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2008.05.08

『銃姫(9) It is Not to be "Now"』読了

Ae22d0b28fa07492b50f8110_l銃姫(9) It is Not to be ”Now』(高殿円/MF文庫J)読了。

ああああああ…、ついに、ついにチャンドラースが…。英雄の中の英雄にして、世界の運命を知る人物が…そのあまりにも誇り高き一生を終えた…。

精強な将軍にして、無類の策略家。それでいてのんきなお人好し。しかして真の勇気を知るもの、チャンドラース。そんな彼も、銃と魔法で武装した最新式の軍隊の前に追い込まれていく。魔法に固執していく世界に対して危惧し、警鐘を鳴らし続けていたチャンドラースすら飲み込んでいく時代のながれの無残さがこれでもかと描かれている。

しかし、この巻の白眉は、まさに敗北していくチャンドラースの姿そのものだ。傷を負い、敗北し、それでもなお数多くの命を守るために、圧倒的なスファルト軍に立ち向かい、そして、その最後の一瞬まで己の持てる力のすべてを出しつくして、その結果をすべて飲み込んでいくその姿は、あまりには美しい。

そこに、自己満足の匂いは欠片も無い。ただ私心無く、ただ平凡な平和のみを願い、戦いの中に死んでいく。自らの為した事を、受け継いでくれる事を信じて。かつての友と、愛する女性と、現在の敵を前にして、死に行く彼が、清々しいまでの笑顔を残し、逝くシーンは、久方ぶりの背筋が震える思いだった。

次の巻でいよいよ最終巻。チャンドラースが残した希望を、セドリックたちは受け継ぎ、次代に伝えていくことが出来るのか。まさにテーマとキャラが完全に噛み合った展開に、ただ胸が躍る。

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