書店

バクマンを買おうかどうしようかしばらく悩み続けたけど、こんなに悩むくらいなら買ってしまった方が精神衛生上良いということに気がついたので買った。おもしれー。なんと言うスピード。なんという密度。なにか漫画のお約束を一歩二歩外れた次元に到達しているような気がするぜ。あと亜豆が可愛くないという意見が散見されるが、可愛いじゃん。エキセントリックで。ちょっと普通と違う変な女の子すきー。

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『ミラクルチロル44キロ Aパート・チロルアレンジ』読了

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ミラクルチロル44キロ Aパート・チロルアレンジ』(木村航/メガミ文庫)読了。

木村航らしい饒舌さに糊塗されているが、すごくまっとうな恋愛小説だった。空想とも幻想ともつかないイメージの乱舞が作者らしくて良い。”いのちの募金”という、読者としても一見としてわけが分からないものに、何の気なしに”一生”などと書き込んでしまったことから生じるファンタジー。複雑な家族関係が主人公の回りにあって、その現実からの逃避、と言うと言い方は良くないけれども、そう言った気持ちが背景にあって、その気持ちから”いのちの募金”に主人公が惹かれていく過程は実に納得がいく(木村航の作品は、物語の流れそのものを見ると不自然なところがあるけど、登場人物の感情の流れを追うとしっくりわかる作品が多いけど、これもその一つみたいだ)。”一生”をあげてしまったチロルチョコを、捨てることを返品することも食べることも選べない主人公の感情は非常に複雑ではある。それは、あくまでもぼくの想像であり誤読をするならば、自分自身の価値を信じることが出来ず、自分の必要とするものの存在を信じることが出来ない主人公の心情を表しているのだろう。だれかのためになるのなら、自分の一生などくれてやってもいいような。本当に自分の人生は必要なものなのか。あるいは、そこまで言語化出来ているものではないかもしれない。漠然と”ただ生きることに居心地の悪さ”を感じてきた少女の気持ちそのものなのだろう。だから彼女は輝きを放っている過去の情景に心を奪われるのであり、そこに出てきた田丸くんに恋をするわけだ。それは本当の恋と言うよりも、輝きに対する憧れのようなものではないかと思うのだが、それを主人公がどこまで理解するのか、あるいは理解しないでこのまま突っ走るのか(それもまたあり、か)、どちらにせよBパートの展開に期待したい。

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2009.01.12

『世界平和は一家団欒のあとに(6) 星弓さんちの非日常』読了

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世界平和は一家団欒のあとに(6) 星弓さんちの非日常』(橋本和也/電撃文庫)読了。

正義のヒーロー一家の日常を描いたシリーズも6巻目。相変わらず超安定。もうキャラクターが動いているだけで読者は楽しいと言う時点でもはや勝ったも同然ではないかしら。今回は短編集と言うわけで、主人公の日常(一般的には非日常)を描いた作品になっている。ひねくれているようで男気に溢れた、ついでにシスコンでマザコンな主人公が右往左往する姿に萌えろ!って感じの内容かも。

「悪党退治は何カロリー?」
妹である美智乃の話、のように見せ掛けて、妹の無茶をハラハラしながら見守る軋人の重度のシスコンが炸裂する話。お前、本当に重症だぞ…。まるで美智乃がメインヒロインのごとく扱われているのだが、実のところ本編でもそんな感じなので今更ですよね。結婚するのは柚島、でも一番大切なのは美智乃、というのが軋人の位置付けなのかもしれません。わーお、背徳的ー。

「星の王子さま」
サン=テグジュペリがどこかでモチーフにされているかと思ったけど、全然そんなことは無かったぜ!軋人のお節介が炸裂する話。今回はゲームを通じて仲良くなったクラスメイトとの交流を描いた、実にそれだけの作品。落とし方も意外性はなくストレートなものになっている。その分、軋人の格好良さのみを追求している作品なのかもしれない。

「刃の行方」
軋人のスーパー男気タイム。なんと言う任侠ぶりであろうか。地の文では軽薄そうに見えて、行動はどこまでもストイックなのが軋人の特徴ですな。彼の強固な信念が素晴らしい作品。自分の命よりも、自分がスジを通すことを優先するあたり、見事なものである。自分の信じた相手を、実際にはどうであろうと自分の信念を突き通すあたりが格好良かった。まあそれで見事に騙されてしまうあたりは、未熟さゆえかはたまた不器用さか。まあどちらにしても男のダンディズムを体現しようとしている彼は格好良いと思うよ。

