『戦闘城塞マスラヲ(5)川村ヒデオの帰還』読了
『戦闘城塞マスラヲ(5)川村ヒデオの帰還』(林トモアキ/角川スニーカー文庫)読了。
戦闘城塞マスラヲ!完!!相変わらずやべーよこの作者…。クライマックスのテンションの上げ方は圧倒的。というか、作者本人がノリノリ。超ノリノリ。なんか脳内麻薬を分泌させまくりながら書き上げたっぽい印象を受ける。テンションが異常なことになっている分、まあいつもどおり細部がめちゃくちゃと言うか矛盾や明らかな演出ミスなどいくつも見つけられるのだが、そんなこたぁ知らねえ!とばかりにフルスロットルで爆走するクライマックスでトントンと言うことで。まあ、正直、決勝戦の描写はいらないと思うんだけどな…。あそこでテンションをむりくり上げない方が、後半のクライマックスへのつなげ方が綺麗だと思うのだが…おっと、思わずツッコミを入れちまったぜ。まあそんな感じで揚げ足をとろうと思えばいくらでもある、しかし、その無理矢理さこそが尋常ならざる熱気につながっていると言えるので、やっぱり評価の難しい作家だなあ、と改めて思った。おそらく、この人は作品の構成よりもキャラクター主導で動かしていくことを選んでいる作家なのだろう。枝葉末節を踏み潰し、キャラクターを縦横に動き回らせる。そこから生じるドライブ感は、やはりこの作者の非凡さの表れであろうと思うのだ。
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コメント
ゼロ魔とかバッカーノとか円環少女とか、ダメなとこはダメだけどいいとこはいい(あるいはすごくいい)ってのは、ラノベじゃごく当たり前のことじゃないですか?
同作者の作品どうしで比べても、マスラヲは気の抜けてるところが格段に少ないと思うので、感想が同じレベルにとどまっちゃうのはなんかもったいないなあと思うのです、が。
投稿: hatikaduki | 2009.01.22 12:24
端的に言ってしまうとぼくの趣味の問題ですか(身も蓋も無い)。
マスラヲが作者にしては非常に端整な作品であることは分かるんですが、そもそも林トモアキと言う作家の評価が非常に難しいんですよね。好きな部分と苦手な部分をどちらも持っている作家なので、かなりアンビバレンツな感情があります。すごく面白いし、マスラヲ最終巻は傑作かもしれないと思っているんですが、それでも、そのー上手く褒めにくいというか…。
どういうことか説明しようと思ったんですが、異様に長くなってしまったので別エントリを立てました。
http://kiicho.txt-nifty.com/tundoku/2009/01/post-25e9.html
投稿: 吉兆 | 2009.01.22 22:08
ラストのラスト一行、やられた!と思いますた。「ヒデオアフター」読みたいですね!!!
投稿: もじのくまさん | 2009.03.12 23:31
あとがきを読む限りではアフターが書かれる可能性は高そうですね。チャレンジブルな作者と編集者だ…。
投稿: 吉兆 | 2009.03.13 21:59