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2008.05.31

『とらドラ7!』読了

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とらドラ7!』(竹宮ゆゆこ/電撃文庫)読了。

まあ、読んだのは大分前のことになるわけですけれども。この反応の遅さは何とかしなくてはならないな…と反省。感想を書くべき本がたまりすぎて困った。あと、「みーくんまーちゃん」の感想は三回ぐらい書きなおしたりして忙しいのに何やってんだ俺、と言う感じだった。本当に何やっているんだ。

それはさておき。

結局、一番頭が良くて気の回る女の子が一番損をするという話だった、と言うと視点を亜美に同化させすぎだと思うのだけど、どうも彼女に同情してしまうんだよなー。みんながみんな自分のことで手一杯な中、彼女だけが自分以外の人間のために動いている…。そんな人間が報われないってのがたまらない。結局、彼女は実乃梨や大河とは同じ土俵には上がれなかったんだよなー。まあ、彼女の素直ではない、仮面を繕うことがあまりにも巧み過ぎたということでもあるわけだが。あとプライドの高さもね。ある意味、今回でぶちきれて、次の巻あたりでプライドをかなぐり捨てそうな気もするけど。

まあ僕の亜美好きはともかくとして(・・・そうだったのか!?)、4巻あたりからすでに水面下では動き始めていた人間関係がついに表面化。一読者としては、こういう展開を予想はしていたものの、予想以上に話が動いた印象でした。特に実乃梨の拒絶感、というか恐怖心というのは予想以上。そこまで大河のことが大事だったのか・・・と言う話ではないですね。むしろ、幸せな現在(大河と竜児と自分の関係を含めたすべて)を失うことへの恐怖なのでしょう。だから、大河が実乃梨の後押しをしても、実乃梨が竜児に対して好意を持っていたとしても、竜児が実乃梨の事をどんなに好きでも、その恐怖は消えることは無いんですね。彼女にとって、もっとも幸せなことは”自分の好きな人も、自分も幸せである”ということなんですから。

大河はそこが分かっていない。実乃梨のため、と思いつつ、自分自身の想いに縛られて相手のことが見えなくなってしまっている。彼女にとって、竜児は、自分がどうにもならなくなっていた時に手を差し伸べてくれた、かけがえの無い存在であるにもかかわらず、だからこそ竜児の手をとるわけにはいかない。なぜなら、”実乃梨のことが好きな竜児を好きになる”と言うことは、実乃梨に対するものだけではなく”竜児に対する”裏切りでもあるわけですから。竜児が、実乃梨の事を好きなことを知りつつそれを裏切ることなど竜児がかけがえのない存在であるからこそ、出来るわけが無い。

どうしようもない袋小路ですよね。だから実乃梨や大河を責めるのも、やはり筋が違うということでしょう。というか、誰が悪いわけでもない。敢えて言うとしたら…悪いわけではないけど、罪深いのは竜児なんだろうなあ。実乃梨のことが好きなくせに、大河に手を伸ばし、亜美の心を開かせた、彼があまりにも罪深い。

きっと、彼は”すべてを救いたい”と思ってしまったのだろう。目の前で痛みを抱えている相手を見過ごすことが出来ない。極度のお節介焼き。お人好し。正義の味方のジレンマってやつを地で行っている。誰かを助けたい、とそう思うことこそが罪とは、なんとも救われない話である。

世の中ってやつはままならない。誰が悪いわけでもないのに、全員が傷つく。そんなどうしようもなさを淡々と描いていく竹宮ゆゆこの筆致はそら恐ろしく感じられてしまうのだった。

ここからは、動くことが許されているのは竜児だけなので、おそらく次の巻以降は、彼がどのような決断を下すのかと言うことが焦点になろう。そうだとしても誰かが必ず傷つくわけだが。そして亜美は竜児の背中を押す形で退場しそうで、非常に恐ろしい。彼女が報われるビジョンがどうにも思い浮かばないなあ・・・。

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『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん(4)(5)』読了

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 『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん(4) 絆の支柱は欲望』『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん(5) 欲望の主柱は絆』(入間人間/電撃文庫)読了。

とりあえず湯女さまかわいいよ湯女さま。

これだけで感想を終わっても良いんだけど、いくらなんでもあんまりなので本編について少しだけ。ラストの脱出トリックは、ちょっとNGだと思う。なぜなら男女の体格差を考慮していないから。ネタバレになってしまうので多くは言及できないけど、いくら絶食したところで、男性と女性とでは体脂肪率やらなにやらあらゆる条件が異なっているし、男性の中でも身長体重が異なっているし。まあだからこそ、”みーくん”が最後に脱出したとも言えるわけだが、でも湯女がそんなこと気にするとも思えんしなあ。あと、お前ら元気過ぎ。何日飯食わないで活動できるんだ。常人なら一週間を水だけで過ごすだけで、気力体力は限度に達するぜ…。水無しで一ヶ月間ぐらいなら生存出来るらしいけど、そんな理論だけだと思うんだがなあ。

なんか貶してしまったので、本編以外でもう少し。”みーくん”の口癖である「嘘だけど」と言う言葉。本編でも相変わらず縦横無尽に駆使されており、読み手の精神に引っかかることおびただしいのだが(個人的には「戯言だけど」よりも否定の意味が強すぎるので、文の最後に付け加えられると全文の意味がなさなくなってしまうので、読みにくいことおびただしい。戯言は韜晦だけど、嘘は虚言だもんなあ)、とにかく、この「嘘だけど」と言う言葉は、”みーくん”の現実否認の意思から生まれているものなのかな、と思った。

現実否認、と言うとちょっと強すぎる表現だけど、ようするにあらゆる価値観、善も悪も、幸福も絶望も、愛も憎しみも、すべてが相対的なものでしかないと言う諦念と、それを拒否しようと言う意思の表れなのではないかと思うのです。