「大邪神の夜」
この話のみ軋人は登場せず、彩美と七美の長女次女コンビが活躍する話。邪神復活をめぐる姉妹の戦い。二転三転する展開にはなかなか読ませられた。きちんとキャラの行動が、キャラらしい行動ゆえに物語を牽引しているのはさすが。彼女らの行動に不自然さが感じられないところは認めるべきだろう。彼女たちなら、確かにこういう行動をとるだろうな、と思わせられる。決着の付け方も、姉妹の関係性の上に立脚している感があってよろし。

「おまけ・世界童話も一家団欒のあとに」
まあおまけなんで特に言うことはありませんが。キャラ関係性だけを抜き出すとこういう作品になるんだなー、と思った。

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『オトナリサンライク』読了

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オトナリサンライク』(竹岡葉月/角川スニーカー文庫読了。

”善き隣人”とと呼ばれる妖精が実在する世界で、窃盗によって奉仕活動を義務付けられた少年が人間と妖精が関わる事件を通して、自分の居場所を見つけていくと言う話。とても”まっとう”な話であり、好感を持たずにはいられない。仲間に裏切られ、自暴自棄になっていたキーチ(彼が本来は異国人であることも居場所の不在に象徴的である)が、センターの人たちに受け入れられることで立ち直る、というように、物語としてはシンプル極まりないのだが、それゆえに安心できる内容だ。ただ、同僚となるセンターの相談員が全員美女美少女だったり、ほとんど最初からキーチを受け入れる態度を示している(一部を除く)ところがご都合主義的と言うか、ぬるい部分があるとは言えなくも無い。いろいろな事件には取り組んでは行くものの、基本的にはキーチは決して見捨てられることは無いわけで、彼自身の葛藤自体はそれほど深いとは言えない。しかし、妖精の事件の中には、決して後味の良いとは言えない、解決不能な要素が存在することを否定しない部分があるように、決してあまやかなだけの内容にはなっていないところは好ましいと思う。あくまでも、今回の話は、最初から自分の居場所を喪失しているキーチが、受け入れること(そして受け入れられること)を認めるという物語なわけで、その意味では物語にはブレはないのだ。まあ、各エピソードとキーチの葛藤には、相談員とのコミュニケーション以外の要素と有機的なつながりが見て取れない点はやや物語の統一性を欠くと言えなくもなく、続巻があるのであれば解消してもらいたい点ではある。居場所を手に入れたキーチは、次はその居場所を維持し続けるという課題が必然的に浮かび上がって来ると思うので、続きは出しやすいだろうなと思う。個人的には踏み込みが浅い点はあるものの、読んでいて気持ちの良い作品であることは疑いなく、万人にオススメできる作品と言えるだろう。

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『彩雲国物語 黒蝶は檻にとらわれる』読了

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彩雲国物語 黒蝶は檻にとらわれる』(雪乃紗衣/角川ビーンズ文庫)読了。

紅黎深の更迭に伴い、紅家官吏すべての離反を招いてしまった状況を立て直すため、必死の調整を続ける劉輝たち王一派。王の官吏として紅家官吏の離反を画策する黒幕を暴くべく、調査に明け暮れる秀麗は。そして王の決断とは。と言うわけで、相変わらず陰謀と策略に塗れまくった話。秀麗側は完璧に後手後手にまわっているので、挽回が絶望的な感じがありありと出ている。官吏内部の敵味方関係もはっきりしてきて、暗闘は最終段階に入りつつあるようなのだが、どう考えても情報戦で遅れをとっているので、勝てそうな気がしないんだよなー。秀麗が頑張っているのは読者にも伝わってきているのだけど。さらに黒幕とみなされる鳳鱗の正体についてのサプライズもあり、王側の不利は確定的に。もっとも、まだ”彼”の動向には不穏なところがあるので、今後の展開にはまだ予断を許さなそうだけど。どうも個人的な思惑がありそうなんだよなー。はっきりとその存在が明らかになっている政敵たる”彼ら”は、どうもブラフのような気がしてならない…。そういえば、ついに劉輝と秀麗の間の関係に大きな変化が訪れたわけだけど、どう考えてもこれは悪手だよな。本編中でも言及されているけど。明らかに選ばされた選択なわけで、敵をもっとも喜ばせる選択だ。そんな選択にうかうか乗ってしまった劉輝はやっぱりアホ王としか思えないのがなんともはや。まあ本人も分かっているわけだけど、分かっているから許されるわけではないわけで。主人公側がぜんぜん有能そうに見えないのが問題だなーとは思う。

