『AURA 魔竜院光牙最後の闘い』の感想ではありません
タイトルに意味は無い。
・『AURA 魔竜院光牙最後の闘い』が巷で大評判である。ついに田中ロミオがラノベ界でも評価されるようになってきたか。良かったよかった。これは、『人類は衰退しました』でほのぼのSFと言う、シナリオライター時代を知っている人間からすると、田中ロミオに何があった…と驚愕する内容であったのだが、実はあれ、田中ロミオの入門編の位置づけだったのだろうな、と『AURA』を読みながら思った。『人類』があったからこそ、そちらで得た新規読者が『AURA』を読むとけっこうな衝撃を受けることに繋がっているかも。個人的には、こちらの方が普段の田中ロミオに近いと思うのだけど、先にこっちを出していたら”イロモノ作家”(滝川竜彦的な)のイメージが先行してしまった可能性もある。『人類』があったからこそ、『AURA』が感動的なストーリーとして読む文脈が出来上がっていると言えよう。…僕の考えすぎだろうか。
・感想がいろいろ書かれているけど、一番気になった感想がこれ>『AURA 魔竜院光牙最後の闘い』(また君か。@d.hatena)めっさネタバレなんで気をつけて。
・そうだよなー。単なる邪気眼ストーリーとして読むだけではなく、こういう解釈も可能なんだよなー。このように解釈すると、ラストの会話もまるで変わってくる。まさに人と人の断絶と、しかし、断絶していても、それでも人間は生きていかなくてはならない、と言うことなんだよな。
・ようするに、田中ロミオは、『人と人の間の断絶』をひたすら描いている作家なんです。ただ、そのアプローチの仕方は作品ごとに大きく違う。その断絶に絶望する者、断絶を乗り越えようと足掻く者、あるいはその断絶を無化するほどの超越者が陥る苦悩など、さまざまアプローチがある。断絶そのものが幸福を脅かさない場合もあるし、その断絶が人類の存亡にかかわってくることもある。人と人は本質的には分かり合えない。分かり合えないことは幸福でも不幸でもないが、それに苦悩する人間がいるだけ、と言う話でもあるのだよな。
・『AURA』は、かなり人との断絶を描いている作品で、『人類』よりも田中ロミオの中ではメインストリームに近いかもしれない。なので、『人類』よりも『AURA』が好きと言う方は、ゲームをやってみることをオススメする。(注:以下のリンク先には18禁の内容が含まれています。クリックするときはご注意を)最初はD.Oの『家族計画』などが良いと思う…のだが、今では完売絶版のため手に入れ難いのが難点だ。もっともわかりやすいと思うのだが。人と人のつながりと言うものは素晴らしいけど、ひどく危ういもので、その危うさをハイテンションなギャグとシリアスな筆致で描いている傑作。笑えて、泣ける作品(同じ会社の『加奈』と『星空プラネット』は、自分は未プレイなので言及できない。ただ、すでに古いゲームではあるし、リメイク版も出ているけどあまり評判が良くないので、重度の信者で興味のある人以外はやらなくてもいいのではないか。あらすじとか見ると、普通の『泣きゲー』『感動ゲー』のような気もする)。手に入り易い作品の中では、あくまでも個人的には『CROSS†CHANNEL』(フライングシャイン)、『最果てのイマ』(ザウス)がオススメ。ただし、どちらも現時点における超ロミオなのでプレイには十分にご注意下さい。下手をすると理解不能になる可能性があります。『CROSS†CHANNEL』は人と人の断絶そのものにクローズアップした青春もの。誰かと共にありたいと言うそれだけの望みさえかなえられない絶望を軽やかに描いている。なんでこの人は、絶望をこうも軽やかに描けるんだろう。たぶん変態なんだろうな。『最果てのイマ』はロミオのメタSF哲学ロマン。とにかく分かり難い。物語やキャラに込められたモチーフや比喩を気にしなければ別に良いのだが、それを気にしないで物語を読む意義があるとは思えぬ。まあ、ロミオがちょっと極まりきった印象があるので、重度のファンが全力で取り組む必要があると信者である吉兆さんが言ってた。ちなみに吉兆さんは内容を理解するために3回ぐらいクリアしたそうだ。バカですね(プレイしたときの感想はこのあたり。ネタバレ。その1、その2、その3、その4)。それ以外だと個人的に偏愛している『神樹の館』(Meteorなんだけど…すでに潰れてしまった。)などもよろしいかと。まあ重厚かつ妖美なテキストに酔える人ほど楽しめると言うか、普段エロゲーをやらない本好きな人ほど楽しめると言う、どうにもロミオ好き勝手し過ぎだろという作品。まあ江戸川乱歩とかのあやかし世界が好きな人なら問題あるまい(エロゲのオススメの仕方じゃねえ)。逆にロミオが頭の悪い方向へ行ってしまった作品として、『おたくまっしぐら』(銀時計)をオススメしたいところなのだが…バグさえなければなあ…。まともにストーリーが追えないバグってどんだけー。ん?『シャンテ』(テリオス)?そんなのあったっけ?あと田中ロミオプロデュース作品は根本的に別物なのでここには含めまっせーぬ。
・時に吉兆さんは上記のゲーム全部持っているのはあたりまえとして、『加奈』と『星空プラネット』は、旧版とリメイク版の両方を持っている。どっちもやってないけど。『家族計画』と『CROSS†CHANNEL』に至ってはPC版とPS2版を持っているよ。PS2版はやってないけど。『最果てのイマ』なんかは無印(ボイス無し)とフルボイス版を持っているよ。ザウスふざけんな。主人公にも声を入れろ(そこか)
・以上、田中ロミオ信者の妄言でした。
| 固定リンク
この記事へのコメントは終了しました。
コメント