それは、物事に対する絶対的な価値観を得られないということ。無論、物事には絶対の真実など無く、あるのはただ解釈だけであるというのは一つの考え方であるんですが、それでは何も生まれない。そこに自らの価値観への信仰といいますか、”自分の解釈で世界を理解しよう”と言う意思が必要になってくるわけです。現実をどのように生きていくかの指針、悪い言い方をすれば決め付けですね。でも、そうやって人間は現実を認識し、解釈し、生きていくしかない。

ところが”みーくん”は一度、現実を解釈するための指針を破壊されてしまっている。世の中の何が正しくて、何が間違っているのか、判断することが出来なくなってしまっているんですね。”何をすることが正しいことなのか?””なにが人間にとっての幸福なのか?”そういった、誰しもが持っている疑問、しかし、自分に思い込ませていることが、理解出来なくなっている。

それは生きていく上で、自分自身の行為への信頼性がまったく無いということでもあり、自分の判断、さらに言えば自分の感じる現実そのものへの深い懐疑に包まれてしまうことを意味します。自分を取り巻く現実そのものへの懐疑、まさに地獄としか言いようが無い。

それに対する防壁として機能するのが「嘘だけど」と言う言葉なのでしょうね。「嘘だけど」という言葉によって、彼の行為はすべて無化される。それは何か行動を起こしながらも、その行為に対する深い懐疑に包まれることへの矛盾を解消するために、行動したけど行為しなかった、という自分自身への欺瞞につながるという不毛なものですが、そうして自分自身を騙さなくては一歩も進む事が出来ない。まあ厳密に言えば、彼は自分自身の行為をすべて否定しているので、本当の意味では前に進んでいるわけではなく、ただ同じ場所をグルグル廻っているにすぎないわけですが、だからと言って立ち尽くしているわけにも行かない、と言うギリギリの選択である、と言うことも出来ます。

まあ、それすらも甘えであると言われればその通りだと思うんです。結局、自分の価値観、判断と言うのは自分で作っていくしかなく、その責任を取るのも自分しかいない。”みーくん”はそれから逃避していることは間違いないと思います。

それでもなお、自分自身では一歩も前に進むことが出来ないながらも、前に進みたいという希望、願い、あるいは意思と言っても良いものを持ち続けている”みーくん”は、非難されるべきではない、と僕は思います。

ちょっと話は違いますけど、今回出てきた”みーくん”と同じタイプの人間といわれる湯女さんは、”みーくん”と同様、価値観と言う物差しがぶっ壊れてしまった人間と言う点では同じですが、”みーくん”と決定的に異なるのは、彼女はその壊れた物差しで現実を生きていくことに躊躇いが無いということでしょうね。”みーくん”はその物差しが壊れていることを知っていて、それでも平穏に、つまり普通の物差しと併せて生きようとしているけど、湯女はそういう気持ちとは無縁であろう、と。まあ、今後、湯女の内面が明かされるようなことがあれば変わってくるかもしれないですけど。それはさておき。

まあなんだかんだ言ってみたけど、”みーくん”の「嘘だけど」と言う言葉は、読み手としてはイライラさせられることおびただしいけれども、決して無意味なものではない、と言うことを自分なりに納得できるようにしてみました。3巻の感想で、ちょっと誤解されてしまったところがあったので。

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2008.05.28

メモ

・アフタヌーンの新連載を見て思ったこと。

・木尾士目先生…素直に作画は小梅けいと先生に任せた方が良いんじゃないかと思うんですが…。

・一迅社文庫を順調に消化中。現在は『黒水村』を読んでいる。

・読み始めてすぐにこれはB級ホラーと言うことに気がついたので、脳のチャンネルをホラーモードに切り替える。読み方を間違えると、どんな傑作でも面白さが分からなくなるので注意が必要。

・ちなみにホラーモードの基本は、1.物事をファジーに捉える。2.登場人物に感情移入しない。3.視点はなるべく細部に向ける。

・ホラーに合理性を求めるとイライラするし、登場人物は大抵頭が悪いので感情移入するとイライラするし、物語の全体像なんて分からないので、なるべく細部を観ていた方がイライラしない。

・まあ、個人的な話。

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2008.05.27

『世界平和は一家団欒のあとに(4)ディア・マイ・リトルリトル・シスター』読了

世界平和は一家団欒のあとに(4)ディア・マイ・リトルリトル・シスター』(橋本和也/電撃文庫)読了。

彩美に始まり彩美に終る極度に特化された姉萌え小説でござる。今まで出番が少なかったせいで今ひとつ分からなかった彩美がどんだけハイスペックな姉キャラであるのかを存分に発揮していてびっくりする。クールで、不器用で、過保護で、弟のことは大切だけどどう接したら良いのかわからない(ツンデレか?)なんて、姉属性をどこまで詰め込めば気が済むのか…。ところが、そんなクールで不器用な彩美姉が、過去にあったエピソードによってどんどん新たな魅力を発揮していくのは見事と言う他ない。姉と弟の間に通う絆をきちんと描きつつ、物語としてもミステリ形式でエンタメしているとくるので、地味に死角がないなー。良く出来ているなあ、本当に…。

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2008.05.26

大絶賛風邪引き中

・今回の風邪は長引くなあ。全然直らない。

・しかし、ふらふらになりながらも本屋には寄る俺。体調が悪いせいか、いつにも増してリミットがかかってないような気が…。

・『戦国ゾンビ』いや…『7人の達人武者VS十万のゾンビ!』とか書かれてたら買うだろ、常識的に考えて…。

・しかし、俺はいつの間にこんなにゾンビ大好きっ子になってしまったのか。・

・あと、世間的に話題になっているものをいくつか。積読が止まらない。

・『カーマロカ』は表紙がエロかったから…ではなく。まったく無いわけでもないが(どうでもいい)。

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買ったもの

1.『新装版ローゼンメイデン(2)』 PEACH-PIT 集英社
2.『戦国ゾンビ~百鬼の乱~(1)』 横山仁 幻冬舎
3.『怪物王女(7)』 光永康則 講談社
4.『創世の契約4 巡礼者』 花田一三六 C・ノベルス
5.『SH@PPLE(1)』 竹岡葉月 富士見ファンタジア文庫
6.『僕がなめたいのは、君っ!』 桜こう ガガガ文庫
7.『カーマロカ-将門異聞』 三雲岳斗 FUTABAノベルス
8.『バガボンド(28)』 井上雄彦 集英社
9.『GANTZ(23)』 奥浩哉 集英社

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2008.05.25

『地を駆ける虹(3)』読了

51wuo6qpqel__ss500_地を駆ける虹(3)』(七位連一/MF文庫J)読了。

さて、個人的に作品としての良し悪しの分岐点にしている三巻目になったわけだが…これはやっぱり駄目なんじゃないか?