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2009.01.09

最近のアニメ

・『ワンナウツ』はおもしれえなあやっぱり。次から次に繰り出される策略にツッコミが間に合わねえ。

・『キャシャーンSINS』は基本的に駄目人間アニメだよな。罪悪感と焦燥感に苛まれるキャシャーンの苦悩を綴るという。なんでキャシャーンであるのかと言う気もするが、キャシャーンでなければ受入れ難い内容であるので、意味はあるのだろう。

・『続 夏目友人帳』。一話目は前回のおさらいと言う感じでとくに言うことはなし。ちょっとテーマがわかりやす過ぎるかな。まあ、安定はしている。

・『宇宙をかける少女』。な、なんかさっぱりお話がわからないんですけど?とりあえず美少女いっぱい萌えアニメと思わせつつ、福山潤のハイテンションな弾けた演技ばかりが印象に残った。ヒロイン役のMAKOは『かみちゅ』以来の主人公役で、思いのほか好演。元気なヒロイン像を表現していたように思う。

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『サムライガード(2) 北の大地で待つ姫は』読了

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サムライガード(2) 北の大地で待つ姫は』(舞阪洸/GA文庫)読了。

話がすすまねえなあ…。1巻が起承であるなら、2巻は転だけで終わってしまった感じだ。これは作者、わざとやっているだろ?1冊で物語を収めないと言うのはよほどに自信がなければ出来ないことだと思うので、作者がどのように物語を収めるのか、まあ期待しておこう。おそらくは3~4巻あたりでおはなしに一区切りがつくのでは、と睨んではいるが、この作者のことだからどうなるかは不明。

内容は、己の立場を実感した主人公が、周囲を巻き込まないため北方の僻地にある監獄のごとき武士養成校に転校してくる、というもの。ときおり、主人公の命を狙う刺客がやってきてバトルったりもしているけど、基本的に転校してから始まるドタバタが主眼。というかドタバタしかない。護衛である愛香、毬藻、追いかけてきたクラスメイトの雪乃という3人の美少女を引き連れての転校に、監獄のごとき学園で生活するむさい男たちの暑苦しい嫉妬が立ち上る。一身に妬みをぶつけられる主人公がなんやかやーとか。ついでに愛香となにやら因縁のありそうな金髪お嬢様との決闘などもあるけど、基本的に内容はどうでもいいよな。だってなんにも進んでないんだもん。まあ、刺客ならずとも殺したくなるような主人公のうはうはハーレムぶりを楽しめばいいんじゃないでしょうか。そんな中でも剣術うんちくを忘れない作者の根性に乾杯!相変わらず趣味で小説書いているんじゃねえかこの人…とか思ったりもするけど、サムライ少女や忍者ガールが大変にラヴいのですばらしいのであった。作者にすっかり踊らされておるなー。

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2009.01.07

買ったもの

1.『電波女と青春男』 入間人間 電撃文庫
2.『プシュケの涙』 柴村仁 電撃文庫
3.『とらドラ・スピンオフ2! 虎、肥ゆる秋』 竹宮ゆゆこ 電撃文庫
4.『空ろの箱と零のマリア』 御影瑛路 電撃文庫

電撃文庫の新刊。他に買ってないのはそのうちに。

あと、今日は体調が悪いので本の感想はお休みします。

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2009.01.06

『風の邦、星の渚 【レーズスフェント興亡記】』読了

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風の邦、星の渚 【レーズスフェント興亡記】』小川一水/角川春樹事務所)読了。

14世紀ドイツを舞台にした歴史小説としてとても面白かった。SF的な背景もあるけど、これは物語そのものにはそれほど関わってはこないかな。あくまでも背景は背景で、基本は街づくりに賭けたプロジェクトX的な熱いドラマが主軸。物語は、街を発展させていくにつれて、次々と巻き起こる危機に対して、主人公たちが異星人であるレーズの力を借りて立ち向かうと言う話で非常に爽快な内容になっている。主人公がキリスト教の価値観から離れた近代的な思想の持ち主であることもあり、読者が理解しやすいところも良いのではなかろうか。主人公たちが危機を乗り越えていく過程も、決してご都合主義ばかりではなく、当時の制度を利用した納得できるものになっているのはさすが。そして矛盾するようだが、最後の最後でレーズという反則的な存在がすべてを救っていく展開が素晴らしい。

なんとなくシムシティ的な、街づくりシミュレーションを思わせる俯瞰した視点もあって、非常に作者らしい作品だと思った。

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最近、ゲームがクリアできない

面白そうだな、と思ってゲームを買うものの、そのほとんどは積みゲーになってしまう。実を言うとラストレムナントもGTA4も放置中だ。いつかはやりたいとは思っているが…。面倒くささが先立って、なかなかその気にならない。これは単純に時間が限られているせいでもあるし、気力の低下に伴うモチベーションの維持が困難であることもあるし、あるいは単にゲームの進化についていけてないのかもしれない。そんな自分でも、唯一クリアできるのがノベルゲームである。なにしろクリックするだけで進むのがいい。かんたんだ。というわけで、いまは『うみねこのなく頃に』をやっています。

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買ったもの

1.『ダンス イン ザ ヴァンパイアバンド』 環望 メディアファクトリー
2.『鹿鼎記(2) 天地会の風雲児』 金庸 徳間文庫

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2009.01.05

『俺の妹がこんなに可愛いわけがない(2)』読了

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俺の妹がこんなに可愛いわけがない(2)』(伏見つかさ/電撃文庫)読了。

ストーリーは基本ベタベタなんだけど、おそらくこれはそこが良いというものなんだろうな。自分の理想を勝手に相手に仮託して、その理想から外れてしまうことに強い憤りを覚え、裏切られたと逆上する。ありがちと言えばありがちなのだが、主人公とその妹のやりとりが、仲良く過ぎないというかむしろツンツンだけれども、根っこのところではお互いに甘えている関係に身もだえするすると言う展開が、ベタベタな展開を牽引しているように思う。タイトルにもあるとおり、主人公と妹の関係性がなかったらなんの変哲もないふつーの話なので、さすがに2巻になるとインパクトは薄れてきているようにも思う。そろそろ二人の関係だけで引っ張るのには限界があると思うので、ここは次巻が正念場であろうか。安全策で現状維持か、あるいはさらなる飛躍を目指してテコ入れを行うか。現状では、小さくまとまってしまいそうな印象があるので、是非、作者には頑張って欲しいと思う。まあ、これはこれで楽しくて良いものなんだけどね。

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買ったもの

1.『ぬらりひょんの孫(3)』 椎橋寛 集英社
2.『アイシールド21(33)』 原作:稲垣理一郎 漫画:村田雄介 集英社
3.『ToLOVEる(1)~(12)』 脚本:長谷見沙貴 漫画:矢吹健太郎 集英社
4.『スケットダンス(1)~(6)』 篠原健太 集英社
5.『放課後の魔術師(2) シャットダウン・クライシス』 土屋つかさ 角川スニーカー文庫

いや…今回はひどいな。年末年始の暇にあかせてジャンプ漫画を読み漁った。『ToLOVEる』おもしれえじゃねえか。オチが弱く、物語性はかぎりなく低いが、健康的なエロスにたいするこだわりには目を見張るものがある。これはこれで良いものだが、とりあえず読んでびっくりしたのが『スケットダンス』だ。ちょっと一巻を読んでみたらむちゃくちゃ面白い。なにこの精緻な構成…。学園コメディという難しいジャンルを、恋愛要素を入れないままで、純粋に物語として描いている!これはすごい…。

