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2008.12.15

『幽式』読了

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幽式』(一肇/ガガガ文庫)読了。

これはライトノベルホラーとしては傑作認定してしまっても良いのではあるまいか。こんな書き方をするとライトノベルホラーとはなんぞ、という話になってきてしまうが、ようはキャラクター小説的なホラーと言う意味で使用するという程度に留めよう。ライトノベルとして機能していて、なおかつホラーとして優れている。学園異能のフォーマットを用いながら、確かに”幽かなる”世界の描写に成功しているのだ。彼岸と此岸の境目にある、薄暗く仄かな領域。人はそれを未知と言う。人は未知を恐れながら憧れ、求めながら突き放す。これはそんな領域を覗き込んでしまった少年少女の物語である。彼らは、己の存在の不確かさゆえに未知を求めてさまよう。この世ではないどこかを求めてさすらう。それはきっと生きることの不安と迷いの現れであり、彼ら自身の”青春”とでも呼ぶべきものと完全なるリンクがあり、この作品をジュブナイルの領域まで広がりを見せている。生きることの美しさと醜さ、人の心の不確かさまで描いた見事な作品であった。僕はとても好きです。

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コメント

これ、面白いですよね!
読んでいてGOTH思い出しました。
ちゃんとジュブナイルしているところイイ!
GAGAGAは尖ってる作品が多くて良いレーベルだと思います。

投稿: meganegane | 2008.12.16 00:32

GOTHとは、確かに似た透明感があるかもしれません。けれども、こちらの方はかなり温度が高いというか、異界との接続が非常に密接ですね。

>GAGAGAは尖ってる作品が多くて良いレーベルだと思います

僕は何度も言っているんですがガガガ文庫が大好きだと以下略。

投稿: 吉兆 | 2008.12.16 00:39

紹介されていたんで読んでみました。
ホラーが主人公の成長のための丁度良いスパイスになっていて面白かったです。普通ホラー小説って重要度が恐怖>ストーリー性で主人公が死ぬなり発狂するなりで終わり…だと思うんですが、幽式はストーリー性を重視していたので読んでいて楽しかったですねー。
あとヒロインの設定や話の流れから新興宗教オモイデ教(オーケンの方)思い出しました。

他にもストーリー重視のホラー作品があったら教えて欲しいです。

投稿: hisasi | 2009.02.16 05:08

お気に召したようで何よりです。

>普通ホラー小説って重要度が恐怖>ストーリー性で主人公が死ぬなり発狂するなりで終わり…だと思うんですが

んーその辺はいろいろなパターンがあると思いますけどねー。ホラーと言うのも存外懐の深いジャンルで、リリカルホラー、理系ホラーなどさまざまなものがありますので、なかなか面白いですよ。

ストーリー重視という扱いになるのか分かりませんが、小林泰三氏の作品は、SFホラーと言うしかない不思議な作品を書いています。まあ描写はひたすらグロかったりするので好みは分かれるでしょうが。あとはmeganeganeさんもおっしゃっている乙一のGOTHなど、ホラーと言うのとはちょっと違いますが、冷たい悪意と青春という幽式とも似通った雰囲気を持っているのでオススメです。と言うか乙一の作品はみんなオススメですけど。

投稿: 吉兆 | 2009.02.16 21:24

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