好きな人には大変申し訳ないのだが、3巻まで物語を追っていったところ、やはり作者と僕の間には、倫理観と言うものをめぐって広くて深い溝があるようで、どうしても受け入れることが出来なかった。これは1巻の時点である程度予想がついていたことで、その倫理観のズレが、主人公の成長とともに埋まっていくことを期待していたのだが…むしろ、ズレをはっきりと理解することになってしまった。

つーか、あんなに苦労して騎士団に入団したってのに、都合が悪くなったからやめたいんですけど、と言い出す主人公は何事!?とこっちが驚いてしまう。お前は入社一ヶ月で退社する新入社員か?一度でも騎士団の仕事に就いたのならば、それ相応の役割をネイトだって担っているはずで(能力がわりとレアならばなおさらだ)、そんな簡単にやめられるもんなのか?まあ入ったばかりだから仕事はそんなに無かったのかもしれないけど、それにしてもフレア隊長に鍛えてもらっていた修行期間はなんだったわけ?忙しい隊長業務の合間をぬって鍛えてもらっていたってのに、恩返しもしないで出て行くってお前そりゃどんだけ俺様なの。無責任すぎませんか?

まあ、ネイトが自己中心的であることは今に始まったことじゃないんでかまわないんだけど(物語人格に難癖つけるのは無意味だしな)、そのネイトの選択を、物語中で誰ひとりアンチテーゼを唱えないというのが、ちょっと気にかかる。ようするに、キャラクターが(ネイトだけではなく、あらゆるキャラクターを通じて)一つだけの価値観(おそらくは作者の価値観)に支配されているように感じるのです。

その価値観に、僕はやや反発を覚えるところがあって、素直に飲み込むことが出来ない。少なくとも、ネイトも、そのネイトを寛大に(寛大過ぎて)受け入れる他の”大人”たちの考え方にも共感できず(少なくとも僕なら、ネイトに対してこんなに寛大にはなれそうも在りません。ちょっと腹が立ちますよ)、面白さを読み取ることが出来ないのでした。残念。

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大絶賛体調不良中

本日はお日柄も良く、体調は順調の悪化の一途を辿っている。完璧に風邪を引いてしまった…。

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2008.05.22

『七姫物語 第五章 東和の模様』読了

Ac4d46020ea0628c73259110_l七姫物語 第五章 東和の模様』(高野和/電撃文庫)読了。

戦乱の世の大河ドラマを、一人の少女の視点から見るという基本ラインをそのままに、それ以外の人々のドラマを描く、群像劇としての側面がますます強くなってきた。お互いに異なる正義、思想を持ち、確固たる理念に基づいて行動するものもいれば、流されるままに生きるものもいるけど、それぞれが精一杯に生きようとしているところが伝わってくる。七都市以外からの戦乱分子が介入を始めて、東和の未来はきな臭さを増す一方なんだけど、そんな中、主人公の少女は、自分に出来ることを、自然体にやろうとしているところが爽やかである。そんな彼女が、厳しい戦乱の中で、何を思い、どんな行動をとっていくのか、非常に楽しみである。おそらく、物語的には、主人公は、己の保護者であり共犯者でもある二人から、自立と言うか、己の意思と言うものを確立させていくことになるかと思うのだけど、逆にそういった方向に行かず、まさしく飄々として物語るやもしれず、とにかく予測しがたいところもあり、一筋縄ではいかない。とても良いものですなあ。

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メモ

・ううむ…うっかり一迅社文庫を全部買ってしまった…。

・『紅 公式ファンブック』正直、これは無い。さすがに無理。ありえない。買ったけど。

・こんな仕事が二度と通じると思うなスーパーダッシュ編集部!あなた方は、今!己の信用を切り売りしている事を自覚しているのか!?

・まあ、買ってしまった人間が何を言っても説得力は無いが。

・『おもいでエマノン』のコミカライズ。超おもれえ。

・実を言うと、梶尾真治のセンチメンタリズムは、どうも僕には良く分からないのだけど、鶴田謙二版はしっくり来る。なんでだろう?

・『され竜』のガガガ文庫版を読んでいる。想像以上に文章が変わっている。表現が追加されている。新しい場面が挿入されている。これはほとんど別物だなー。

・とりわけ、以前は強烈にあった”ジャンク”な印象、つまり壊れた文体、壊れた表現が、すっきりと端整な文章になっていることが大きい。角川スニーカー版がライトノベルだとすれば、こっちはハードボイルドと言ってもいいぐらいに違う。

・『され竜』角川スニーカー版を三回も読み直したこの吉兆様が言うのだから間違いありません。たぶん。

・つうか…俺って不毛だな…。

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買ったもの

1.『ブラスレイター・ジェネティック(1)』 脚本:キムラノボル 漫画:廣瀬周 秋田書店
2.『おもいでエマノン』 原作:梶尾真治 漫画:鶴田謙二 徳間書店
3.『カンピオーネ!神はまつろわず』 丈月城 スーパーダッシュ文庫
4.『紅 公式ファンブック』 片山憲太郎 スーパーダッシュ文庫
5.『死神のキョウ』 魁 一迅社文庫
6.『ふたかた』 わかつきひかる 一迅社文庫
7.『Story Seller 面白いお話、売ります』 伊坂幸太郎他 新潮社

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2008.05.21

来るな…これは間違いなく。

藤田和日郎の『月光条例』の話。

月の光に惑わされ発狂してしまった御伽噺の住人たちが、現実世界にやってくる?
”理不尽なこと”に対して”正しく怒る”主人公が、そいつらをぶん殴る?

