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2008.12.08

『生まれ来る子供たちのために』読了

51ysnjvokel

生まれ来る子供たちのために』(浦賀和宏/講談社ノベルス)読了。

これはひどい。

浦賀和宏やっちまった…。痛々しい思考と言動を繰り返す主人公、八木の暴走した青春の結末とは。八木の持つ超能力とか、なんだかよくわからん人類規模の計画とか、そのあたりは結局、八木自身のリアルとは関係のないことだったんだろうなあ。どこからが夢で、どこからが妄想で、どこからが現実なのか。読者はその中から選択的に取り組むしかない。おそらく、どのような解釈をしても、それが正しいことになるのだろう。多重に織り込まれる”現実”。いくつも提示される”真実”。それらはすべて正しく、誤ってもいる。八木の力は本当にあって、SF的大仕掛けの(一方的な)恋愛物語としても読んでもいいし、妄想に支配された男の哀れな一生と、それに翻弄された少女たちの話としても読んでもいい。感動的な物語として読むことも、残酷な物語として読むことも、すべては読者の手にゆだねられている。それは作者の誠実さなのか、それとも悪意なのか。少なくとも、すさまじいものを叩きつけられたという実感、痛みがあり、看過しえぬものを感じる。果たしてあのラストシーンを愛として捉えるか、呪いと捉えるのか。僕はまだ迷っているのだ。

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コメント

もう本当に「やっちまった」としか言えないような結末でしたね。

しかし、僕も不思議と一方的に裏切られたような気分ではないんです。シリーズで描かれてきた、剛士、純菜、南部の行動、感情への共感…それが台無しになったとは思わないし、やっぱり彼等が大好きなんですよね。

読んだあと、こんな相反する感情が同時に浮かんでくる作品は珍しいです。ともかく、浦賀さんには貴重な読書体験をさせて貰いましたw

投稿: たけ | 2008.12.08 23:58

たけさん、こんにちは。

まあその…なんと言ったらいいのかよくわからないのですが…。面白いとか面白くないとか、そういう地平で語っていいものでもないような気さえしてきていますね。

浦賀センセイは、超中二病と言うかぶっちゃけいつまでエヴァを、自意識をこじらせた話をやるつもりなのか真剣に心配になってくるのですが、まあ僕はとにかく大好きなので問題ありません。

投稿: 吉兆 | 2008.12.09 23:57

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