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2008.08.19

『<本の姫>は謳う(3)』読了

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<本の姫>は謳う(3)』(多崎礼/Cノベルスファンタジア)読了。

4巻構成の3巻目。ついに物語は佳境にせまりつつあるようだ。といっても、アンガス一行の旅は今までと特に変わるわけでもなく、相変わらずの「文字」探しの旅が続いている。「文字」にかかわるトラブルを解決し、回収する。ところが、やることは変わらないけれども、当人たちの”想い”は随分と異なる様相を呈している。「姫」はそれまでの「文字」優先から、アンガス個人を気遣うようになり、同時に、「文字」を拡散させてしまった過去の己への疑いもあり、アンガスから距離を置こうとする。アンガスは、自らが「文字」を追う理由を己自身の中に確固たるものとしてすでにあるので、「姫」との思いはすれ違い始めている。二人のすれ違いが、今後の展開を左右するのではないかなあ、と思わないでもない。そこにアンガスに対するけなげな想いを育ててきたセラがどうやって絡んでくるのか楽しみだ。

一方、アザゼル編は絶望的な悲劇へまっしぐら。すでに過去の風聞として(そして「姫」の不完全な記憶として)語られているカタストロフへ向けて歩みを進めている。アンガス編とのリンクも少しずつ強まってきており、アザゼル編で語られるはずの結末が、アンガスたちにどのような真実をもたらすのか、そして、どのような想いを語り継ぐのか興味深い。

ところで、単純な意味で、キャラクター小説としても楽しいのだが、ややキャラクターが多すぎるきらいがあるのがやや不満点か。アンガス、「姫」、セラなど主要登場人物はともかく、それ以外の脇役の存在が現時点では必要不可欠のものに感じられず、このあたりの作者の意図がよく見えてこない。別に彼らの葛藤が描かれるわけでも、活躍するわけでもないしな…。最終巻で意味を持ってくるのかもしれないが、現時点では、キャラクター小説的なフックをつけただけのように見える。まあ、重箱の隅をつつくようなものだが、ちょっと気になるところだ。

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