『黒猫の愛読書Ⅰ 隠された闇の系譜』読了
『黒猫の愛読書Ⅰ 隠された闇の系譜』(藤本圭/角川スニーカー文庫)読了。
本好き女子の妄想爆発!と言った感じ。物語の視点が女性の感覚に貫かれているので、その視点に同化することは、自分には出来ない(男だし)。そのかわり、本好き女子の生態、と言うのも言葉が悪いけど、その反応を楽しめる。たぶん作者は女性かな。主人公の妄想に奇妙な真実味があったり、ヒーロー役の黒づくめの男の造型が恋愛小説的なそれであるところに、そんなふうに思える。まあ、偏見かもしれないけど。内容は伝奇小説の王道を歩んでいるように思われる。本と会話できる少女が、謎めいた青年と出会い、呪われた書にまつわる事件に巻き込まれる。取り立てて新鮮味はないものの、前述の通り、主人公の少女の反応がなかなか面白いので、興味深く読んだ。もっとも、恋愛方面の展開に興味の少ない自分には、青年とのほのかなロマンス(ほとんど主人公の妄想だけど)はあまりピンとこなかった。青年のキャラクターが美形ヒーローの定型を逸脱するものではないので、あまり好きになれなかったのも原因かもしれない。でも、女性向け伝奇としてはむしろ正しいのかもしれない、と思う。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント