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2008.12.17

『カッティング~Case of Mio Reincarnation~』読了

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カッティング~Case of Mio Reincarnation~』(翅田大介/HJ文庫)読了。

放浪を続けたカズヤとミオの物語も一区切り。今までミオを支え続けたカズヤも、いざ、自分も同じ状況に陥ったときには動揺を抑えることは出来なかったようだ。もっとも、二人の関係は、(背景事情こそ異端なものであれ)完全によくある恋人同士のすれ違いであるので、痛々しくはあるが、別に変わったものではないよなあ。結局、根底にあるのは、自分を承認してもらえない(と思い込んでいる)こと、相手の気持ちがわからないということ。それを乗り越えるためには、言葉を紡ぐことが唯一の手段であること。でも、そんなの当たり前のことだよなあ。人間なんて、他人がなにを考えているかなんて最初か分かるわけ無いし、悩みを共有することだって、根本的には不可能だ。だれも苦しみを代わってあげることなんて出来ない。相手の気持ちを分かることなんて出来ない。物語の途中で、ミオが、彼女を諭すカズヤの父親に対して、自分たちの事情が分かるわけが無い、みたいなことを考えていたけど、それこそが傲慢と言うものであって。ミオこそが、カズヤの両親たちがどのような経緯を持って現在にたどり着いたのか知る由もないわけで。その意味では、カズヤとミオの関係、悩みと言うのは、フツーの、だれしもが味わう、普遍的な苦悩である。そして、普遍的であるけれども、逆説的ではあるが、彼らが唯一味わう苦悩でもあるのだ。平凡な苦しみを、徹底的に描いたこの作品は、とても真摯なものであると思いました。

ところで、困った時のみさき先輩と言うか、主人公たちがにっちもさっちも行かなくなると現れてくれる彼女の存在は便利すぎる。毎回この人が物語にケリをつけようとしてくれるんだよなー。なんかこの人、別シリーズの主人公的な存在感があるよな。

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