『ベントー(2) ザンギ弁当295円』読了
『ベントー(2) ザンギ弁当295円』(アサウラ/スーパーダッシュ文庫)読了。
言いたいことは一巻で大体書いたので、繰り返しになってしまうのだけど、相変わらず頭の気の毒な話だった。あまりにも気の毒すぎて、なにかが一週してしまい、ものすごい熱血ビルドゥンクスロマンに昇華されているところも相変わらずすばらしかった。これを読んでいると、自分自身の頭がおかしく…じゃない、別シフトに切り替わり、半額弁当をめぐる熱き男女の生き様に興奮!絶頂!感動!の嵐に巻き込まれる。…本当に、一体これは、なんなんだろー(自分の中のほんのわずかな冷静な部分のつぶやき)。
まあ、そうした熱血感動話の間に挿入されるエピソードは、相変わらず作者の憎悪に満ち溢れていて、この人、本質的に人間が嫌いなんじゃ…と戦いたが、考えてみればデビュー作からして世界に対する憎悪をぶちまける話だったわけで、今更の話ではありましたな。これは、早く『バニラ』も読まないといけないな、と決意を新たにするのだが、実は積んでいるので読むのはいつのことになるのかわかりません。
閑話休題。
本当にこの作品を読んでいると、脳内の何かが変質しているらしくて、”半額弁当に命を賭ける”ぐらい男として、否、人間として当たり前だよな、とかナチュラルに思考しているところが恐ろしい。突然、バイクレーシングバトルが始まったりして、ウィザード(二つ名)が大ピンチに陥ったり、帝王(同じく二つ名)が秘密兵器である”買い物カート”を持ち出した時には、本気で「こ、これは無敵じゃないのか(ごくり)(つばを飲み込む音)」「やべえよ勝てっこねえよ!」と本気であせったりしてしまう。いや、冷静に考えればただのカートなんだけどな。読んでいる時は、マジで強大な敵の力にびびってしまうのだった。
なんか作品世界に飲み込まれているような気がするな…。なんだかよくわからんがすげーぜ。
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コメント
このシリーズを読むと、本当に半額弁当を手にすることが勇敢な行為なのだと認識しつつある自分に気づき「はっ!?」とすることがあります。メインの展開は熱く、まさにジャンプな集英社。主人公(とその父)がちょっと“アレ”ですが。
『バニラ』は、2人の少女が手を取り合い精神的にも依存しあいながら、男たちをライフルで狙撃してゆく──というなんとも表現しがたいけれど、妙に印象に残る(愛とloveと憂な)作品でした。作者は世の中(の男?)に対して嫌悪感でも持っているのでしょうかね。
それでは1年近く前の記事への反応失礼しました。
投稿: isaki. | 2009.07.29 23:40
あれ?半額弁当を征することは人生を征することを同様だったような気がしますが…(今まさに4巻を読んでいるので順調に洗脳されている)。
ギャグが色々洒落にならんのは作者の好みなのかもしれませんね。
投稿: 吉兆 | 2009.07.29 23:57