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ぼくが点数付けをしない理由

本の感想を真面目に書き始めてそろそろ4年になろうとしているが、ぼくの感想文は、自分で言うのもなんだけど、すごくわかりにくい。面白いのか、面白くないのかをはっきりと断言しない上に、他の作品と比較してどちらが優れているのか、まったくわからない書き方をしている(自覚はある)。他のラノベ書評サイトを見てみると、点数を付けたり、評価軸をもうけて相対的な評価をつけているところもある。ああいうのがあれば、その作品が自分の中でどのような位置づけになるのか、ブログを読んでいる人にもわかり易かろうなー、と思う。思うのだが、どうも自分の中で、素直に評価を形にしたくないという気持ちがあり、二の足を踏んでしまう。実は、点数を付けるという行為は苦手なのだ。自分が本を読んだ時生じる感想と言うのは、実は単純なものではない。たんに面白い、という言葉だけでは括れない衝動があるのだ。例えば、物語に対する喜びであったり、作者の技巧への賛嘆であったり、美しいものを見た感動であったりと、さまざまなものがある。それを5段階評価で付けてみよう、と思うと、途端に困難な問題になる。物語の構成が素晴らしい!と思ったときと、美しい文章を読んだときの感動を同列に扱ってよいものか…?評価軸を増やしてみるというのも一つの方法であろう(例えば、文章A、構成B、キャラBなど)。だが、いちど評価軸を増やすと、際限なく項目が乱立し、作品同士の相対評価を見え難くしかねない。そのところを上手く妥協する必要があるのだろうが、その落とし所が見えてこないのです。というわけで、今のところぼくは点数付けをしたくないのです。

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2009.01.03

『放課後の魔術師(1) オーバーライト・ラヴ』読了

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放課後の魔術師(1) オーバーライト・ラヴ』(土屋つかさ/角川スニーカー文庫)読了。

行きつけの本屋でオススメされていたので買った。なかなか面白いかもしれない。魔法バトルに関わる設定そのものには目新しさを感じないのだが(と言うより、そういった設定に自分が興味を持てないだけなのだが)、教師と生徒の主人公カップル(まだそこまで行ってねえ)の関係性がなかなか面白く、退屈しなかった。主人公の教師(でも17歳)はすごく知的でクールなのだけど、ヒロインの方もまた、快活ではありながらも理性的というところが変わっている。必然的にこの二人のやりとりは理性的なものになるのだが、お互いに自分の言いたいことをきちんと理解し、相手を論理的に理解しようとする過程があり、その過程が、非常に面白かった(ミステリで言えば、森博嗣のS&Mシリーズの主人公、犀川創平と西之園萌絵の関係性に似ている)。機会があれば2巻も読んでみようと思う。

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だらだらしつつゼロの使い魔を再読

ゼロの使い魔を久しぶりに読んでいたら(初再読かもしれん)、物凄く面白かった。ひょっとして傑作なんじゃないか(今更なにを言っているんだ)。

・イーヴァルディの勇者って一巻ですでに名前が出ているよ!10巻の伏線が1巻で出ているとは!

・シナリオライター出身だけあって、ヤマグチノボルには文章に対するフェティッシュなこだわりと言うのが欠片も感じられない。むしろ、文章としてはすごく粗いのだが、反面、映像化した場合のシチュエーションに対するこだわりが物凄く強い。

・シーンの状況設定が恐ろしく格好いい。具体的に好きなところは、魔法学院に敵襲があって、コルベール先生が己の過去を呪いながら生徒を守るために戦うシーンは、セリフのやりとりやそれぞれの登場人物の感情の流れといい、超絶的にかっこいい。描写自体はさらっとしているのだが、もしこれがアニメになったらかっこいいだろうなあ、と思わせられる。しかし、どうやらアニメ版にはこのシーンは無いらしいので、現在のスタッフは呪われればいいと思う。このシーンに限らず、ゼロの使い魔は、映像的にかっこいいシーンが多く、きちんと脳内で映像にしてみると、すごく面白い。自分はあまり文章を脳内で映像化しない(文章をただ文章として受け取る)ので、いままでは気がつかなかったのだが、これは驚きだった。

・アルビオンとの戦争描写など、分量としてはそれほど割いていないものの、描写自体は濃い。脇役の一人であるギーシュが士官として配属されたときに、ボンクラ愚連隊の中隊長をなし崩しに拝命し、恐怖に震えながら初陣を果たすなど、作品としてのバランスを大きく崩しかねないほどに描いている。作者はわりとミリタリー系も好きなのかも。

・あまりラブコメっぽいところは多くないような。むしろ少年のビルドゥンクスロマンを描いている作品のような気がする。

・マリコルヌはほぼ皆勤賞なのに、扱いが不憫すぎる…。イラスト化されたことも無いとは…。

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あけましておめでとうございます

こんな駄文しかないブログに来ていただいている皆様にはお礼を申し上げます。私信ですが、普段お付き合いいただいている方々は、今年もよろしくお願いいたします。

まあ、あまり無理せず、マイペースに続けていきたいと思います。

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