これは…間違いなくあれが来ますよ。
そう、藤田先生は、うしおととら第一巻にて、とある本を読んでこういいました。

「なんでかわいそうな女の子がかわいそうなことになっちまうんだよ!」

それがうしおととらを描く動機になったとか。
その本こそ…『マッチ売りの少女』。

『マッチ売りの少女』が月打(ムーストライク)することで、一体なにが起こるんだろうなあ。

というのは、本題ではない。

とにかく今週の月光条例すげー!!

鬼の金棒2撃で人類滅亡!?あまりにも嘘くさい上にスケール極大なハッタリに僕はもうメロメロです。

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『<本の姫>は謳う(2)』読了

4141lg2dxfl__ss500_<本の姫>は謳う(2)』(多崎礼/中央公論新社)読了。

過去編のアザゼルパートと、現在編のアンガスパートのリンクが少しずつ明確なものとなり、今まで見えなかった新しいパラダイムの転換が起こりつつある。この、今まで見えていたものと言うのは、実はとある現実の一側面であるに過ぎず、新しい情報を元に全体を俯瞰してみれば、また別の側面が見えてくるのが素晴らしい。デビュー作で見せた精妙と言ってよい物語の見せ方は、やはり健在であった、と言うか、そもそもこの作者の個性なのだろう。一見無関係であるように見える破片が、実は意外なつながりを持っており、すべてが組み合わせてみれば、精緻な工芸品であることが分かるというような。今はまだ、破片を組み合わせていく途中であって、それゆえの興奮とも言うべきものがあって、目が離せない。

パラダイムの転換を読者に引き起こすと言う点にかけては本当にこの作者は恐るべきところで、卑俗な例で申し訳ないのだが、セラのキャラクターが判明したときの衝撃は、我ながら驚くべきものがあった。記号的表現は好きではないといいつつ、けっこう染まっていたようで、”失語症の少女”であったセラが、失語症から回復し、ある行動に出るときに、まったく記号とは異なるキャラクターが表出しており、一瞬、何が起こったのか認識できず混乱してしまった。思わず、そのページを何度も読み返してしまうほどだった。

結局、自分自身、失語症という記号に惑わされて(と言うか、先入観に支配されていて)、その本来のキャラクターを自然に決め付けていたわけだ。そこでまったく異なるパラダイムをぶつけられて、自分が見ていたセラは、単なる一部に過ぎなかったのだ、と言うことを、主人公のアンガスと共に驚かされたのだろう。

おそらく、そこにこの作者の本質が現れているのではないかと思うのだが、さて。

ともあれ、続きを非常に期待しております。

時間はかかっても全然かまいませんぜ。

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2008.05.20

メモ

・一迅社文庫が創刊であった。

・当然の如く目に付いたものを買いあさる。当然だろ?

・ところが、妙に在庫が少ないのか、『死神のキョウ』が見つからぬ。売れているのか…。

・『され竜』のガガガ文庫版を購入する。改訂版、らしい。冒頭を読んでみると。たしかに異常に読み易くなっている、ような気がする。少なくとも、かなりのレベルで文章に手を入れているみたいだ。

・突然『ガンパレ』が読みたくなったので買った。いつの間にか九州奪還まで来てた…。このままいくと、”史実”と統合していくのかな?

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買ったもの

1.『ガンパレード・マーチ 山口防衛線(2)~(4)』 榊涼介 電撃文庫
2.『ガンパレード・マーチ 九州奪還(1)』 榊涼介 電撃文庫
3.『CLOTHROAD(6)』 脚本:倉田英之 漫画:okama 集英社
4.『ゼロの使い魔(14)<水都市の聖女>』 ヤマグチノボル MF文庫J
5.『死図眼のイタカ』 杉井光 一迅社文庫
6.『ANGEL+DIVE 1.STARFAKE』 十文字青 一迅社文庫
7.『黒水村』 黒史郎 一迅社文庫
8.『ある夏のお見合いと、あるいは空を泳ぐアネモイと。』 朱門優 一迅社文庫
9.『零と羊飼い』 西川真音 一迅社文庫
10.『されど罪人は竜と踊る(1) Dances with the Dragons』 浅井ラボ ガガガ文庫

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風邪引いた

一昨日から昨日にかけて風邪引いた。熱が出るほどに悪化したのは久しぶりだ。なにか悪いものでも食ったのか。

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2008.05.17

メモ

時間が無いのでメモ書き。

・『L 詐欺師フラットランドのおそらく華麗なる伝説』はタイトルとイラストと冒頭を読んだ時点であまり面白くなさそうだなと思いスルーしていたところ、作者が『太陽戦士サンササン』の人だということに気がついたので手のひらを返して買った。たしかなセンスを感じる、が、細部の描写が粗い点がどうなったかが、けっこう気になる。

・『パニックの手』って買ってたっけ?思い出せないので結局買ってしまった。後で調べてみよう…。

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買ったもの

1.『パニックの手』 ジョナサン・キャロル 創元推理文庫
2.『L 詐欺師フラットランドのおそらく華麗なる伝説』 坂照鉄平 富士見ファンタジア文庫
3.『護樹騎士団物語Ⅷ 灼熱の真紅の翼』 水月郁見 トクマノベルスエッジ
4.『金剛番長(2)』 鈴木央 小学館
5.『お茶をにごす。(4)』 西森博之 小学館
6.『史上最強の弟子ケンイチ(29)』 松江名俊 小学館
7.『HRほーむるーむ(2)』 長月みそか 芳文社

