『スクランブル・ウィザード(2)』読了
『スクランブル・ウィザード(2)』(すえばしけん/HJ文庫)読了。
相変わらず良い。この作品が傑作とは言わないけど、この作者がさらに煮詰めて書いたら傑作を書くんじゃないか、と思ってしまうレベルでこの作品は良い。我ながら分かり難い表現をしてしまったが、とにかく良い。特に大人の視点と子供の視点の双方から一つの事件を描くことによって、そこから得て、考えていくことがそれぞれ異なっているというところが素晴らしい。大人である主人公は、事件が起きたとしても、そこでの事件を分析して対処することが可能なのだけど、子供であるヒロインは、全体の状況も分からずただひたすら目の前のことを捉えるしかない。同じ事件に巻き込まれていても、受け取っている情報が違う、観ている世界が違うというところをきちんと描いている。そんな大人の意表をつくのが、子供の作為の無い心からの言葉だったりするのも、上手いよな。作者は凄く頭の良い人なんだろうなあ、と思うのはそういうところなのだが、ややあざとさが見える気もする。ヒロインのラストのセリフは、ちょっと読者にサービスしすぎでは…これは妄想している読者がいけないのか。あれは真面目なセリフなんだ、たぶん。
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