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2008.05.31

『とらドラ7!』読了

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とらドラ7!』(竹宮ゆゆこ/電撃文庫)読了。

まあ、読んだのは大分前のことになるわけですけれども。この反応の遅さは何とかしなくてはならないな…と反省。感想を書くべき本がたまりすぎて困った。あと、「みーくんまーちゃん」の感想は三回ぐらい書きなおしたりして忙しいのに何やってんだ俺、と言う感じだった。本当に何やっているんだ。

それはさておき。

結局、一番頭が良くて気の回る女の子が一番損をするという話だった、と言うと視点を亜美に同化させすぎだと思うのだけど、どうも彼女に同情してしまうんだよなー。みんながみんな自分のことで手一杯な中、彼女だけが自分以外の人間のために動いている…。そんな人間が報われないってのがたまらない。結局、彼女は実乃梨や大河とは同じ土俵には上がれなかったんだよなー。まあ、彼女の素直ではない、仮面を繕うことがあまりにも巧み過ぎたということでもあるわけだが。あとプライドの高さもね。ある意味、今回でぶちきれて、次の巻あたりでプライドをかなぐり捨てそうな気もするけど。

まあ僕の亜美好きはともかくとして(・・・そうだったのか!?)、4巻あたりからすでに水面下では動き始めていた人間関係がついに表面化。一読者としては、こういう展開を予想はしていたものの、予想以上に話が動いた印象でした。特に実乃梨の拒絶感、というか恐怖心というのは予想以上。そこまで大河のことが大事だったのか・・・と言う話ではないですね。むしろ、幸せな現在(大河と竜児と自分の関係を含めたすべて)を失うことへの恐怖なのでしょう。だから、大河が実乃梨の後押しをしても、実乃梨が竜児に対して好意を持っていたとしても、竜児が実乃梨の事をどんなに好きでも、その恐怖は消えることは無いんですね。彼女にとって、もっとも幸せなことは”自分の好きな人も、自分も幸せである”ということなんですから。

大河はそこが分かっていない。実乃梨のため、と思いつつ、自分自身の想いに縛られて相手のことが見えなくなってしまっている。彼女にとって、竜児は、自分がどうにもならなくなっていた時に手を差し伸べてくれた、かけがえの無い存在であるにもかかわらず、だからこそ竜児の手をとるわけにはいかない。なぜなら、”実乃梨のことが好きな竜児を好きになる”と言うことは、実乃梨に対するものだけではなく”竜児に対する”裏切りでもあるわけですから。竜児が、実乃梨の事を好きなことを知りつつそれを裏切ることなど竜児がかけがえのない存在であるからこそ、出来るわけが無い。

どうしようもない袋小路ですよね。だから実乃梨や大河を責めるのも、やはり筋が違うということでしょう。というか、誰が悪いわけでもない。敢えて言うとしたら…悪いわけではないけど、罪深いのは竜児なんだろうなあ。実乃梨のことが好きなくせに、大河に手を伸ばし、亜美の心を開かせた、彼があまりにも罪深い。

きっと、彼は”すべてを救いたい”と思ってしまったのだろう。目の前で痛みを抱えている相手を見過ごすことが出来ない。極度のお節介焼き。お人好し。正義の味方のジレンマってやつを地で行っている。誰かを助けたい、とそう思うことこそが罪とは、なんとも救われない話である。

世の中ってやつはままならない。誰が悪いわけでもないのに、全員が傷つく。そんなどうしようもなさを淡々と描いていく竹宮ゆゆこの筆致はそら恐ろしく感じられてしまうのだった。

ここからは、動くことが許されているのは竜児だけなので、おそらく次の巻以降は、彼がどのような決断を下すのかと言うことが焦点になろう。そうだとしても誰かが必ず傷つくわけだが。そして亜美は竜児の背中を押す形で退場しそうで、非常に恐ろしい。彼女が報われるビジョンがどうにも思い浮かばないなあ・・・。

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