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2008.05.16

『福音の少年 時の神に抗いて』読了

福音の少年 時の神に抗いて』(加地尚武/デュアル文庫)読了。

純粋な新作としてはデュアル文庫版としては初めてか。めでたいことです。

物語は、魔法使いと憑かれた者の最終戦争(ハルマゲドン)へなだれ込んでいく、と言うわけで微妙にデビルマンを思わせる展開になってきた。世界崩壊への序曲から終局に向けての盛り上がり、と言う感じでわりと楽しい。主人公が珍しく主人公然として戦っている感じだしね。一方、ヒロインとしてはアナがちっとも動かないので、最終巻に向けて、ラブコメ方面の展開は絶望的かもしれないなあ。まあ、今回の戦いを終えて、結果世界はどうなるのかが最終巻のカギか。さてさて、どうなることやら。

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2008.05.15

『たま◇なま ほしいものは何ですか?』読了

51gm265scwl__ss500_たま◇なま ほしいものは何ですか?』(冬樹忍/HJ文庫)読了。

すっかりただの萌え小説になってしまいました。けど何の問題もありませんね。というわけで、今回は無口クール系な青い人がツンデレってまいりました。ツンデレちゃう?クーデレ?どっちでもいいよそんなこと。

ラブコメとしては、相変わらずの会話の妙というか、芸が炸裂していて楽しい。ラブコメというよりはコメディの領域のような気もするけど。

しかし、ストーリー的には完璧に煮詰まってきているような気がする。主人公の物語としては、1巻で終わってしまっているからなあ。これからは由宇の物語に移行していくのかな?と思いきやなかなか動かないし…。物語の新たな展開はまだ起きないのか。

一応、陰謀めいたものはあるけれども、全然その陰謀に絡んでいけてないぞ、主人公。成長をしたはずなのに…。まあ基本的に不精な性格は変わらないからしょうがないか…。

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2008.05.14

『サーベイランスマニュアル』読了

51cl32btfal__ss400_サーベイランスマニュアル』(関涼子/GA文庫)読了。

これね、とても良いです。良いものです。とりわけワイルドで粗野で不器用な大男と、賢く寛容な幼女の組み合わせが好きな人には特にオススメ。つまり僕だ。この関係性萌えはわりと女性に多いようだけれどもそんなこと関係なく僕は面白い。意義は認めない。

ま、それはそれとして(重要だけれどもとりあえず脇において)。

かわいそう、って言葉。この言葉が、すごく多様性のある使い方をされていて、僕の感覚にぴりぴりと引っかかる。

かわいそう。可哀想。可愛そう。

やさしく、慈愛に満ちていながら、どこか上から見下ろすような視点。弱いもの、愚かなもの、愛おしいものに向けられる言葉。

人は愚かで、間違いをたくさん犯すけれども、その愚かさそのものが愛おしい。人は傲慢で、他の人を傷つけてしまうけれども、償おうと足掻く姿が愛おしい。

そんな、どこか狂った慈愛に支配されているのが、この作品なのだと思う。

こんなひどい言葉を、作中でもっとも幼い容姿の少女に言わせるんだから、まったく見事に病んでいる作品だよなあ。

いや、むしろこれ以上に正しいことは無いのか?と言う気もするが。

過ちを犯すことが罪なのではない、過ちを正さないことが罪なのだ、とか。過ちを犯すことも許されない世界なんて、なんて生き難いんだ、みたいな。それを許してくれる存在として白装束の少女がいる、とか書いちゃうと風情が無さ過ぎるってものか。

”それ”は、我々(とか言っちゃうぜ?)を、無条件に許し、時に厳しく罰し、見守ってくれる存在なのだよね。

母性?それとも神?

まあ、そんなようなものだ、たぶん。

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2008.05.13

マジ限界

タイトルどおり。もう精神的にはあと10分ほどで寝オチするレベルで、タイプする手もおぼつかない。そろそろ手どころが目が開かなくなってきた。いい加減に厳しくなったので寝る。疲れた。もう本当に疲れた。がく。

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買ったもの(書き忘れ)

1.『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 絆の支柱は欲望』 入間人間 電撃文庫

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『烙印の紋章 たそがれの星に竜は吠える』読了

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烙印の紋章 たそがれの星に竜は吠える』(杉原智則/電撃文庫)読了。

・『熱砂のレクイエム』が好きだった自分としては、杉原智則がSF大河ロマンを書くという情報だけで購入してしまいました。残念ながら『熱砂のレクイエム』は全二巻で打ち切りの憂き目にあってしまったわけですが、最近の電撃文庫の方向性として、群像劇的なニュアンスを取り入れた作品も売れると味を占めたようで、その意味ではようやく杉原智則の時代がやってきたといえるでしょう。以上、独断と偏見に満ちた電撃文庫編集方針妄想終わり。

・この作家は、本質的には、キャラクター主導(ここでは、キャラを立てるのが上手いかどうか、という意味合い)の作家ではないように僕は思っていて、というか、キャラクターの作り方は平凡とさえ言える。

・それを、この作者は、エピソードの”積み上げ”の丁寧さで補っていると感じる。どういうことかと言うと説明し始めると面倒なので省略するが(気力が続かん)、要するに、キャラクターが背負っている背景の描写が丁寧なので。ビリーナ姫なんて、今回はほとんど活躍しなかったけれど、9才で人質犯と渡り合うというエピソード(まあ、このエピソードの見せ方も、もうちょっとなにかあるだろうと思うんだけど)があるだけで、それほどに果敢な人物であるのかが良く分かる。また、主人公のオルバもまた、己の中にある強烈な負の感情の源泉のエピソードがきちんと描かれているため、その後の周囲すべてを巻き込んで破滅的な野望に突き進む姿に素直に感情移入できる。

・ただ、エピソードそのものの作り方がそれほど上手いわけではないところがちょっと惜しいなと思う(例えば、一介の剣闘士奴隷である主人公が帝国の王子として振舞わなければならなくなったときに、さして苦労もせずに順応し、しかも、大人顔負けの策略を用いていく展開は、事前に読書家であり、また不良グループのリーダーであったというエピソードを積み上げてはいるものの、描写そのものが不足しているために、主人公がどこまで出来るのかがよくわからず、いささか唐突な印象をうけてしまった)。

・ただ、それを差し引いても、わくわくさせられる物語であるし、主人公の黒い欲望が、帝国をどのような方向に導いていくのか、非常にスリリングに思うのだった。

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近況

相変わらず気力と体力が低空飛行。更新頻度も、しばらくはとびとびになりそう。まあ、生活の方が大事だしな。

実家に帰ったときに本棚の整理をしていたところ、高瀬彼方の『ディバイデッド・フロントⅠ』が出てきた。これ、発売当初、どうも面白さよくわからなかいと言うか、引っかかるところがあったので、ほったらかしにしていたんだよな。

ところが、何の気なしに読んでみたところ、むちゃくちゃ面白かったのでひっくり返ってしまった。昔の自分は、やはり本の良し悪しも分からない節穴だった、とういう傍証がまた一つ生まれてしまったようだ。おそらく、こうした傍証は、途切れることなく、また今の本を10年後ぐらいに読み直したときに、別の感想を覚えるのだろう。

読書と言うのは、本当に不思議なものだと、しみじみと思うのはこういうときだ。同じ本を読んでも、本当に読んだ自分が同じ人間だったのか疑わしくなるぐらいに感想が異なることがある。誰か他の人がの感想を読むと、本当に感想を書いている人と読んでいる本が同じ本なのか、疑わしくなってしまうときがある。

思うに、読書と言う行為は、読み手の人格、経験等、つまり、その人の人間そのものと密接に関わっており、本を読むことで、人間的側面が浮き彫りなってくるということなのだろう。5年前の自分は、今の自分とは、やはり別人なのだ。考え方も立場も違う。本を読み直すことで、そのことがはっきりと理解することが出来ると思うのだった。

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2008.05.12

買ったもの

1.『狼と香辛料Ⅷ』 支倉凍砂 電撃文庫
2.『龍盤七朝 DORAGONBUSTER 01』 秋山瑞人 電撃文庫
3.『メグとセロンⅡ』 時雨沢恵一 電撃文庫
4.『烙印の紋章 黄昏の星に竜は吠える』 杉原智則 電撃文庫
5.『ダブルブリットⅩ』 中村恵里加 電撃文庫
6.『黙示の島』 佐藤大輔 角川書店
7.『山魔の如き嗤うもの』 三津田信三 原書房
8.『ディバイデッド・フロントⅡ 僕らが戦う、その理由』 高瀬彼方 角川スニーカー文庫
9.『ディバイデッド・フロントⅢ この空と大地に誓う』 高瀬彼方 角川スニーカー文庫
10.『傷物語』 西尾維新 講談社BOX
11.『東京空想百景』 ゆずはらとしゆき 講談社BOX
12.『さらい屋五葉 第4集』 オノナツメ 小学館

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2008.05.09

『暁と黄昏の狭間』を読んだ

51nn86gjzcl__ss500_暁と黄昏の狭間Ⅰ 竜魚の書』『暁と黄昏の狭間Ⅱ 薬王樹の書』『暁と黄昏の狭間Ⅲ 角獣の書』(西魚リツコ/トクマ・ノベルズEdge)を読む。

ファンタジーではあるんだけど、世界を規定する法(いわゆる魔法の類)が一種類に規定されていないところが特異な点だと思う。一巻から、主人公は”生命魔術”と呼ばれる、人間の生命エネルギーを利用した魔法の力に巻き込まれているんだけど、この世界では、あくまで”生命魔法”とは、技術の一体系に過ぎなくて、他にもさまざまな文化が存在しているところが良いな。世界の奥行きが広がる感じがする。体系的な世界秩序を構築するのが悪いというわけじゃないけど、世界を単純化させてしまうというか…世界観そのものがキャラクター化してしまうところがあるから、ちょっと注意したい。まあ、別にそれが悪いわけではないけど、世界の掘り下げはし難くなるので。どちらかというと、さまざまな価値観が入り乱れるオリエンタリズム(西洋文明に対するカウンターという意味で)の方を好む自分が居ることに気がつきました。ていうか、昔からそんな傾向だったけど。違いを楽しむ、というわけではなく需要する心構えとでも言うんですかね。

それはともかく。

平凡な鍛冶師の娘セフルが、病弱な王子を癒すための生贄に選ばれてしまったことから、運命に翻弄されるという正統派ファンタジー。この主人公は生まれ故郷ではつまはじきにされていることによる、自分の居場所の喪失を抱え込みながら、本当の自分の居場所を探していくと言うのが骨格となるストーリーとなる。なんだかんだあって、常人の娘でさえいられなくなってしまう主人公の運命は、彼女自身にはほとんど非の無いものであるだけに、彼女の悲嘆は大きい。とある事情で特異なワン(生命エネルギー、生命魔術で言うところの”魔力”のようなものだけど、正確に言えば”気”に近いのかも)を宿してしまったものの、彼女自身は何の力もないところが厳しいことこの上ない(都合よくイヤボーンも出てこない)。

セフル自身、快活で前向きな性格ではあるものの、いかんせん、運命と対峙出来る力を持ち合わせているわけではないので、基本的に状況に流されてしまう。そんな彼女を私心なく助ける騎士、ギルダン・レイがまたもう一方の主人公として、さまざまな陰謀に立ち向かう冒険活劇が繰り広出られていく。ギルダン・レイもまた、物語の序盤において、彼の忠誠の対象である王子を失うことで、自らの居場所を喪失してしまっているため、この物語は、二人の主人公が、お互いの中に自分の居場所を見出す物語としても読めるのかもしれない。

ただ、ギルダン・レイに助けられているばかりだったセフルは、3巻において、ついに自分の意思をもって困難と向かい合うことが出来、自分の望みを見出すことが出来たことは、物語の大きなポイントになりそうでもある。セフルは自分の居場所を見出すことが出来るのか、ギルダン・レイにとって、セフルとはどんな存在なのか(喪失を埋め合わせるだけの代替物に過ぎないのか)など、まだまだ予断を許さないところである。

なんかまとまりの無い感想になってしまったが、ともあれ続きが楽しみなシリーズである。コンスタントに続きが出る登言うのは良いことですな。

どうでもいいんだが、ギルダン・レイは、今のままではロリコンの汚名は免れないと思うんだ(本当にどうでもいい)。

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2008.05.08

『銃姫(9) It is Not to be "Now"』読了

Ae22d0b28fa07492b50f8110_l銃姫(9) It is Not to be ”Now』(高殿円/MF文庫J)読了。

ああああああ…、ついに、ついにチャンドラースが…。英雄の中の英雄にして、世界の運命を知る人物が…そのあまりにも誇り高き一生を終えた…。

精強な将軍にして、無類の策略家。それでいてのんきなお人好し。しかして真の勇気を知るもの、チャンドラース。そんな彼も、銃と魔法で武装した最新式の軍隊の前に追い込まれていく。魔法に固執していく世界に対して危惧し、警鐘を鳴らし続けていたチャンドラースすら飲み込んでいく時代のながれの無残さがこれでもかと描かれている。

しかし、この巻の白眉は、まさに敗北していくチャンドラースの姿そのものだ。傷を負い、敗北し、それでもなお数多くの命を守るために、圧倒的なスファルト軍に立ち向かい、そして、その最後の一瞬まで己の持てる力のすべてを出しつくして、その結果をすべて飲み込んでいくその姿は、あまりには美しい。

そこに、自己満足の匂いは欠片も無い。ただ私心無く、ただ平凡な平和のみを願い、戦いの中に死んでいく。自らの為した事を、受け継いでくれる事を信じて。かつての友と、愛する女性と、現在の敵を前にして、死に行く彼が、清々しいまでの笑顔を残し、逝くシーンは、久方ぶりの背筋が震える思いだった。

次の巻でいよいよ最終巻。チャンドラースが残した希望を、セドリックたちは受け継ぎ、次代に伝えていくことが出来るのか。まさにテーマとキャラが完全に噛み合った展開に、ただ胸が躍る。

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2008.05.07

報われない、そして哀しい道化

猫は勘定にいれません『円環少女』評を読んで、このシリーズの主人公について、つれつれと考えた。

結局、仁は、自分が所属する組織における義務だけでなく、師匠や友人、なにより幼馴染の京香姉ちゃんの想いすら裏切るという、本来、良識のある人間としてはやっていけないすべてをやってしまっているんですよね。その点、仁が嫌いだというたけさんの気持ちはよくわかります。組織人として失格ですよね、仁は。その点、僕もちょっと許せないという気持ちもある。

それを理解した上で、組織や社会という不条理に押しつぶされようとしている”理想”を守るために、必死で足掻く仁の姿には、否定できない崇高さがあると思うのです。

仁は夢想家と言うわけでもなく、理想論を本気で信じているわけでもない(と、思うんですが、違うかもしれない…)。ただ、子供が血みどろの戦場で戦い、命を落とすなんてことが耐えられない、ある種、弱い人間なんだと思います。生きるために何かを犠牲にする覚悟が出来ていない。それは確かに欺瞞です。

しかし、割り切れていれば、覚悟していれば、子供を戦わせることが正当化できるのか?といえば、もちろんそれはNOといわざるを得ない。子供が戦わない世界、それは理想です。しかし、現実はそうではない。それでもなお、子供の前でだけは、”世界は正しさに満ちている”と言う絶望的な嘘を演じ続けようと言うのは、哀しい道化の所業でしかないわけです。

しかし、仁は自ら望んで道化を貫こうとしたわけです。自分でも馬鹿なことをしているし、恩人に土をかけるような行為であり、なによりそんな嘘はつきとおせるわけが無いことも知ったうえで。あらゆるしがらみを(かけがえのないそれを!)すべてかなぐり捨ててまで、そんな青臭いと言ってもいい動機で、自らの良心を貫こうとした仁を否定することは、僕には、どうにも出来ないのです。

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王の道

コードギアス 反逆のルルーシュR2』を観ていて、ひょっとしてルルーシュって、彼なりの王道(お約束という意味ではなく)を歩みつつあるのではないかと思えてきた。

例えば、4話で、家族愛に飢えていたロロという獅子身中の虫を無力化するために、口八丁と茶番で篭絡したわけだけど、ロロが以前のままで未来があるかといえば、事実として無い。暗殺者として都合よく使い捨てられているという現状があるから、ルルーシュの提示した”家族愛”という欺瞞に(たとえ嘘だとしても)すがり付いてしまった。ただし、ロロにとってはどんな意味であれ(それこそ自分を駒としてでさえ)”自分を受け入れてくれる存在”となったルルーシュの傍にいることは、幸福ではないとは言えない。自分が本当に欲しいものをくれる、くれた相手、つまりは憧れた相手であれば、たとえ使い捨てられたとしても別にいいんじゃないか、とさえ思う。ルルーシュのつもりがどうであれ、彼がロロを”救った”とは言えるのではないか(あくまでも現時点では)。

また、5話目のヴィレッタ先生の篭絡。これは、記憶喪失時に扇と恋人同士であったという過去をネタに、ルルーシュが”強請る”(笑)という、これまたルルーシュマジ外道過ぎる展開だ。(予告で、スザクに対して「人非人が!」とか怒っているけど、お前も同じ穴の狢だろ、って感じだ。)しかし、ヴィレッタ自身、扇に対する感情が完全に消えたわけじゃなくて、むしろ、強い想いを抱えていることは、あちこちで分かりやすく(笑)複線が張られている。彼女を押さえ込んでいるのは、ブリタニア軍人(純血派)としてのプライドだけで、強い強迫観念でもって、自らを規定している。そんな彼女に対してなされるルルーシュの強請りは、マジで外道なんだけど、結果的にヴィレッタの感情を後押しすることになる…かもしれない(これも現時点での話)。

このあたりに、一期のころのルルーシュとは異なるものを感じる。一期の彼は、マキャベリズムに忠実で、言うなれば覇道を突き進んでいたわけだけど、覇道とは要するに統治のためには恐怖と力によるものであるわけで(戦時中はそれでもかまわないんだけど)、謀略だけでは、恐怖政治だけでは、国家を作ったとしても長続きするわけ無い。そこで必要になるのが”王の道”、すなわち国民に対して王としての姿勢を示すことが出来るかどうかが重要になってくる。

その点において、二期のルルーシュは、『目的のために手段を選ばないが、その手段が結果的に人を幸福にする』という彼独特の”王道”に覚醒しつつあるように思う。やり口がえぐいことには変わりは無いのだけど、どことなく結果が違う…ような気がするんだけど、まあ、話は序盤もいいところなんでフェイクの可能性もあるのが難しいところだ。ただ、ルルーシュの”王としての道”というのは、今後必ず出てくるテーマだと個人的には思っているので、どのような答えが出るのかに興味がある。ここはルルーシュが破滅するのか勝利するのかの鍵だと思う。一期の展開を反復しつつも、”同じ結果にならない”というところに、これはルルーシュの”成長”として描く意図は確実にあると思うのだ。

しかし、お前どこの征服王イスカンダルだよ(笑)、という感じですな(Fate/ZERO参照)。

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買ったもの

1.『ハチワンダイバー(7)』 柴田ヨクサル 集英社
2.『スティール・ボール・ラン(15)』 荒木飛呂彦 集英社
3.『多重人格探偵サイコ(12)』 原作:大塚英志 漫画:田島昭宇 角川書店
4.『カッティング ~Case of Mio Entanglement~』 翅田大介 HJ文庫
5.『SAS(3)』 鳥居羊 HJ文庫
6.『薪の結婚』 ジョナサン・キャロル 創元推理文庫
7.『JINKI-真説-01』 綱島志朗 角川書店

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近況

黄金週間中(特に後半)は、日頃の疲れが出たのか、起床→飯を食う→就寝→起床→飯を食う、のコンボを繰り返してしまいなにも出来なかった。3日間で40時間以上は間違いなく寝てた。日頃の不摂生がたたっているようだ。

決して、ゲームとか本とかにうつつを抜かしていたわけじゃないんです。はい。

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2008.05.02

『帝冠の恋』読了

帝冠の恋』(須賀しのぶ/コバルト文庫)読了。

19世紀、ウィーンにおけるハプスブルク家を舞台にした歴史恋愛小説。バイエルンから嫁いで来た王女、ゾフィーって誰のことかと思ったら、あのフランツ=ヨーゼフ1世の母親のゾフィ皇太后か!…なんか…歴史の隙間を突くようなチョイスだな…。ベルサイユの薔薇とかでは、エリザベートを苛め抜く鬼姑として有名らしいんだけど(昔、漫画で読んだけど、良く覚えていないなあ)、こんなエピソードがあったとは…と、人に歴史ありとはよく言ったものである。

いや、勉強不足で知らなかったんだけど、ゾフィーとナポレオン2世ことフランツ・ヨーゼフ・カールが同じ宮廷にあって、しかもそのロマンスを取りざたされていたのは本当のことらしい。しかも、相手が夭折したとくれば、こりゃもうロマンスのネタ(失礼)にならない方がおかしいか。

夫との不仲、味方のいない宮廷の中、国を立て直そうと理想と野心に燃えるゾフィーに立ちふさがる壁。その孤独が、ハプスブルクの憎悪を一身に浴びたナポレオンの、その息子であるフランツが惹かれあい、時にぶつかり合う。しかし、彼らの愛憎もまた、大きな運命とでも言う流れに押し流されてしまう。

そんな無常観に支配されがちなストーリーの中、やはり須賀しのぶの描く女性は強い。元々、ゾフィーは「ハプスブルク家唯一の『男』」と呼ばれるほどの女傑で、運命を己の手で切り開こうという意思がある。その意思は、若き日々のさまざまな哀しみや怒りを土台に育まれたものなのだろう。

時代は移り、かつてゾフィー自身が有能だが時代遅れの鉄腕宰相メッテルニヒを切り捨てたように、ゾフィー自身も新しい時代に押しやられていく。新しい時代の象徴であるフランツ=ヨーゼフ一世とエリザベート。彼女らによって自分の居場所は失われていく事を知りながら、それでも冷厳なる女帝として振る舞っていく彼女の姿には、単純な格好良さだけではすまない孤独がたたえられていて、染み入る。

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2008.05.01

『ドアーズⅡ 新たなる敵を修繕せよ!』読了

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ドアーズⅡ 新たなる敵を修繕せよ!』(神坂一/角川スニーカー文庫)読了。

うーん、2冊でばっちり終わるあたり、見事な職人芸だったなあ。結局最後までツッコミどころが出なかったぞ。適度にドタバタしつつ、ちょっとシリアス、そして読者の予想を(斜め上か下か分からないけど)裏切るカタルシス、とケチの付けようの無いエンターテインメントでありますな。妹が触手になっちゃった!と言うインパクトからすると今回のインパクトは低めではあるけれども、相変わらずライトノベルをさらにパロディ化するセンスは健在であります(関係ないけど、神坂一って、お約束を戯画化する、というテーマでひたすら書いている作家なんだなあ、と思った)。

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買ったもの

1.『ワールドエンブリオ(4)』 森山大輔 少年画報社
2.『ホーリーランド(17)』 森恒二 白泉社
3.『”文学少女”と神に挑む作家(上)』 野村美月 ファミ通文庫
4.『塔の街、あたしたちの街2』 扇智史 ファミ通文庫
5.『彩雲国物語 黎明に琥珀はきらめく』 雪乃紗衣 角川ビーンズ文庫

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